あいにくの曇天で2時間ほどの空きが出来てしまって
安曇野のアルプス公園に回ってみました。
アイスチューリップも終わり何もないかもと思いましたが
思いがけない出会いがありましたよ。
受付と改札の所で係りのお姉さんたちと談笑する女性の傍に
大きな白い犬が優しい顔で座っていました。
とても懐っこくて大人しいので思わず撫ぜてあげると
嬉しそうに体を寄せてきます。
「この犬、保護犬なんですよ」
もう常連さんになっているらしい飼い主さんがにこやかに話してくれました。
聞くと、10年以上一緒に暮らしていた犬が亡くなって
もう飼うのは辛くて無理だと思っていた時に
保護団体から、とてもかわいそうな子がいるので会ってみませんか と話があり
会うと優しい顔ですぐに懐いてくれて
「この子ね、10年間犬小屋の中で散歩もさせてもらえず閉じ込められて
何度も子供を産まされて病気になると飼育放棄されて保護されたんですよ」
「だから散歩の仕方も走り方も知らなくて未だにぎこちないの」
子犬を産ませるだけに飼われその都度取り上げられてきた母犬なんですね。
「そんなひどい目に遭って人間を恨んでいる様子がないですね」
「もともと温厚な犬種だけど、この子は誰も恨まず全部諦めているように見えて不憫でね」
「何歳ぐらいなんですか? 」
「今年で11歳みたい、せめて余生は幸せにしてやりたくて飼うことにしたの」
「名前はなんていうのですか?」
「くるみちゃんと言います」
「くるみちゃん、いい人に出会えてよかったね~ ほんとよかったね~ 」
くるみちゃんはただ人に優しくしてほしくて撫ぜてもらうのが好きだと言います。
足腰が弱っていて散歩もおぼつかないことから
月に何度か安曇野公園にやって来てゆっくり歩くのだとの事。
くるみちゃん、長い間虐待を受けて来たのにどうしてそんなに穏やかでいられるの ?
あなたはいい子だから、これからきっと幸せを呼び寄せられるよ・・・
私が撮るものがなくてどうしようかと思ってると話すと
飼い主さんが「福寿草が咲いてますよ」と教えてくれました。
なんならくるみちゃんと案内しましょうと有り難い申し出。
案内してもらうと、にょきにょきとたくさん顔を出していました。
福寿草は古くから福を招く植物として知られていて
江戸時代から春を一番に知らせる花ということで「福告ぐ草」と呼ばれました。
1月から3月に見られ3月が見頃ですね。
花は主に黄色、白や緑、赤い色もあります。
意外にも毒草なんですね。
花言葉は日本では、幸せを招く、永久の幸福など
意外にも西洋では、悲しい思い出 とあります。
これはギリシャ神話でイノシシに殺された美少年の血で
真っ赤な花が咲いたことから由来しているそうですね。
寒く厳しい冬も
乗り越えれば春がやってくるのですね。
くるみちゃんのように心をニュートラルにしていれば
どんなことでも上手く受け止められるのでしょうか。
どうぞあの子に平穏な日々を・・・
ふたりと別れてふとみると
遠くをくるみちゃんが先になってゆっくりと歩いています。
道路では車やほかの犬で危ないけれど
ここは安心して散歩できるね。よかったね~ 。
また一つ、旅先で拾った思い出は
切ないけれどほっこりとした感慨に包まれることでしたよ。