マサチューセッツ州の海辺の町に暮らす高校生のルビー。両親も兄も耳が聞こえず、家族の中で健聴者は彼女だけ。そのため、手話の通訳や家業である漁業の手伝いなど、家族が日常生活を送るうえでルビーのサポートは不可欠となっていた。そんな中、高校の新学期に合唱クラブに入部したルビー。そこで顧問の先生に歌の才能を見出され、名門音楽大学を目指すよう熱心に勧められる。ルビー自身も歌うことの喜びを知り、初めて夢を抱くようになるのだったが…。
WOWOW ★★★★
昨年度のアカデミー賞作品賞や助演男優賞を受賞した作品です。私はこの原題である「CODA」を音楽記号のコーダだと思っていました。だって日本語の副題も「あいのうた」なんだもん。「D.C.等で繰り返した後に”To Coda”と支持された小節から次の”Coda”のついた小節まで間の小節を飛ばして移動する。」って記号で、ダ・カーポ(DC)などとともに、楽譜によく出てくる記号です。
しかし、この映画でのCODAとは「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のことで、私自身の勉強不足ってことでした。もちろん話の内容は昨年のアカデミー授賞式のときにも紹介されていましたし、受賞後日本でもアンコール上映されていましたので・・・って映画館では見ていないけど、その内容は知っていたつもりです。
今回WOWOWで放送されたときに、耳の聞こえない人をテーマにした映画の特集で、「コーダ」で母親役を演じていたマーリー・マトリンがアカデミー主演女優賞を受賞した「愛は静けさの中に」や、この映画の元ネタ「エール!」も放送されていたので、両方とも見ました。
オリジナルの「エール!」はフランス映画で、もちろん「コーダ」とはその本筋は変わりませんが、家族の職業や、弟だった人が兄に変わっていました。この弟だった人物が兄に変わったことは大きな変化だったとは思います。
両作とも母親が「生まれてきたあなたが健聴者だったことがわかって、とても悲しかった。育てる自信がなかった」なんてセリフはとても残酷に感じますが、それはあくまでも見ている私達の持つ感想なのでしょう。ヒロインは4人家族中、3人が耳が聴こえないわけで、幼い頃からずっと手話通訳者として家族を守ってきました。
昔々の東宝映画で「名もなく貧しく美しく」という名作がありました。主人公夫婦(小林桂樹・高峰秀子)は耳が聞こえない夫婦なのですが、一人目の子は自分たちが耳が聞こえないのも原因で、亡くしてしまいます。二人目の子ども授かったときに、健聴者だとわかったときに二人してめちゃ喜んでいました。ただ、あまりにも悲しい最後だったのがつらいですが。もっとも、「コーダ」が本当に耳の聞こえない役者が主要キャスト3人を担っているのは、現在の日本打は可能かな?なんて考えたりもしましたが。
とにもかくにも「エール!」も「コーダ」もめちゃ笑えるし、とても前向きな作品であることは間違いなかったです。もちろん途中で何度も辛いシーンはありましたが。
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