再アップです。
これは書き直し版です。
一昨年アップした後、手違いで消しちゃったようです。
ってことで書き直し。
元葬儀屋をやっていた友人がいましてその人の話し。
今は縁遠くなってしまい互いに連絡も取っていません。
もともと後ろ向きな男だったのですが、何を考えたか葬儀屋に入ってしまい
引っ込み思案な性格の彼が
葬儀進行のアナウンスだけは生き生きとやっていたのを思い出します。
(マイナス×マイナス=プラスってことなのか?)
そんな彼ですが実は特殊な能力を持っていまして・・・。
見えるんです
何がって?
見えるんですよ。普通の人には見えないモンが。
そう、役にも立たない能力もってるんです。
(私よりだんぜん見えるし、お持ち帰りもできるらしい)
そんな誰も欲しくない能力を持った彼がなぜ葬儀屋に転職したのかよくわかりませんが
ぜんぜん都合のつかない仕事に飛び込んで数年経ってからの話しです。
(本当に昼夜関係なく突然仕事入るんだ。
自分で約束しておいてドタキャンしちゃうんだから。
当時は携帯電話の普及する前だったので連絡取れなくて大変だった)
さて、いつものように突然の一本で電話から仕事が始まりました。
旦那さんがなくなったとの事。
病院から自宅まで一旦搬送するのですが、今日は先輩も別の車で来ていたため
二人きりでお家まで行くことになりました。
誰と二人きりかって?
・・・はい。仏様です。できたてのほやほやの新米仏様です。
まだ体温も残ってます。
搬送車の後ろに乗せても視界の左下に黒髪が見えます。
車が揺れるたびに動く頭にドキッっとしながら日の暮れた田舎道をひたすら車を走らせていました。
彼が就職した葬儀屋さんは、某大手の田舎の支店。
クライアントももちろん田舎なわけで、なれているといっても暗い山の中を
白い布をかぶせた仏様と二人っきりで暗い山の中を走るのは怖かったでしょう。
お客様といっても、リピート客なんてめったにないでしょうし、もちろん今日がはじめて
伺うお家。
地図とにらめっこしながら不慣れな道を右に曲がり、次の三叉路を左に曲がった時でした、
後ろから『・・・・』
一瞬彼の心臓は止まりました。
自分に気のせいだと言い聞かせながらそのまま気づかないふりをして
運転していました。
するとまた、
『・・・・・』
今度は確かに聞こえました。
自分以外の誰かが言葉を発した。
完全にパニックになった彼は、聞こえないようにラジオのスイッチを入れようとしたその時。
仏さんが彼の耳元に血色のまったくなくなった唇を近づけゆっくりと口を開き、
『そこは右に曲がるんだ』
なんてね。
そんな怖い想像をしながらもなんとか目的地につくことができました。
2時間ほどで打ち合わせも終わり今日は自宅に安置して、翌日斎場に移すことになりました。
一旦会社に戻り車を乗り換えて帰宅したのですが、夜中に緊急を知らせるポケベルがなりました。
また、仕事が入ったのかと(だれか亡くなった)思ったのですが電話してみると、
先ほどのお客様から今からすぐに来てくれとの連絡があったとのこと。
用件も相手が興奮していてどうも脈略を得ない。とりあえず見てきてくれとの
上司の命令に、彼は今度は一人で数時間前に通った道をまた急いで車を走らせました。
ちなみに二人で乗っていた時よりも、怖くなかったのはいうまでもありません。
車が到着し玄関で迎えてくれた遺族の方は、興奮気味で何を言っているのよくわからず
とにかく主人の顔を見てくれ、と。
意味もわからず遺族にいわれるがまま、仏様が寝ている部屋に通されました。
線香の煙が立ち込める中、
北枕で寝ている白い布をかぶせた仏様が視界に飛び込んで来ました。
焼香する間も無く、枕元に正座して両手を合わせると白い布をゆっくりととりました。
そこに見たものは・・・。
カッっと目を見開いた顔がそこにありました。
苦しみにもだえるというより憎しみをこめた凄い形相が彼を見つめていました。
鬼がいるとすればこんな顔ではないか、と思ったそうです。
まさしくこの世のものではないと・・・。
結局、できることもなくただひたすら奥さんや子供をなだめ、落ち着かせることしか
できませんでした。
彼の今までの経験の中でも初めてのことだったそうです。
後日談ですが、翌日の通夜ではお棺を開けないことで話か進んでいたのですが
当日、不思議なことに穏やかな顔に戻っていたそうです。
なんか後ろに来たよ!!
こんなの書いてるとよって来るみたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます