やっと日本もここまできたのか、と思わせる動画が流れてきた。
『オチソチソダンス【NHIK】』
90年代に、超保守派勢力の影響を受けて、「日本の性教育は20~30年遅れた」と言われている。
しかも蓋を開けてみれば、バックには統一教会の強い要請があった。
ジェンダー教育も同様に20~30年遅れたのにも、統一教会、超保守派が絡んでいた、というわけだ。
政治への無関心はこういうかたちで社会を衰退させる。恐ろしい。
話を「おちんちんダンス」に戻す。
このような番組ができるようになってきたNHK。
子育て中の家庭であれば、「救い」のような動画ではないか。
子育てを終えた家庭は、子どもがおちんちんダンスを歌ってたことさえ忘れる。
コメント欄には、
「これ制作が本田翼にオチソチソ言わせたかっただけだろ笑」
とある。
が、誰も声優のガッツ石松さん(元WBC世界ライト級王者, 現在75歳)の偉業に触れていない。
そもそもこの『おちんちんダンス』は、NHKの小学生向けの番組『子どものための哲学』で、「どうして裸は恥ずかしいの?」という哲学的な問いをトピックとして出てきた歌だ。
子供は裸が恥ずかしくない。
(そもそも「恥ずかしい」とは何か?)
でも大人になる過程で、「裸は恥ずかしい」と教わる。
少なくとも恥ずかしいと感じさせる、そういう限定的な社会に住んでいる(裸をそれほど恥ずかしいと思わない社会だってあるのだから)。
結局、それを誰かがどこかで教えていかなければならないのだが、誰がいつどこで?となると、やはりここは「家庭」が一番となってしまうのか。
「シーン10」では「かぞくでこたえよう」となっている。
さて、私たちも9割くらいの大人は「裸は恥ずかしいもの」と感じているはずである。それは、どこで習ったのか?とっくのとうに忘れてしまっている。
大人になる過程で、どこかでそのことを悩んだり、折り合いとつけたりしてきたはずである。
子供たちはまさにいまその時間を生きている。
大人は、意識的でなければ、そういう時間があったことすらー、日々の忙しさにかまけてー、忘れている。でも、ほんとうはそういう哲学的な問いのもとに今の自分があるはず。
『こどものための哲学』は、子供達向けの体裁をとりながら、実は大人のために、子供の疑問にどう答えられるのか、そういう難しい哲学的な問いを投げかけられている。
参考図書
永井均・内田かずひろ『子どものための哲学対話』