日本の常識が世界では通用しない事柄のなかに
「定刻」(時間)に対する認識の違いがあります。
日本人は几帳面で時間にシビアです。
鉄道(電車)のダイヤグラム(運行図表)は、ある意味
では非常識なくらいに緻密で正確です。
日本では電車は、ほぼ確実に時間通りにやって
来ますが、外国に行くとどの国でも時間の感覚は
かなりの部分においていいかげんで「定刻」を期待
しているとすべての計画がオジャンになるくらいに
待たされることも普通のことのようなのですが ・・・
これだけ聞くと如何にも日本人はデジタル気質で
外国人はアナログ気質のような気もしますが
実際のところはどうなのでしょう
さて、
洋の東西を問わずそんな常識の違いにアタフタ
させられるだけの一般人にとって、日常からはほど
遠いところにあるものに科学の世界があります。
「100年来の悲願達成」の快挙という
見出しに目が止まったのは、つい先日のことでした。
このことにどれほどの意味があるのか知りませんが、
これだけ大騒ぎをするのだから日本にとっては相当に
スゴイことなのでしょうね。
人類のそれなりに長い歴史のなかでも、118種類しか
見つかっていない物質の基本要素である「元素」の
113番目の元素として「ニホニウム(nihonium)」
元素記号「Nh」という日本名がつく見通しになったこと
を受けて日本の科学界は「100年来の悲願達成」
とばかりに沸き返っているのですが ・・・
なんでも、約100年前に日本の研究者が報告した43番
元素が「ニッポニウム」と命名されながら、誤りと
して取り消された過去があり、「新元素」の命名は
「日本科学界の悲願」とされていたのです。
さらには、
日本人が元素を命名するチャンスはもうひとつあって、
「日本の物理学の父」と呼ばれた仁科芳雄
博士が1940年頃に、加速器の実験で93番元素を作った
のですが、うまく取り出せなかったのだそうです。
そうした経緯があったとすれば、その重みが尋常
ではないことも多少は理解できるというものですが ・・・
ちなみに、人工合成された新元素でニホニウムと同時
に認定されたのは、115、117、118番元素で、それぞれに
モスコビウム、テネシン、オガネソンと命名されるようです
が、ロシア(モスクワ)と米国(テネシー)は分かるけれど、
「オガネソン」って、いったい何なのでしょう
いずれにしても、
宇宙の始まりとしてのビッグバンから間もなく、
と言っても100秒ほどの間で、軽い元素である水素が
まず最初に生まれ、次いでヘリウムが誕生しました。
出典:imart.co.jp
それらが集まり星が形成されるようになると、星の内部
の核融合反応によって炭素や酸素などが生まれ、さらに
重い元素も核融合でつくられることになったのです。
こうして鉄(Fe)までの元素は星の内部で生成されます。
出典:kamusabia.com
恒星の一生の最後は「超新星爆発」で、
出典:yattemiru-info
出典:ameblo.jp
出典:ameblo.jp
生成された元素は爆発によって宇宙空間に飛び散り、
出典:earth38moon.blog115.fc2.com
その衝撃でまた新たな反応が進み、鉄よりも重たい
銅や銀や金、そして鉛などができたと考えられています。
出典:NASA JPL-Caltech
さらに、質量の大きい星の中心部は重力で圧縮されて
中性子星やブラックホールになるのですが、
出典:gigazine.net
出典:blog.goo.ne.jp
言わば、
こうした「超新星爆発」に相当する出来事
が『岩窟の聖母』で表現しようとしたテーマの
ひとつであり「罠」のブラックボックスでもあるのです。
このようにして我々の宇宙に存在する万物の基本要素
ができあがったわけですが、ダ・ヴィンチの生きた当時に
は「元素周期表」など存在しません。
古代より、炭素や金、銀、銅、すず、鉛、水銀、鉄などは
知られていましたが、元素として知っていたのではなく、
知りうる物質の中にこれらの元素が含まれていたという
だけのことであって、物質の根源や組成の仕組みは
もちろん元素の何たるかも、まだまだ知り得ない時代に
その概念を「罠」として共有していたのです。
しかも、19世紀の初め頃までは古代ギリシャの哲学者
エンペドクレスの唱えた四元素説(土・水・火・風=空気)
が幅を利かせていたわけで、プラトンはその考え方を
受け継ぎますがエンペドクレスとは異なり、これらの元素
は複合体で分解できるだけでなく、相互転化する
ものであると考えていました。
プラトンに傾倒していたダ・ヴィンチは、四元素に
「空」を加えた五要素を想定していたようで、東洋での
「五行説」(木・火・土・金・水)にある循環思想
にも精通していたようなのです。
陰陽五行説
ここでの「空」は「色即是空、空即是色」の
「空」で、それが目に見えない「無」としての混沌
(原子の群れ)としての『東方三博士の礼拝』
であることはすでに解説済みですが、まだ未読の方は、
『ダ・ヴィンチの罠 摩天楼』または
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/461.html
『ダ・ヴィンチの罠 量子論』および
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/462.html
『ダ・ヴィンチの罠 特異点』などを
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/463.html
を参考にしてみてください。
ところで、
水素や酸素が発見されるのは18世紀の後半まで
待たねばなりませんが、水の循環についての研究を
していたダ・ヴィンチは感覚的に水が化合物である
と気づいていたようです。
もちろん、
それが水素原子2個と酸素原子1個からなる水の分子
が集まったものであることは知る由もありませんが ・・・
さて、
水素やヘリウムなどの軽い元素が生まれ、星が誕生し、
星の内部の核融合反応で徐々に重たい元素が生成され、
「超新星爆発」によって、さらに重たい元素が合成
されて、宇宙に広がり、人類が出現して、洗礼者聖ヨハネ
やイエスの生きた時代に至るまでが『岩窟の聖母』
パリ・ルーブル版の演出です。
白丸で囲った人物は聖母マリアと大天使ウリエルです
が、この二人の位置関係に見覚えがありませんか
下は、
ビッグバンに関連する「特異点」を活写した
『東方三博士の礼拝』の反転画像で、まだ
反物質が存在していた段階を示す描写ですが、
この時の聖母マリアと三博士のひとりであるうら若き
青年メルキオールが片膝をついて跪拝する姿と位置に
まずは注目してください。
人物と顔の向きを別にすればそっくりそのままである
こととメルキオールの視線が聖母マリアの頭越しに天を
指さす男の手に注がれていることにも留意してください。
その男の指を『岩窟の聖母』に当てはめてみると
外界に連なる尖った岩山の位置ということになりますが、
こちらもどこかで見た景色のような気がします。
そうです。
デビュー作である『受胎告知』での一点透視法の
焦点となっていた背景にある尖った山並みです。
以前のページで長く描かれた聖母マリアの右腕の謎に
ついて解説したときにも指摘したように、
一見、岩山に焦点が置かれているように思われますが
、実は秘密裏に隠されたもうひとつの焦点があるのです。
そこは、塀に囲まれた庭園から外の世界に通じる道に
開けられた門の上で、そこにクロスするように配置された
白百合にはおしべとめしべがしっかりと描かれていて、
大天使ガブリエルの射るような視線が言わずもがなの
事実(意味)を増幅させて語りかけてくるのですが ・・・
要は、
焦点が2つ存在し、ひとつは尖った岩山に象徴
されるものと、もうひとつは外に向かって開かれた門に
重ねられた白百合のおしべとめしべの意味するもの、
つまり、それが聖母マリアの真実です。
隠された裏の焦点(白百合)と表の焦点(尖った岩山)
当初より、聖母マリアの処女懐胎に疑問を感じていた
ダ・ヴィンチは男女の交わりによる通常の妊娠の結果、
誕生したのが人間イエスであると確信していました。
そこで「マリア教」にすり替えられたキリスト教の
欺瞞を訴えるべく『受胎告知』のなかで「罠」の
実験を試みたわけですが、師匠ヴェロッキオの工房で
『キリストの洗礼』を手伝いながら、デビュー作
『受胎告知』を制作中のどこかで「天啓」
にも似た例の幻影を見てしまったのです。
意味不明の方は、
『ダ・ヴィンチの罠 新天地』または
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/458.html
『ダ・ヴィンチの罠 獅子吼』などを
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/459.html
参考にしてみてください。
思案の末に、
ダ・ヴィンチは、どちらの解釈も可能なようにと書見台を
フクロウの彫刻にしてその脚と椅子に悪戯を仕掛けます。
詳しくは、
『ダ・ヴィンチの罠 謎の肢』および
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/405.html
『ダ・ヴィンチの罠 新天地』などを
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/458.html
参照してください。
曰く、
性交渉による人間としてのイエス・キリストの誕生
異星人(レプティリアン)のハイブリッド(人工授精)
という仮説の取捨選択です。
しかし日を追うごとに幻影を「天啓」(真実)で
あると固く信じ、 の考えに傾倒していったのでした。
そして、
なにより時折、更新されるインスピレーション
が、そのイメージを強固なビジュアルとして
彼の脳裏(視覚野)を甚(いた)く刺激するものです
から、ダ・ヴィンチのイマジネーション(妄想)は
膨らむだけ膨らんでいったというわけです。
今回の予告として、
そんなダ・ヴィンチが見た幻に、半人半魚の姿
をして現れたという洗礼者聖ヨハネの謎から、
まずは話を起こしてみたいと宣言をしておきながら、
まったく以って違う内容に終始してしまいましたこと。
ここに伏してお詫び申し上げます
が、しかし ・・・
唐突に半人半魚の姿をした聖ヨハネの謎に
迫るよりも、その前段として、『岩窟の聖母』に
登場する4人の人物に象徴されるものについて、
あるいは、手の仕草(指などによるサイン)や彼らの
持つ概念、メタファ、役割といったものを知って
おいた方が、何故に聖ヨハネが半人半魚の姿
をして現れたのかを理解しやすいと思ったからです。
たとえば、
ビッグバンの直後(100秒後~)の世界で言えば、
聖ヨハネが水素で、イエスはヘリウムです。
その流れで言えば、聖母マリアはリチウムで、
大天使ウリエルはベリリウムに相当します。
極々初期の宇宙(恒星が誕生するまでの間)は、
この四つの元素しかありませんでした。
といっても、そのほとんどは水素とヘリウムで、
その比率はおよそ3:1の割合です。
同様に、四大元素で言えば、「土」が聖母マリアで、
「水」が洗礼者聖ヨハネ、「火」が大天使ウリエル、
そしてイエスは「風=空気」ということになります。
ちなみに、
『岩窟の聖母』パリ・ルーブル版が物質の誕生
から聖ヨハネやイエスの時代までをカバーするとすれば、
ロンドン・ナショナルギャラリー版はそれ以降から現在
(ダ・ヴィンチの時代を経た未来)までを演出します。
ダ・ヴィンチの三角構図はよく知られた黄金の構図で
ここでも聖母マリアと大天使ウリエリに合掌する幼児が
それぞれに頂点となるような構図を採用しています。
これは、
キリスト教における三位一体に代表されるよう
に「安定」を意味するというのが大方の見方ですが、
実は三角関係に代弁されるように「対立」を
象徴するものでもあるのです。
ルーブル版での二人の幼児は、向かって左がイエスで
右が洗礼者聖ヨハネですが、
幼児 イエス 幼児 聖ヨハネ
ナショナル・ギャラリー版では、左が洗礼者聖ヨハネで
右がイエス・キリストに替えられています。
実は、
時代が下った現在でも、どちらが誰であるかの議論は
尽きず論争の的のままですが、結論は出ているのです。
この祝福を意味するとされる指のサインが
どちらが誰であるかを雄弁に語る鍵なのですが、
まずは、
それらの事柄をシッカリと押さえておかないと、
『受胎告知』のように焦点が移動しますので …
くれぐれもご注意を !!
「超新星爆発」で宇宙に飛び散った
僕らはあらゆる物質のモトになりました
「超新星って、韓国の若造どもの
グループのことじゃないのか」
「マチガイじゃないけど、正しくは
輝く星の最後の姿(大爆発)です」
出典:www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp
… to be continue !!
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透明人間2号
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