ザウルスの法則

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しかし、受け容れられない者には不快である。
ザウルスの法則

コロナ騒動:ユヴァル・ノア・ハラリのTIME寄稿論文: 習近平の高笑い?

2020-04-05 12:21:13 | コロナ騒動

コロナ騒動:ユヴァル・ノア・ハラリの TIME 寄稿論文: 習近平の高笑い?

 

 

実は、ユヴァル・ノア・ハラリの著作はすべて英語で読んでいて、日本語で読むのは今回の論文が初めてである。“SAPIENS”  は4回読んでいる。最後の1回は英語でノートを取りながら読み、4冊になった。“Homo Deus”  は2回読み、ノートは4冊。“21 Lessons for the 21st Century” は2回読んだがノートは無し。また、著作だけでなく、講演も動画で数多く聞いている。ユヴァル・ノア・ハラリのファンということになるかもしれない。しかし、最初の “SAPIENS” 以来、彼の主張のすべてに同意、賛同しているわけではない。友人でも、当人のさまざまな主張の一部に同意できない点が多少あっても付き合うのがわたしのポリシーである。ちなみに、ユヴァル・ノア・ハラリは、9.11事件も、ボストンマラソン事件も米国政府の公式発表を受け入れているし、人為的地球温暖化説も事実だと思っている “優等生” である。

 

今回のこの TIME 誌に寄稿した彼の 「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を(原題:In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership)」 の場合、疑問や不満を覚える箇所の方が多いので非常に失望した。以下にそれを個々に挙げていく。

引用元は、以下のアイコンをクリックすれば全文が読める。できることならば、先入観なく最初に全文を読んで頂いてから、ザウルスの書評を読んで頂けたらと思う。

 

全文といっても、3,4ページのものである。一読の価値はある。

 

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ここは冒頭の部分である(緑のハイライトはすべて引用者による)。さて、短期、長期の境目がどこにあるかもはっきりしないが、今現在(2020. 3月~4月)において多くの国がとっている孤立主義政策が5年も10年もそのまま続くとは誰も思っていないだろうし、そうなる確率は限りなく小さいだろう。それが 「真の感染症対策にはならない」 と言うのは、あまりにも当たり前すぎると言っていい。

そして、「協力」 こそ 「本当の対抗手段」 というのも、誰も否定しない、実に結構な提案だろう。“協力” だの、 “援助” だのは、実に “美しい言葉” で、“ポリティカリ・コレクト” なので、非常に “通りがいい”。

たしかに、ユヴァル・ハラリのベストセラーの 「サピエンス全史」 をはじめ、「ホモ・デウス」 も、「21Lessons」 も、今回のようなグローバルな感染症が人類を襲う可能性については、何一つ言及も警告もなかった。

ハラリの予想するような災厄は、もっともっとずっと先の、ある意味でまったく別種のものだった。「A Brief History of Tomorrow」 というサブタイトルのある、人類の未来を論じた 「ホモ・デウス」 では、それは人類の大量失業であり、人類の階層化であり、AIやロボットの支配であり、地球温暖化である。しかし、同書にも、“21 Lessons” にも、 virus 、 pandemic、 epidemic という語は 巻末の索引には1つとして出てこない。

今回調べて初めて知ったのだが、パンデミックの可能性について5年前に警告していたのが、何とビル・ゲイツであった。彼は、2015年のTEDの講演 において、今回のようなグローバルな感染症の危険に対して人類が備えておく必要を訴えていた。

ビル・ゲイツについては、やれワクチンで大儲けしようとしているとか、やれ人口削減を目論んでいるだのといったウワサもある。しかし、この TED  の講演で主張している、パンデミックへの備えの必要性 は慧眼であったと正当に評価すべきだろうと思う。

しかし、ユヴァル・ハラリはこの論文では、今回のパンデミックはまるで誰も予見していなかったかのような口ぶりだ。たしかに彼自身はまったく予想しておらず、むしろ彼自身の盲点だったかもしれない。

しかし、こうして未曾有のパンデミックになってみれば、彼ほどの研究者なら、ビル・ゲイツの警告動画があったことに気づくはずだが、何の言及もないのはちょっとアンフェアな気がする。

2020. 4. 8. 追記:しかし、このビル・ゲイツという男の考えていることは常人には計り知れない。コロナウィルス:パンデミックはわずか1か月前にNYでシミュレートされていた!

 

もともとユヴァル・ハラリは科学の進歩については、わりと楽観的というか、夢を抱いているかのようである。ここでも “科学の勝利” “技術的解決” に対する信念は揺らいでいないようだ。

 

実際、彼は 別の講演動画 で、体温をはじめとした生体情報を無線で送るチップを体内に埋め込んで、政府が国民の健康状態を常時監視するシステムを提案している。

こうすれば、パンデミックは防げるという主張である。なるほど、中国なら簡単に実現できそうだ。

 

「第一」 では、冒頭でも言っていた自明なことを繰り返している。そして、以下の 「第二」 がメインの主張で、より具体的になってくる。

「感染症の大流行に見舞われた国」 には、「自発的に救いの手を差し伸べなくてはいけない。」 とハラリは主張する。たしかに彼がこの論文を寄稿した時点(2020.  3.15.)では、まだヨーロッパやアメリカでは爆発的な感染拡大は起きていなかったかもしれない。しかし、その3日前の 2020.  3.12. の時点では、イタリアでのコロナウィルスによる死者はすでに千人を超えている。

「感染症の大流行に見舞われた国」 の周辺の、同様な危険にさらされている国々に対して 「感染症の大流行に見舞われた国」 には 「自発的に手を差し伸べなくてはいけない」 と言うのは、いささかきれいごと過ぎるのではなかろうか?

危機的な状況にあって、隣国の国民を助けない政治家は間違っているのだろうか?たしかに援助といってもどの程度かの問題であろう。しかし、物事には自ずから優先順位というものがある。いずれにせよ、どこの政府も自国民を守ることを最優先するのが理の当然だろう。医療の世界でも、“トリアージュ” という概念がある。

パンデミックという “有事” の状況にあって、「自発的に “隣人に” 手を差し伸べなくてはいけない」 という、まるでカトリックの司祭のようなハラリの説教に、どれだけの説得力があるのかは疑問である。実際、コロナ患者の臨終に 「手を差し伸べた」 イタリアのカトリックの聖職者たちは、ばったばったと帰天している。

 

「だが、それは国どうしの境界ではない」 と言ってしまうと、感染症との戦いにおいて、“国境封鎖” には意味がないと言っているように聞こえないだろうか?はたして “国境封鎖” や “外国人入国禁止” は本当に無意味なことであろうか?

たしかに、「人間の世界とウィルスの領域との境界を守る必要はある」 だろう。しかし、だからといって、“国境封鎖” をすることが間違いになるだろうか?二者択一ではないように思えるが、あなたはどう思うだろうか?

「この単純な事実は誰にとっても明白であってしかるべき」 と、いとも簡単に言っている。ちょっと、待ってくれ、これは要するに “平時の論理” ではないだろうか?平和な時にあってこそ、いくらでも言えることではないか?

未曾有の大災害において、しかも今後どう展開するかもわからない状況で、優先順位をつけなければならない切羽詰まった “有事の論理” ではないだろう。

「不幸なことに、世界でもとりわけ重要な地位を占めている人(各国首脳や科学者たち?)のうちにさえ、それに思いが至らない者がいる。」 とユヴァル・ハラリは平気で断罪している。しかし、その判断基準は、「助けるか、助けないか」 という小学生レベルの単純な “平時・平和の論理” ではなかろうか?

“有事・戦時の論理” つまり、“ウィルスとの戦争の論理” で判断せざるを得ない人間は、小学生には到底理解不能な、もっと複雑な要因が絡まった状況に直面しているのではなかろうか?

 

ここにおいて、「各国は互いを信頼する必要がある。」 と、これまた 「協力」 と並ぶ 「信頼」 という “美しい言葉(美辞麗句?)” を4回も畳みかけるように使っている。

● 人間同士の信頼の欠如のせい

● 人々は科学の専門家を信頼し、

● 国民は公的機関を信頼し、

● 各国は互いを信頼する必要がある

 

ユヴァル・ハラリがこんなプロパガンダの濫発をしているのは、彼の長年の愛読者としては、ちょっと悲しい思いである。

プロパガンダ? そうである。大衆の意識操作のために有効な用語を巧妙に政治的に使ったメッセージである。「政治的」?そうである。これにはついては以下に詳論する。

 

さて、ここにくると、お得意のアメリカ批判がどうしても出てくる。アメリカが 「グローバルリーダー」 の役を降りてしまったのが、あたかも無責任だと言わんばかりである。しかし、今回あらためて思うと、「アメリカがWHOへの支援を削減した」 のは、むしろ正解だったのではないか?

チャイナマネー にまみれた、あの “不潔感あふれるテドロス” が陣頭指揮をしているような “WHOの権威” をいつまでも有難がっている日本より、アメリカはずっと賢明かもしれないではないか?

それは、あの、そもそも相当いかがわしい “地球温暖化問題” での京都議定書を蹴ったアメリカについても言えるかもしれない。日本はいつも優等生であろうとして、“形骸化したお題目や権威” にいつまでもしがみついている傾向がありはしないだろうか?

ユヴァル・ハラリは、“自由と民主主義の恩恵” の元に育ってきていながらも、その現代の本家のアメリカに批判的態度をとることで人気を博している面がある。

さて、ここは非常に重要な箇所である。「アメリカが残した空白」 と言っている。実はその 「空白」 を着々と埋めようとしている国こそ、 “中国” であるというのが実態ではなかろうか。ユヴァル・ハラリがこのことに気づいていないわけがない、と断言できる。

 

今回のコロナウィルスのパンデミック以前から “中国” という国じたいが “国際社会の無法者” だったことを、われわれは忘れてはいけない。特に欧米日の、自由主義の先進諸国にとっては “非常に害悪をなす大国” として問題になっていたことは、今回のコロナ騒動でうやむやにしてはならないであろう。

知財窃盗に限らず、異民族弾圧・虐待、組織的臓器狩り、ステルス的領土拡張、外国人拉致・人質外交、大掛かりなスパイ活動、ファーウェイ問題等々、枚挙にいとまがない。以下の別記事をぜひ参考にして頂きたい。コロナウィルス:書評 「超限戦」 中国共産党の戦術の恐るべき本質

 

ユヴァル・ハラリは歴史学者であり、今日の国際政治問題について論評しても、“文化相対主義的な立場” にとどまろうとして、今回の論文でも現代の国や国家が、まるでいずれも同等の “まともな国々” であるかのように語る。

ところが、そんな薄っぺらな建前とは違って、現実は大違いなのである。

はっきり言って、“中国” という国じたいが、“地球の病巣” なのだ。悪質なウィルスのかたまりなのだ。まずは、中国人の移住、移民が 「一帯一路」 によって、加速していたという背景がある。これが “人口学的なレベル” での感染経路の筋道をつけていた。もちろんチャイナマネーで弾みがついた中国人観光客による世界中の観光地の席巻もある。

その中国という “諸悪の根源のかたまり” が、目に見えない “ナノレベルのサイズ” で拡散したものこそが、“コロナウィルス” なんだ、という見方をすべきだろう。

ここは、最後のしめくくり部分で、非常に重要なところである。ユヴァル・ハラリは、国際政治学的に可能な限りニュートラルで偏りのない、“反論の余地のない無難な結論” に何とか着地しようとしている。しかし、そうしようとすればするほど、“習近平の高笑い” が聞こえてくるのだ。

“中国共産党の割れんばかりの拍手” が聞こえてくるのだ。

まず、ユヴァル・ハラリは、今回のコロナウィルスパンデミックを、単純に人類が今まで経験してきたさまざまなパンデミックの最新のものであるかのように扱っている。しかし、これには検証の余地がまだまだありはしないか?

まず、中国がコロナウィルスの発生を “隠蔽” していたことが諸外国の油断を招く結果になり、パンデミック化を許してしまった可能性があるだろう。

次に、このコロナウィルスじたいが、果たして中国共産党が世界に信じ込ませようとしているような、天然自然に発生したものなのかどうかは疑わしい。“人工的に作られたウィルス” である可能性は現段階では排除できないのだ。

しかし、こうした可能性について、ユヴァル・ハラリは一切言及しない。それは、とりもなおさず、中国の公式発表をそのまま受け入れているということである。これが “中立な立場” と言えるだろうか?

「もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるならば、それはこのウィルスにとって最大の勝利となるであろう。」

このように、ユヴァル・ハラリは TIME 誌上で世界に向けてこう脅迫しているのだ。習近平は思わぬ援護射撃に感謝の意を込めて拍手を送ったであろう。

つまり、“中国による隠蔽” という疑いや、 “中国による人工的ウィルス(生物兵器?)” の疑い、は 「不和と不信」 であり、そういうことは水に流さないと、人類はこのウィルスに勝利できない、というのが、ユヴァル・ハラリのメッセージの核心なのだ。

ユヴァル・ハラリの TIME 誌寄稿論文は、歴史学者の論文という体をなして一見中立的に見えて、実は相当中国寄りの、習近平・テドロス路線” への応援演説 なのである。

習近平は心強く思ったに違いない。

 

ユヴァル・ハラリのメッセージは、ウィルスとの戦いにおいて、「不和・不信」 は、コロナウィルスとの戦いにおいて “マイナス” であるというものである。非常にわかりやすく、小学生でも納得するであろう。

つまり、“コロナウィルスのグローバルな拡散の責任” を問うことは、好ましくないという主張である。そんなことは忘れて、「より緊密な国際協力」 をすることこそ、コロナウィルスに対する勝利のカギだと言っているのだ。

まるで “中国共産党のスポークスマン” ではないか?

ユヴァル・ハラリは、自分は単に公平で中立な立場でものを言っただけだと思っているのだが、国際政治の世界では、そういったアカデミズムの立場の人間のまったく同じ発言が、政治的に大きな意味を持ってくるのは常識であろう。

不正を前にして、あくまでも中立に判断しようとする人間には、不正それじたいがもはや存在しない。

 

では、ユヴァル・ハラリはどうすればよかったのか?

選択肢は2つあったであろう。

1) 自らの発言の国際政治的な影響を考慮に入れたうえで、“コロナウィルスの起源の不透明性” と、“中国の当初の隠蔽工作の事実” もきちんと織り込んだ論文にする。

2) 1)の仕事が自分には困難であると考えたら、寄稿を潔く辞退する。

 

欧米では、数年来、「中国共産党は、ナチスドイツの再来だ」 という見方が強まってきている。その理由は以下の通りである。

1) 覇権主義(知財窃盗等による経済侵略、サラ金ローン漬けの一帯一路展開)

2) 領土拡張主義(チベット、ベトナム、フィリッピン、日本等)

3) 宗教弾圧(イスラム教徒、キリスト教徒等)

4) 異民族 [劣等民族?] 迫害(チベット、新疆ウィグル等)

5) 異民族、宗教団体を使った生体実験、臓器移植(新疆ウィグル、法輪功等)

6) 反体制派言論人の弾圧(脅迫、拉致、逮捕、抹殺)

7) 弱肉強食主義(強い国が弱い国を支配するのは当然)

 

たしかに、行動面を見ると、ナチスばりの悪行がこの21世紀で再現されている印象は否めない。ヒトラー台頭後のドイツに対して、批判的な国や人々もあれば、至って寛容な国や人々もあった。ヒトラーの賛美者はドイツ国外にもイギリスをはじめ数多くいたし、ほとんどの人間は目くじら立てるほどのことはないと思っていたのだ。

1940年代初頭、国家としてはみな “まとも” であり、対等であるべきだという考えが欧州にもあったのだ。しかし、戦後フタを開けてみれば、ナチスドイツはとんでもない “邪悪な帝国” だったのだ。多くのドイツ人自身が戦後それを認め、恥じ、悔いた。そのことをいちばんわかっているのはユヴァル・ハラリのような “ユダヤ人” だったはずだ。

しかし、時代が変わって、21世紀の今、実質的にはほとんど “ナチスドイツの再来” である “非道な中国” を放任し、塩を送るかのようなメッセージを TIME 誌に寄稿しているのが、イスラエルのユダヤ人歴史学者なのである。これが “歴史のアイロニー” というものか?歴史は繰り返す。ただし、まったく同じ顔をしていないので気づかないのだ。

しかし、TIME 誌に出された宿題をきちんと仕上げた秀才ユヴァル・ハラリは、「自分はアジア人も差別せず、どの国も差別しない」 という非差別的思想(ポリティカルコレクトネス)を堅持していると自負しているに違いない。

現代の “21世紀のナチスの総統” に相当する “中国共産党の習近平” は、ユヴァル・ハラリのこの論文を読んで高笑いをしていることだろう。

 

 

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2 コメント

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Unknown (愛子さま問題重要!)
2020-04-08 18:37:57
中国に関して、ザウルスさまに激しく同意します!中韓とは即刻断交すべきレベル、諸悪の根源以外の何ものでもありません。抹殺されるべき国々です。神というものがあるならば、天罰を下して欲しい!
先日ある動画で、買い占めのみならずウィルスをわざと撒き散らすことも、在外人民に遍く中共政府から指示が出ている。政府要人にも隠れCK人が多数おり、どうにもならない状態だと知らされ、コロナもさることながらそれ以上の衝撃を受けました。
このユダヤ人学者も中国からお金をもらっているのか?本当に習近平の高笑いが聞こえてきます。
中国という国 (ザウルス)
2020-04-08 19:33:34
中国という国、中国共産党という組織、集団は実に邪悪な存在です。弁護の余地はありません。
しかし、個々の中国人の中には非常に立派な人がいることも事実です。以下に紹介する小説の作者もその一人です。

書評:中国人作家の 「セレモニー」:オーウェル的世界での “感染症パニック” を描く
https://blog.goo.ne.jp/zaurus13/e/d9e451d867eae95b666f133ba5420982

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