「 私にとってもあなたは特別な檀家さんなんですよ。」
そのご住職は先代が高齢で引退されてから
高野山からよこされたまだ青年のようなお坊さんでした。
家の冠婚葬祭や親戚との付き合いなどほとんど知らず
兄に任せきりだったのがその兄が早逝し
田舎の家にひとり住む母の所に帰ってすぐに介護となりました。
1年ほどで母が亡くなりそんな私が
いきなり喪主を務めることになってしまいました。
悲しみに浸る間もなくすることが多くて
従弟達の助けを借りながら多くのしきたりをこなしました。
それは皮膚感覚を伴わない行事のようで
心は空洞のままただ責任を果たすのだと
そんなありさまだったのですね。
49日まで毎週ご住職が、県境の山奥からお経をあげに来てくれて
もうみな帰ってしまった家には私ひとり・・
「 ちゃんと食事はしていますか? ]
どこか心もとない様子に心配して下さり
「 今日法事がありましてね、頂いたお弁当ですが帰るまで持つかどうか
まだ1軒お参りするところがあるので良かったらこれ食べて下さい 」
「 お花をたくさん頂いたので生けて下さい 」
などと いつも優しい心遣い・・・
「 私がOO寺に来て初めてのお葬式がyuzuさんの所なので思いが特別なんですよ 」
母がもういないのだという現実を受け止めきれず
腑抜けになったような乾いた心に
一雫おちる水滴のようにそれは染み込んで行って
今もご住職の暖かい思いやりが感謝に堪えません。
毎年、2.3度はお墓参りに行っていましたが
元の仕事に復帰してお墓からは3.4時間かかる遠くへ来てしまいました。
身構えて行かないとなかなか行けない不自由さです。
そんな折、以前からの病気で
入院、手術となりました。
落ち着いてからご住職に無沙汰のお詫びを書き送ると
後日分厚い封筒が届き
便せん6枚に渡る長いお手紙とお守り、お札が入っていました。
高野山に行った時に祈祷していただいたものだと書いてあり
わざわざ・・・・
しみじみ有り難い思いに包まれます。
人は人生を卒業するまでに
色々な道程を踏まなければいけませんが
そんな折、無償の愛で寄り添って下さる方に出会えた幸せを思います。
「 あなたは私には特別なんですよ。どうかお元気で生きて下さい。 」
きっと母が繋いでくれたご縁なのでしょうね。
>きっと母が繋いでくれたご縁なのでしょうね。
そうだと思います。
良かったですね。
見ていただいてありがとうございます。
高野山での修行を終え寺持ちの住職となられて
初めてのお葬式だったこともあり
印象深かったのでしょうね。
優しいお寺さんに支えられて恵まれていたと思います。
はい 巡り合わせにほんと感謝です。
コメント ありがとうございました。 ^-^
ご無沙汰しています。
今日の名古屋は湿度の高いじめじめした
日になりました。
今日は母の命日でした。40年前の出来事を
昨日のように覚えております。
yuzuさんのお母様とのお別れも涙して読まさせて
いただきました。
素晴らしいご住職に出逢われて..気持ち的に
落ち着かれたのでしょうね。心が落ち込んでいた時に優しい心で包んでくれたご住職に感謝ですね♥
目の前の出来事に追われ、ただ無事に勤めを果たさなければと一生懸命。
きっとyuzuさんも、そうであったのではと思います。
私も数年前に主人を亡くした時に、そうでした。
子供たちとただただ、精いっぱいでした。
まだ両親が健在だったので、色々なことを聞きながら出来ましたが。
それでも初めてのことばかりで。
ご住職に色々お世話になりました。
ほんと、人は一人では生きているわけではありませんね。
心優しいご住職とのご縁は、お母さまが下さったものですね。
くーばあちゃんの場合は遠くから駆け付けないといけなかったのでしたね。
家ににたどり着くまでのお気持ち 察するにあまりあります。
誰かを見送るって やはり寂しいことですよね。
ご住職はその後檀家さんの紹介で
素敵な奥様を迎えられてご家族が出来ましたよ。
そんな姿は私たちにとっても嬉しいことでした。
あまりに遠いのでお墓を近くに移そうか・・・なんてことも
考えたりするのですが 努力すればいいだけだし
あのご住職ご夫妻とのご縁を思うと やはりよそうと思ったりしています。
梅雨のじめじめした季節です。
お体ご自愛下さいね。 ^-^
見ていただいてありがとうございます。
ご主人を見送られたのですね。お気持ち思うと
悲しみや不安やないまぜで切ないことでしたね。
通夜やお葬式って ほんとに決めることや準備することが多くて
残された者にとっては 忙しくきりきりすることで
悲しみがまぎれるのかもよ と友人が言っていました。
そうなのかも知れませんね。
人はほんとに一人では生きられないのだと
わたしもそう思います。
助けられて許されて守られている事を
忘れがちなのですが
ご住職とのご縁は母が結んでくれたものと
大切にしていきたいと思っています。
ありがとうございました。