わたしは 何かのうしろに潜んで居たい
強くて大きな 何かの裏に潜んで居たい
わたしは 弱くて小さいのではありません
ただ 何かに隠れて居たいのです
家族ではないが、身近な人が亡くなった
これからという年齢で、これからという地位にいたのに
さぞ悔しくて辛かったことだろう
とても可哀そうで、心から悼みたい
だけど
もう嫌なことを言われたり、嫌なことを言ってしまったり
不愉快な目に遭ったり、不愉快にさせたりしなくていい
とても小さなことで悩んだり、狭量がゆえに傷つけたりしなくていい
羨ましがったり、妬んだりもない
酒の飲み過ぎや、煙草を我慢しなくていい
体重だ血圧だ塩分がどうとか考えなくていい
老後のことも、家族への心配も無い
もう なにも できないのだから
「死んだ方がましだ」と軽口を叩けなくなった今世
もちろん、決して羨ましいわけではないのだが
8月23日
誕生日だね
あの頃
17歳の誕生日
まくし立てるようなセミの声
笑う君
くせ毛が汗で頬に貼り付く
君は 汗もいい香りがした
元気で暮らしてますか
どこかで
7月7日に梅雨が明けたあの年
突然せがまれて車で西へ走った
オレンジ色のちっちゃい英国車
エアコン無いから窓全開で髪はなびく
ラヂエーターからは蒸気が噴き出る
汗だくで笑う君
でももうその笑い声も忘れちまった
ただあの年
7月7日に梅雨は明けた