敬愛する一休宗純のように風狂に遊べず
敬愛する良寛さんのように大愚に徹する事も出来ず
悟迷に放浪を重ねた山頭火の足元にも及ばず
可もあったし不可も沢山あって
恥をかいた事は数知れずあるし
人様を助けた事もあったし 人様にもおおいに迷惑かけたし
軽蔑された事もあったし 多少尊敬された事もあったし
人様の苦しみから比べれば 自分の苦しみなぞ 鼻くそほどのものであるし
大病もせず かといって健康というには酒タバコ徹夜と不摂生の日々であったし
掃いて捨てるほどの金はないし
明日 飢えて死ぬほど貧乏でも無いし
見渡せば 世間様には
気を抜くと 地獄の釜が蓋をあけて待ってるし
これ見よがしに 極楽浄土に幸せが舞い踊っているし
神仏は 慈悲を説き 極楽へ手招きしてるし
悪事を働けば 地獄へ落とすぞと 脅すし
金を崇拝して 金を神のように崇める宗教がはやってるし
世間様に絶望したニヒリスト達が目をギラギラさせているし
迷って道をふらふらしてると 不安と恐怖を煽り立てるテロリストもいるし
でも 振り返れば 猿が人になって以来
神仏なぞ欠片もなかった大昔から
生き物の日常なんてこんなもんであったし
食うか 食われるかが 日々の暮らしであったし
改めて 深く しみじみするほどの事でもないし
生まれたからには 何としても生き延びよ というのが
単純明快な 生命としての義務みたいなもんだし
もう一人の自分である「遠い目」が 何かをつぶやくが
「遠い目」よ お前も十分てっぺん禿が進んでるぞ
ま 静かに世間様の風景を見つめて行こうよ
ま 世間様あっての自分たちなのだから
ま これでいいんだよ
妻に ネックレスを買ってあげた
昨日散歩がてら 立ち寄った店で
安ものだが 喜んでくれた
店の人は仲がいい老夫婦に見えたらしく
外まで見送ってくれた
妻は和紙に葉っぱなどを置いて飾る遊びが好きだ
昔 奮発してコーチのバッグなど買ってあげた事もある
「遠い目」は 偽善の匂いがすると 皮肉にからかう
俺は したいようにするだけ
偽善かどうかを決めるのは俺じゃない 妻さ
俺の知った事じゃないさ と うそぶく
あと 二日働けば正月休みに入る
今年も 過ぎゆく 早いな
さて 掃除だ