ザウルスの法則

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しかし、受け容れられない者には不快である。
ザウルスの法則

A:ニース沖の超絶ドットストライプ: 海底考古学37-A

2021-07-22 01:22:28 | 海底考古学、火星考古学

A:ニース沖の超絶ドットストライプ: 海底考古学37-A

 

今回の舞台はフランスのニースの沖である。以下の地図では前回の 「イタリアのかかとの矩形」 も見えている。黄色の経線は “グリニッジ子午線” である。経線、緯線ともに球面湾曲している点に注意。

 

 

ここまで拡大しても、粗削りな石器のような輪郭の中に、せいぜい斜めの線が密にたくさんあるようにしか見えない。赤丸はフランスのリゾートとして名高い “ニース” である。

 

 

平行線の角度を水平にして、さらに拡大すると以下のようになる。平行な薄い色のストライプはすべて “ドットライン” である。今回 「超絶ドットストライプ」 と呼ぶ “ドットストライプ” とは “ドットラインのストライプ” のことである。

“ドットライン” とは、“複数のドットがほぼ直線上に並んだもの” のことで、「海底考古学」 ではしばしば薄い色の補助線を施してある。“点線” と言えないことはないのだが、いわゆる 「点線」 では、点が等間隔に連続しているイメージがあるので誤解が生じやすい。“ドットライン” では、並んだ点は原則として等間隔ではない。 前回の 「海底考古学36」 でも以下のような例が研究対象になっていた。

「海底考古学36」 の上の2つの例のうち、左では 薄いブルーの線は “真直線のドットライン” である。一方、ピンクがかった線は、折れている箇所のある “屈折線のドットライン” である。“屈折線” は “真直線” になり切れなかった格下の “ドットライン” と理解頂いていいだろう。 

上の右の例では、薄いブルーと薄いオレンジ色のドットラインが見えるが、こちらではどちらも妥協のない “真直線” である。

前回の 「海底考古学36」 のいずれの例でも、平行もしくは、準平行な “ドットラインストライプ” が見られる。

しかし、今回の 「海底考古学37」 では、以下のように10も20ものドットが “真直線” の上に並んでいるのである。

 

これらの直線状に並んだ ドット を、“超絶ドットストライプ” と呼ぶ理由:

1) 1本の “真直線のドットライン” 上にドットが10個も20個もある。

2) そうした “ドットライン” が、限られた海域に何十本もある。

3) それらの “ドットライン” は、すべて “平行” である。

4) それらの “平行なドットライン” は、すべて “ほぼ等間隔” である。

5) “ドットライン” の数はおよそ36本ある。 平行なストライプの間隔は約 3 km ある。 “ドットライン” の長さはおよそ 100 km ほどある。総じて全体としては、とてつもなく巨大な痕跡である。

 

東京スカイツリーから富士山の頂上までの直線距離が 106 km である。ちなみに “ドットライン” の 106 km は “ドットラインストライプ” のうちで最も長いものというわけではなく、平均的な長さのものを任意に選んだだけである。

 

以下の画像では、平均的なドットの直径を示している。無数にあるドットにはこれより大きいものも小さいものもある。

地図の上では “ドット:点” であるが、直径が約 1.3 km ということは、実地ではおそらく “クレーター状の巨大な穴” であろう。

参考までに地球上のクレーターとしては特に有名なアメリカ合衆国アリゾナ州にあるバリンジャークレーターの画像を挙げておく。こちらは直径が約 1.2 km であるが、大きさとしてはこのくらいという目安にはなるだろう。

直径 1.2 km   となると、縁(ふち)に立って見ても、向かい側に人が立っているかどうかは肉眼ではわからないくらいの距離である。

 

以下の画像は、上の画像からブルーの補助線を消した “素のすがたのドットライン” である。

 ここに見る “ポツポツ” の一つ一つが、どれも “直径 1.3  km ほどもある巨大な陥没” である。

 

以下の画像は上の画像と同じだが、ドットラインに1本おきに補助線を施してある。こうすれば、ドットが本当に “一直線に” 並んでいることがよくわかって頂けるであろう。

1本おきなので、ストライプの補助線の間隔はおよそ 6 km (3 km x 2)である。補助線と補助線の中間に ”補助線なしのドットライン” が走っているのがわかるであろう。 

ドットライン上のドットの間隔は、ほぼ等間隔の部分があるかと思うと、広く空いていたり、急に間隔が狭くなったりと、かなりイレギュラーである。一本一本のドットライン上ではさほど等間隔ではなく、かなりランダムに見える。しかし、このドットストライプ全体として見た場合、それらがまったくランダムなものなのかどうかは疑問である。

 

ドットラインの補助線のうち、ひと回り色の薄いのがあるのが、所どころにあるのに気づかれたであろうか? 

以下の画像のピンクの補助線が示すように、この “薄めの補助線” は10本おきに入れてある。いちばん上から数えると、ドットラインが全部で約36本あることがわかる。

画面のレイアウトの都合上、“ドットラインストライプ” は水平にしてあるが、そのいちばん上のドットラインからいちばん下のドットラインまでの距離は 108 km である。

 

 

108 km も 106 km も同じようなものではなかろうか。(笑)

 

 

 

 

上の画像でいうと左上からの俯瞰画像で見てみよう。右の画像ではドットラインに補助線が1本おきに入っている。

一つ一つのドットは、  このクレーターと同じくらいの大きさである。ただし、このクレーターほど深くはない。

 

 

“ドットラインストライプ” の1本1本に参照用の記号を付しておく。

A-1 ~  A-10  

B-1 ~  B-10  

C-1 ~  C-10  

D-1 ~  D-6  

合計36本である。

 

 

これから断面図を見ていくが、ドットラインの数が多く、しかも “非常に規格化されたような事象” であるので、すべての断面図を網羅して見る必要はないであろう。いくつかをピックアップして見ていこうと思う。どれもさほどの複雑さはないように見える。“機械的反復の作業の結果” のように見えないだろうか?

 

最初に見るのは、A-1 である。

ドットラインを構成するドットに番号を付してある。海底表面画像中の白い数字と断面図の黒いフレームに並ぶ白い数字はもちろんそのまま対応している。断面図の右下に 38 km とあるが、これはドットラインの補助線の長さを表わす。

断面図にはサイズ把握のための等間隔の垂直線があるが、ここではその間隔は 5 km である。例えば、ドット5,6,7, 8 のそれぞれの中心から中心までの距離はおおよそ 5 km 前後であることがわかる。

このドットラインの中でいちばん深そうな ドット2 の陥没を計測してある。深さは 49 m である。それでは、ドット2 の直径はどのくらいあるのか?ドット2 はちょうど垂直の等間隔線のインタバルに納まっている。このインタバルの長さが 5 km であるから、ドット2 の直径はその約3分の1 ほどとして、1.6 km ほどであろうか。

断面図で見ると、先ほど見た深さを示す黄色の矢印の長さは、ドット2 の直径(約1.6 km?)よりも長く見える。しかし、その深さは、数値的には 49 m である。上で見てきたアリゾナ州のバリンジャークレーターの深さ(200 m) の4分の1ほどである。

 

さて、「海底考古学」 では今までにも何度も説明しているが、これはグーグルアースの断面表示機能の欠陥というよりは、むしろ優れた特徴の一つのせいである。この断面表示機能では、平面上の水平の長さのスケールと断面における垂直の長さのスケールは同じではない。

水平面での 1 km の長さをそのまま縦にしても 1 km の高低差にはならないのだ。縦の長さ(高低差)が “誇張” されて表示されていると言ってもいいだろう。これは “不正確” というものではなく、断面表示をする上での優れた機能であり、これによって断面の起伏が視覚的・直感的に把握できるのである。

陥没の無いところに陥没があるように表示しているのではなく、陥没のあるところに陥没があることがよくわかるように表示しているだけである。

 

 

クレーターほどの深さではなくとも、 49 m というのはかなりの深さだ。“渋谷109タワー” の高さが 50 m なので、49 m の深さのイメージに多少は役立つだろう。

 

 

 

 

 

さて、今回の海底の巨大痕跡である“ドットラインストライプ” の概略をご紹介してきたが、ここらで 「海底考古学」 の定番の質問をさせていただこうか。(笑)

 

これらの “ドット” 、“ドットライン”、 “ドットストライプ” は “自然力だけで出来たもの” であろうか?

以下でさらに詳細は見ていくが、直径1キロ以上の、巨大なクレーターの穴のようなものが、10個も20個も一列に並んでいて、その列の長さが100キロメートル前後あるのだ。

しかも、そのドット列は約3キロの間隔で平行に36本も走っているという、かなり規則的なストライプなのである。

想像して頂きたい。もし、地上に同じようなものがあったら、どうだろうか? 自然力によって天然にできた “自然の造形” と見なされるであろうか? アマゾン川やロッキー山脈やグランドキャニオンと同列のものであろうか?

 

「海底考古学」の読者は決まって以下の質問をぶつけられる。(笑)

“これらの海底の巨大な痕跡” は自然に出来たものだと思いますか?

答えは 「イエス」 か「ノー」 であろう。

 

●「イエス」 と答えるひとには、「それならば、どういったメカニズムでできたと思いますか?どんな自然力によってできたと思いますか?」 という質問が虎視眈々と待ち構えている。(笑)

●「ノー」 と答える人には、「それでは、これらは人間が作ったものだと思いますか?」 という質問が手ぐすねを引いて待っている。(笑)

読者諸兄は、今はこのどちらの質問に答えなくてもよろしい。ただし、これらの質問を常に念頭に置きながら、引き続きこの記事を読み進めて頂きたい。

 

 

さて、ドットラインの補助線が中ほどで切れているのが多いことにも気づかれたかもしれない。

これについての説明は長くなる。当初はすべて切れ目のない1本の補助線にしていたのだが、事情があって、2本にしているケースが多い。その事情とは、次の章で展開する “ドットラインの断面図” に関わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

“A-10”

1 から 16 までの ドット番号 が乗っているのが “A-10” である。88 km の直線上に直径平均 1.3 km のクレーター状の陥没が一列に並んでいるということである。赤のスラッシュ(/)は、ここでは偶々(たまたま)ちょうど真半分の点で、44 km と 44 km とに分割している。(ちなみに、“A-10” の薄い水色の補助線の次の補助線は、ひと回り薄い補助線であることがわかるであろうか?この線は “B-1” である。)

しかし、断面図を見ると “ドット 1~5” が想定される箇所はのっぺりしていて、“陥没” は見て取れない。これはどういうことか?

前半ではたしかに起伏が大幅に消失している。しかし、後半 では、9つすべてのドット(8~16)が表示されている。前半では “ドット6” と “ドット7” がほぼ原型をとどめているが、“ドット1~5” の陥没はまったくと言っていいほど表示されていない。 

実は、これは Google Earth  の断面表示機能の精度の限界がその原因である。断面線が長くなればなるほど、表示が簡略化されるということである。以下に、“A-10” の前半と後半を別々に断面表示してみよう。

 

“A-10-a”

以下の海底表面図には、数列が乗っている短めの “ドットライン補助線” が見える。数列 1~7 のドットラインが “A-10” の前半で、“A-10-a” と呼ぶ。後半は “A-10-b” となる。 

こうして半分の長さにしてから断面表示をすると、“ドット1~4” の陥没は問題なく表示されていることがわかる。

前半の “A-10-a” では合計7個の “陥没ドット” があり、左から順に1から7まで番号を付してある。“ドット1” から “ドット5” まではほぼ等間隔のように見えるが、“5,6,7” とイレギュラーな間隔に見える。ちなみに、今回の “ドット” はすべて “陥没ドット” である。前回の 「海底考古学 36」 で見たような “隆起ドット” は皆無である。ドット2 の中心と ドット3 の中心との距離はほぼ 5km ということである。ドット6 の高低差は 74 m である。次に後半の “A-10-b” を見てみよう。

 

“A-10-b”

半分に切らずに見た “A-10” の断面図のスラッシュ(/)の右側とほとんど変わらないと言える。

断面線 “A-10-a” と、断面線 “A-10-b” は、どちらの長さも 44 km である。等間隔の垂直線のインタバルは同じ 5km であり、同じ幅である。“陥没ドット” は前半の 1 から 7 に続けて、後半では 8 から 16 までの9個ある。前半 7個、後半 9個 で合計 16個 となる。最後の “ドット16” の高低差は 69 m である。

 

“A-10” とその前半と後半を順に見てきたが、これらを1つにまとめてみると以下のようになる。

ごらんのように、元の起伏の大きさにもよるが、断面線が長いほど断面図の表示は簡略化される傾向がある。このために、今回は “ドットライン” の “ドット” がすべて表示されるように、1本の “ドットライン” を2本に分割している場合がある。

 

 

B:ニース沖の超絶ドットストライプ: 海底考古学37-B      に続く

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