多摩美デザイン学科「ネットワーク」授業ブログ

多摩美術大学造形表現学部デザイン学科/2004年セッション2(5/24~7/12)-2年「ネットワーク」授業のコアブログ

制作上の基本的注意

2004年06月24日 19時18分02秒 | 授業コメント
ネットワーク・コミュニケーションの場としてのウェブサイト制作にあたって、以下のことに注意し、考えながら進めること。

・何のための、誰のためのウェブサイトか、そのサイトの運営を通して何を実現したいのか、そのためにどういう表現が適切なのか、というコンセプトデザイン・プラニングワークに常に立ち戻ること
・テーマと情報をどのように整理し、デザインするか―情報デザイン
・構成・流れを考える編集デザイン
・テキストと画像のグラフィック・タイポグラフィデザイン
・(動き、映像、音のデザイン)
・ユーザーの操作とそれに対する適切な反応を考えるインタラクティビティのデザイン
・使い勝手(ユーザビリティ)のデザイン
・見る人をストレスなく導く(ナビゲーション)デザイン
・有意義な他の情報へつなげるオープンで開かれたデザイン
・見る人との相互交流をはかるためのデザイン
・多くの人が継続的に見に来てくれるためのデザイン
・情報の更新や新規に加えられていく構造になっているか、を考える

表面的な「見てくれ」のかっこよさなどということではなく、以上のように、ウェブサイトのデザインするということには、とても総合的なデザインの力と緻密な思考力を必要とされます。

ウェブサイトを考察するポイント

2004年05月31日 04時33分56秒 | 授業コメント
いろいろなサイトを見て、考察するよう課題を出してあります。
意図的に、予備知識を一切与えず、またどう見るべき・学ぶべきかも言いませんでした。

「学ぶ」ということについてその他で言ったように、あなた方は、単なるオーディエンスの眼で見るだけでなく、創る立場で考察しなければなりません。
(もう何度も繰り返していて嫌になるのですが、あなた方が考察対象を好きか、嫌いかとか、内容に関心があるかどうか、ということは直接関係ないのです)

以下、いくつかのポイントを記します。

●何をテーマとし、何を目的(そのサイトの運営を通して何を実現したいのか)とした、どんな人々へ向けての、どんな人がやっているサイトなのか、を読み解く。
●そうした目的に対して、サイトの構成やコミュニケーションのための仕組み、表現(デザインを含む)が適切かどうかを吟味する。

以上が全体的な考察ポイントです。以下は細部にわたって検討します。

●テーマと目的に対して、情報が適切に編集・分類・構成され、流れを持っているかを評価する(ただしブログの一部のように「編集」の入らない生データ・感想意見の提出自体がネットワークコミュニケーション上では新しい意味を持つ可能性も考える)。
●テキストと画像・映像・音のレイアウト・グラフィック・コミュニケーションデザインの面から評価する。
●ユーザーの操作とそれに対するインタラクションが適切であるかどうかを評価する。
●使い勝手(ユーザビリティ)の評価をする。
●見る人をストレスなく導いているかどうか、ナビゲーションデザイン面から評価する。
●有意義な他の情報へつなげる、あるいは見る人との相互交流をはかるためのネットワーク・コミュニケーションの仕組み・仕掛けやデザインがどうされているかを評価する。

この授業の目的と進め方(プロセスの公開)

2004年05月31日 03時51分23秒 | 授業コメント
インターネットを軸とするネットワーク環境は、私たちの生活のなかでますます重要な位置を占めるようになっています。
この授業では、デザインを志す学生が、この急激に発展しているメディアとネットワーク・コミュニケーション環境に対して、
1. どのような「考察力・思考力」を要求されているのか
2. どのような「リテラシー」(読み解き、感じ、発信し、コミュニケートする力)を必要とされているのか
3. それらを踏まえて何かを発信しコミュニケートするカる上でどのような「デザインの力」が要請されているのか
を追求します。
(念のため言っておきますが、この授業の目的は上記の3点であり、見た目「かっこいい」サイトをデザインするテクニックを教えるなどということではありません)

最終的な課題は、各人にウェブサイトをプラニングしデザインして作ってもらい、デザイン学科のサーバーに実際にアップして公開運営することです。

ただし、昨年までのように、個人的に作業を進めて、プレゼンの日までにできあがればいいということではありません。

プラニング・テーマ設定・コンセプトメイキングから、設計、制作技術の学習、実際の制作、運用に至るまでの「プロセス」を、ステップを踏みながら、この授業ブログを軸にして、すべて公開して行います。

すでに、学外からコメントやトラックバックが付けられています。
皆さんのプランや途中成果に対して思わぬ批判やコメントやサジェスチョンが入るかもしれません。
デザインは、対象とする人々に伝えたいことが伝わってはじめてデザインです。
そのため、自分のプランやデザインを、対象とする人々に見せて、常に「検証」しながら進めることが重要です。

このサイトで「プロセス」を公開しながらやることが、このクラスのあなた方自身にとっても、また多摩美デザイン学科での「学び」にとっても、そして広く社会のデザインを学びたいと考えている人にとっても有意義な可能性を持っているのではないか、という予感を私は持っています。

このクラスの学生以外(もちろん多摩美外の方たちを含む)の方々へ。
どうか、積極的かつ気軽にコメントやトラックバックを付けてくださるようお願いいたします。

デザイナーとことばの力

2004年05月30日 02時02分21秒 | 授業コメント
増田さんも言っておられましたが、あなた方は総じてビジュアル的な要素がないとどうもだめなようですね。
ウェブサイトを見てもテキストが多いというだけで拒否反応を示す。
活字だけの本はふだんほとんど読まないのでしょうか。
カラー写真が増えたとはいえ、新聞だって圧倒的にテキストが主要な要素です。
インターネットでも、ことばでの発信・伝達・交流はもっとも重要なエレメントでありコンテンツです。

一流のクリエイター・デザイナーは、デザインについて、自分の作品について、他人の作品について、きちんとことばで語り、文章に書き記すことができます。
なぜそうできるのか。
ビジュアル的、イメージ的だけではなく、ものごとをことばで考え抜いているからです。

そのことについての認識や努力が、あなた方には決定的に足りない。
これはこれまでの投稿を読んでの私の感想です。

コンセプトメイキングがイメージだけでできると思いますか。
ことばの力、ことばで考える力を鍛えてください。

上野毛のデザイン学科は、プレゼンテーションを重視し、見る人、使う人の共感を得、説得できる力の養成をはかってきました。
「創りました」「見れば分かると思います」ではだめなのです。

能弁である必要はありません。名文を書く必要もありません。

コミュニケーションのためになによりも必要な、達意・明晰なことばと、筋の通った論理を、口頭であれ、文章であれ発信できる力を磨いてください。

トラックバックを付けて投稿する際の注意

2004年05月29日 20時38分20秒 | 授業コメント
トラックバックをなにか別の人の記事につけた上で投稿する場合、その元記事へのリンクを貼ってください。
相手のトラックバックを見て、来た場合は分かるけれど、あなたの記事から元の記事への道筋を付ける必要があります。

また、トラックバックをたどって来たわけではない場合、その記事が何について語っているのかきちんと分かるように明記すること。

「学ぶ」ということについて

2004年05月26日 04時52分19秒 | 授業コメント
これこれを見て「学んで」「記して」ください、と私が言っているのは、対象を考察して、そこからなにかのヒントや、アイディアを得て、今後の発展のために寄与する評価・提案をしてください、ということが基本なのです。
その考察が未熟であろうと、提案が見当違いであろうとかまいません。
コミュニケーションの豊かさや有意義さ、繋がりや共生や共有のために、考えて発信しようという、ポジティブなスタンス(姿勢)が一番重要なのです。
ほとんどの人が、単なる消費者=受容者=観客としての見方しかしていないし、また「見てくれ」の印象や、自分が気に入ったかどうかの表明にとどまっています。
あなた方は創造者(クリエイター)の卵であるはずでしょう。
自分が「創る」立場から見て、これはどういう参考になりうるか、という目で接しなければ進展はありません。

別の角度から言うと、対象を「批判する」ということを私は求めているのです。
このことばは普通は「悪くいう」「非難する」というニュアンスでとらえられていますが「批判」という概念はけっしてそれだけではないのです。。日本語としての「批判」ということばの翻訳事情や意味の変遷はさておき、「批判する(クリティーク)」ということは、先行するものごとのありかた(常識)や生活やことばや観念を徹底的・根底的に考え直し、新しいイメージやことばの意味やあり方や行動を提示する、ということです。

繰り返して言いますが、「学ぶ」上では、あなた方個々人が、対象とするものに対して、主観的・個人的にどういう好き嫌いの感情を持つかとか、扱っている題材に個人的に関心があるかどうか、などということは関係ありません。
そういう狭い視野・視点に留まる限り「学ぶ」ことはできないし、自分も作品も含めて「客観視」することがなにより必要なデザインの世界であなたは生きていけません。

全神経・感覚・美意識・そしてなによりも思考を働かせて「学んで」ください。

「いいと思うデザイン」再

2004年05月25日 06時10分08秒 | 授業コメント
「いいと思うデザイン」を見つけ、写真を撮り、なぜデザイン的に良いと思うかを述べなさい、というのが昨日の課題でした。

ひとつずつのブログにコメントやトラックバックを付ける時間は今は無いのですが、
総じて言えば、課題の趣旨に応えていません。

デザインには、対象とする人々がおり、達成すべき目的があり、そのために最適と思われる(デザイナーが考えた)表現や形がとられています。
それらの対象・目的・カタチ・機能性、それによって変わる人々の意識や生活の面から、デザインとしてどう良いかを「客観的に」吟味・評価し、写真画像とことばで表現しなさい、というのがこの課題が要求していることです。

これは「デザイン」の授業の一環です。

あなた方が、個人的・主観的に「好き」とか「嫌い」とか「かわいい」とかいうことを表明してもらう、ということではありません。
(それは「着目」という意味であくまで出発点です)

以上のことを良く考え、27日(木)までに、もう一度(同じ素材でもいいし別のものでもいい・またいくつでもよい)自分のブログにアップしてください。

その際、Google 等でそのテーマに関連するウェブサイトを調べ、リンクを貼ってください。
そのサイトのURLをコピーし、記事編集画面の「URL」ボタンをクリックしてペースト、サイト名を表記すること。
Amazonで関連する本を探して、そのページのURLにリンクするのも良い。

ブログを授業に取り入れる試み

2004年05月23日 23時39分45秒 | 授業コメント
多摩美術大学造形表現学部デザイン学科の授業
04年セッション2「ネットワーク」
(2年次/37名/2004.5.24~7.12)クラス
のためのコアブログを立ち上げてみます。

ブログを授業に取り入れるのは今回が初めてです。
どんなことができるか、あるいはどんなことが起きるか、
皆さんと一緒に試行錯誤してみたい。