1回膨らんで曲がる!? 「あおりハンドル」の謎! なぜこうも「勘違い運転」が横行するのか
2022/08/28 07:30 (くるまのニュース)
交差点で曲がる際、一度ハンドルを逆に振ってから回る迷惑行為、いわゆる「あおりハンドル」をおこなうクルマがいます。どうしてこのような勘違い運転が横行するのでしょうか。
「え、どっち曲がるの!?」 交差点などで見かける「あおりハンドル」とは
交差点などで、右左折する際に、1度向かう方向とは逆に膨らんでから曲がっているクルマを見かけることがあります。
このような運転方法は「あおりハンドル」と呼ばれますが、なぜ、いまだにこのような迷惑運転が行われているのでしょうか。
このような運転方法は「あおりハンドル」と呼ばれますが、なぜ、いまだにこのような迷惑運転が行われているのでしょうか。
交差点を左折する際に、左折のウインカーを出しながら、いったん車体を右側に大きく振ってから曲がっていくというように、曲がる方向とは反対側に膨らんで運転しているクルマを見かけることがあります。
このような運転は「あおりハンドル」と呼ばれ、なかには、対向車線をしばらく走った後に曲がるなど、ほとんど逆走といえるような運転もあるようです。
こうしたあおりハンドルにSNSでは「(先行車が)交差点で車体を振って急に曲がり驚いた」「ロードサイド店の駐車場に入るクルマが、おおげさに右に振ってから左折していくのはなぜ」というように、“実際に目撃した”という声が多く挙げられています。
また「完全に逆走してから左折するので、どこへ行くのかと思った」「左折する前の右振りは本当にやめてほしい」といった、危険な運転を指摘する内容も見られます。
いまだに無意識に行ってしまっている人も多いあおりハンドルですが、栃木県那須烏山市にある烏山自動車学校(@KarasuyamaDS)は、SNS上で「右折と思わせる左折に気をつけろ」のコメントともに、危険な右左折運転の動画を投稿することで注意を促しています。
では、なぜいまだにこのような運転をしてしまう人が多いのでしょうか。
東京都内のとある教習所の担当者は、以下のように話します。
「進行方向の反対側に大きく車体を振ってから曲がる『あおりハンドル』をやる人には、2つの傾向がみられます。
ひとつは、飛ばし屋で自分勝手な運転をする傾向にある、いわゆる『運転の荒い人』です。逆に振る行為がカッコいいと勘違いしていて、根拠なく自己流でおこなっていることが考えられます。
もうひとつは、とくに左折時、運転席とは反対側の道端へ車体を寄せる感覚がつかめず、無意識に逆振りをしてしまう人です。教習生や免許を取り立てで運転が不慣れなドライバーに時々みられます」
SNSでも「無意識に右振りしてしまっていた」「悪い癖だから直したい」といったドライバーの声も見られます。
運転に慣れていない人の場合は、内側のガードレールや縁石をこすらないようにしたいという気持ちが強く、結果として膨らんでしまうことも考えられます。
さらに、大型車の動きを真似する人もいるようです。
全長が長い大型トラックやバスの場合は、カーブで前輪と後輪の軌跡が大きく異なる「内輪差」に注意する必要があります。そのため狭い交差点などでは、車体を一度外側へ振って効率的に曲がろうとすることがあります。
これに対して、一般的な乗用車や小型のバン・トラックなどでは、わざわざ膨らまなくても曲がることができます。
前出の担当者は「交差点を曲がる際、自分のクルマがどのような前後タイヤの軌跡を描くのか、頭で理解できていないことからくる勘違いといえるでしょう」と話します。
あおりハンドルは後続車や対向車にも迷惑な「危険行為」
あおりハンドルは迷惑運転であり、非常に危険な運転です。
交差点で停止している対向車からすると、あおりハンドルをしているクルマが急に正面に迫ってくるように見えるため、恐怖を感じるおそれがあります。
走行中であれば、互いのクルマの距離がさらに縮まるため危険性が増します。
あおりハンドルをおこなうクルマの後続車の場合、たとえば前方のクルマが左折する際、1度右に大きく膨らむため、右折すると勘違いしてしまうおそれがあります。
そこで後続車が安心して直進してしまった場合、左折してきたクルマと接触する可能性もあります。
実際に、埼玉県和光市の交差点では、右折車のあおりハンドルによりクルマ同士の接触事故となったケースもあります。
あおりハンドルはこのように危険性を伴うため、教習所では“やってはいけない運転”とされています。
前出の担当者は、あおりハンドルについて「あおり運転と呼ばれる右振り運転は、教習所で厳重に注意しています。後続の2輪車などの巻き込み事故にも繋がってしまうおそれもある危険な行為だからです。
交差点などでは必ず徐行し、小さく角を曲がる必要があります」といいます。
あおりハンドルとなる運転をしないため、まず右左折する際にいままで以上にしっかり減速し、ゆっくり曲がることを意識すれば、より周囲の状況も確認しやすくなります。
それでもまだ不安があるようなら、空いた駐車場などで周囲の安全を確認のうえ、白線を使って道端に車体を寄せたときの距離感などを、ときどきクルマも降りてみながら確認してみるのも良いかもしれません。
教習所担当者は次のように話します。
「各地の教習所では、ペーパードライバーなど運転に不慣れな人向けに、クルマの車幅感覚などを確認する講習もおこなっています。交差点の巻き込みが怖いと感じているなら、参加してみるとよいでしょう」
運転中に、ほかのクルマのあおりハンドルに巻き込まれないようにするためには、見切り発車せず、前方で右左折するクルマの動きが確認できるまで、徐行もしくは停止して待つことを心がける必要があります。
あおりハンドルは思わぬ危険を伴います。事故防止のためにも、運転に慣れている人も、初心を忘れずに運転しましょう。
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