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日本の地名をギリシャ語で書くと

ギリシャ語は古代から現代までの長い歴史の中で音韻変化が起こった。
ギリシャ語における外国の固有名詞の特徴という記事で取り上げたように、世界各地の地名をギリシャ語で表す際、ギリシャで古くから知られていたものは古代ギリシャ語の発音に基づいた慣用形が用いられ(そのため、現地語の発音とずれる)、近代以降新たに知られた地名は現代ギリシャ語の発音に基づいて原音を転写した形が用いられるという特徴があり、興味深い。

では、日本の地名どうか。

まず、「日本」という国の名前をギリシャ語で言うと···
Ιαπωνία(イアポニア)
英語のJapanと同じく「日本」の昔の中国語の発音に由来する。

日本国内の地名に関しては、ギリシャで古くから知られていたものはほぼないため、日本語の発音を転写した形で表される。

東京 Τόκιο または Τόκυο
大阪  Οσάκα
名古屋 Ναγκόγια
仙台 Σεντάι
神戸 Κόμπε
福岡 Φουκουόκα
北海道 Χοκκάιντο
関東 Καντό
九州 Κυούσου または Κιούσου
富士山 Όρος Φούτζι

が行はγκ、だ行(ぢ・づを除く)はντ、ば行はμπ。
語頭以外の「だ行」、「ん+だ行」、「ん+た行(ち・つを除く)」はともに「ντ」。
や行は「γι+母音」。ギリシャ語の「γι+母音」は半母音[j]より狭い摩擦音[ʝ]。
拗音はヘボン式ローマ字でYを介するものは、Yの部分がυまたはιになる。
「し」や「しゃ行」のような[ʃ]という音はなく、「さ、す、そ」と「しゃ、しゅ、しょ」は同じ「σ+母音」で表す。
「ち」は「τσι」([tsi ツィ]と発音)。「ちゅ」は「つ」と同じ「τσου」。
ざ行は「ζ+母音」(摩擦音[z])。ただし、「じ」は「τζι」、「じゃ、じゅ、じょ」は「τζ+母音」と破擦音[dz]で表す。これはローマ字のJの英語読みが破擦音なので、それに倣ったのだろう。
は行:「はひへほ」は「χ+母音」、「ふ」は「φου」。「Χ」はι、ε、η、υの前では[ç]、それ以外では[x]と発音する。「へ=χε」は「ヒェ」という発音になる。
長音は基本的に短音と同じように書く。現代ギリシャ語では短音と長音の区別はない(一応、アクセントが置かれる母音は長く発音されることがある)。「新潟」はローマ字の「Niigata」に倣って「Νιιγκάτα」となる(「Νίγκατα」と書くこともある)。
[w]音はギリシャ語にはなく、[w]音の転写には「β+母音」「γου+母音」「ου+母音」の3通りがある。そのうち「γου+母音」は同じく半母音である[j]が「γι+母音」で転写されることへの類推によるものだろう。日本語の「わ」も「βα」([va ヴァ]と発音)、「γουα」([γua グア]と発音)「ουα」([ua ウア]と発音)の三つが混在する。例:琵琶湖→Λίμνη Μπίβα、小田原→Ονταγουάρα、女川→Οναγκάουα

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