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二世帯住宅のデメリット 老後生活

同居なんてしなければ…〈年金月25万円・退職金2,000万円〉の67歳・元会社員、二世帯住宅で“夢の老後生活”を始めるも一転、大修羅場→親子断絶へ。さらに判明する「衝撃の事実」に絶句【FPの助言】



2024/12/27 11:15 (THE GOLD ONLINE)

引退後、愛する子や孫と一緒に幸せに暮らす老後に憧れる人も少なくないのではないでしょうか? その際、程よい距離感を保てる「二世帯住宅」は人気の高い選択肢といえます。一見、メリットの多そうな二世帯住宅での暮らしですが、蓋を開けてみると「想定外の事態」が待ち受けていることも。今回は、60代夫婦の事例をもとに、二世帯住宅での同居が失敗してしまうケースについて、ファイナンシャルプランナーの辻本剛士氏が詳しく解説します。

「選択は間違っていなかった」…娘を想って二世帯住宅へ

富永浩二さん(仮名・67歳)は元大手企業の広報部で長年勤めたあと、現在は夫婦2人で暮らしています。夫婦でこれまで貯めてきた貯金2,000万円と定年退職時に受け取った退職金2,000万円を合わせて、総額4,000万円の資産があります。年金は夫婦で月25万円、住宅ローンも完済済みの富永さん夫婦は、貯金を取り崩すこともほとんどなく、穏やかな日々を過ごしています。

そんな富永さん夫婦には、一人娘の咲さん(仮名・37歳)がいます。咲さんはすでに結婚しており、3歳になる子どもと夫の3人暮らしです。現在、家賃9万円のマンションで生活していますが、夫の年収は300万円ほどと決して余裕があるわけではなく、咲さん自身も家計を支えるためフルタイムで働いています。

子どもの保育園の送迎や家事のほとんどを咲さんが担っているため、仕事と家事の両立で目が回るような忙しい日々を送っており、週に一度は富永さんの家に子どもを連れて帰り、母に愚痴をこぼしては息抜きをしていました。そんな娘の暮らしぶりを心配そうに見守る浩二さんは、なにか娘のためにできることはないかと考えていました。

そんなある日、浩二さんが友人と久しぶりに会った際に「二世帯住宅に建て替えて、娘夫婦と一緒に暮らし始めた」という話を聞きました。

「孫の顔も毎日見られて幸せだし、娘も仕事と育児の両立が楽になったみたいだよ」と語る友人に、浩二さんは「自分たちにもできるのではないか?」と考え始めます。帰宅後、妻に早速相談し、二世帯住宅の案を具体化していくことに。

そして、二世帯住宅について娘の咲さんにも伝えると、咲さん家族も大賛成。浩二さん夫婦と咲さん家族が集まり、不動産会社を通じて真剣に計画を練り合うなかで、最終的に建築費用は総額5,000万円に決まりました。そのうち、浩二さんが3,000万円を頭金として納め、残りの2,000万円を咲さん夫婦がローンで支払うことになりました。

浩二さん夫婦は、咲さんの負担を軽減できること、毎日孫の顔を見られること、そして万が一の際には娘夫婦がサポートしてくれるという期待感もあり、「この選択は間違っていなかった」と満足げです。一方、咲さん夫婦にとっても、これまで毎月9万円だった家賃が5万円程度のローン返済に収まることになり、住居費を大幅に削減。さらに子どもを両親に預けやすくなるなどの利点もあるため、双方にとってメリットの大きい決断となりました。

最初は問題なく過ごしていたが…

二世帯住宅が完成し、富永さん夫婦と咲さん家族の新しい生活が始まりました。新居は、1階が富永さん夫婦の住まい、2階が咲さん夫婦の住まいという構造になっています。さらに、トイレや浴室、キッチンといった水回り施設はそれぞれ別々に設けられ、プライバシーにも配慮がなされた空間となっていました。

最初のころはまさに理想的な二世帯生活。1階のリビングには自然と家族全員が集まり、孫の成長を見守りながら、賑やかで楽しい食卓に囲まれていました。

「これが二世帯住宅の良さだな」

浩二さんは、娘家族と一緒に過ごせる幸せをかみしめ、孫の無邪気な笑顔に癒される日々が続きました。

しかし、同居を始めて半年が過ぎた頃から、浩二さん夫婦は次第に居心地の悪さを感じるようになります。原因は、2階から聞こえる孫の足音。孫は元気いっぱいで、家中を走り回ることが日常茶飯事。特に朝早い時間や夜遅い時間に「ドタドタ」という足音が響き渡ると、1階に住む浩二さん夫婦は静かに過ごすことができず、徐々に心身ともに疲労感が募るようになりました。

さらに、光熱費の問題も浮き彫りになります。当初は「折半」という取り決めでスタートしたものの、娘夫婦の生活スタイルは、浩二さん夫婦とは大きく異なっていました。

たとえば、電気代。娘夫婦は夏も冬もエアコンをつけっぱなしの生活でしたが、浩二さん夫婦は節約を心がけ、無駄な電気はこまめに消す生活を続けていました。それだけに、自分たちの使った分よりも明らかに多い光熱費に、だんだん不公平感を抱くようになります。

孫は可愛いが…不満が募る日々

ある夜、浩二さんは体調が優れず、いつもより早めに寝室へと向かいました。しかし、そんな浩二さんの耳に響いてきたのは、2階からの「ドタドタ」という孫の走り回る音。何度も目が覚めてしまい、ついに浩二さんは我慢の限界を迎え、階段下から大声を張り上げてしまいます。

「少し静かにしてくれ!」

突然の怒鳴り声に、2階から下りてきた咲さんは、思いもよらない言葉を返してきました。

「いちいち怒鳴らないでよ。子どもなんだから走るのは当たり前でしょ!」

まさかの冷たい物言いにショックを受ける浩二さん。その日を境に、浩二さんは咲さん夫婦に対して心を完全に閉ざすようになります。一緒に集まる機会はめっきり減り、食卓での笑顔も消え、二世帯住宅に気まずい空気が流れるようになったのです。

同居開始から3年後、とうとう両者の不満が爆発

そんななか、迎えた3年目の年越し。富永さんの妻が「年越しくらい、みんなで一緒に過ごしましょう」と提案し、久しぶりに1階に両家族が集まることになりました。

しかし、咲さん家族は約束の時間になっても姿を見せません。30分ほど遅れてようやく下りてきたものの、どこかけだるそうな雰囲気を漂わせていました。

静かな空気のなか、食卓に並べられた年越しそばのお椀を孫が手に取りましたが、うっかり手を滑らせ、ひっくり返してしまいます。

「ちょっと気をつけなさい!」

時間に遅れてきた娘家族へのイラつきもあり、つい強い口調になってしまった浩二さん。これを手始めに、父と娘の激しい口論が始まります。

娘「そんなに神経質にならなくてもいいでしょ! 子どもなんだから仕方ないじゃない!」

父「仕方ないとはなんだ。うるさい足音も注意しないし、お前、ちゃんと教育できているのか!」

娘「なによそれ! 他人の教育にケチつける気? そっちだってなにかにつけて文句ばっかりじゃない! 足音がうるさいだの、電気代が高いだの、いちいち細かいのよ!」

さらに、怒りに任せて、咲さんから極めつけの一言が飛び出します。

「そんなに神経質になるなら、一緒に住まなきゃよかったじゃない!」

この言葉に、浩二さんの怒りは頂点に達します。思わず「うるさい! 黙れ!」と大声で怒鳴る大修羅場に。

あまりの光景に、孫は驚いて号泣。富永さんの妻や咲さんの夫が仲裁に入り、なんとか大喧嘩は収束するも、こうなってしまってはもはや修復は不可能。話し合いの結果、別々に暮らすという結論に至りました。

二世帯住宅の売却を試みるも…

浩二さんは不動産に足を運び、自宅の売却を試みていました。しかし、担当者の反応は思わしくありません。

「二世帯住宅はなかなか需要が少ないんですよね。購入を検討する方は限られてしまいますし、特に築浅でもこういった形の住宅は、一般的な買い手がつきにくいんです」

担当者からの説明を聞き、浩二さんは言葉を失いました。二世帯住宅という特殊な構造が、買い手を見つける障壁になっていたのです。

それから1年が経ちますが、現在も自宅は売却できておらず、咲さん夫婦とは気まずい関係が続いています。

「こんなはずじゃなかった……」

浩二さんは心のなかで何度もそうつぶやきます。二世帯住宅を建てる際に、資産4,000万円のうち3,000万円を頭金として入れたことが、今になっては大きな後悔となっていました。

知っておくべき二世帯住宅の「デメリット」

近年、共働き世帯の増加などの理由から、二世帯住宅に対する需要が伸びつつあります。しかし、二世帯住宅には多くのメリットがある一方で、気をつけなければいけないデメリットもあります。

【二世帯住宅のメリット】 ●子育てや家事、介護などの生活を助け合える ●世帯をまとめることで建物のコストカットが可能になる

二世帯住宅は子育て世代にとって、親世帯のサポートを受けながら生活できるメリットがあります。特に共働き世帯にとっては、育児や家事の負担を軽減できる点は魅力的といえます。一方の親世帯にとっても、孫と一緒に過ごす時間が増えることで心の癒しを得られます。将来的な介護負担の軽減も期待でき、安心して過ごせるでしょう。

また、建築費用は二世帯住宅として1つの建物を共有することで、通常の戸建て住宅を二軒建てるよりもコストを抑えられる点もメリットといえます。ただし、水回りなどを別々にしたり、建物を完全に分けたりする二世帯住宅の場合は、設備や構造が重複するため建築費用が高くなる場合があります。

一方で、二世帯住宅には次のようなデメリットもあるため、あらかじめ理解しておく必要があります。

【二世帯住宅のデメリット】 ●同居世帯との生活リズムの相違がストレスになることも ●離婚時の財産分与でトラブルに発展する場合も

今回のケースでは、親子間の生活リズムや価値観などが原因で、このような事態を招くことになりました。ほかにも、離婚した際に二世帯住宅が財産分与の対象となり、親世帯と子世帯の間でトラブルに発展するケースも。

二世帯住宅は1つの建物を共有しているため、名義や持ち分の問題が複雑になりやすく、離婚によって建物が差し押さえられるなどのリスクもあります。こうしたリスクを理解したうえで、親子間で十分に話し合い、ルールや役割分担を明確にしておくことが大切です。具体的には、生活スペースの使い方や光熱費の分担、騒音対策などのルール作りが有効でしょう。

二世帯住宅は、家族同士の助け合いが期待できる一方で、生活の違いや将来的なトラブルのリスクも伴います。こうした点を踏まえて、お互いにとって快適で安心できる生活を築く努力が必要といえます。

辻本 剛士 ファイナンシャルプランナー
著者:辻本 剛士


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コメント一覧

u-sugu
明けましておめでとうございます。

二世帯住宅の一番のデメリットは「後悔するリスク」ですね。二世帯で住んでいる親子の仲が悪くなってその家が嫌になるというのは、あるあるですね。
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