今日午前中、第４回目となる千葉市病院事業のあり方検討委員会が開催されました。議題は、①救急搬送の現状と、②答申原案についてです。
初めの救急搬送の現状について、市立青葉病院と市立海浜病院は直線距離で約8.5キロあり、高度急性期・急性期病院は中央区に集中しています。そのため、急性期病院が多い中央区、若葉区への搬送割合が高く、青葉病院に搬送されている患者の38％が花見川区、稲毛区、美浜区の市西部地域となっています。また、青葉病院は搬送先の決定に時間がかかるケースを受け入れているため、搬送時間が長くなっているという現状が示されました。海浜病院は小児ＥＲ型救急を開始（2016年６月～）し、搬送時間の短縮がされています。
本題の病院事業のあり方についての答申原案が議論されました。これまでの議論や検討の内容を盛り込んだ形での答申原案となっています。答申の要約が今後の方向性を簡潔に書いてあると思います。
１ 将来的な医療需要を踏まえた市立病院の医療機能
○政策的医療については、市立病院が引き続き担うべき。
○救急医療については、救急搬送件数の増加を踏まえ、体制の強化が必要。
○ほかの医療機関との役割分担や機能分化を図り、医療の質の向上や医療資源の最適配分による効率化につなげていくべき。
○政策的医療は不採算部門である。安定的な医療の提供のためには、一般会計による財政的な支援を継続すべき。
○医療ニーズの変化や医療技術の進歩などに、将来にわたって対応できるようなフレキシブルな体制が必要。
２ 医療提供体制
○長期的な視点で検討することが重要。
○老朽化への対応として、新病院を早期に整備することが望ましい。
○医療機能を新病院に集約化することは、医療機能の充実や質の向上、人材の確保の面で効率的、安定的な運営が見込まれる。青葉病院は適切な機能・規模を選択すべき。
○現行の経営形態を継続することは妥当。最も有効な経営形態については、継続的に検討していくべき。
３ 経営の健全化
○公立病院として求められている機能やほかの医療機関との役割を明確に整理したうえで、診療領域の構成を検討すべき。
○経営の健全化のためには、経営改善の意識が職員一人一人まで浸透していることが重要。本部と病院現場がコミュニケーションを取りながら、一体となって病院運営にあたられたい。
各項目について病院局から説明がなされ、委員から意見や質問が出されました。言葉の言い回しへの意見も多くありましたが、気になった意見や質問について書きたいと思います。
○青葉病院と千葉大学附属病院は近接している。青葉を後方支援病院と考えるのか。青葉の役割を明確にした結果が（答申に）書けるのか。救急医療など青葉が大きくかかわってくる。
○千葉大学としても急性期や回復期のあり方について早急に議論したい。「検討すべき」と盛り込んでほしい。
○３パターン（Ａ：現状維持、Ｂ：統合、Ｂ´：新病院への医療機能の集約など）の中で、Ａが否定されている。医療体制が担保できないのか。さらに充実することは難しいのか。維持も難しいのか。それぞれの立地の中で、２つの病院が役割をになっている。より明確にしたうえで現状維持もあるのでは。
○Ａはありえない。医療体制確保は千葉大学も保障できない、支障が出る。必然的にＢ´にならざるをえない。
○心臓と脳疾患、外科系はやらないのか。民間に任せるのか。
→民間がやっているものに投資する必要があるのかという意見と、将来的に検討という意見もあったので。将来にわたってやらないというわけではない。
（寺井海浜病院長）
外科系も整備していくことも検討する。小児ＥＲには外科系も含まれる。救急医療は内科系だけではない。
（山本青葉病院長）
千葉脳神経は単科の病院でその他は受け入れられない。千葉メディカルは困難事例も受け入れていただいているが、９割の病床稼働率となっている。
○新病院でやっていくと理解した。
○心臓と脳は単価が高くなるため経営も楽になる。
「現状維持」の意見を述べる委員もいますが、それに対して医師の確保の保障ができないとする意見も。公立病院の役割と医療機能を明確にして、大学病院も早く議論したいと、公立病院のあり方を早急に結論を出してほしいとする委員も。全体的な感想ですが、公立、民間問わず、医療機関を利用する市民の意見を、この半年の間で聴くべきではなかったのかと思わざるをえません。
次回は答申を決定する委員会となります。８月19日（月）19時から開催される予定です。
