18歳の時だった。ボクが家出する前の日、親父は晩酌の刺身を食べながら、泣き出した。親父の涙を見たのは2回めだった。1回目は、ボクが3才の時、1才の妹を養女に出すときだった。ボクはそれ以来、妹のことは封印した。親父の涙は堪らない。ボクは頭から布団を被って一晩中泣いた。親父が死んで5年、親父の遺影に手を合わせる。