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AB19450916VIRGO
 

音が聞きたくなった朝

2010-08-16 05:45:55 | 日記


北海道の山奥の記憶

霙は音がするときもあるが
粉雪 牡丹雪は音が無い
風のない夜
あらゆる音が雪に吸い込まれ 
心臓の鼓動 自分の息遣いが聞こえるほど静かだ

耳鳴りするほどの静寂の音
それが雪の音だったな

布団を頭までかぶっても
寒くて 静かで
ストーブの残り火の赤色が闇の中に浮かんで
それを見てると
ぬくまった気がした
氷点下16度の夜だった



雨の音 雷の音 鳥の声

小学校3年くらいかな
夏休み

本を1冊抱えて
丸木橋を歩いて 沢を渡り
誰にも秘密の場所へ行き
その小さな崖の窪みの日陰で本を読んだ

ロビンソン・クルーソーだった

想像の中で冒険をしてるみたいで
外界を忘れ 本の中にいた

遠雷が聞こえ 激しい夕立が来た

まるで自分が絶海の無人島にいるみたいな錯覚におちいり
妙にワクワクした気持ちになった

蔦から 激しく雨が滴り落ち
飽かずに雨を見ていた

わ~~~~
っと 大声をあげても こだまは帰ってこず
郭公と烏の声が帰ってくるだけだった

こんな遠い日の事なのに
一瞬で記憶が蘇える
この記憶は頭の何処にあったのだろう
人は記憶を無くすことは出来ないのだな

あの子供の頃のワクワクがなくなって久しい
全てがデジャブーになってしまった

あの 何も知らない頃の
見るもの聞くもの 全てが新鮮で 目新しかった
全てにワクワクしていた頃の
あの感覚が 懐かしく思う




北海道の山奥は

5月に春と夏がやって来て
9月に秋と冬が同時にやって来る

9月の末に初雪が来て ストーブを焚き始め
降ったり溶けたりして11月には根雪になる
冬の積雪は3メートルを超え 
降ろした雪が屋根の軒先までの高さにまでなる

その根雪が完全に山から無くなるのが5月だった

2軒長屋の職員住宅
縁側に 月見団子とススキ
団子が お萩が うまかったな
ごちそうだった

今は金を出せば何でも食える
ひもじかったあの頃の方が
幸せだったのは なんでだろう?

芋や トウキビ ぼそぼその外米

腹いっぱい食える事がごちそうだった

ひもじさを忘れて やはり久しい

無くしてしまったものが沢山あるような気がする



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