京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

暦の上では冬でも季節は秋なのです

2022-11-14 11:49:12 | 園芸・植物・自然環境
暦の上では冬になって1週間経ちますが、ようやく紅葉も進み秋本番といった京都です。昨年、一昨年とコロナ禍で何かと規制があった2年間と比べ国内外問わず観光客が増えたように感じます。そのような中、哲学の道やその周辺を歩いていると小さな秋を見つけました。

まずはロウヤガキ(老鴉柿)の実。昨年に比べると実のつきが少ないようで、観賞用であっても隔年結果となるのか、ほんのちょっぴりの実が枝にぶら下がり色づいていました。



そして、もう葉だけでなく実も落としているものも散見しますが、こちらはしっかり実をつけて葉も青々としていたコムラサキ(小紫)です。



たいていはムラサキシキブ(紫式部)と呼ばれますが、本来のムラサキシキブは実がまばらにつき、葉の鋸歯が基部まで入るようです。対してコムラサキはきれいにまとまって実がつき、葉の鋸歯は先端から中程までで、基部に鋸歯は見られないとのこと。この写真だと葉の状態はわかりにくいですよね。

そして、大豊神社の参道沿いの花壇では、名前に秋とつくアキチョウジ(秋丁字)の花も少しだけ咲いていました。ただしアキチョウジと名札が添えてあったのですが、萼の先が尖って花柄も長くてまばらに咲いているのでセキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)かもしれません。



アキチョウジは愛知県以西の西日本に分布し、セキヤノアキチョウジは中部地方から関東地方にかけて分布するそうです。セキヤノアキチョウジの関屋とは関所の建物のことを指すそうで、関所で有名な箱根でよく見られるアキチョウジということで名付けられたそうです。

この秋も足早に去っていきそうな気配ですが、まだまだ秋色に染まる京都のひとこまでした。
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もじゃもじゃの毛虫じゃないよ

2022-11-11 18:35:28 | 園芸・植物・自然環境
北山通を京都府立植物園から松ヶ崎方面に向かうと、ノートルダム女学院の北側から宝ヶ池や国際会議場の横を通って岩倉地域とを宝ヶ池通があります。通称狐坂と呼ばれる坂道は2006(平成18)年に新道ができるまでは九十九折の坂で、この旧道は歩行者と自転車の専用道になっています。

新道は自動車専用道なので歩行者用の旧道を歩いて坂を登り切り、新道の自動車道と合流したところでこんなものを見つけました。



毛むくじゃらのもじゃもじゃの毛虫ではないですよ。おそらくアカメガシワ(赤芽槲)の蒴果だと思います。

ただ通常は、垂れ下がらずに上に向いていて、もっと実の膨らみがあって突起状のものも少ないように思うのですが、葉や他のところで判断してもやっぱりアカメガシワのようにしか思えません。



こちらは下のほうで熟した蒴果が弾けており、剥き出しになった種子はアカメガシワの種子にそっくりです。焦点があってないのでぼやけていますが、その部分だけ切り取ってみました。




ちょうど1週間ほど前の投稿で紹介したクサギ(臭木)の実を集めているときに見つけました。

クサギの実(過去記事より再掲)


アカメガシワは雌雄異株で、花は雄花しか見たことがないのですが、これがアカメガシワの雌株なら来年に花を見ることができるので、楽しみです。

アカメガシワの雄花(過去記事より再掲。2020年7月撮影)


花を見ればこの実がアカメガシワかどうかも確実にわかるだろうし、楽しみにしておこうかな。
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見る向きを変えると印象も変わる?

2022-11-10 18:09:00 | 園芸・植物・自然環境
疏水分線沿いに続く白川疏水通を歩いていると向こう側の土手で咲いている花を発見。



ひと塊となって咲いていたサフランの花でした。クロッカスの仲間ですがこちらは秋咲きで、三裂した雌しべがスパイスとして着色や香料に使われます。もう10年以上も前のことですが、一度鉢植えでサフランを育てたことがあり、咲き終わる前の花から雌しべを収穫して、サフランライスなどにして楽しんだことがあるのですが、そのときの雌しべがキッチンの引き出しの片隅で眠っていることを思い出し、その一部を取り出して撮影したのがこちら。




あまりにも年数が経っているので料理に使うのはためらいますが、染色に使えるかな。1グラムあるかないかの量なのですが。今更ながら、クロッカスだけでなく、ひさしぶりにサフランも育ててみればよかったと思っても、あとの祭りですね。


・・
・・・
いつものことながら話が脱線しましたが、疏水を挟んだ向こう側から土手で咲いている花を見ると、この雌しべがでろんと垂れ下がって、絵文字で表すと🤪🤪🤪🤪🤪が並んでいるように見えたのは私だけ?



手持ちの望遠レンズのテレ端いっぱいで撮影してこの大きさだったので、逆側に移動して上から覗き込むようにして撮影してみると……



先ほどのようなおどけた雰囲気ではなく、お利口さんの優等生に見えるのは、これも私だけでしょうか。はてさて、サフランにもオンとオフの顔があるのでしょうか?
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何して遊ぼうかな?

2022-11-08 18:08:36 | 園芸・植物・自然環境
先週末のことですが、今週土曜日に同心児童館で行う工作教室で使うのに必要な秋の落ち葉やドングリを拾い集めていた道中でムクロジ(無患子)の実が落ちていることに気づき、状態のよいものを少しだけ頂戴して持って帰りました。



漢字では無患子と書き表しますが、これを「子供が患うことなし」と語呂合わせでこの実をお守りにすることもあり、社寺の境内に植えられている姿も見かけます。



なおムクロジという語源は諸説あるようです。有力な説のひとつには、このムクロジの種子を羽根突きの羽根の玉に使いますが、この羽根はトンボ(蜻蛉)を表しており、さまざまな病気を持ち運ぶカ(蚊)を食べてくれる益虫を生かすよう落とさないように羽子板で打ち合う羽根突きで子供の健康を祈り、漢名の無患子(むかんし)が転訛してムクロジとなった説があるようです。もうひとつは別属ですが同じムクロジ科のモクゲンジの中国名である木欒子(もくらんし)を誤ってこの木に当ててしまい、その読みが転訛してムクロジになったという説もあるようです。



蒴果は熟すと果皮が透明になり、中に入っている種子の黒色がうっすらと透けて見えますが、すでに果皮が取れてなくなり剥き出しで落ちていた種子のうちきれいなものも拾ってもらってきました。

それ以外に、たいていは実がひとつだけという状態でついていると思うのですが、中には2つあるいは3つがくっついている実もあるようで、こちらは小さいですが3つついたムクロジの実のようです。



真っ黒けになってかなり乾燥していたので、中の種子まで期待していなかったのですが、帰宅してから分けてみたら簡単に外れました。



接合面は柔らかく簡単に穴を開けられたので、種子があることも確認でき、千枚通しを使って取り出すこともできました。



一番最初に写真で紹介した果皮がついている3つは、ムクロジの実の果皮はサポニンを含んでいるため水に入れて泡立てると石鹸代わりになるので、種子を取り出した後に果皮を使ってシャボン玉液でも作って遊んでみようかな。もちろん集めた種子は工作教室で参加する子供たちがひとつは手に入る分だけ持っていくつもりです。

お念珠の珠にも使われる種子ですが、略式の数珠にしても数が足りないので、残りは羽根突きの羽根でも作ってみようかな。それと、ムクロジの実も煎ってから殻を割って取り出した中身を食べることができるそうですが、こちらはどうしようか考え中です。
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少しずつ色づいて粒々も目立ち始めました

2022-11-07 18:45:09 | 園芸・植物・自然環境
京都大学医学部附属病院の近くにある京都教育文化センターの花壇に植えられたコキアは、まだまだ多くが緑色をしていましたが少しずつ赤く色づき始めていました。




枝を束ねて箒にしたことからホウキグサ(箒草)やホウキギ(箒木)といった和名があるように、姿そのものも箒を逆さにしたように見えます。そのような姿で花壇に数本並んでおり、よく見ると枝に何か粒々のようなものがあることに気づきました。



最初は花かと思いましたが、どうやら実のようでコキアの場合は胞果と呼ぶようですね。



この胞果は食材にもなり、食用のコキアから採集されたものが、秋田県の特産物で畑のキャビアとも称される「とんぶり」です。



とんぶりの簡易な作り方は、赤く色づいたコキアが茶色くなった頃に、容器で受けながら枝をしごくようにして実を収穫し、沸騰させたお湯で30分から1時間程度茹で上げればよいそうです。茹で上がったら水に入れた桶に移して手でよく揉み、水に浮いた殻などを取り除いて沈んだ実を取り出せばよいそうです。

もう少し手間を掛けるなら、植えたまま自然乾燥させるのではなく、前もって身が落ちないように刈り取って室内で数日間乾燥させてから棒などで枝を叩いて実を落とす方法でもよいようです。

ちなみに『とんぶり』とは、食感が魚のハタハタ(鰰)の『ぶりこ』に似ていて、唐伝来(コキアは平安時代の頃に中国経由で日本に渡来したそうです)のものという意味でつけられた『唐ぶりこ』が転訛したものだそうです。さて、このコキアの実でも作れるのかしら?
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