上高地や乗鞍高原から松本へと向かう途中に
R158号線に沿うようにして走るアルピコ交通の新島々駅があります。
松本から上高地へのアクセスに使用される路線の終着駅です。
ここは電車の発着間際の場所なので
無理なく電車が撮りやすいところですね。
この車両はアルピコ交通上高地線の20100形
デザインが前のあずさ号とよく似ている所から好きなんですね。
出来れば側面もあずさ号のようであればいいのにな・・・とないものねだりです。^-^
昔、アルピニストたちは松本から上高地線に乗って
新島々の駅を降りて沢渡行きのバスに乗り換え
沢渡からバスの無かった時代は歩いて上高地を目指したと言います。
思うと大変な行程ですが、
美しい大自然を美しいまま残そうという、大きな願いが込められていました。
今はバスで上高地のバスターミナルまでは行くことが出来ますね。
マイカーの場合は沢渡からバスかタクシーになります。
上高地への仲間旅を計画したのはまだ20代の事、
それまでに読んでおきたい本がありました。
井上靖さんの「氷壁」です。
1956~ 1957に朝日新聞に連載された氏の名作です。
これは実際に起きた、前穂高東壁の冬季初登頂を目指した遭難事故がモデルとなっています。
絶対に切れることは無いと言われたナイロンザイルは
果たして本当に切れたのか、故意の切断事故ではと波紋を呼んでいました。
「氷壁」の小説では新島々の駅、大正池、河童橋など人気スポットが随所に出てきます。
上高地へのアクセスが克明に描かれているので
行くまでに是非読んでおきたいと思ったのですね。
切れるはずのないナイロンザイルが切れたために登山中に死亡した友人の死を、
同行していた主人公が追う、1955年に実際に起きたナイロンザイル切断事件がテーマの
これは山と友情と恋愛を交えた重厚な小説でした。
この新島々の駅を通るとき「氷壁」が蘇ってくるのがいつものことになりました。