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この夏の米不足について「池上彰さん」が解説

テレビ番組「池上彰さんのそうだったのか」で米不足について解説していました。
令和の米騒動なんて言われ方もしました。
日本は米が余っているイメージがあったのにどうして足りない、そのあたりを基本的なことからわかりやすく解説。

お米が足りなくなった原因
夏ごろから今年は米不足が話題となった。最近、新米が出てきたが、まだ値段が高かったり、たくさんは買えない。なぜ今年お米が急に足りなくなったのか。代表的な要因は4つ。

1去年の米が不作だった
実は猛暑のため、去年お米は不作だったんです。今年は順調と言われていますが、去年の収穫量が少なかったことが今年影響している。

2外国人の消費が増えた
今年は多くの外国人旅行者が円安の日本にやってきた。日本食は大人気ですから、日本での消費も増えたと言われている。さらには米の輸出も増えている。

3お米の在庫が少なかったところに備蓄需要
そもそも8月というのはお米の在庫が一年で最も少なくなる時期。
お米は基本秋にとれるので当たり前。そんな時期に南海トラフの臨時情報をうけて備蓄をしたり、台風が近づいたので備蓄する人が増えたことも一因。



4米不足報道で不安になった
米が足りない、と報道がされると「米が足りなくなるならその前に買っておこう」とさらに不足が進んだとも言われている。

お米の消費量はどのくらい減っている
今日本人が一日どのくらいお米を食べているか?お茶碗にご飯にすると2杯弱。年間のコメ消費量としては一人当たり51.1キロ。昔と比べると激減。1962年度はなんと118.3キロ、約60年の間に半分以下。



米とパンの支出額を比べると、もとは圧倒的に米が多かったのが、2011年に逆転、米よりもパン。更に今は麺にも抜かれています。
日本人は食生活の欧米化によってご飯を食べる機会が減り、さらには昔のように塩辛い鮭一切れでご飯何杯も食べる、ということが減り、おかずとバランスよく食べるようになってきたのも原因と言われている。

減反政策どうなった
お米を食べる量がこれだけ減ってきたのになぜ今年米不足となったのか。それは消費量の低下に合わせて政府が米の生産量をコントロールしてきたから。
昔日本には減反政策というものがあった。

戦後はお米が足りなかった日本も、米の生産量が増えたり食生活の変化によって米が余る事態が起きるようになった。そんな時政府がとった政策が、この減反政策。「作るお米の量を減らしてください。その代わり補助金を払います」というもの。この補助金、10アールあたり最大で年間10万5000円ほど支払われていた。生産量をコントロールすることで米の値段が大幅に下がることを防いでいたわけ。



でもこうしてがっちりと守られてばかりでは日本の農業の国際競争力が落ちてしまいます。そこで2018年、長らく続いていた減反政策は廃止。それに先立って売買の自由化や値段の自由化もされた。それまでお米屋さんでしか買えなかった米がスーパーにも並ぶようになったり、色々な銘柄米が並ぶようになったはこうした政策の影響。

ただ、減反政策はなくなったが、政府の米に対するコントロールが完全になくなったわけではなく。今でも政府の減反に協力する農家に助成金を支給している。

実は日本は米を輸入している
助成金まで出して政府はお米を減らそうとしているのに、実は日本は毎年お米を大量に輸入している。それがミニマム・アクセス米。これは1986年〜93年の間に行われた、GATTウルグアイラウンドという、自由貿易を進めるための話し合いの場で決められた。



日本はお米が自給できるようになって以来米を輸入していなかったが、「輸入しなかったり高い関税をかけたりするのはおかしい」との外国からの圧力によって自由な輸入の制限を認めてもらう代わりに、毎年決まった量のお米を輸入することになった。



輸入されたミニマム・アクセス米は外食産業や飼料用、みそや焼酎などの加工用として使われている。では今日本はお米にかける関税は280%。ざっくりいうと、1000円で輸入したものを3800円で売る、そんな感覚。

そして今回の米不足で話題となったのが政府の備蓄米。10年に1度の不作や震災などの緊急事態に備えて100万トンを備蓄している。実際、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の時に一部放出されている。

この備蓄米制度が始まったのは、1993年〜4年にかけて、冷夏の影響で米不足になった時。平成の米騒動なんて当時は言われていた。この時急遽タイ米を輸入するなど対応したが、その教訓から政府は米の備蓄を始めた。

でも今回の米不足では備蓄米は放出されず。一体なぜか。
その最大の理由は新米の季節だからと言われている。新米がとれてお米がたくさん出回るこの時期に政府の備蓄米まで出回ると、値崩れを起こす。そうなっては農家の人は大変。そこで農水大臣も「もうすぐ出荷が始まるので安心してください」と会見した。

日本人にお米は大切、とわかっていても普段はあまり気にしないものです。でもいざ不足すると本当に大変です。主食のお米を大切にしていく、というのが食料安全保障という点でも今改めて注目する必要がある、と今回の騒動で思いました。
(「池上彰のニュースそうだったのか!!」9月14日OAより)

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