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札幌・円山生活日記

「琳派×アニメ」展 ~尾形光琳、神坂雪佳から鉄腕アトム、リラックマ、初音ミクまで~北海道立近代美術館

本日は「北海道立近代美術館」で開催中の【「琳派×アニメ」展~尾形光琳、神坂雪佳から鉄腕アトム、リラックマ、初音ミクまで~】の鑑賞です。米国で発見され日本美術史を塗りかえる世紀の大発見と言われる尾形光琳の《富士三壺図屏風》を目玉に江戸時代から現代まで琳派に魅せられた絵師の作品が大集合した美術展です。琳派の世界に鉄腕アトム、リラックマ、初音ミクらが登場する作品も楽しめます。

展覧会は「北海道立近代美術館」で4月20(土) 〜6月2(日)の会期で開催中です。

“「琳派」とは、俵屋宗達から100年ほど後に絵師となった尾形光琳(1658〜1716)の「琳」をとって名付けられた名称です。「琳派」という言葉は、日本文化や日本美術のなかで有名な言葉であり世界にもその素晴らしさが認識されています。しかし、「琳派」は、ごく近年になって使われはじめた言葉です。それは、大正時代に美術史関係の人が創り出した言葉ではありますが、現在では日本を始め世界中が「琳派」と言えば宗達や光琳らの素晴らしい作品の数々を思い浮かべます。
しかし派が付いているからといって師弟関係で結ばれているものではなく、直接に教えを受けていないにもかかわらず、その人を慕い、その考えや行いを模範として学ぶという「私淑」によって再出されています。
一方、日本のマンガ、アニメは、日本のみならず世界の多くの人々に認められています。これらマンガ、アニメも現代の日本文化の大きな財産となっています。さらにマンガ、アニメの世界にも先人に「私淑」して生まれた作品もあることは周知のことと思います。
本展は、一見関係の無いジャンルである「琳派」と「マンガ、アニメ」を取り扱う展覧会ですが、この偉大な2つの日本文化には共通するものが見て取れると思います。それは、「私淑」「魅了」と言う語あるいはカリスマ性でしょうか。「琳派」も「マンガ、アニメ」も世界の人々の心を引きつけてとりこにする力があります。また、米国で発見され日本美術史を塗りかえる世紀の大発見、尾形光琳の《富士三壺図屏風》はじめ、宗達、光琳、酒井抱一、神坂雪佳など江戸時代初期から明治・大正時代にかけて制作された作品から「琳派」の素晴らしさを体感していただき、後半は、琳派に私淑した作家が琳派作品を写し、その中にマンガ、アニメのキャラクターを登場させるという新しい試みの上に制作された作品で2つの日本文化の素晴らしさや面白さを感得していただく展覧会です”。
 

会場風景。前半は「私淑」によって作り出された俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、神坂雪佳など江戸時代初期から明治・大正時代にかけて制作された「琳派」の作品が並びます。

米国で大発見された尾形光琳の幻の名作「富士三壺図屏風」。

神坂雪佳の「蓬莱山図」など名作の数々が並びます。琳派作品は合計53点、これだけまとまった数の琳派の傑作が道内で公開されるのは初めてだそうです。
そして後半には琳派作品の中にマンガ、アニメのキャラクターを登場させた現代作品30点が並びます。上掲は神坂雪佳の「蓬莱山図」を背景に鉄腕アトムが飛ぶ「鉄腕アトム×蓬莱山図」。

制作者は「豊和堂(とよわどう)株式会社」にあって琳派に魅せられた友禅絵師の人達。琳派作品を写し「漫画やアニメを琳派的手法で描くとどうなるだろうか?」という発想から誕生した琳派オマージュの作品だそうです。 
“「豊和堂株式会社」は約400年前、桃山時代後期、豊臣政権の五奉行を勤 めた前田玄以を祖先に代々残る文献を基に織りや染めなどの染織技術に着眼し復元と創作を行っている工房。 これまで、比叡山延暦寺を始めとする数多くの寺社に、 作品を納めている。
俵屋宗達「墨梅図」と伊藤若冲 「糸瓜群虫図」を復元。 2015年琳派400周年という年にアニメ、マンガの代表でもある火の鳥やアトム×琳派、初音ミク×琳派や若冲、 リラックマ×琳派を豊和堂の友禅絵師がこの時代に描き合わせました。”
「富士三壺図屏風」のオマージュ作品「鉄腕アトム×富士」。
「火の鳥×三壺」。
こちらは伊藤若冲と初音ミクの作品。
伊藤若冲の「鶏図押絵貼屏風」を最先端デジタル技術と伝統的な保存修復技術によって超高精細で再現したスーパークローン絵画。「細見美術館」所蔵の参考出品。
「初音ミク×鶏」。
「初音ミク×藤」。

「リボンの騎士×業平東下り」。
「ブラックジャック×忍草」。ブラックジャックが琳派作品に馴染んでいます。
最後は神坂雪佳「百々世草」にリラックマ。
「リラックマ×牧童」(豊和堂、2017年)。「豊和堂」は京都国際マンガミュージアムで「琳派オマージュ展」を企画し大好評を博したとのこと。今回は“琳派に「私淑」した絵師”の作品という点でまとめ本家とオマージュ作品を同時に鑑賞できる貴重な機会でした。日本の文化と遊び心感じる楽しい美術展です。ありがとうございました。
記念品コーナーの「初音ミク」グッズ。

「琳派×アニメ」展
会期:2024年4月20日(土)~2024年6月2日(日)
会場:北海道立近代美術館(Google Map
住所:札幌市中央区北1条西17丁目
時間:9:30~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日:月曜日

主催:STV札幌テレビ放送株式会社

後援:札幌市、札幌市教育委員会

特別協力:公益財団法人細見美術財団 細見美術館

協力:ヤマト運輸、STVラジオ

企画・監修:細見良行(細見美術館館長)、松原龍一(元京都国立近代美術館副館長)

観覧料:一般 1,700円(1,500円)/高大生 1,000円(800円)/中学生 700円(500円)
小学生以下無料(要保護者同伴)※( )内は以下の割引料金です
(2024.5.20)

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