走る事をやめて久しい
昔 六畳一間 小さな流し 鋳鉄のガスコンロ
共同便所 銭湯へ週一回 普段は流しで石鹸で髪を洗い
しけった万年床で眠る
今は懐かしい
若者は夢をなんて 昔も大人は言ってたものだ
蚊に食われ 寝転がって裸電球を見たら家が懐かしく
自立なんてこんなもんかなんて 家に居れば インスタントラーメンをおかずに飯を食うなんてなかったな
と
いつか 金稼いでこんな暮らし終わらせる
見果てぬ夢をみて
稼いで遊びまくった事もあったな
失敗して死ぬ事を考えた事もあったな
昔はそんな事で生きるの死ぬのなど悶えていた
懐かしい思い出だ
俺は飛んだ豚だったんだな
飛んだら 自分には 羽がないただの豚である事に気付いた
馬鹿だ 地べたに叩き付けられて 痛い目にあって
そん時は人生が終わったような絶望に浸ったが
落ちるとこまで落ちると 落ちる当てがなくなる
飛ばねえ豚は ただの豚だが
飛んでから 自分は鳥ではなく
やっぱし
なんてことは しょっちゅうあるものだ
だから いい
めでたし めでたしばかりでは 人生はつまんねえ
また やるか
そうやって もう何十年も経った
じじいの良さは 希望がない事だ
だから欲望も無くなる
だから 全てはどうでもいい 自分には関わりがない事
だが 全ての関わりのもとに自分はあると思う
だから 自分の身近にあるものを大事にしようと思う
今日は 餃子鍋
白菜 玉ねぎを湯で くたくたになるまで煮る
摩り下ろした生姜をたっぷり入れる
中華調味料のウェイパーを入れ 醤油 塩で味付けし 火を止め 豆腐を浮かす
食う時 カセットコンロの火を付け 餃子やら シメジやら 韮などを適宜放り込む
くたくた煮る
適宜 好みのものを すくって食す
熱いので ふーふー吹いて食う 吹かないと舌をやけどする
体があったまる 特に腹があったまる
寒い日は鍋がいい
ピザは昨日の残り レンジでチン 二切れだと旨く感じる
仕事を終え
食う
今日もいろんな事があったが
今日が終わる 明日又同じ繰り返し
でも同じ日はなく
そんな日々が 愛おしく思う
