リアルインパクト新天地へ(東サラコラムより)
オーストラリアというと、何はさておき、まず頭に浮かぶのは
名牝ブラックキャビアを生んだ世界に冠たるスプリント帝国!
次にそれと真逆のマラソンレース・メルボルンCでしょうか。
日本で良く知られている情報や知識はそれくらいの程度かも?
ところが、昨年あたりを境にノーザンファーム生産馬を中心に
中距離レースに狙いを定めた遠征が際立って増えてきました。
春から初夏にかけては日本に2000m級のG1がない事情もあり
そのカテゴリーやマイルG1も、豊富に編成された海の向こうの
オーストラリアや香港遠征がちょっとした密かなブームです。
もちろんサンデーサイレンス系の優秀な種牡馬が過剰気味で、
G1馬でも種牡馬になるのには一苦労の深刻な背景もあります。
新しいマーケットを開拓しないと彼らの行き先がありません。
ホースマンの心労苦労も一筋縄では行かない難儀を極めます。
朗報です!
リアルインパクトが種牡馬に迎えられるそうです。
供用先はオーストラリアの超一流牧場アローフィールドとか。
リーディングサイアーに輝いたこともあるリダウツチョイス、
日本にいたこともあるスニッツェルなどがいる名門スタッドで
世界に誇るスプリント帝国の礎を築いた大種牡馬デインヒルや
キングカメハメハの母父として有名なラストタイクーンなどを
繋養したオーストラリア競馬の名門中の名門スタリオンです。
フジキセキがドバイシーマクラシックの女傑サンクラシークや
スプリント王者キンシャサノキセキを輩出したのもここです。
決め手となったのは、ロイヤルアスコットにも出かけた当地の
一流馬クライテリオンを倒したG1ジョージライダーSの金星や
ドンカスターマイルで2着健闘した遠征での好成績でしょう。
3歳で安田記念を制したのもポイント獲得に貢献していそう。
日本の3歳はあちらではまだ2歳馬という感覚で捉えられます。
豪州産フェアリーキングプローンが勝ったこともあるレースで
現地のホースマンには馴染みの深い日本のG1なんでしょうか。
これは凄い奴だ!と高く評価してくれたストーリーもあった?
いずれにしろ日本の競馬を知ってもらい理解してもらうことは
想像以上に大変で、かつ極めて重要なことだと思わされます。
ノーザンファームの皆さんの成功への道のりは並み大抵でない
長い歳月と人には言えない苦労の積み重ねだったのでしょう。
海外遠征へのモチベーションが増えたのは、嬉しいことです。
競走馬として世界に通用するよう努力するのは至極当たり前で
種牡馬、繁殖牝馬としてその質が試される時代になりました。
日本の競馬も胸突き八丁、いよいよ真価を問われる季節です。