ところが現実には、人間の能力は均一ではなく、環境にも差があり、運不運に人生は影響される。本人の努力だけでは何ともならない事があると認めた上で社会保障が必要という事になる。人間の能力も環境も運も均一ではない。
アメリカにいた時、比較的この国は努力の領域を大きく評価しているなと感じた。だから人生はある程度自己責任で、病気になった人にも、予め自分で保険に入っていなかった、または健康に気を使っていなかったという理由で捉えがちだと感じた。
僕はもっと人生は自分の意志の及ばぬものに影響されていると考えている。そしてそもそもその意志すら生まれと他人にある程度影響される。だから社会保障は必要だと考えるし、仮に一生懸命挑んでうまくいかない人を責める気になれない。
無知のベールという考え方がある。それは一度自分が自分であるという事をベールで包み、さいころを振るように誰の人生を生きるかわからない状態にしてみるという事。誰の人生を生きるかわからない状態にしてみてから社会保障は考えるべきだと思う。
【終わり】僕の妹は為末という名字で、中学高校と6年間陸上を続けた。陸上の才能は残念ながら無かった。それでも練習して為末と呼ばれ皆が注目する中で組で後ろの方を全力疾走していた。僕は彼女に努力不足だと責めない社会の方がいい。