1匹の巨大な芋虫になっていた。
そんな 「なんでやねん!」 と叫びたくなる内容
の話だと知るのは一緒に借りた文庫本 のヒロインが、
あの 「お口の恋人・ロッテ」 の由来だと知るのと同じくらい
に、ずっとあとになってからのことでした。
そう、2号 にとってのシャルロッテである早苗ちゃんの
関心を惹くための手段として、ない知恵を絞って考え出した
《なんでもいいからお薦めの本貸して作戦》で貸してもらった
のが文庫版の 『変身』 と 『若きウェルテルの悩み』 でした。
動機が不純なだけに、本の内容にはまったく興味はなく、
あったのはいかにして彼女のハートを射止めるかの雑念と
次回の返却時の応対演習に余念のない 2号の姿でした。
何度かの接近遭遇の シミュレーション をして …
いよいよ本の返却日がやって来ました。
予定では次の本を借りる約束をして、デートを申し込む
つもりが思わぬ方向にシナリオが変っていたのです。
「それが私の気持ち、本は返してくれなくていいから …」
それだけ言うと早苗ちゃんは踵(きびす)を返したかと思う
と一気に階段を駆け下りて行ってしまったのです 。
その後何度か学校で顔を合わすことはあったけど、結局
は話せずじまいで卒業してしまったのでした 。
本は友達の百合ちゃんを通じて返すことが出来ましたが、
2号のとった行動は、当時、学校内で人気を二分していた
百合ちゃんに対する当て馬だとの噂が一部に広まっていた
そうなのです。
これだけでは不明な点がいくつもあると思います。
学校とは 中・高・大のいずれなのか 専門学校なのか
同級か否か クラスやクラブ活動は 交友相関関係は
はたまた、いつの時代で場所はどこなのか 等々 …。
しかし、そんな瑣末的なことは何の意味も為さないし本稿
の主旨とも無縁なので省きます。
要は、タイトルにした 「屁のツッパリになる理屈」 だった
のかも といまさらながらに、早苗ちゃんの見事でおしゃれ
な感性に惚れ直しているわけなのです。
なにぶん自分に都合よく解釈する性分ゆえに軽薄で浅学
の表層理解だと罵(ののし)られるのを覚悟で振り返ると…
あの時点、つまり、百合ちゃんを通じて本を借りたときには
、すでにシャルロッテの婚約者アルベルトに相当する彼氏が
早苗ちゃんにはいたのだろうということ …
そして、いまさら詮無きことなれど、もしかしたらヒロインの
シャルロッテのように心の奥底では… という甘くもほろ苦い
ような希望的観測というか、自意識過剰というか …
とまれ、
本の返却日までに、例の当て馬の噂が彼女の耳にはいり
早苗ちゃんはゲーテに望みを託しつつもカフカの方を
選択したのではないのかと …
「それが私の気持」 とは …
巨大な芋虫に変身した自分は、この世から
「消えてなくならなければ …」 とグレーゴル自身が強く
自覚したようにあなたも私のまえから 「消えてなくなって」
という彼女のメッセージだったのか
それとも、一旦はあきらめたウェルテルが死を覚悟して
最後の別れを告げるためにシャルロッテのもとに赴く …。
それは 《もう一度逢いに来て》 という彼女のうちなる思い
を暗示するシグナルではなかったのだろうか などと …
あれから、30年以上も経ったいま、それぞれのあらすじを
知るに及んで心は千路に乱れているのです。
「アホ か」 間違いなく1号さんはそう言うでしょう。
でも、いまになって、やっとその意味するところが解った
ような気がするのです。
「本は返してくれなくていいから …」 は
ちゃんと読んでその意味を理解して… のことだったとする
と、なんて浅はかだったのかと愚かな自分が悔やまれます。
そう考えると彼女は実に意味深で、なんとも知的な謎解き
のような2冊の名著を選んだものだと感心してしまいます。
「屁のツッパリになる屁理屈」 をいくつか捏ね繰りまわし
ながら適当に紹介しようと思って書き出したブログでしたが、
すっかりと想い出話 に変身してしまいました。
タイトル からも 屁理屈 の 屁 がぬけてすっきりとした
「屁のツッパリになる理屈」 に 変身 しましたが …
次回 こそは、屁のツッパリ になる。
立派な 屁理屈 を捏ねてみたいと思っていますので、
きょうのところは 「屁のつっぱりになる理屈」 にタイトルを
改めます。
思い違いからゲーテではなく、カフカの方を選択したのだ
とカン違いをしている。 2号 の様子に 5号 が …
「どっちの本でも主人公は死ぬんです」
悩み苦しんでピストルで自殺するのと異様な姿に変身した
ままに父親が自分に投げつけたリンゴのせいで衰弱死して
しまうのと、どっちがいいのですか
どっちも嫌だから、早苗ちゃんのカフカ(過負荷)になる
まえに ゲーテ(ファウスト)に変身するべきだった。
たとえ、悪魔と契約を結ぶことになろうとも … って話は
さらに複雑怪奇になっちゃって、「若きウェルテルの悩み」
どころか、なんとも不確か(ふカフカ)な話になってきた。
ああ! なんて 純粋 で 朴訥(ぼくとつ)としていた
あの頃の 「若き ウェルテル2号 の悩み」 …
5号 いわく、「ボクの理屈なんて、まったく、もう …
屁のツッパリ にもならないよ!」
そういえば、何年か前に 『変身』 の主人公の名前は
グレゴール・ザムザなのか
それとも
グレーゴル・ザムザなのか
… という クダラナク も オモシロイ 企画の紙上討論会が
あったそうなんだけど、結局、どうなったの
… って、そんなこと シルロッテ!
コメント一覧
その名は可不可
バイザウェイ
通りすがりの者ですが
ねこっち
茶山竜之介
透明人間2号
グレゴルー・ザムザ
透明人間2号
若き飢エテル
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