山奥の鍛冶工房日記

趣味でやっているあれこれ

謎だった金槌

2014-01-07 20:52:23 | 日記

 銅が析出していたものの、火花は炭素鋼のそれ。

 何かと謎ばかりが深かった金槌の素性が判明。

 磁石で調べるとくっつき、鉄そのものだった。

 お騒がせしました。

 銅が析出したことについて考えられるのは、防錆目的で銅メッキされたものと思われる。

 その銅メッキも、電気めっきではなくて、ルツボで焼き溶かした銅に直接浸したんじゃなかろうか、と推察するが確証はない。

 金槌に使われている鉄もJIS規格が誕生する以前のものとすれば、どこの時代のモノかはわからないにせよ、よく現代まで残ったものだ。

 900℃に加熱した際に付着したものと思われるスラグの浸食が痛いが、これも昔の鉄の性質なのかもしれない。

 今現在、粗削り中なのでもう少し形を整えて磨いてみることにする。


いやはや、謎が深まるばかり

2014-01-07 16:22:55 | 日記

 初打ちしたものの、銅が析出した昔の金槌。

 激しく火ぶくれした被膜をディスクサンダーで擦り落としてみると、銅の輝きではなくてステンレスっぽいまたは白銅っぽい輝きになった。

 ちょいと焼け溶けてしまった部分も見られてガックリ。

 ディスクサンダーで削ると、低炭素鋼特有の火花が散り、とりあえずは銅製品ではないようだった。

 打面に出ていた銅も削ると消えてなくなり、銀白色になった。

 もしかしてステンレス?

 そう思ったが、もともと黒っぽく錆びていたし、ステンレスに近いクロム鋼なのだろうと思われるのだが、情けないことにクロムを含んだ火花を知らん。

 それはさておいても、銅がなぜ析出したのか、それが謎だ。

 クロム鋼にしてもステンレスにしても銅を添加することなんぞはほとんどないであろうし、添加しても何のメリットがあるのかわからん。

 輝きからすればステンレスのほかに白銅のそれだが、白銅は銅とニッケルの合金であるし。

 困ったねぇ。弱ったねぇ素性がわからん素材とは。もはや、トンデモ物件。

 曾爺さんがどこでいつその金槌を手に入れたのかは不明だが、ただ、そのトンデモ物件となっている材質の金属を操り、ものの見事に金槌に仕上げた当時の鍛冶屋の腕が確かなものだった、としか言いようがない。

 

 


初打ちしたものは

2014-01-06 15:44:24 | 日記

 2014年初打ちで昔の鉄の金槌を再度火造りした、と日記に書いたところだが、件のブツを灰箱から取り出してびっくり。

 激しく火ぶくれしたような酸化膜。そしてその間から見える肉色の地肌。

 金槌はどうも銅製もしくは銅合金製だったようだ。コークスの焔が青く出たのもそうだったか、とも思える。

 詳しくは後日激しく火ぶくれしたような酸化被膜を落としてみないことにはわからないが。

 銅製または銅合金だったとしたら、今後の鍛冶作業に影響が出るかもしれない。

 というのは、銅が鉄に混ざるとあまりよろしくないということを聞いているからだ。

 詳しく言えば、銅が鉄に混ざると球状黒鉛化が進むとか。

 要するに鉄、鋼の品質が低下するということらしい。

そういえば、ちょくちょく出入りしていた刀剣博物館でも、銅の混入はすこぶる嫌われていたな。

新年早々やっちまった感が強い。せめて磁石で確かめりゃよかった。

でも、よく焼き溶かすこともなくできたよな。強い火力のコークスで。

 


2014年初打ち

2014-01-06 13:54:14 | 日記

2014年初打ち画像

 

新年を迎え、今年初めての鍛冶作業を実施。

 採火はファイヤーピストンで行い、炭布に小さな火種を落として消し炭をかけて送風機を作動させて火を起こした。

 コークスへの着火もよく、昨年に床下から発見した昔の金槌を再度火造りすることにしたのだが、この金槌は子供の頃に目にしたもののいつの間にか行方をくらましていた。曾爺さんがどこかで入手したらしいものと思われるので、製品自体に使われている鉄は戦前のものかもしれない。

 実際に加熱していると、コークスから青い焔が出てビビった。一酸化炭素が燃えるあの紫っぽい薄い色の焔じゃなくてほんとに青だった。

 銅の化合物かほかの元素がコークスに混ざっていたのかは不明。

 赤くなったのを引き出して打ち鍛えてみるとすこぶる怪しい。可塑性が怪しい。なんだかちょっとひび割れた鏡モチみたく、細かいヒビ割れが入った。

 とりあえず、全体を打ち鍛えずに打面だけを整形火造りして、全体を900℃に赤めて灰箱の灰の中に埋めて徐冷をかけて終了。1時間にも満たない初打ちの作業となった。