武弘・Takehiroの部屋

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地取り(聞き込み)

2024年05月05日 14時18分44秒 | フジテレビ関係

<以下の文を復刻します。>

「地取り」は死語になったのだろうか。辞書をひくと幾つか意味があるようだが、私が若いころ、教わった意味はまったく別のものだった。それは事件や事故が起き、聞き込み捜査や聞き込み調査をすることを地取り(じどり)と言ったが、最近はあまり使われないようだ。
この「地取り」は専門用語・業界用語のたぐいだが、私にはいまだに忘れられない言葉である。ここで、いつもブログでは“失敗話”をしているが、たまには自慢話の一つでもしたいと思う。たまには良いだろう(笑)。
私はフジテレビというテレビ局にいたが、若いころ、警視庁のクラブ詰めの記者をしていた。いわゆる“事件記者”だが、何か事件や事故が起きると現場にすっ飛んでいって、あれこれ取材をするのを仕事にしていた。
ところが、当時はテレビ局の記者なんか一般にほとんど相手にされず、社会の認知度や評価はきわめて低かったと思う。今とえらい違いだ。「フジテレビですが・・・」と言って取材に行くと、「どこの電器屋さんですか?」と逆に聞かれた報道部員もいた。そこで、まず徹底的に社名を売り込む必要があった。
だから事件や事故が起きると、私は徹底的に「地取り」をやったのだ。時間が許すかぎりいつも、現場の民家など2~30軒は回っただろう。訪問される家は迷惑だったろうが、事件や事故が起きたから“大義名分”は立つ。それに大抵の人はすぐ近くで起きた事件や事故だから、興味や関心も持ってくれた。
「えっ、テレビ局がそんな仕事をしてるの?」と言う人もいたが、中には「夜遅くまで、ご苦労さん」と言ってくれる人もいた。そうすると、疲れも忘れて地取りを続けたのだ。「フジテレビですが・・・」とまるで出前か注文取り、行商人のように回ったが、いま考えると必要以上に社名を売り込んだと思う。
おかげで他社の記者からは「あいつは、鬼のように地取りをする奴だ」と言われ、警視庁の刑事さんからは「まるで少年探偵団だ」と言われた(笑)。何と言われようとフジテレビの社名が広がれば良いわけで、私は徹底的に“地取り”をやったと思う。もちろん、事件解決の糸口となる情報も手に入れたが。
いつも放送事故とか、花火中継大失敗など失敗談ばかりやっているので、たまには自慢話をしても許されるだろう。また許してほしい。そういうわけで、会社にはいろいろご迷惑を掛けたが(37年半もいた!)、決して“給料泥棒”でなかったことだけは分かってほしいものだ(笑)


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