更新です。
2020年も直ぐに半分にさしかかります。ようやく、2019年のハイライトと
なるはずでしたが、アメリカは荒れています。とても、ここをとばして
「昨年は・・・」と書き綴る気分にはなれず、ハイライトは「更に」先に
延ばします。
本ブログ、元々は日本の身内、友人への近況報告、自分のための記録を
目的として始めました、この先も同じスタイルを続けます。ひょっとして
アメリカ在住の方に読んでいただいているようでしたら、前回や今回の
内容は当たり前のことばかりかもしれず、ご了承ください。
現在全米に広がる抗議デモは、手錠をかけられて抵抗出来ない黒人男性が
ミネアポリスの警官に膝で首を押さえつけられ窒息死した事件から始まっ
たものですが、アメリカ全土の黒人の怒りが頂点に達するまでにはそれなり
の経緯がありました。白人警官により命を落とした黒人のニュースは決して
珍しくはなく、過去、何度となく大きな社会問題になっています。1992年
のロサンゼルス暴動は、少し前の更新で触れました。2012年には、黒人の
高校生を自警団員の白人男性が射殺するという事件が起きました。白人
男性は起訴されたものの、翌年、自己防衛が認められ判決は無罪。全米の
黒人の間での憤りは計り知れないものがありました。この後「#Black Lives
Matter」のスローガンが生まれ現在に至ります。
これまでも、黒人に非もなく白人警官の犠牲となった事件に対する抗議
デモはしばしば行われてきました。今回、ミネアポリスで抗議が暴動と
なり、その後直ぐに全米に広がったのは、過去の不平等な数々の事件に
加え、やはりコロナ禍によるところが大きいと言われています。人種別
統計を見ると、COVID-19で一番犠牲者が多かったのは、生活、医療環境が
悪く所得も低い黒人でした。更に政府の「Stay at Home」規制によって
でた失業者の数も白人を大きく上回りました。どうして自分達ばかり・・
といった不満がかなり鬱積されていたと思います。そこにまたまた世間の
注目を集める事件が続きました。
南部のジョージア州で黒人の男性ジョガーが白人の親子に窃盗の疑いを
持たれて車で後を追われ、もみ合いになったあげく、息子がショットガン
を発砲。計3発を受けて黒人男性が命を絶ったのが2月。検察局の取り
調べが始まったものの、白人親子の父親が元警官、検察局の捜査官であり、
事件の担当となった検察官と過去、仕事でつながりがあったことを理由に
検察官が二度も変わりました。その間、親子は何の罪も問われることなく
自由の身です。二人目の検察官は、交代に際し、黒人男性が先に仕掛け、
白人の息子からショットガンを奪い取ろうとした。発砲は身を守るために
正当なものであるといった内容の文書を残しています。
ところが、5月に入って一部始終を収めたビデオがネットで出回り、瞬く
間にアメリカ中に非難の嵐が沸き起こりました。もともとからあった地元
の黒人住民の抗議に世間の圧力が加わり、ようやく事件が地方検察局から
州の捜査局に引継がれ、白人親子の逮捕に至りました。ビデオが出てこな
ければ間違いなくそのままだったはずです。この時点で全米の黒人市民
だけではなく、人種差別に対する世間の怒りもかなりのところまできて
いました。
そして、ジョージア州の事件のビデオが出回る前の3月。ケンタッキー州
では、ノックもなく、身分も明かさず薬物の捜査でアパートに入ってきた
私服警官を強盗と思い、黒人男性が発砲。警官が応戦して発射した銃弾の
いくつかを住人であるガールフレンドの黒人女性が受けて死亡しました。
結局、薬物は見つからなかった上、ボディーカメラも付けていなかった
警官は罪に問われませんでした。(その後、暴動の影響もあり、FBIが捜査
に入ることになりました。また、つい先日、同じ市で別の事件があり、
黒人男性が警官の銃弾により命を落としました。現在詳細について捜査が
進んでいます。尚、発砲した警官はボディーカメラを着けていましたが
スイッチは入っておらず、警察署長が責任を問われて免職となりました。)
この頃、コロナは感染の拡散が始まり、カリフォルニア州、ニューヨーク
州をはじめ、間もなく各地で「Stay at Home」の規制の動きが出てきます。
次に5月下旬の祝日の「Memorial Day」。コロナ感染が爆発的に拡散した
後、複数の州で起こった規制解除を求める抗議デモがようやく落ち着きを
見せ始めた頃です。ニューヨーク市セントラルパーク内の「Ramble」で、
公園で掲示されている規則に従わずに飼い犬を放して散歩をさせていた
白人女性を、バードウォッチング愛好家の黒人男性が注意しました。飼い
主は応じる様子は全く無かったため黒人男性が携帯電話でビデオを撮影し
始めると、その女性はキレてその場で警察に電話。アフリカ系アメリカ人
により自分と自分の飼い犬が危険にさらされている。直ぐ警官をよこして
ほしいとヒステリックに訴えました。黒人男性は一部始終をビデオに収め
ており、その後、その男性の家族によりSNSで世間に公開されます。
後から黒人男性はハーバード大卒で過去にマーベルコミックスで編集にも
携わったインテリと分かり、メディアが好む恰好のニュースとなりました。
もう逃げ道はありません。白人女性は直ぐに時の人となり、勤め先は解雇、
世間からは「Racist」のレッテルを貼られ「Central Park Karen」の名前
までつけてもらいました。
この時点で、黒人市民だけではなく誰もが「またかよ」と呆れかえって
いたと思います。過去、この手のメディアを賑わせた白人女性は、それ
ぞれ世間からニックネームをもらい、「Permit Patty」「BBQ Becky」
「South Park Susan」と例に事欠きません。
さて同日、ミネアポリスです。あってはならない事件でした。黒人男性が
警官に膝で首を押さえつけられ、通行人が見守る中、息が出来ないと訴え
るも、その状態が9分近く続き、その後、意識を失い、病院で息を引き取り
ました。黒人男性の命を奪った警官逮捕に4日も要したのも良く無かったと
思います。手遅れでした。ダムの決壊です。抗議、デモから暴動、略奪に
発展するまでにそれほど時間はかかりませんでした。
現在、抗議デモは、人種に関係なく全米に広がり、略奪、夜間の外出禁止令
は治まったものの、一部の都市では警察との衝突が繰り替えされ、現場に
いた外国人メディアが警官から暴行を受けたり、警官の中では死者も出て
います。そしてヨーロッパはじめ、国外の主要都市でも抗議デモが行われる
までに至りました。荒れた5月28日から6月1日のニュースの映像を見ます
と、その中には複数のグループが存在したことが分かります。政府、警察に
抗議することだけが目的のグループ以外に、器物破損、落書き、放火と、
手当たり次第荒らしまくり、進んで警察隊と衝突していく連中、そして騒ぎ
に便乗して略奪を目的とする卑劣な輩。
小売業者の多くは、コロナ禍規制の間じっと耐えて、ようやく規制緩和で
店を開けようとしたところで暴動、略奪です。またコロナ禍の規制の間、
誰もがお世話になったはずのドラッグストアも略奪のターゲットとなりま
した。腹が立ってしかたがありません。
一方、デモを鎮圧する側の警官が抗議に耳を傾け、中にはデモに向かって
催涙銃、警棒を構えるのではなく、跪いて抗議に同調する姿勢を見せる
様子がここ数日でメディアで見られるようになりました。大きな変化だと
思います。
トランプ大統領はと言いますと、相変わらず責任をなすりつける相手探し
と、これはと決めた相手へのTwitterを介した叱責、非難が目立ち、時には
暴動を煽るような危険なメッセージさえ登場します。先日、大統領が
ホワイトハウスを出て、お供と護衛を大勢連れて正面の公園を隔てた教会
を訪れました。手には聖書。ポーズをとってカメラに向かいハイ、チーズ。
国民へのアピールです。この事態では考えられない行動ですが、もっと
信じられないことが起こっています。教会に向かう際、公園前で静かに
抗議するデモの集団に、警察隊や州兵がこともあろうに催涙弾をお見舞い
して強制的に追いやりました。無茶苦茶です。
全米に暴動が広がった直後、3月のケンタッキー州の事件と5月のミネ
アポリスの事件の被害者の家族がそれぞれ別々に、平和な抗議が必要で
あり、現在の暴動は、故人が望むものではないといったメッセージを
国民に訴えました。全てが治まるまでに、まだ時間はかかりそうですが、
今回アメリカが学んだものは大きいと思います。しかしながら、この先、
もう同じような事件が起こらないかといいますと、正直それはあり得ない
と思います。警官数名による黒人男性への過剰暴行が発端となった1992年
のロスアンゼルス暴動から28年。2020年の教訓も風化し、いずれどこかで
再び爆発。そのような気がします。
まだ夜間禁止令があちこちで出ていた3日前、昨年12月にニューヨーク市
で起こった殺人事件の被告3人のうち1人が罪状を認めました。被害者は
当時18歳の白人の女子大学生、加害者は、13歳、14歳、15歳の男子で、
一人がナイフで女子学生を数回刺して殺害、所持品を奪って立ち去り
ました。罪状を認めたのは最年少。未成年として裁かれます。他の2人は
成人扱いで裁かれることになり名前も公表されています。全米が荒れている
状況であり、ニュースの活字では、犯人の人種について何も触れられてい
ませんでしたが、映像、写真を見る限り、成人扱いとなる2人は黒人でした。
これからも犯罪発生率は人種間で異なり続け、偏見、人種差別は消えない
でしょう。警官の手により命を落とす善良な黒人市民もなくなりません。
1、2年もしないうちに、きっと次の「Karen」がメディアに登場します。
大統領の政策の影響も大きくはありますが、自治体と微妙な力関係が存在し、
組合の影響が強いといわれる警察内の文化は簡単には変えられないと聞き
ます。また、暴動が落ち着きますと、アメリカ国民の焦点は再びコロナ禍に
戻り、何もなかったかのように東洋系に対するバッシングが始まるかもしれ
ません。人種差別が根付く社会構造が簡単に変わるとは考え難いです。
今は、とても住みやすい国とは言えませんが、悲観的には考えたくはあり
ません。家族と共に社会の流れを見据えながら、北カリフォルニアの
お父さんを続けて行きます。
さすがに自分で撮った写真はありません。わずかですが。
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「Black Lives Matter」 (写真 © CNN)
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ミネアポリスから暴動が始まりました。 (写真 © AP)
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ホワイトハウス。催涙弾が飛びます。 (写真 © Reuters)
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ホワイトハウスを「テロ」から守る警官隊。 (写真 © WXXI News)
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今回の抗議デモの象徴的な跪くポーズ。命を落とした黒人男性、抗議デモ参加者への
警官からのメッセージ。 (写真 © USA Today)
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ワシントンDCでの平和に行われる抗議集会。 (写真 © AP)
以上でした。
次は、延び延びになっている2019年のハイライトを。
2020年も直ぐに半分にさしかかります。ようやく、2019年のハイライトと
なるはずでしたが、アメリカは荒れています。とても、ここをとばして
「昨年は・・・」と書き綴る気分にはなれず、ハイライトは「更に」先に
延ばします。
本ブログ、元々は日本の身内、友人への近況報告、自分のための記録を
目的として始めました、この先も同じスタイルを続けます。ひょっとして
アメリカ在住の方に読んでいただいているようでしたら、前回や今回の
内容は当たり前のことばかりかもしれず、ご了承ください。
現在全米に広がる抗議デモは、手錠をかけられて抵抗出来ない黒人男性が
ミネアポリスの警官に膝で首を押さえつけられ窒息死した事件から始まっ
たものですが、アメリカ全土の黒人の怒りが頂点に達するまでにはそれなり
の経緯がありました。白人警官により命を落とした黒人のニュースは決して
珍しくはなく、過去、何度となく大きな社会問題になっています。1992年
のロサンゼルス暴動は、少し前の更新で触れました。2012年には、黒人の
高校生を自警団員の白人男性が射殺するという事件が起きました。白人
男性は起訴されたものの、翌年、自己防衛が認められ判決は無罪。全米の
黒人の間での憤りは計り知れないものがありました。この後「#Black Lives
Matter」のスローガンが生まれ現在に至ります。
これまでも、黒人に非もなく白人警官の犠牲となった事件に対する抗議
デモはしばしば行われてきました。今回、ミネアポリスで抗議が暴動と
なり、その後直ぐに全米に広がったのは、過去の不平等な数々の事件に
加え、やはりコロナ禍によるところが大きいと言われています。人種別
統計を見ると、COVID-19で一番犠牲者が多かったのは、生活、医療環境が
悪く所得も低い黒人でした。更に政府の「Stay at Home」規制によって
でた失業者の数も白人を大きく上回りました。どうして自分達ばかり・・
といった不満がかなり鬱積されていたと思います。そこにまたまた世間の
注目を集める事件が続きました。
南部のジョージア州で黒人の男性ジョガーが白人の親子に窃盗の疑いを
持たれて車で後を追われ、もみ合いになったあげく、息子がショットガン
を発砲。計3発を受けて黒人男性が命を絶ったのが2月。検察局の取り
調べが始まったものの、白人親子の父親が元警官、検察局の捜査官であり、
事件の担当となった検察官と過去、仕事でつながりがあったことを理由に
検察官が二度も変わりました。その間、親子は何の罪も問われることなく
自由の身です。二人目の検察官は、交代に際し、黒人男性が先に仕掛け、
白人の息子からショットガンを奪い取ろうとした。発砲は身を守るために
正当なものであるといった内容の文書を残しています。
ところが、5月に入って一部始終を収めたビデオがネットで出回り、瞬く
間にアメリカ中に非難の嵐が沸き起こりました。もともとからあった地元
の黒人住民の抗議に世間の圧力が加わり、ようやく事件が地方検察局から
州の捜査局に引継がれ、白人親子の逮捕に至りました。ビデオが出てこな
ければ間違いなくそのままだったはずです。この時点で全米の黒人市民
だけではなく、人種差別に対する世間の怒りもかなりのところまできて
いました。
そして、ジョージア州の事件のビデオが出回る前の3月。ケンタッキー州
では、ノックもなく、身分も明かさず薬物の捜査でアパートに入ってきた
私服警官を強盗と思い、黒人男性が発砲。警官が応戦して発射した銃弾の
いくつかを住人であるガールフレンドの黒人女性が受けて死亡しました。
結局、薬物は見つからなかった上、ボディーカメラも付けていなかった
警官は罪に問われませんでした。(その後、暴動の影響もあり、FBIが捜査
に入ることになりました。また、つい先日、同じ市で別の事件があり、
黒人男性が警官の銃弾により命を落としました。現在詳細について捜査が
進んでいます。尚、発砲した警官はボディーカメラを着けていましたが
スイッチは入っておらず、警察署長が責任を問われて免職となりました。)
この頃、コロナは感染の拡散が始まり、カリフォルニア州、ニューヨーク
州をはじめ、間もなく各地で「Stay at Home」の規制の動きが出てきます。
次に5月下旬の祝日の「Memorial Day」。コロナ感染が爆発的に拡散した
後、複数の州で起こった規制解除を求める抗議デモがようやく落ち着きを
見せ始めた頃です。ニューヨーク市セントラルパーク内の「Ramble」で、
公園で掲示されている規則に従わずに飼い犬を放して散歩をさせていた
白人女性を、バードウォッチング愛好家の黒人男性が注意しました。飼い
主は応じる様子は全く無かったため黒人男性が携帯電話でビデオを撮影し
始めると、その女性はキレてその場で警察に電話。アフリカ系アメリカ人
により自分と自分の飼い犬が危険にさらされている。直ぐ警官をよこして
ほしいとヒステリックに訴えました。黒人男性は一部始終をビデオに収め
ており、その後、その男性の家族によりSNSで世間に公開されます。
後から黒人男性はハーバード大卒で過去にマーベルコミックスで編集にも
携わったインテリと分かり、メディアが好む恰好のニュースとなりました。
もう逃げ道はありません。白人女性は直ぐに時の人となり、勤め先は解雇、
世間からは「Racist」のレッテルを貼られ「Central Park Karen」の名前
までつけてもらいました。
この時点で、黒人市民だけではなく誰もが「またかよ」と呆れかえって
いたと思います。過去、この手のメディアを賑わせた白人女性は、それ
ぞれ世間からニックネームをもらい、「Permit Patty」「BBQ Becky」
「South Park Susan」と例に事欠きません。
さて同日、ミネアポリスです。あってはならない事件でした。黒人男性が
警官に膝で首を押さえつけられ、通行人が見守る中、息が出来ないと訴え
るも、その状態が9分近く続き、その後、意識を失い、病院で息を引き取り
ました。黒人男性の命を奪った警官逮捕に4日も要したのも良く無かったと
思います。手遅れでした。ダムの決壊です。抗議、デモから暴動、略奪に
発展するまでにそれほど時間はかかりませんでした。
現在、抗議デモは、人種に関係なく全米に広がり、略奪、夜間の外出禁止令
は治まったものの、一部の都市では警察との衝突が繰り替えされ、現場に
いた外国人メディアが警官から暴行を受けたり、警官の中では死者も出て
います。そしてヨーロッパはじめ、国外の主要都市でも抗議デモが行われる
までに至りました。荒れた5月28日から6月1日のニュースの映像を見ます
と、その中には複数のグループが存在したことが分かります。政府、警察に
抗議することだけが目的のグループ以外に、器物破損、落書き、放火と、
手当たり次第荒らしまくり、進んで警察隊と衝突していく連中、そして騒ぎ
に便乗して略奪を目的とする卑劣な輩。
小売業者の多くは、コロナ禍規制の間じっと耐えて、ようやく規制緩和で
店を開けようとしたところで暴動、略奪です。またコロナ禍の規制の間、
誰もがお世話になったはずのドラッグストアも略奪のターゲットとなりま
した。腹が立ってしかたがありません。
一方、デモを鎮圧する側の警官が抗議に耳を傾け、中にはデモに向かって
催涙銃、警棒を構えるのではなく、跪いて抗議に同調する姿勢を見せる
様子がここ数日でメディアで見られるようになりました。大きな変化だと
思います。
トランプ大統領はと言いますと、相変わらず責任をなすりつける相手探し
と、これはと決めた相手へのTwitterを介した叱責、非難が目立ち、時には
暴動を煽るような危険なメッセージさえ登場します。先日、大統領が
ホワイトハウスを出て、お供と護衛を大勢連れて正面の公園を隔てた教会
を訪れました。手には聖書。ポーズをとってカメラに向かいハイ、チーズ。
国民へのアピールです。この事態では考えられない行動ですが、もっと
信じられないことが起こっています。教会に向かう際、公園前で静かに
抗議するデモの集団に、警察隊や州兵がこともあろうに催涙弾をお見舞い
して強制的に追いやりました。無茶苦茶です。
全米に暴動が広がった直後、3月のケンタッキー州の事件と5月のミネ
アポリスの事件の被害者の家族がそれぞれ別々に、平和な抗議が必要で
あり、現在の暴動は、故人が望むものではないといったメッセージを
国民に訴えました。全てが治まるまでに、まだ時間はかかりそうですが、
今回アメリカが学んだものは大きいと思います。しかしながら、この先、
もう同じような事件が起こらないかといいますと、正直それはあり得ない
と思います。警官数名による黒人男性への過剰暴行が発端となった1992年
のロスアンゼルス暴動から28年。2020年の教訓も風化し、いずれどこかで
再び爆発。そのような気がします。
まだ夜間禁止令があちこちで出ていた3日前、昨年12月にニューヨーク市
で起こった殺人事件の被告3人のうち1人が罪状を認めました。被害者は
当時18歳の白人の女子大学生、加害者は、13歳、14歳、15歳の男子で、
一人がナイフで女子学生を数回刺して殺害、所持品を奪って立ち去り
ました。罪状を認めたのは最年少。未成年として裁かれます。他の2人は
成人扱いで裁かれることになり名前も公表されています。全米が荒れている
状況であり、ニュースの活字では、犯人の人種について何も触れられてい
ませんでしたが、映像、写真を見る限り、成人扱いとなる2人は黒人でした。
これからも犯罪発生率は人種間で異なり続け、偏見、人種差別は消えない
でしょう。警官の手により命を落とす善良な黒人市民もなくなりません。
1、2年もしないうちに、きっと次の「Karen」がメディアに登場します。
大統領の政策の影響も大きくはありますが、自治体と微妙な力関係が存在し、
組合の影響が強いといわれる警察内の文化は簡単には変えられないと聞き
ます。また、暴動が落ち着きますと、アメリカ国民の焦点は再びコロナ禍に
戻り、何もなかったかのように東洋系に対するバッシングが始まるかもしれ
ません。人種差別が根付く社会構造が簡単に変わるとは考え難いです。
今は、とても住みやすい国とは言えませんが、悲観的には考えたくはあり
ません。家族と共に社会の流れを見据えながら、北カリフォルニアの
お父さんを続けて行きます。
さすがに自分で撮った写真はありません。わずかですが。
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「Black Lives Matter」 (写真 © CNN)
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ミネアポリスから暴動が始まりました。 (写真 © AP)
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ホワイトハウス。催涙弾が飛びます。 (写真 © Reuters)
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ホワイトハウスを「テロ」から守る警官隊。 (写真 © WXXI News)
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今回の抗議デモの象徴的な跪くポーズ。命を落とした黒人男性、抗議デモ参加者への
警官からのメッセージ。 (写真 © USA Today)
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ワシントンDCでの平和に行われる抗議集会。 (写真 © AP)
以上でした。
次は、延び延びになっている2019年のハイライトを。