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透明人間たちのひとりごと

ダ・ヴィンチの罠 カバラ

 ユダヤ教神秘主義思想が、キリスト教世界に知られる
ようになったのは12世紀になってからのことでした。

 それまで神秘思想の秘儀や伝統はキリスト教世界から
は完全に隠されていたのです。

 ユダヤ教の神秘思想が「カバラ」という呼称で統一
されるようになったのは、歴史的には中世に至ってから
のことなのですが、

 12世紀に入り、


      カバラ www.amazon.co.jp

 スペイン北部やフランス南東部のプロヴァンス地方に
ユダヤ教の神秘思想における秘義を語る者たちが現れる
と、以後 ユダヤ教の神秘主義思想は「カバラ」という
名で呼ばれ、ヨーロッパなどのキリスト教世界に急速に
広まっていきます。

 また、その際(12世紀から13世紀)には、

 
   セフィル・イェツィラー(形成の書) カバラの奥義

 特異な神秘的思想を展開する「カバラ」の奥義書が
数多く執筆され編纂されていったのです。

 この時期に登場した「カバラ」の奥義書が展開した
内容は、主に 『トーラー』=「モーセ五書」のカバラ的
解釈と、その背後に見え隠れしている『原トーラー』の
追求でした。

 カバリスト(ユダヤ教の神秘主義的思想家)たちは、
『創世記』や『出エジプト記』などの記述を特別な数字
に変換して、神秘的な操作による文字の並べ換えなどに
よって、表面的な意味の背後に隠された叡智を探りだす
ことに没頭します。

 そして、


            カバラ数秘術 life.saisoncard.co.jp 

 カバリストは、神的創造世界を表したセフィロト図の
オカルト的解釈を通して、人類文明の過去・現在・未来
の種々相を探求し、来たるべき救世主(メシア)出現の
年代計算に情熱を傾けていったのでした。

 ちなみに、「カバラ」によれば、

 天国に秘め置かれている〝メシア(救世主)の魂〟が
地上に〝人の子〟として現れ、全ユダヤ人を救済するの
は、地上の悪が絶頂に達した時であるといいます。

 そこで問題となるのは、その時期ですが ・・・

 ユダヤ人は、紀元前からその時期は目前に迫っている
と考え、熱心にメシアを待望していましたが、ユダヤの
地が、ローマ帝国から派遣される代官(総督)によって
治められるようになったAD6年以後は、前にも増して
メシア待望熱が高まるようになったのでした。

        
    ユダヤ神秘思想「カバラ」によれば、
  天国に秘め置かれている“メシアの魂”が地上に
 “人の子”として現れ、全世界のユダヤ人を救済する
 のは、地上の悪が絶頂に達したときであるという。

    ユダヤ神秘思想「カバラ」 inri.client.jp 

 「カバラ」はユダヤ教の伝統に忠実な側面を持とうと
した点で他の宗教の神秘主義とは異なります。

 本来の「カバラ」は、ユダヤ教の律法を遵守すること
や、神から律法の真意を学ぶことを目的としていますが
正統的なユダヤ教との親和性を持っていた時期もあった
ため、必ずしも秘教的な神秘思想とは言い切れません。

 しかし、キリスト教の神秘家に採り入れられるように
なると、ユダヤ教の伝統からは乖離した極めて個人的な
神秘体験の追究手段として用いられることになるのです。
 
undefined 
      生命の樹 & セフィロト ja.wikipedia.org

 伝説では、アブラハムがメルキゼデクから伝授された
天界の秘密だとも、モーセが律法(トーラー等)に記し
切れなかった部分を口伝として後世に伝えたものだとも
言われています。

 「カバラ」は3世紀~6世紀頃に始まり、16世紀頃に
ほぼ現在の体系が完成したとされています。
      (ja.wikipedia.org)より

 現在、カバラには三大教典がありますが、そのうちで
最も古いものは『イェツィラの書』(別名『形成の書』)
と言って、AD3世紀~5世紀に成立したものです。

 残りの2つ、『バヒルの書』(別名『光明の書』)と
『ゾハルの書』(別名『光輝の書』)は12世紀~13世紀
に成立します。

  『ゾハルの書』の著者である、スペインのユダヤ教の
指導者シメオンにより、「カバラ」はユダヤ教神秘主義
思想として纏(まと)め上げられます。

   
      『ゾハルの書』gotopia.co.jp

  彼が13年間の洞窟生活の間に、神からの啓示を受けて
書いたとされる『ゾハルの書』は、タルムード成立以後
のラビ文献の中でひとつの規範的テキストとなり、 

   
     『ゾハルの書』www.amazon.co.jp

 数世紀に亘ってユダヤ教聖典とタルムードに比肩する
地位を維持することになりました。

 『ゾハルの書』の出現によって、ユダヤ教は、言わば、
第3の聖典を持つことになったわけです。 

 (第1の聖典はユダヤ教聖典であり、第2の聖典は
    口伝律法を成文化したタルムードです。)

 これ以後、

 ユダヤ教の神秘主義思想は、『ゾハルの書』に集約
されたカバラ思想を中核として展開していったのです。

 こうしてユダヤ教が霊的・内面的な方向に極度に偏向
していく間にも、ユダヤ教徒に対する過酷な迫害と差別
は続いていたのです。

 他宗教を承認しないユダヤ教の閉鎖性や、強固な選民
思想は非難の対象でしたし、キリスト教徒が「カバラ」に
対して持つ盲目的な恐れは、ユダヤ教徒を魔術師と見る
ような根強い偏見を育てていったのです。

 キリストを売ったユダヤ人、金に汚いユダヤ人、悪魔
と交渉しているユダヤ人といった謂れのない偏見により、
キリスト教世界(特にヨーロッパ圏)では、ユダヤ人は
しばしば虐殺や略奪の対象となり、また、異端審問の名
のもとに行なわれる拷問の餌食となったわけです。


          中世の異端審問 www.meisterdrucke.jp

 そうした中でメシア待望の気運(機運)を盛り上げて
いったのは、カバリストたちでした!

 前述のようにユダヤ教では、天国に秘め置かれている
“メシアの魂” が 地上に“人の子”として現れて、全世界の
ユダヤ人を救済するのは、「地上の悪」が絶頂に達した
ときであるとのことです。

 カバリストは預言者たちの黙示文学に描かれたような
暗黒世界が、いよいよ全地を覆いだしてきたと主張して、
虐げられたユダヤの民衆の終末意識を煽ったのです。

 同じことは欧州のキリスト教世界でも起きていました。

 たとえば、

 キリスト教徒の画家たちは黙示録的情景を好んで描き、
偽のキリストや最後の審判の場面を創造していたのです。

 占星術師のなかには、ドイツのヨハン・シュトフラーの
ように 「1524年にノアの大洪水の再来がある」と唱える
不埒者もいて、実際に, 彼の言葉を信じて箱船をつくった
有力者もいたそうです。

 16世紀の前半にはドイツで宗教改革運動が盛んになり、
それに伴って起きた戦争・内乱・暴動・一揆・流星など
の発生が人々の恐怖心と終末意識をより一層煽ったのは
宗教的権威のおどろおどろしいご託宣が人々のこうした
恐怖心と終末意識を増幅し続けていたからでした。

    
  マルティン・ルター(1483-1546)leccjp.org

 いい例が、15世紀の末に現れキリスト教を大改革した
マルティン・ルターは、「あと数年でこの時代は『終末』
を迎え、聖書は完全に実現されるだろう」と唱えました。

 また、彼の弟子のひとりは、ルターの思想をより過激
に展開し、16世紀の初頭に地上から悪の勢力を一掃する
ための「メシア革命軍」を組織したのです。

 あーァ、ルターと弟子の失態や醜聞を、

  
 バラしてやんの!        う~む  (^▽^;)(^^ゞ 

 いずれにしても、

 ユダヤ人がディアスポラ(民族離散)に至る過程には、

 メシアによる終末的なる救済によって齎される新しい
世界秩序の到来を待望する世界観に導かれたAD70年と
AD135年の第一次, 第二次に亘る対ローマ・ユダヤ戦争  
での悲惨な結末が尾を引いているわけですが、

イスラエルの歴史
   第一次 対ローマ・ユダヤ戦争の様子 画像元:history-maps.com

 以後、彼らは、欧州、中近東、アフリカを中心にして
西アジアやインドの各地方に離散し、それぞれの地域に
ユダヤ共同体(コミューン)をつくっていきます。

 そして、

 異教徒との宗教的交わりを断ちながら、ただひたすら
にメシア登場の時を待つといった態勢に入ったのでした。

 ところで、ユダヤ教徒からみれば、


  タボル山の主の変容教会(イスラエル)にある『イエスの変容』のモザイク画

 ユダヤの遺産であるタナハ(ヘブライ語聖書)つまり
、『旧約聖書』や『トーラー』=(モーセ五書)に凝縮
されたメシア思想などのエッセンスや濃縮されたエキス
を素知らぬフリして盗んでいった窃盗団がキリスト教で、 
その窃盗犯たちの主犯はパウロに他なりません。

 さらに、キリスト教は、


  『イエスの変容』イエスと二人の預言者(モーセとエリヤ)、三人の弟子(ペトロ、ヨハネ、ヤコブ)

 イエスを、まだ到来してもいない「メシア」だとして、
世界中にその勢力を拡大しているのです。


 タボル山の主の変容教会(イスラエル)にあるモザイク画(部分)www.kurume-catholic.jp

 これらの事実や世の中の動きは、自分たちユダヤ人に
とって、一体、何を意味しているのか?

 何故に自分たちはこんな苦しみを味わい続けなければ
ならないのか?

 ユダヤ教徒たちは各地の共同体(コミューン)に籠り
ながら、「神」が歴史に刻み続けるこれらの謎の解明に
向かっていったのです。

 畢竟するに、

 剣や鉄砲ではなく、信仰と思索が、彼らの生き延びる
糧であり、武器となったわけです。

 かくして、

 アブラハム、モーセ、ソロモン、アキバと連なる秘教
の伝統の内面化と内実化が、古代から中世にかけて強力
に押し進められていくことになるわけですが、彼らの中
で、「神」の真意を探るというユダヤ神秘思想「カバラ」
の研究は著しく発展し、「神の国」の到来を顕現させる
救世主(メシア)の出現が、営々として希求され続けて
いくのです。

 symbol2  以上、

 『ユダヤ教徒の「カバラ」とメシア運動の歴史』および
『ユダヤ教徒の「終末思想」と ユダヤ教神秘主義思想
「カバラ」』(inri.client.jp & www1.s-cat.ne.jp)の記事
 から適宜に抜粋し、引用・構成・加筆編集しました。

 さて、次回では、

 「カバラ」に絡めた「メシア運動」と「シオニズム」、
あるいは「ユダヤ主義」や「ユダヤ思想」との関係性に
加えて、窃盗団や窃盗犯などについての、より深い探究
が出来ればと考えています。

     
 う~む (^▽^;)(^^ゞ    なるほど  (^▽^;)(^^ゞ 

      ま、まさか、お前さん!
  
 「窃盗団の仲間じゃないよな?」

   

  
   「やだぁ、バレてたの!」
 
      ホ、ホンマかいな!
  
   ・・・ って、おいおい、

           画像元: domani.shogakukan.co.jp
          なんでやねん!
 
       
              出典:windychaple.com  
 
             
       ・・・ っておいおいおい、               

       
             なんだかなぁ!    


        『洗礼者ヨハネの斬首』 カラヴァッジョ(1608年)

     … to be continued !!


           獄中のヨハネと弟子たち wol.jw.org

        symbol2 ダ・ヴィンチの推理は続きます。

 

 

コメント一覧

小吉
専門的でよく解らないけれどユダヤ人、あるいはユダヤ教徒にとってはキリスト教は憎いと思うだろうし滅ぼすべき厄害として見るのも無理はないのかもしれません。
関係のない話かもしれませんが「幸福の科学」みたいのを思い出しました。
あれは確か大乗仏教が元でしたが仏教徒からすると「まがい物」に見えるかもしれませんね。
元をたどれば「大乗仏教」も小乗仏教(上座部)からすると釈迦の教えに反しているのかも知れません。
煩雑。
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