アートストーリーでイメージを膨らませると脳のストレッチになる。
アートを読み解く人は、
表面的な好みで作品を選んでいない。
アートの観方は自由で、
好みの作家や話題の名画などを楽しむのが一番
だけど、
好みでもなく
どちらかというと一見、分からない作品のテーマや
隠されているエピソードを読み解いてみると
観方が劇的に変わる。
目で見ているのではない。脳で観ている。
視覚情報を処理するときに脳の25%、神経経路の65%以上が使用され
これは他のどの感覚よりも使用率が高い。
絵を観るだけで脳が活性化され五感が磨かれる。
絵を鑑賞(読み解く)することは、
観察力・思考力・伝達力を磨く。
すべて、思い込みが邪魔をしている。
他の人にとっては、どうでもいいもの、絵や言葉でもその出会いで、随分と気持ちが晴れたり、心が穏やかになる考え方ができるようになったりする。
一日に一つでもそんな出会いや気づきがあると嬉しい。見直す意識があればそんなことが意外なほどある。
大抵の悩みは、勝手な自分の思い込み。
周りも自分も絵を描くようによく観て見直すと色んなことが観えてきて気づきがあり、
気分が晴れてくる。
答えは決まっていない、創造すればいい。
① アートのはじまり。石器時代
映像の起源ともいえる壁画。紀元前3万年 古代壁画(ショーヴェ)。 壁際のたいまつの火が揺れるとでこぼこの壁面に描かれた動物の絵が動いているような錯覚を起こさせる。映像技術のアイデアをすでに古代人は発想していた。
ショ―ヴェ洞窟の壁画。 生きていくため獲物がとれるように願いをこめて描かれ、 まじないの儀式のために壁画をやりで突いたと思われるキズもある。 火を照らすとでこぼこの壁面に描かれた動物の絵が動いてみえる 映像の起源ともいえる効果がある。
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② アートは人間の代用といった考え方。古代エジプトでは、王の死には廻りの者達が生け煮え(生きたまま埋葬)になるという残酷な慣習があった。生け贄えの慣習に代わり(副葬品)として美術品が生まれた。
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③ 迷信による原始的な残酷さと美しいものをつくる能力が共存していた時代といえる。
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④ 古代エジプト人は「人の目」を通したもの、また「人の意見」を通した(独創的な)表現を全く受け入れることがなかった。独創的な表現は、神への冒涜を表すこととなり死罪に値することだったから。
⑤ 美の追求ではなかった古代エジプトの壁画。一見 稚拙な表現にみえるが、生物学者が納得するほど正確な特徴が描かれていて、生息を証明する重要な資料になっている。 古代から絵を描くことは、日常的な伝達手段、記録手段として活用されていた。
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⑥ 紀元前3千~30年 三千年の歴史、古代エジプト。 太陽暦、幾何学。
⑦ エジプト絵画のルール。
身分の高い人ほど大きく描く、小さいのは子供ではなく低い身分や奴隷たち。
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遠近法を使わないが集団、奥行を描くときには上下左右にずらして少しずつ重ねて描く。
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⑧ 顔は横顔とする、目は正面を向く。 肩、胸、腕は正面を向け胴体と足は横向き。 足は左右を描き分けない。 土踏まずを描く場合には、両足に描く。
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⑨ 死後の世界との接点が多く見られる古代エジプト美術。古代エジプト人は、死後の世界に対して独特の関心を持っていた。古代エジプト人ほど「永遠」という言葉を好んだ民族はないといわれる。かれらの死後の世界を描いたのが「死者の書」。のちのユダヤ教、キリスト教の「最後の審判」に影響をあたえた。
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⑩ 紀元前2千4百年 古代ギリシャ。 ソクラテス、アクロポリス。 エジプト文明は地中海を渡り、クレタ島からギリシャ都市国家に影響していった。 ギリシャ人は、アートを 「熟練した洞察力と直感を用いた美的な成り行き」と定義した。
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⑪ 古代ギリシャの哲学者とは、宗教と科学の狭間にある者で宣教者でもあり科学者でもあった。 また、ギリシャ人は厳格なルールに縛られない自由な人種だった。 ルールはあるもののその中にも限りなく自由があり、 そんな思考がクリエイターに大きな影響を与える。
⑫ 古代ギリシャの絶対的な美の基本 心身の動揺を伴うような強い感動【emotion】をどれくらい与えられるかにあった。 その頃はアートといった学術的な縛りはなく、教育や学問の目的が共通して人類に【emotion】を与えることだったといえる。
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⑬ 古代ギリシャでは人の心を動かす本質を真剣に考えていた。
⑭ 絶対的な美 古代ギリシャ人は『絶対的な美』について、 見るものをどれくらい感動させられるか、という点にあると考えた。 その結果、ギリシャの芸術作品は 完璧な美を備えている神々の姿をとった彫刻が多い。
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⑮ 古代ギリシャの哲学者ソクラテスの弟子はプラトン、 プラトンの弟子はアリストテレス。 アリストテレスはアレクサンドロス大王の家庭教師だった。 ソクラテスは自分の哲学を著作しなかったのでプラトンが書き残した。 弟子を集めてエロスを追求していた。
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⑯ 顔の表情があまりないギリシャ彫刻 これは古代ギリシャ人の『人間的感情を公で出すのは野蛮である』の考えに基づくもの。 日本でも平安貴族と鎌倉武士それぞれの考えの違いで彫刻の表情が全く違う。どの時代も人の考え、思いを伝えている。
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⑰ ヨーロッパ中世時代:絵(アート)は伝えるための道具。
⑱ アートの暗黒時代【中世時代(東ローマ帝国)】
海賊や山賊がのさばるなど無法地帯となっている世を宗教の規律(神の教え)で統制した。言葉の理解や文字が読めない者たちも含め広く布教していくためにアートを利用した。
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⑲ 時代によってアートの目的とモチベーションは違うところにある。 古代ギリシャでは美(理想美)の基本、エロス、感動を表現しているのに対し、 中世(キリスト教美術)時代は感情(愛情、罪、罰、苦悩など)を表現している。 だから中世時代の絵画は重たい。
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⑳ 大きな流れに沿いながらも信じる方向性を示していく。ただ反発しても結果は出せない。アートの暗黒時代”ビザンチン”。宗教のために美術が利用された時代から、人間本来の姿に関心を向けていった”ルネサンス”に繋げた画家ジョット・ディ・ボンドーネの功績は大きい。
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21 ヨーロッパ 中世 ロマネスク、ゴシック、ビザンチン。 宗教のためだけに利用された美の暗黒時代。 教会堂建築は最高の知識・技術・芸術が集約されている。 クリエイターたちがストレスを受け入れて、希望を見出した時代。
22 昔の作品は、古典って言われるけど、その当時は最先端の技術で制作されてたヒット作。 教会は、建築技術、ステンドグラス、フレスコ技法など その時代の最新技術を使い、 庶民たちを空間的に圧倒し、神の存在を信じさせた。 今でいうアミューズメントパークや先端技術を使ったイベント空間である。
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23 どの色が使われているかで、西洋絵画の読み解きができる。
赤=慈愛・殉教・権力
黄=異端者・邪悪さ
白=純潔・無垢
黒=禁欲・死
緑=希望・恋
青=誠実さ・悲しみ
多色、縞=社会の規範を乱す者
これらは西洋の宗教絵画の色彩ルール。
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24 西洋絵画のルール
羊=純真・神への犠牲 鳩=清純さや犠牲の象徴・平和や愛を表わす
牛=生け贄・人類の犠牲となったイエスを象徴する
白鳥=音楽や愛を象徴
ユリ=聖母マリアの純潔を象徴する花
バラ=愛と美、聖母マリアの純潔の象徴
ブドウ=イエスの生命の象徴、血を表す
サクランボ=イエスの受難と聖餐(キリスト教の儀式:最後の晩餐など)を象徴
ドラゴン=災いをもたらす邪悪な存在。異教徒
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兎=多産と色欲。聖母マリアの足元に描かれる時は色欲が純潔に打ち負かされることを示す。
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25 描いた絵が大理石に代わるフレスコ画 石灰と川砂を混ぜたモルタルが乾く前に描くので表面ににじみ出た石灰が被膜となり大理石化するので色が退色しにくくフレッシュ。 だから、語源はイタリア語の "fresco" (新しい、新鮮な)という意味。
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26 14〜16世紀 ルネサンス。ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ラファエロ。油絵具の誕生。活版印刷術、羅針盤、火薬の三大発明。コロンブス、マゼラン。 16〜17世紀 バロック・ロココ時代、絶対王政。ルーベンス、レンブラント、フェルメール。デカダンス(芸術至上主義)。 通史は面白い。
27 ルネサンス3巨匠 ラファエロ,、ミケランジェロ、 ダ・ヴィンチ
28 ミケランジェロはこもりがちな性格で一途に仕事をするタイプ。 ラファエロは37才位で死ぬが、社交的で社交界の花。宮廷、財閥らパトロンに引っぱりだこのナイスガイで、 ダ・ヴィンチはパトロンからの仕事も中途半端で完成させず、二人とは正反対。
29 レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年〜1519年) ルネッサンス期のミケランジェロ、ラファエロらと三代巨匠(芸術家)の一人。「最後の晩餐」「モナ・リザ」などで誰もが知っている画家であるが、 それは彼の単なる一面であり 実は、環境の観察に膨大な時間を費やしていた科学者でもある。
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30 レオナルド・ダ・ヴィンチは、 凡庸な人間は「注意散漫に眺め、聞くとはなしに聞き、感じることもなく触れ、味わうことなく食べ、体を意識せずに動き、香りに気づくことなく呼吸し、考えずに歩いている」と嘆き、あらゆる楽しみの根底には感覚的知性を磨くといった真面目な目的があると提唱していた。
31 『最後の晩餐』 消失点であるキリストのこめかみには穴が空いている。ダ・ヴィンチは、この穴からひもを引っ張って作図した。ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描かれている遠近法(一点透視図法)を完璧に実証している絵。
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32 名画モナ・リザは技法のデパート。 顔や右手に比べて左手が以上にでかい。一番手前のインパクトを出すための対比。背景は輪郭線を使わない空気遠近法。頭に薄いベールをまとうことで輪郭線をぼかし表情を際立たせている。“重ね”の効果も使っている。
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33 ダ・ヴィンチは、最先端の技術・技法と新しい視点・考え方で 芸術、解剖学、医学、自然科学、発明…様々な分野でイノベーションを起こした。
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34 ミケランジェロはホモセクシャルだったので、女性像の作品でも男性モデルを描いたデッサンをもとに制作していた。 そのため女神をテーマにした作品でも筋肉質でたくましく感じられる。
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35 顔がでかいダヴィデ像。遠近法は絵画だけの技法ではない。巨匠ミケランジェロ作 ダヴィデ像。 見上げる位置にセッティングすることを計算し、胴体に対して顔を大きく首を長く制作し下から見た時にプロポーションが自然にみえるように造られている。
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36 細密描写が得意な画家デューラー。 自分は芸術界の救世主!といわんばかりに自画像にイエス・キリストのテイストを盛り込んで描いている。 絵画は写真のように見たままを写すのではなく様々な情報をブレンドして描かれている。 絵は情報伝達ツール。
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37 バベルの塔。 ブリューゲルの絵はいつも壮大で、日常と幻想のハイブリットなので速攻でわくわくする。この絵を初めて観たのは小学校の教科書。 マンガの『バビル2世』が大好きだったので親近感もあったせいか一目でその世界観の虜にされた。
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38 バロック絵画は”ビジュアル インパクト”のルーツ。 『いびつなな真珠』ともいわれるバロック作品は、 誇張した表現、劇的な構図、歓喜するテーマなど 現代のハリウッド映画など各メディアのお手本になっている。
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39 バロック絵画は、キリスト教布教のための大看板 広告だからインパクトを持たせるためにビジュアル技法が研究されていった。 映画の3D化と同じ誇張と歓喜。バロック絵画ってその当時の最先端技法を使った広告塔、現代のハリウッド映画のようなもの。
40 古典絵画の中に現代も必要とされているプレゼンテーションのスキル要素、ノウハウが盛りだくさん。名画はその当時のヒット広告。壁画や古典絵画は、遠目で際立つ看板や広告の原点。インパクトの出し方、人の心のつかみ方など研究されている。
41 絵で光と影の演出革命を起こしたカラバッジョ。 17歳の時天涯孤独の身となりローマで絵の修業をするが賭け事の口論で殺人を犯す。絵の才能で免罪されるが激しい気性のため罪を繰り返す。
42 人を殺め逃亡しながらも絵を描き、その才能のおかげで免罪されてもその気性の荒さからまた罪を犯し、逃亡生活の中で歴史に残る作品を描き続けた画家。遺作と同様に斬首刑で幕を閉じた人生も作品も劇的なカラバッジョ。
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43 名画やヒット商品は制作者の提案がユーザーに伝わるだけではなく、制作者の思いがユーザーの思いに交ざり合い各ユーザー個々の物語として広がっていく。ルーベンスのようなヒットメーカーの【デザイナー】は思いを共感させるコミュニケーションの達人。
44 バロック絵画の巨匠ルーベンスはコミュニケーションの達人であり、優秀な外交員でもあった。現代でいえば売れっ子デザイナーといえる彼を悩ましていた病は痛風。王侯並みの生活が原因だったのか贅沢な晩餐会などの付き合いの数も多かったのだろう。
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45 バロック絵画の巨匠レンブラントは、この作品がきっかけで落ち目になった。
46 バロック時代、画家はクライアントの依頼に忠実なデザイナーだった。 バロック絵画の巨匠レンブラントの集団肖像画『夜警』は、勝手にストーリーをつくられて不公平だといった理由で依頼者たちに訴えられた。
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47 クリエイターは一人の力だけで仕事をしない。傲慢さで力を封じ込めないように人との関わりの中で揉まれながら探求し成長し続けるから活力と幸福感が持続する。バロック絵画の巨匠レンブラントは不運が続き、一人閉じこもることで成長を止めていった。
48 バロック絵画は、キリスト教布教のための大看板 広告だからインパクトを持たせるためにビジュアル技法が研究されていった。 映画の3D化と同じ誇張と歓喜。バロック絵画ってその当時の最先端技法を使った広告塔、現代のハリウッド映画のようなもの。
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49 人生の寓意画。 17世紀 バロック時代の静物画。 リュートは聴覚、パンは味覚、巾着は触覚、花は嗅覚、鏡は視覚、それぞれ五感を象徴して描かれている。この時代の静物画は、物の意味(寓意)の要素が濃く、人生の寓意画として描かれている。
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50 王女の遊び相手の道化に踏まれても我慢している忠実を表す犬は、宮廷画家ベラスケス自身。画面奥の鏡に王女の部屋に入ってきた王が映っている。王女たちが緊張した空気に包みこまれた瞬間を描いて絵、王家の隠された真実を絵画の中に描き残している。
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51 ニュートンが光によって色が見えることを発見した。大半の人々はリンゴが地面に向かって落ちることも闇で色が認識できないことも疑問に思わないで過ごしていた。ニュートンが万有引力や光によって色がみえることに気づくまで追求することはなかった。
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52 ロマン主義のドラクロアなど産業革命で庶民が力を持ち始めた活気を感じます。 バロック主義は、ルーベンスの画面構成とレンブラントのストーリー性といった2大巨匠の絵画が現代のハリウッド映画を思わせる誇張と歓喜の原点といえます。
53 18〜19世紀 ロマン主義。 ドラクロア、ゴヤ、産業革命、フランス革命。線路、機関車の発明。
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54 ロマン主義の「ロマン」とはロマンティックではなく 「ローマ帝国の(支配階級、知識階級ではなく)庶民の文化に端を発する」 という「ローマン(ローマの人)」といった意味。 この時代は絶対王政が終わり産業革命が起こり、民衆が力を持ってきた。
55 絶対王政が終わり産業革命で民衆が力を持ってきた時代、 ロマン主義が起こった 。 「ロマン」とはロマンティックではなく、「ローマ帝国の(支配階級、知識階級ではなく)庶民の文化に端を発する」という「ローマン(ローマの人)」といった意味。
56 ヨーロッパでロマン主義と産業革命が18世紀に起こって、 絶対王政から市民が解放されたとはいっても庶民の生活は劣悪だった。 大企業は潤っても都市で働く庶民の生活は変わらず貧困で、 平均寿命は15年(古代エジプトより短い)だった。
57 ロマン主義のドラクロアなど産業革命で庶民が力を持ち始めた活気を感じます。 バロック主義は、ルーベンスの画面構成とレンブラントのストーリー性といった2大巨匠の絵画が現代のハリウッド映画を思わせる誇張と歓喜の原点といえます。
58 シェイクスピアの戯曲に登場する「オフィーリア」が描かれた絵について。 実は絵の背景に色々な意味が込められています。そう思ってもう一度絵を観ると、今までと違った感覚で捉える事ができます。
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59 バルビゾン派と呼ばれる画家たちは、 都会から田舎へはじき出されたのではない。 自ら都会の下らない権威や醜い争いから離れ、 人間本来の生き方を正しく見直そうとした。
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60 イノベーション(新しい視点、開発、考え方)を起こすクリエイターの思惑、思いとは 違ったものとして、誤解されてしまうことがある。
61 印象派の父といわれる画家マネのスキャンダルをまねいた作品『オリンピア』。
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62 その時代の発明・発展と美術の展開との関連性は強い。 19世紀 印象派の時代。 チューブ入り油絵具、写真技術、電球、電話の発明。 電気で明るく照らされたアトリエ。 絵具チューブをもって、野外で油絵が描けるようになり色も輝きだした。
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63 19世紀後半 印象派の時代。 モネ、ドガ、ルノアール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン。 チューブ入り油絵具、写真技術、電球、電話の発明。 美術史も通史で学ぶとアートが面白くなる。
64 気持ちがいい晴天。こんな日は野外で絵でも描きたい。 19世紀にチューブ入りの絵具が発明されてから、野外の日の光の中で絵具を使って描けるようになった。 この発明が、輝くような色使いをする印象派の画家たちを生んだといってもいい。
65 バロック、ロマン主義時代の威圧的で重厚な絵画と比べて 印象派画家たちの絵画はいきなり軽やかに輝きだす。 これはチューブ入り絵具が開発され、暗く閉鎖された工房やアトリエから解放されて、光に満ちた野外へ飛び出していたこともその理由の一つ。
66 19世紀に写真が発明され、それまで依頼されてきた肖像画、風景画などの仕事が減少し、印象派の画家たちは、失業していった。いわゆる宝の持ち腐れとなった。クライアントがいないのだったら自分が好きなもの、信じる絵を追求しようということになる。
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67 写真に発明で絵の依頼が減り、画家たちは失業する。クライアントを失った印象派の画家たちは自分の描きたいもの信じるものを描き出す。題材も日常生活や家族、友達の姿を描き出した。
68 印象派時代、 絵具チューブの開発で野外などどこでも描けるようになり描く題材も日常や家族、友達の姿を描いている。
69 画家のオディロン・ルドンは、鮮烈な色彩で花を描いた。 若い頃は印象派の色彩表現に惹かれながらも あえてモノクロの版画を利用し想像力を磨いた。
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70 鮮烈な色彩で花を描いたオディロン・ルドンが色を使い出したのは、 50歳を過ぎてからである。
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71 クリエイターの発想の源にジャンルの隔たりはない。画家オディロン・ルドンは植物学者アルマン・クラヴォーと知り合い、顕微鏡下の世界に魅せられ、その出会いが画風にも影響していく。個性とは環境に造られていく。氾濫する情報からの選択眼が重要。
72 クリエイターは色んな側面を持つ。
73 人や物事は色んな側面を持つ。
74 情熱の画家ゴッホの遺作『花咲くアーモンドの枝』。生命力にあふれる『ひまわり』の絵で有名なゴッホは、彼を支えてくれた弟テオの生まれたばかりの息子のために春を待つかわいい希望の花を最後に描いて亡くなった。
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75 ”思い”の強さで違いがでる。画家になる前にゴッホは牧師だった。ゴーギャンは25歳頃までは株の仲買人。 ルソーは”税理士”で世に出ている作品は50歳過ぎに描いたもの。 歴史に残る作家は特別な才能があったということより”伝えたい思い”といったモチベーションが極めて高かったといえる。
76 歴史に残る作家は特別な才能があったということより思いを伝えるモチベーションが極めて高かったといえる。画家になる前にゴッホは牧師だった。ゴーギャンは25歳頃までは株の仲買人、ルソーは税理士で、世に出ている作品は50歳過ぎに描いたもの。
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77 25歳頃までは”株の仲買人”だったゴーギャン、ゴッホは牧師、税理士だったルソーの世に出ている絵のほとんどは50歳過ぎに描いた。 年齢的に遅いというものはなく10、20代で人生は決まらない。
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78 株式仲買商の仕事を辞め、家族も捨ててタヒチに渡り、絵を描いたゴーギャンの遺作、最後の作品『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』1897-1898年。 このタイトルの真意、描いた心中がとても気になる。
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79 追及したいといった執念が感覚を鋭くする。 印象派の画家ドガ。 彼は晩年、視力をほとんどなくしながらも経験と記憶で絵具の色の違いを 嗅覚で嗅ぎ分けて描いた。
80 画家ルドンの描く絵は、肖像画や花瓶に生けられた花でさえ神秘的にみえる。 なぜなら彼の興味は、周りで騒がれる売れっ子の画家たちの作品や世の中の風潮より、幼い頃から大好きだった神話の世界や顕微鏡でのぞきみる世界に向かれて大切にしていた。
81 エゴン・シーレの”ドローイング(デッサン)”は、 絵画への準備(下描き)的な制約からそれを解放して、作品として独立しうるものになっている。
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82 19世紀フランスの画家コロー あえて民族衣装をまとわせ人物画を描いた。 風景画を描くときも民族衣装を着た人物を画面に入れ、時代劇の一場面のような絵を描いた。 母国の文化を大切に思い、現代人が自分たちのルーツを忘れないように努力した。
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83 夕焼けを描いた絵画がなかったかなあーと思ったら、ターナーがいた。 このイギリス人巨匠画家は、夕焼けか朝焼けだか分からない絵が多いが、 実は油絵の溶き油が長い年月でやけて、黄変しているせいだったりもする。
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84 モンマルトルのカフェで芸術論をぶつけ合い苦悩する前衛画家たちの中で、幸せそうに絵を描いていたルノアール。師匠から「君はなぜ描いているのだ」とかいった問いに対して「楽しいから」と答え、破門された。そんなルノアールは絵画に輝きを与えた。
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85 印象派の巨匠、病床のルノワールは最後にアネモネの絵を描きました。「ようやく何かがわかりかけた気がする。」という言葉を残し、その夜に亡くなったそうです。78歳でした。
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86 光に照らされた明るい部分の色は”白い”のではなく“鮮やか”にみえる。いわゆる発色がよく、彩度が高い。絵具は混色することで彩度が下がる。印象派の画家たちはキャンバスに純色を置くように重ねていった。だから色に光を感じる。
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87 それまでの絵を描く目的、題材が宗教や権威、権力といった限られたものから 印象派の画家たちによって、単に庶民的になったということだけではなく、描くモチベーションの幅が宇宙での出来事まで一気に広がっていき、画期的な発展を遂げている。
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88 肖像画とは写真のように写し取ることが目的ではなく、 その「人物」を象徴する情報を組み合わせ、描き伝えること。 収集する情報の選択と整理をするときに作者の視点、解釈が加味される。
89 原始人たちは、住いの壁に生きていくためのサバイバル生活を描いた。古代ギリシャは“感動(エロス)、中世は感情(宗教)、ルネサンスは人間(現実)を表現した。バロックは権力、ロマン主義では革命。 印象派から個人的なタイムラインを描き出した。
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90 近代、世界中の新進気鋭のアーティストが集まっていたフランス パリから、 第2次世界大戦後の1950年代ころ、前衛アートシーンの中心がアメリカのニューヨークに移ってきた。 アートの主導権争いも経済や国力に左右されてきた。
91 実体のないものをテーマに描こうとした絵。形而上絵画
92 郷愁や哀愁、人の心情を描くとこんな絵になる。画家キリコ、何か不安になる絵画。
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93 静謐、郷愁、謎、幻惑、困惑、不安など、かたちがないものをテーマとして描いた絵。 「時計は、正午に比較的近い時刻を示しているのに影がひどく長い」 「走る汽車の煙はまっすぐ上に向かっている」
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94 シュルレアリスムの画家サルバドール・ダリ。毎回、クオリティーが落ちないように時間をかけて丁寧に砂糖で固めていた長くそり上がったひげがダリの象徴といえる。そんなこだわりに「シュルレアリスム画家ダリ」として生きる魅力を感じる。
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95 自宅アパートの狭いキッチンで、世界中に名をとどろかせる絵を描いていた庶民派の画家マグリット。 キッチンの窓から見える風景やテーブルの上の果物などどこにでもある身近なものから想像を膨らませていた。
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96 スーツ姿で描いていた庶民派サラリーマン画家マグリット。
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97 「発想は情報の組合わせ」
知らないものや理解できないものにはなかなか共感できない。そんなものでも見慣れたものとの組合せで受け入れやすくなる。新鮮な視点が物事を劇的に変える。画家マグリットは皆が知っているもの、身近なものの新鮮な組み合わせで世界を驚かせた。
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98 『私は人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい』 画家 マティス。 身の丈を超す巨大な観葉植物が立ち並び、テーブルの上には多様な花でいっぱいの植物園のような自分にとって心地よい空間、創作環境で数々の傑作を生みだしていた。
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99 画家も何のために描くのか”その思い”が心に響く。
100 「へたくそ」「素人画家」とパリ、モンマルトルの画家たちから馬鹿にされていたアンリ・ルソーの絵をその頃、近代絵画の巨匠ピカソだけはほめていた。やはりピカソには、絵を「上手い下手」だけでは評価しない先見の明があったといえる。
101 日曜画家だったアンリ・ルソー。 世界的に知られる名画はすべて50過ぎに描いた作品。
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102 パリの画家アンリ・ルソー 異国のジャングルや森の中を描いていることからナポレオン4世のアフリカ遠征に同行したなどとうわさされていたが、実際には近所の植物園でのスケッチとお気に入りの動物写真集と旅行をしてきた知人の話を参考に描いていた。
103 画家ルソーの絵は本当に体感してきたような緻密さとリアルさがあるが、ジャングルに行ったことがない。
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104 伝達手段の発達(映画)、キュビズム。モダンアートの時代。 ルネサンス以来の写実(遠近法、色)を放棄。 目に映るもの、色彩ではなく、心が感じる色彩とかたちを表現した。ダ・ヴィンチから引き継がれていた遠近法を否定した近代絵画の巨匠ピカソの作品 「アビニヨンの娘たち1907年-1908年」「私は対象を見えるようにではなく、私が見たままに描くのだ。」 =多重視点構造⇔単視点構造(ルネサンス以降の絵画)
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105 近代美術の巨匠ピカソは、友人(画家)のアトリエに招待されなくなっていった。それはピカソにはライバルたちの新作を一目みただけで模倣ではなく、完全に自分の作品として創造する力を持っていたからだ。
106 ピカソは、他者の新鮮な発想を価値ある情報であると一瞬で見抜き、個性にしていった。
107 一人では天才は生まれなかった。 環境やパートナー、ライバル達からの影響で、創造性とその才能も開花していったといえる。
108 画家ピカソは正式な妻以外にも何人かの愛人を作った。 ピカソは生涯に2回 結婚し、3人の女性との間に4人の子供を作った。 出会った女性たちや周り友人、ライバルたちによって”天才ピカソ”も”個性的な作品”も造られていったといえる。
109 ピカソは、新鮮な情報を他者から盗み、新しい視点と組み合わせで 美術表現にイノベーションを起こした。
110 フランシス・ベーコン。ピカソと並ぶ近代の画家であるが、描く対象としていた友人(パートナー)を失うことで創作のモチベーションを保てなくなった。 エゴン シーレもシャガールもパートナーの存在なしでは名作は生まれなかった。 人の原動力は人。
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111 アンチアートの時代
「芸術」という概念そのものを疑う。 美術館に回収されることや画商などに商品として扱われることを拒否。 それまでの芸術性を無視した絵画、日用品などを作品として展示するレディ・メイドなど過激ともとられる表現がでた。
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112 彼女とのことばっかり、ずっと思い続けた画家シャガール。
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113 たまに思い出して気持ちが新鮮になる言葉 「私たちの生き方には二通りしかない。奇跡など全く起こらないかのように生きるか、すべてが奇跡であるかのように生きるかである」 by アインシュタイン
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114 現代
真夏日が続いてぐったりするので、プールで泳ぐ涼しげな作品。 ポップ・アート運動にも参加していたデイヴィッド・ホックニーは、プールの写真や絵の作品をたくさん制作している。
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115 西洋では日が暮れてもなかなか明かりをつけない。 薄明りの中で過ごす時間が多い人ほど明暗の感度が敏感になる。 東洋画の線のこだわりに対し、西洋画は光と影にこだわり、 その表現に幅がある。
アートを読み解く人は、
表面的な好みで作品を選んでいない。
アートの観方は自由で、
好みの作家や話題の名画などを楽しむのが一番
だけど、
好みでもなく
どちらかというと一見、分からない作品のテーマや
隠されているエピソードを読み解いてみると
観方が劇的に変わる。
目で見ているのではない。脳で観ている。
視覚情報を処理するときに脳の25%、神経経路の65%以上が使用され
これは他のどの感覚よりも使用率が高い。
絵を観るだけで脳が活性化され五感が磨かれる。
絵を鑑賞(読み解く)することは、
観察力・思考力・伝達力を磨く。
すべて、思い込みが邪魔をしている。
他の人にとっては、どうでもいいもの、絵や言葉でもその出会いで、随分と気持ちが晴れたり、心が穏やかになる考え方ができるようになったりする。
一日に一つでもそんな出会いや気づきがあると嬉しい。見直す意識があればそんなことが意外なほどある。
大抵の悩みは、勝手な自分の思い込み。
周りも自分も絵を描くようによく観て見直すと色んなことが観えてきて気づきがあり、
気分が晴れてくる。
答えは決まっていない、創造すればいい。
① アートのはじまり。石器時代
映像の起源ともいえる壁画。紀元前3万年 古代壁画(ショーヴェ)。 壁際のたいまつの火が揺れるとでこぼこの壁面に描かれた動物の絵が動いているような錯覚を起こさせる。映像技術のアイデアをすでに古代人は発想していた。
ショ―ヴェ洞窟の壁画。 生きていくため獲物がとれるように願いをこめて描かれ、 まじないの儀式のために壁画をやりで突いたと思われるキズもある。 火を照らすとでこぼこの壁面に描かれた動物の絵が動いてみえる 映像の起源ともいえる効果がある。
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② アートは人間の代用といった考え方。古代エジプトでは、王の死には廻りの者達が生け煮え(生きたまま埋葬)になるという残酷な慣習があった。生け贄えの慣習に代わり(副葬品)として美術品が生まれた。
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③ 迷信による原始的な残酷さと美しいものをつくる能力が共存していた時代といえる。
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④ 古代エジプト人は「人の目」を通したもの、また「人の意見」を通した(独創的な)表現を全く受け入れることがなかった。独創的な表現は、神への冒涜を表すこととなり死罪に値することだったから。
⑤ 美の追求ではなかった古代エジプトの壁画。一見 稚拙な表現にみえるが、生物学者が納得するほど正確な特徴が描かれていて、生息を証明する重要な資料になっている。 古代から絵を描くことは、日常的な伝達手段、記録手段として活用されていた。
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⑥ 紀元前3千~30年 三千年の歴史、古代エジプト。 太陽暦、幾何学。
⑦ エジプト絵画のルール。
身分の高い人ほど大きく描く、小さいのは子供ではなく低い身分や奴隷たち。
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遠近法を使わないが集団、奥行を描くときには上下左右にずらして少しずつ重ねて描く。
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⑧ 顔は横顔とする、目は正面を向く。 肩、胸、腕は正面を向け胴体と足は横向き。 足は左右を描き分けない。 土踏まずを描く場合には、両足に描く。
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⑨ 死後の世界との接点が多く見られる古代エジプト美術。古代エジプト人は、死後の世界に対して独特の関心を持っていた。古代エジプト人ほど「永遠」という言葉を好んだ民族はないといわれる。かれらの死後の世界を描いたのが「死者の書」。のちのユダヤ教、キリスト教の「最後の審判」に影響をあたえた。
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⑩ 紀元前2千4百年 古代ギリシャ。 ソクラテス、アクロポリス。 エジプト文明は地中海を渡り、クレタ島からギリシャ都市国家に影響していった。 ギリシャ人は、アートを 「熟練した洞察力と直感を用いた美的な成り行き」と定義した。
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⑪ 古代ギリシャの哲学者とは、宗教と科学の狭間にある者で宣教者でもあり科学者でもあった。 また、ギリシャ人は厳格なルールに縛られない自由な人種だった。 ルールはあるもののその中にも限りなく自由があり、 そんな思考がクリエイターに大きな影響を与える。
⑫ 古代ギリシャの絶対的な美の基本 心身の動揺を伴うような強い感動【emotion】をどれくらい与えられるかにあった。 その頃はアートといった学術的な縛りはなく、教育や学問の目的が共通して人類に【emotion】を与えることだったといえる。
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⑬ 古代ギリシャでは人の心を動かす本質を真剣に考えていた。
⑭ 絶対的な美 古代ギリシャ人は『絶対的な美』について、 見るものをどれくらい感動させられるか、という点にあると考えた。 その結果、ギリシャの芸術作品は 完璧な美を備えている神々の姿をとった彫刻が多い。
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⑮ 古代ギリシャの哲学者ソクラテスの弟子はプラトン、 プラトンの弟子はアリストテレス。 アリストテレスはアレクサンドロス大王の家庭教師だった。 ソクラテスは自分の哲学を著作しなかったのでプラトンが書き残した。 弟子を集めてエロスを追求していた。
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⑯ 顔の表情があまりないギリシャ彫刻 これは古代ギリシャ人の『人間的感情を公で出すのは野蛮である』の考えに基づくもの。 日本でも平安貴族と鎌倉武士それぞれの考えの違いで彫刻の表情が全く違う。どの時代も人の考え、思いを伝えている。
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⑰ ヨーロッパ中世時代:絵(アート)は伝えるための道具。
⑱ アートの暗黒時代【中世時代(東ローマ帝国)】
海賊や山賊がのさばるなど無法地帯となっている世を宗教の規律(神の教え)で統制した。言葉の理解や文字が読めない者たちも含め広く布教していくためにアートを利用した。
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⑲ 時代によってアートの目的とモチベーションは違うところにある。 古代ギリシャでは美(理想美)の基本、エロス、感動を表現しているのに対し、 中世(キリスト教美術)時代は感情(愛情、罪、罰、苦悩など)を表現している。 だから中世時代の絵画は重たい。
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⑳ 大きな流れに沿いながらも信じる方向性を示していく。ただ反発しても結果は出せない。アートの暗黒時代”ビザンチン”。宗教のために美術が利用された時代から、人間本来の姿に関心を向けていった”ルネサンス”に繋げた画家ジョット・ディ・ボンドーネの功績は大きい。
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21 ヨーロッパ 中世 ロマネスク、ゴシック、ビザンチン。 宗教のためだけに利用された美の暗黒時代。 教会堂建築は最高の知識・技術・芸術が集約されている。 クリエイターたちがストレスを受け入れて、希望を見出した時代。
22 昔の作品は、古典って言われるけど、その当時は最先端の技術で制作されてたヒット作。 教会は、建築技術、ステンドグラス、フレスコ技法など その時代の最新技術を使い、 庶民たちを空間的に圧倒し、神の存在を信じさせた。 今でいうアミューズメントパークや先端技術を使ったイベント空間である。
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23 どの色が使われているかで、西洋絵画の読み解きができる。
赤=慈愛・殉教・権力
黄=異端者・邪悪さ
白=純潔・無垢
黒=禁欲・死
緑=希望・恋
青=誠実さ・悲しみ
多色、縞=社会の規範を乱す者
これらは西洋の宗教絵画の色彩ルール。
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24 西洋絵画のルール
羊=純真・神への犠牲 鳩=清純さや犠牲の象徴・平和や愛を表わす
牛=生け贄・人類の犠牲となったイエスを象徴する
白鳥=音楽や愛を象徴
ユリ=聖母マリアの純潔を象徴する花
バラ=愛と美、聖母マリアの純潔の象徴
ブドウ=イエスの生命の象徴、血を表す
サクランボ=イエスの受難と聖餐(キリスト教の儀式:最後の晩餐など)を象徴
ドラゴン=災いをもたらす邪悪な存在。異教徒
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兎=多産と色欲。聖母マリアの足元に描かれる時は色欲が純潔に打ち負かされることを示す。
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25 描いた絵が大理石に代わるフレスコ画 石灰と川砂を混ぜたモルタルが乾く前に描くので表面ににじみ出た石灰が被膜となり大理石化するので色が退色しにくくフレッシュ。 だから、語源はイタリア語の "fresco" (新しい、新鮮な)という意味。
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26 14〜16世紀 ルネサンス。ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ラファエロ。油絵具の誕生。活版印刷術、羅針盤、火薬の三大発明。コロンブス、マゼラン。 16〜17世紀 バロック・ロココ時代、絶対王政。ルーベンス、レンブラント、フェルメール。デカダンス(芸術至上主義)。 通史は面白い。
27 ルネサンス3巨匠 ラファエロ,、ミケランジェロ、 ダ・ヴィンチ
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28 ミケランジェロはこもりがちな性格で一途に仕事をするタイプ。 ラファエロは37才位で死ぬが、社交的で社交界の花。宮廷、財閥らパトロンに引っぱりだこのナイスガイで、 ダ・ヴィンチはパトロンからの仕事も中途半端で完成させず、二人とは正反対。
29 レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年〜1519年) ルネッサンス期のミケランジェロ、ラファエロらと三代巨匠(芸術家)の一人。「最後の晩餐」「モナ・リザ」などで誰もが知っている画家であるが、 それは彼の単なる一面であり 実は、環境の観察に膨大な時間を費やしていた科学者でもある。
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30 レオナルド・ダ・ヴィンチは、 凡庸な人間は「注意散漫に眺め、聞くとはなしに聞き、感じることもなく触れ、味わうことなく食べ、体を意識せずに動き、香りに気づくことなく呼吸し、考えずに歩いている」と嘆き、あらゆる楽しみの根底には感覚的知性を磨くといった真面目な目的があると提唱していた。
31 『最後の晩餐』 消失点であるキリストのこめかみには穴が空いている。ダ・ヴィンチは、この穴からひもを引っ張って作図した。ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描かれている遠近法(一点透視図法)を完璧に実証している絵。
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32 名画モナ・リザは技法のデパート。 顔や右手に比べて左手が以上にでかい。一番手前のインパクトを出すための対比。背景は輪郭線を使わない空気遠近法。頭に薄いベールをまとうことで輪郭線をぼかし表情を際立たせている。“重ね”の効果も使っている。
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33 ダ・ヴィンチは、最先端の技術・技法と新しい視点・考え方で 芸術、解剖学、医学、自然科学、発明…様々な分野でイノベーションを起こした。
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34 ミケランジェロはホモセクシャルだったので、女性像の作品でも男性モデルを描いたデッサンをもとに制作していた。 そのため女神をテーマにした作品でも筋肉質でたくましく感じられる。
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35 顔がでかいダヴィデ像。遠近法は絵画だけの技法ではない。巨匠ミケランジェロ作 ダヴィデ像。 見上げる位置にセッティングすることを計算し、胴体に対して顔を大きく首を長く制作し下から見た時にプロポーションが自然にみえるように造られている。
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36 細密描写が得意な画家デューラー。 自分は芸術界の救世主!といわんばかりに自画像にイエス・キリストのテイストを盛り込んで描いている。 絵画は写真のように見たままを写すのではなく様々な情報をブレンドして描かれている。 絵は情報伝達ツール。
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37 バベルの塔。 ブリューゲルの絵はいつも壮大で、日常と幻想のハイブリットなので速攻でわくわくする。この絵を初めて観たのは小学校の教科書。 マンガの『バビル2世』が大好きだったので親近感もあったせいか一目でその世界観の虜にされた。
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38 バロック絵画は”ビジュアル インパクト”のルーツ。 『いびつなな真珠』ともいわれるバロック作品は、 誇張した表現、劇的な構図、歓喜するテーマなど 現代のハリウッド映画など各メディアのお手本になっている。
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39 バロック絵画は、キリスト教布教のための大看板 広告だからインパクトを持たせるためにビジュアル技法が研究されていった。 映画の3D化と同じ誇張と歓喜。バロック絵画ってその当時の最先端技法を使った広告塔、現代のハリウッド映画のようなもの。
40 古典絵画の中に現代も必要とされているプレゼンテーションのスキル要素、ノウハウが盛りだくさん。名画はその当時のヒット広告。壁画や古典絵画は、遠目で際立つ看板や広告の原点。インパクトの出し方、人の心のつかみ方など研究されている。
41 絵で光と影の演出革命を起こしたカラバッジョ。 17歳の時天涯孤独の身となりローマで絵の修業をするが賭け事の口論で殺人を犯す。絵の才能で免罪されるが激しい気性のため罪を繰り返す。
42 人を殺め逃亡しながらも絵を描き、その才能のおかげで免罪されてもその気性の荒さからまた罪を犯し、逃亡生活の中で歴史に残る作品を描き続けた画家。遺作と同様に斬首刑で幕を閉じた人生も作品も劇的なカラバッジョ。
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43 名画やヒット商品は制作者の提案がユーザーに伝わるだけではなく、制作者の思いがユーザーの思いに交ざり合い各ユーザー個々の物語として広がっていく。ルーベンスのようなヒットメーカーの【デザイナー】は思いを共感させるコミュニケーションの達人。
44 バロック絵画の巨匠ルーベンスはコミュニケーションの達人であり、優秀な外交員でもあった。現代でいえば売れっ子デザイナーといえる彼を悩ましていた病は痛風。王侯並みの生活が原因だったのか贅沢な晩餐会などの付き合いの数も多かったのだろう。
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45 バロック絵画の巨匠レンブラントは、この作品がきっかけで落ち目になった。
46 バロック時代、画家はクライアントの依頼に忠実なデザイナーだった。 バロック絵画の巨匠レンブラントの集団肖像画『夜警』は、勝手にストーリーをつくられて不公平だといった理由で依頼者たちに訴えられた。
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47 クリエイターは一人の力だけで仕事をしない。傲慢さで力を封じ込めないように人との関わりの中で揉まれながら探求し成長し続けるから活力と幸福感が持続する。バロック絵画の巨匠レンブラントは不運が続き、一人閉じこもることで成長を止めていった。
48 バロック絵画は、キリスト教布教のための大看板 広告だからインパクトを持たせるためにビジュアル技法が研究されていった。 映画の3D化と同じ誇張と歓喜。バロック絵画ってその当時の最先端技法を使った広告塔、現代のハリウッド映画のようなもの。
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49 人生の寓意画。 17世紀 バロック時代の静物画。 リュートは聴覚、パンは味覚、巾着は触覚、花は嗅覚、鏡は視覚、それぞれ五感を象徴して描かれている。この時代の静物画は、物の意味(寓意)の要素が濃く、人生の寓意画として描かれている。
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50 王女の遊び相手の道化に踏まれても我慢している忠実を表す犬は、宮廷画家ベラスケス自身。画面奥の鏡に王女の部屋に入ってきた王が映っている。王女たちが緊張した空気に包みこまれた瞬間を描いて絵、王家の隠された真実を絵画の中に描き残している。
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51 ニュートンが光によって色が見えることを発見した。大半の人々はリンゴが地面に向かって落ちることも闇で色が認識できないことも疑問に思わないで過ごしていた。ニュートンが万有引力や光によって色がみえることに気づくまで追求することはなかった。
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52 ロマン主義のドラクロアなど産業革命で庶民が力を持ち始めた活気を感じます。 バロック主義は、ルーベンスの画面構成とレンブラントのストーリー性といった2大巨匠の絵画が現代のハリウッド映画を思わせる誇張と歓喜の原点といえます。
53 18〜19世紀 ロマン主義。 ドラクロア、ゴヤ、産業革命、フランス革命。線路、機関車の発明。
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54 ロマン主義の「ロマン」とはロマンティックではなく 「ローマ帝国の(支配階級、知識階級ではなく)庶民の文化に端を発する」 という「ローマン(ローマの人)」といった意味。 この時代は絶対王政が終わり産業革命が起こり、民衆が力を持ってきた。
55 絶対王政が終わり産業革命で民衆が力を持ってきた時代、 ロマン主義が起こった 。 「ロマン」とはロマンティックではなく、「ローマ帝国の(支配階級、知識階級ではなく)庶民の文化に端を発する」という「ローマン(ローマの人)」といった意味。
56 ヨーロッパでロマン主義と産業革命が18世紀に起こって、 絶対王政から市民が解放されたとはいっても庶民の生活は劣悪だった。 大企業は潤っても都市で働く庶民の生活は変わらず貧困で、 平均寿命は15年(古代エジプトより短い)だった。
57 ロマン主義のドラクロアなど産業革命で庶民が力を持ち始めた活気を感じます。 バロック主義は、ルーベンスの画面構成とレンブラントのストーリー性といった2大巨匠の絵画が現代のハリウッド映画を思わせる誇張と歓喜の原点といえます。
58 シェイクスピアの戯曲に登場する「オフィーリア」が描かれた絵について。 実は絵の背景に色々な意味が込められています。そう思ってもう一度絵を観ると、今までと違った感覚で捉える事ができます。
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59 バルビゾン派と呼ばれる画家たちは、 都会から田舎へはじき出されたのではない。 自ら都会の下らない権威や醜い争いから離れ、 人間本来の生き方を正しく見直そうとした。
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60 イノベーション(新しい視点、開発、考え方)を起こすクリエイターの思惑、思いとは 違ったものとして、誤解されてしまうことがある。
61 印象派の父といわれる画家マネのスキャンダルをまねいた作品『オリンピア』。
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62 その時代の発明・発展と美術の展開との関連性は強い。 19世紀 印象派の時代。 チューブ入り油絵具、写真技術、電球、電話の発明。 電気で明るく照らされたアトリエ。 絵具チューブをもって、野外で油絵が描けるようになり色も輝きだした。
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63 19世紀後半 印象派の時代。 モネ、ドガ、ルノアール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン。 チューブ入り油絵具、写真技術、電球、電話の発明。 美術史も通史で学ぶとアートが面白くなる。
64 気持ちがいい晴天。こんな日は野外で絵でも描きたい。 19世紀にチューブ入りの絵具が発明されてから、野外の日の光の中で絵具を使って描けるようになった。 この発明が、輝くような色使いをする印象派の画家たちを生んだといってもいい。
65 バロック、ロマン主義時代の威圧的で重厚な絵画と比べて 印象派画家たちの絵画はいきなり軽やかに輝きだす。 これはチューブ入り絵具が開発され、暗く閉鎖された工房やアトリエから解放されて、光に満ちた野外へ飛び出していたこともその理由の一つ。
66 19世紀に写真が発明され、それまで依頼されてきた肖像画、風景画などの仕事が減少し、印象派の画家たちは、失業していった。いわゆる宝の持ち腐れとなった。クライアントがいないのだったら自分が好きなもの、信じる絵を追求しようということになる。
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67 写真に発明で絵の依頼が減り、画家たちは失業する。クライアントを失った印象派の画家たちは自分の描きたいもの信じるものを描き出す。題材も日常生活や家族、友達の姿を描き出した。
68 印象派時代、 絵具チューブの開発で野外などどこでも描けるようになり描く題材も日常や家族、友達の姿を描いている。
69 画家のオディロン・ルドンは、鮮烈な色彩で花を描いた。 若い頃は印象派の色彩表現に惹かれながらも あえてモノクロの版画を利用し想像力を磨いた。
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70 鮮烈な色彩で花を描いたオディロン・ルドンが色を使い出したのは、 50歳を過ぎてからである。
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71 クリエイターの発想の源にジャンルの隔たりはない。画家オディロン・ルドンは植物学者アルマン・クラヴォーと知り合い、顕微鏡下の世界に魅せられ、その出会いが画風にも影響していく。個性とは環境に造られていく。氾濫する情報からの選択眼が重要。
72 クリエイターは色んな側面を持つ。
73 人や物事は色んな側面を持つ。
74 情熱の画家ゴッホの遺作『花咲くアーモンドの枝』。生命力にあふれる『ひまわり』の絵で有名なゴッホは、彼を支えてくれた弟テオの生まれたばかりの息子のために春を待つかわいい希望の花を最後に描いて亡くなった。
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75 ”思い”の強さで違いがでる。画家になる前にゴッホは牧師だった。ゴーギャンは25歳頃までは株の仲買人。 ルソーは”税理士”で世に出ている作品は50歳過ぎに描いたもの。 歴史に残る作家は特別な才能があったということより”伝えたい思い”といったモチベーションが極めて高かったといえる。
76 歴史に残る作家は特別な才能があったということより思いを伝えるモチベーションが極めて高かったといえる。画家になる前にゴッホは牧師だった。ゴーギャンは25歳頃までは株の仲買人、ルソーは税理士で、世に出ている作品は50歳過ぎに描いたもの。
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77 25歳頃までは”株の仲買人”だったゴーギャン、ゴッホは牧師、税理士だったルソーの世に出ている絵のほとんどは50歳過ぎに描いた。 年齢的に遅いというものはなく10、20代で人生は決まらない。
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78 株式仲買商の仕事を辞め、家族も捨ててタヒチに渡り、絵を描いたゴーギャンの遺作、最後の作品『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』1897-1898年。 このタイトルの真意、描いた心中がとても気になる。
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79 追及したいといった執念が感覚を鋭くする。 印象派の画家ドガ。 彼は晩年、視力をほとんどなくしながらも経験と記憶で絵具の色の違いを 嗅覚で嗅ぎ分けて描いた。
80 画家ルドンの描く絵は、肖像画や花瓶に生けられた花でさえ神秘的にみえる。 なぜなら彼の興味は、周りで騒がれる売れっ子の画家たちの作品や世の中の風潮より、幼い頃から大好きだった神話の世界や顕微鏡でのぞきみる世界に向かれて大切にしていた。
81 エゴン・シーレの”ドローイング(デッサン)”は、 絵画への準備(下描き)的な制約からそれを解放して、作品として独立しうるものになっている。
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82 19世紀フランスの画家コロー あえて民族衣装をまとわせ人物画を描いた。 風景画を描くときも民族衣装を着た人物を画面に入れ、時代劇の一場面のような絵を描いた。 母国の文化を大切に思い、現代人が自分たちのルーツを忘れないように努力した。
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83 夕焼けを描いた絵画がなかったかなあーと思ったら、ターナーがいた。 このイギリス人巨匠画家は、夕焼けか朝焼けだか分からない絵が多いが、 実は油絵の溶き油が長い年月でやけて、黄変しているせいだったりもする。
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84 モンマルトルのカフェで芸術論をぶつけ合い苦悩する前衛画家たちの中で、幸せそうに絵を描いていたルノアール。師匠から「君はなぜ描いているのだ」とかいった問いに対して「楽しいから」と答え、破門された。そんなルノアールは絵画に輝きを与えた。
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85 印象派の巨匠、病床のルノワールは最後にアネモネの絵を描きました。「ようやく何かがわかりかけた気がする。」という言葉を残し、その夜に亡くなったそうです。78歳でした。
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86 光に照らされた明るい部分の色は”白い”のではなく“鮮やか”にみえる。いわゆる発色がよく、彩度が高い。絵具は混色することで彩度が下がる。印象派の画家たちはキャンバスに純色を置くように重ねていった。だから色に光を感じる。
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87 それまでの絵を描く目的、題材が宗教や権威、権力といった限られたものから 印象派の画家たちによって、単に庶民的になったということだけではなく、描くモチベーションの幅が宇宙での出来事まで一気に広がっていき、画期的な発展を遂げている。
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88 肖像画とは写真のように写し取ることが目的ではなく、 その「人物」を象徴する情報を組み合わせ、描き伝えること。 収集する情報の選択と整理をするときに作者の視点、解釈が加味される。
89 原始人たちは、住いの壁に生きていくためのサバイバル生活を描いた。古代ギリシャは“感動(エロス)、中世は感情(宗教)、ルネサンスは人間(現実)を表現した。バロックは権力、ロマン主義では革命。 印象派から個人的なタイムラインを描き出した。
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90 近代、世界中の新進気鋭のアーティストが集まっていたフランス パリから、 第2次世界大戦後の1950年代ころ、前衛アートシーンの中心がアメリカのニューヨークに移ってきた。 アートの主導権争いも経済や国力に左右されてきた。
91 実体のないものをテーマに描こうとした絵。形而上絵画
92 郷愁や哀愁、人の心情を描くとこんな絵になる。画家キリコ、何か不安になる絵画。
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93 静謐、郷愁、謎、幻惑、困惑、不安など、かたちがないものをテーマとして描いた絵。 「時計は、正午に比較的近い時刻を示しているのに影がひどく長い」 「走る汽車の煙はまっすぐ上に向かっている」
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94 シュルレアリスムの画家サルバドール・ダリ。毎回、クオリティーが落ちないように時間をかけて丁寧に砂糖で固めていた長くそり上がったひげがダリの象徴といえる。そんなこだわりに「シュルレアリスム画家ダリ」として生きる魅力を感じる。
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95 自宅アパートの狭いキッチンで、世界中に名をとどろかせる絵を描いていた庶民派の画家マグリット。 キッチンの窓から見える風景やテーブルの上の果物などどこにでもある身近なものから想像を膨らませていた。
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96 スーツ姿で描いていた庶民派サラリーマン画家マグリット。
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97 「発想は情報の組合わせ」
知らないものや理解できないものにはなかなか共感できない。そんなものでも見慣れたものとの組合せで受け入れやすくなる。新鮮な視点が物事を劇的に変える。画家マグリットは皆が知っているもの、身近なものの新鮮な組み合わせで世界を驚かせた。
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98 『私は人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい』 画家 マティス。 身の丈を超す巨大な観葉植物が立ち並び、テーブルの上には多様な花でいっぱいの植物園のような自分にとって心地よい空間、創作環境で数々の傑作を生みだしていた。
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99 画家も何のために描くのか”その思い”が心に響く。
100 「へたくそ」「素人画家」とパリ、モンマルトルの画家たちから馬鹿にされていたアンリ・ルソーの絵をその頃、近代絵画の巨匠ピカソだけはほめていた。やはりピカソには、絵を「上手い下手」だけでは評価しない先見の明があったといえる。
101 日曜画家だったアンリ・ルソー。 世界的に知られる名画はすべて50過ぎに描いた作品。
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102 パリの画家アンリ・ルソー 異国のジャングルや森の中を描いていることからナポレオン4世のアフリカ遠征に同行したなどとうわさされていたが、実際には近所の植物園でのスケッチとお気に入りの動物写真集と旅行をしてきた知人の話を参考に描いていた。
103 画家ルソーの絵は本当に体感してきたような緻密さとリアルさがあるが、ジャングルに行ったことがない。
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104 伝達手段の発達(映画)、キュビズム。モダンアートの時代。 ルネサンス以来の写実(遠近法、色)を放棄。 目に映るもの、色彩ではなく、心が感じる色彩とかたちを表現した。ダ・ヴィンチから引き継がれていた遠近法を否定した近代絵画の巨匠ピカソの作品 「アビニヨンの娘たち1907年-1908年」「私は対象を見えるようにではなく、私が見たままに描くのだ。」 =多重視点構造⇔単視点構造(ルネサンス以降の絵画)
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105 近代美術の巨匠ピカソは、友人(画家)のアトリエに招待されなくなっていった。それはピカソにはライバルたちの新作を一目みただけで模倣ではなく、完全に自分の作品として創造する力を持っていたからだ。
106 ピカソは、他者の新鮮な発想を価値ある情報であると一瞬で見抜き、個性にしていった。
107 一人では天才は生まれなかった。 環境やパートナー、ライバル達からの影響で、創造性とその才能も開花していったといえる。
108 画家ピカソは正式な妻以外にも何人かの愛人を作った。 ピカソは生涯に2回 結婚し、3人の女性との間に4人の子供を作った。 出会った女性たちや周り友人、ライバルたちによって”天才ピカソ”も”個性的な作品”も造られていったといえる。
109 ピカソは、新鮮な情報を他者から盗み、新しい視点と組み合わせで 美術表現にイノベーションを起こした。
110 フランシス・ベーコン。ピカソと並ぶ近代の画家であるが、描く対象としていた友人(パートナー)を失うことで創作のモチベーションを保てなくなった。 エゴン シーレもシャガールもパートナーの存在なしでは名作は生まれなかった。 人の原動力は人。
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111 アンチアートの時代
「芸術」という概念そのものを疑う。 美術館に回収されることや画商などに商品として扱われることを拒否。 それまでの芸術性を無視した絵画、日用品などを作品として展示するレディ・メイドなど過激ともとられる表現がでた。
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112 彼女とのことばっかり、ずっと思い続けた画家シャガール。
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113 たまに思い出して気持ちが新鮮になる言葉 「私たちの生き方には二通りしかない。奇跡など全く起こらないかのように生きるか、すべてが奇跡であるかのように生きるかである」 by アインシュタイン
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114 現代
真夏日が続いてぐったりするので、プールで泳ぐ涼しげな作品。 ポップ・アート運動にも参加していたデイヴィッド・ホックニーは、プールの写真や絵の作品をたくさん制作している。
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115 西洋では日が暮れてもなかなか明かりをつけない。 薄明りの中で過ごす時間が多い人ほど明暗の感度が敏感になる。 東洋画の線のこだわりに対し、西洋画は光と影にこだわり、 その表現に幅がある。