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冬のソナタに恋をして

結婚1


次の日ミニョンとユジンがスキー場のカフェでお茶を飲んでいると、ミニョンが突然言った。

「僕たち、今日結婚しよう」


ユジンはカップを持つ手を止めて、目を丸くしてミニョンを見つめた。
「チュンサン、冗談でしょう?」

「本気だよ。二人だけで結婚式を挙げようよ。」

「あなた、本当に変よ。どうしちゃったの?」


ミニョンはどこまでも真剣な顔をしていた。

「ただ待つのが嫌になったんだよ。」

「お母さんたちが反対するからやけを起こしちゃったの?」

「違うよ。今すぐに君が必要なんだよ。僕の母が反対したって、君は僕と結婚するだろ?」

「ええ」

「君の母親が反対しても同じことだろ?」

「、、、そうね」

「僕も同じだよ。どっちにしろ結婚するんだ。これ以上気をもむことはないじゃないか。僕たちは10年以上待ったんだよ。」

「チュンサン?」

「もう待ちたくないんだ。結婚しよう」


ミニョンの真剣な顔を前に、ユジンは戸惑っていた。困惑していた。今日のミニョンは今までで一番変だった。何かに追われるように結婚を焦っている。ユジンにはそれが何故なのか、どうしても分からなかった。

そこで、あえて特に返事はせずに自室に帰ってチョンアと打ち合わせの続きをした。しかし、心ここにあらずのユジンにチョンアが声をかけた。

「なぜ理事は帰りが遅かったわけ?」

「私にも分からないわ。」

「結婚前から手綱をしっかり握らなくちゃだめよ」

しかしユジンは力なく笑うとまた目を伏せてしまった。

「理事が様子が変なのはどんな理由なの?」

「あのね、お母さんのことなのよ。私とチュンサンと両方の母親が結婚に猛反対なの。だから辛いんだわ。」

チョンアはとてもびっくりして、思わず目を見開きながら聞いた。

「それで、結婚をあきらめちゃったの?!」

「ちがうの、その反対よ。今すぐ結婚しようっていうの」

ユジンは本当に困った様子でぽつりと言った。

「はぁ、理事ってあんたのことが本当に必要なのね。」

チョンアはあきれた口ぶりで言った。

「もう、そんなに愛されてるんなら、さっさと結婚しちゃいなさいよ。結婚なんて一緒に暮らすと公言するだけでしょ。大事なのは愛してるかどうか、ただそれだけじゃない。あんたは彼を愛してるの?」


ユジンはチョンアをじっと見つめた。その瞳はYESと言っていた。

「愛してるんだったらそれで充分よ」

しかし、ユジンはますます深く考え込んでいるようだった。チョンアにはうまく説明できなかったが、それだけでは理解できないことが奥深くで進行しているのに、自分だけがそれを知らない、そんな気持ちがするのだった。ただ厄介なのはそれが何なのか皆目見当がつかないことだった。それでもチョンアに背中を押してもらったことで結婚しようと言う勇気が持てた。


一方でミニョンは自室で目を閉じながら考え事をしていた。ミニョンとユジンは兄妹かもしれないが、ミニョンはどうしてもユジンを諦められなかった。法律上二人は赤の他人なのだ。結婚しても問題ないのだから。でもユジンに秘密のまま結婚したら、自分を許すことが出来るだろうか。そんなことを考えていると、急に視界が明るくなった。ふと目を開けると、そこに晴れやかな顔のユジンが立っていた。ユジンはカーテンを全開にすると、ミニョンの手を取って言った。

「チュンサン、目をつぶって何を考えてるの?」


ふたりは気分転換に散歩に出かけることになった。久しぶりにロープウェーに乗り込み、二人は山頂へ向かった。山頂はまだまだパウダースノーにおおわれており、二人はこの間のように真っさらな雪の上に足跡を描いて林を歩いた。

今日も青空は冴え冴えと澄み渡り、遠くの山々と近くの樹氷のコントラストが美しかった。二人は山頂から遠くの景色を眺めた。あまりに素晴らしい景色で、鳥になってどこまでも飛んで行けそうな気がする。今なら聞ける、ユジンは思い切って口を開いた。

「チュンサン、結婚しようって本気?」

するとミニョンは何か言いたそうに口を開いたが飲み込んで、すっと目をそらした。

「すごく悩んだのに、本気じゃなさそうね。」

「本気だよ」

「でも私たちだけで結婚したら証人がいないじゃない?」

「証人なんて必要ない」


ミニョンのまなざしはどこまでも真剣で、ユジンを求めているのを、心から感じられた。そしてついにユジンも心を決めた。

「わかったわ。私たち、結婚しましょう。」

ふたりはそっと抱きしめあった。お互いの温もりだけが頼りの静かな門出だった。山頂の凛と冷えたすがすがしい風だけが、二人を祝福しているように感じた。




コメント一覧

kirakira0611
@breezemaster さま、ありがとうございます😊確かに誰かに話して、フッと背中を押してもらう時ってありますね。
雪山って、真っ白な景色や、山山や、澄んだ空に心が開放されますよね。もう、何年行ってないかなとブログを書いて思いました。
ありがとうございました😊
breezemaster
おはようございます^^
ミニョンの悩みながらのユジンへの愛の強さを感じる今回、
チョンアさんとの会話、
そして、ある所シンプルなチョンアさんからの言葉で、
背中を押してもらったユジン、
私達の悩みも、こうしたことありますよね

そして、真っ白雪景色の中で、結婚を決めた二人、
昔スキーに良く行っていた頃、
頂上から見下ろす景色に、つまらないこと忘れたことを
思い出しました。
今回も素敵な文章、ドラマを見ていても分からない
二人の気持ちを適切に表していますねぇ~
kirakira0611
@naotomo3451 さま、ありがとうございます😊
冬のソナタに人の数だけ思い出がありますね。わたしも亡き父を思い出して懐かしいです。あー、またヨン様観てるな、と母に苦言する父(笑)
いつも優しい語り口のブログを楽しみにしてます。
ドクターイエヤス、面白すぎます(笑)
来年からどうする家康?が始まりますね。タイトル合ってますかね。楽しみです。
では運動会に行ってきますね。
ありがとうございました😊
kirakira0611
@hananoana1005 さま、ありがとうございます😊
わたしもこのシーンを久しぶりに思い出して書きました。冬山が綺麗だなあと思いました。うちは雪国ではないので、新鮮です。ちなみに、冬季オリンピックの舞台ですよね。今はどうなってるでしょうか。
今ペヨンジュンさんはハワイで暮らしてるそうですね。韓国って窮屈なのでしょうか。
今日は今から息子の運動会です。楽しんできたいと思います。
ありがとうございました😊
naotomo3451
いつも楽しく懐かしく拝読しています。あー!楽しかったあの頃。冬ソナ友と楽しく語った日々。今はブログで楽しませて頂き、感謝感謝です。
hananoana1005
こんばんは🌜
このシーンもあまり覚えてなくて(>_<)
でも美しい素敵なシーンですよね~
このまま竜平で結婚式を挙げてしまえば良いと思いますね~誰も邪魔しないから。
証人はチョンアさんが居るじゃないですか。ね~

✨キラキラさん~いつも有難うございます🌸
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