私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

ある日 真実のベール 第7,8話

2023-03-06 21:42:26 | ある日 真実のベール 韓国ドラマ

韓国の捜査や裁判は日本のそれと比べてとても速度が速いように思う。日本の場合は争点の整理だけでも何か月もかかるイメージを個人的には思っているのだが、「パッリパッリ(急いで!の意)文化」の韓国では、まったくスピード感が違う。
大体、裁判中に現場に足を運んでもまだ花が飾られて、現場の様子が生々しく残っているのだ。日本とは大違いだ。

ジュンハンは独自に捜査を行うものの(弁護士ではなく、もう刑事そのものの行動だが、これも致し方ないことか)決定的な証拠がつかめず、裁判そのものを大きく動かす事までは至らない。

裁判が進むについてスヒョンの面変わりが激しくなっていく。
表情が変わるというよりも、顔つきそのものが変わっていくのだ。当初のオドオドとした様子は影を潜め、「何を言っても信じて貰えない」という絶望感が面変わりをどんどん加速させていっているようだ。もう、顔つきも刑務所内での態度も、あの大学生だった頃の面影はどこにもない・・・

そして、陪審員の評定は無罪でも結局無期懲役を言い渡されるスヒョン。出来レースは覆る事はないのだ。

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結局、判決後も一人捜査を続けるジュンハンが真犯人の証拠を見つけ、それを引退した刑事に差し出した事でスヒョンの無罪が確定するのだが、強気の検事は「裁判中にも入手した情報で慎重に調査を進めていた」と、自分たち発信でスヒョンの無罪を確定したかのようにさらっと報告。結局出来レースで傷つくのは元被告のみ・・・・スヒョンの諦めきったような表情が全部を物語っている。無罪が確定してももう以前の自分は戻ってこないのだ。

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ドラマでも大事なポイントになっていた医療機関で処方箋を出してもらう事で手に入れる事が出来た薬。スヒョンが苦しむ事になる遠因にもなった医療機関での違法処方箋・・・・このドラマだけでなく色々なドラマでも皮膚科に通うタレントたちが施術の際の痛みを和らげるために投与される薬(プロポフォール)がいわゆる麻薬だったという設定がよく出てくる。皮膚管理に非常に気を遣う韓国では皮膚科通いは特別な事ではないらしく、その際に投与されるという設定が作りやすいのだろう。ただ、あまりにも頻繁だと処方箋を出すのも怪しまれるということで、処方箋作成の際に金銭授受があったりという設定もドラマでよく見かけるもの・・・

 


ある日 真実のベール 第5,6話

2023-03-03 21:54:56 | ある日 真実のベール 韓国ドラマ

どうしても自白が出来ず、大手ローファームの組んだ計画は水泡に帰す・・・
そんなスヒョンに待っているのは刑務所内の手荒い洗礼だ。
しかし、そんなスヒョンを庇うのはやはりド・ジテだ。
「俺は借りを返す男だ」という言葉にどんな意味があるのか。金があればなんでも解決できるというのを体現している彼だ。裏が無いわけがない。「怪我をして外の病院に行ってくれるだけでいい」と言われても、残念な事にスヒョンは毎日を生き抜くのが精一杯でその意味を考える暇もない。

大手ローファームの代表は、スヒョンの自白から手を引く事にするも、ただでは済まさないと、経験の場としてスヒョンの裁判を裁判未経験の新人に引継ぎ、新人弁護士はスヒョンの弁護をジュンハンと共同で請け負う事にするのだ。
二人は、法に訴えるのではなく、情に訴える陪審員裁判を選択し、ジュンハンの元妻にも手伝って貰い、もう一度現場を確認し新たな戦略を練り始めるのだ。
分からなかったら現場に戻るというように、現場に答えがあるのは確かなようで、現場前に飾られている写真の中の殺された女性の友人に興味を持つジュンハン。

スヒョンの誠実さをアピールする手法で裁判を進めようとするジュンハン達と、真面目そうな青年の持つ激情が今回の事件を起こしたという視点で裁判を進める検事サイド。

検察側は、刑事の勘を信じ、検事の威信をかけてスヒョンの有罪を確定させようとする。
アルコール摂取、薬の摂取が重なれば記憶がないのは仕方のない事だが、「記憶がないのに無実を連発するのはおかしい」という検察はなんと現場での裁判継続を申請。その日の午後に場所を現場に移して裁判を継続するのだ。刑事が現場を仕切り、若手の刑事がスヒョンの替わりに当日の様子を再現するというかなり悪意を持った展開。

裁判は、ジュンハンの替わりに弁護を請け負った新人弁護士の若々しい弁護でスヒョンの若さと若さゆえの失敗もあるという点から、失敗があっても犯人とは決めつけられないという情に訴える方法で流れを引き寄せるも、検事の執念はすごい。「誠実な方だと思う」というスヒョンが、現場を立ち去ってしまったこと、女性のために救急車を呼ばなかった事、自分の保身のために行動したことを逐一上げ、「そんな人は誠実でない」だから「犯人である」というロジックを滔々と語るのだ。

「誠実なので犯人ではない」と弁護するなら、こっちもそれに対抗だという勢いの「誠実でないイコール犯人だ」という検察側の言い分もかなり無理があるように思うが、とにかく検察側はロジックの立て方がプロだし、その上「彼を犯人にする」という熱意が凄い。

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「裁判で彼を犯人と認定する」事に検察が力を注ぐ中、当日の防犯ビデをを見て殺された女性を付け回す男性の存在に気づいたジュンハン。殺害後の友人の動きがおかしい事にも気づいた彼は、麻薬と男性の関係にも気づくのだが・・・・検察が刑事の勘に頼り過ぎた替わりに、弁護士が捜査をしているではないか・・・

 


ある日 真実のベール 第3,4話

2023-02-28 21:17:37 | ある日 真実のベール 韓国ドラマ

刑務所に収監され、「罰を受けるのは裁判だけではない。俺たちのルールでお前を裁く」といいながら殴る蹴るの刑務所内での洗礼を受ける事になるスヒョン。いわゆる「先制攻撃をすることで反骨精神が生まれるのを防ぎ、御しやすくするため」という事らしい。刑務所の中も社会の一つということで、刑務所内のパワーゲームの為にこのような事がかなり過激に行われているのだ。

そんな中、受刑者だけでなく刑務所職員さえも意のままに操るト・ジテになぜか一目置かれるようになるスヒョン。もちろん全てを取り仕切っているト・ジテに表立って「なぜ?」と異を唱える者はいない。更にスヒョンもなぜ彼が自分の事を気に掛けるのかも分からない。しかし、仮にト・ジテがスヒョンの事を気にかけていると言っても、快適な収監生活等あるわけがない。

自白もなく、動機もなく、ただあるのは状況証拠のみというなかでも、「彼が絶対に犯人だ」という刑事と、その刑事の勘に便乗した検事の二人はなんとしても彼を犯人にすることを決心しており、スヒョンの弁護を務めるつもりだったジュンハンは、大手ローファームのやり手弁護士に仕事を横取りされるのだ。

とにかく、拘束を解かれたいスヒョンは、刑事と検事の筋書き通りに@うそ発見器にかけられることを承諾。ぜんそくの薬を取り上げられ、切迫した精神状況の中で混乱。その流れで拘束を解かれる判断の場でも不安定な精神状況を見せて、更に収監が続く事になる。

被害者女性のインスタグラムの写真から、彼女が主治医から常に薬を入手していた麻薬常習犯である事を突き止め、それを自分の仕事を取り上げた大手ローファームとの取引材料にするジュンハン。

しかし、その資料を入手しても「証拠もあり、殺害方法の残忍さから世論の声も厳しい。無罪を主張し続ければ、無期懲役もある。自白をして短い刑期で服役した方が未来がある」と弁護士から持ち掛けられて混乱するスヒョン・・・

裁判前に検察と弁護団がお互いに打ち合わせして出来レースを行う事は違法なのだが、検察側も証拠は数多くあれど決定的なものに欠け、弁護団も、本人は犯行を否定するも多数の状況証拠を覆す決定的な隠し玉など見つからない場合に、談合の上、出来レース裁判が行われるらしい。法の上の平等はなく、現実的な落としどころを探す事がお互いに一番利益ありと思われているのだ。

ジュンハンの「短い刑期で出所する事になっても、前科者という過去は消せない」という言葉に混乱するスヒョン。とにかく、拘束を解かれたいスヒョンの心は千々に乱れるのだ。

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とにかく暗いドラマだ。緊張感が緩む場面として、足の痒みに悩むジュンハンという出来事が用意はされているのだが、それさえも何か別の暗示があるのかとも思えるし、内容的にほっとするような場面でもなく、どこまでツライ緊張感が続く。


ある日 真実のベール 第1,2話

2023-02-21 20:36:19 | ある日 真実のベール 韓国ドラマ

平凡だったはずの大学生が突然殺人事件の容疑者になる。その様子が妙にリアルなドラマは、BBCのドラマ@クリミナル・ジャスティスの舞台を韓国に置き換えたもの。

リポート作成に目途がつき、友人から誘われていたイベントに父親の商売道具である個人タクシーを拝借して参加する事にしたスヒョン。

車でいくらもかからない場所だったはずなのに、営業中の車と思い若い女性が乗り込んで来た事から歯車が一気に別の方向に動き出すのだ。突然の出来事で思いもしなかった夜を過ごした彼に訪れたのは、遺体で見つかった女性と容疑者になった自分。車に乗せ、お酒を飲んだだけなのだから、なんの覚悟もあるわけがない。更に車を勝手に持ち出した罪悪感から、ドライブレコーダーのスイッチは切っていた事から証拠はないも残ってない。

警察で彼を見て弁護を引き受ける事を決めた弁護士のジュンハンはいわゆる町の弁護士だ。居候弁護士ではないようだが、それでも離婚した妻が育てる娘への養育費の送金も滞り、いわゆるステレオタイプの弁護士には見えない。それ故、スヒョンが「とりあえず何もしゃべるな。今警察はストーリーを作成している最中だ」という弁護士ジュンハンの言葉の意味をなかなか理解出来ないのも良くわかる。それでも、別の意味で切れ者らしい雰囲気は醸し出しているのだが・・・

そもそも、何もやっていないと思っているから、ただただ困惑するだけで、当事者意識も生まれていないのだ。定年間際の刑事は、スヒョンが不用意に口にした「弁護士のいない所で話す事はいいんですか?」という一言で送検を決める。

動機もはっきりせず、「現場から見たら彼が犯人」という一点だけで収監されることになるスヒョン。そうなってもまだ本人に当事者意識が芽生えているとは思えない。しかし、この先、ただただやっていないから・・・というだけでは乗り切れない事は、観ている私にもよくわかる。この先、ただの大学生だった彼がどんな風になっていくのか・・・

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1988年生まれ故、実年齢とは10歳以上も差がありながらも、非常にリアルに大学生役を演じているキム・スヒョン。