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透明人間たちのひとりごと

ダ・ヴィンチの罠 復活劇

 「この中にわたしを裏切ろうとする者がいる」

 イエスの言葉に動揺する弟子たちの一瞬を
捉えた見事なスナップショットであると
評されるのは専門家とされる美術評論家たち
『最後の晩餐』への賛辞ですが、



  「人物画は、これを一瞥して、
   その人々が何を考え、何を
   言っているか分かるように、
   それぞれの働きにぴったり
   した動作を持つべきである」


      (レオナル・ド・ダヴィンチ)

 それを実践し、結実させてみせたのが
聖書にある有名なこのシーンなのだと ・・・



 こうした美術評論家たちの評価はともかくも
この『ダ・ヴィンチの罠』のなかでは、



 ミラノ領主、ロドヴィコ・スフォルツァの依頼で
教会の食堂に描かれた『最後の晩餐』

    

 が忌まわしき歴史物語にして、暗澹たる
未来劇としての一大ページェント
あって、悠久時間超越した遠大
なる連続劇であることは、折々の機会
それとなく触れてまいりましたが、

 

 あまりに壮大すぎる「罠」のどこから
手を付けたらいいのか、隠された謎解き
以上に思案に暮れてしまうのが現状です。
 


 ただ、差し障りのない範囲内で言えば、

 構図や技法の奇抜さやユニークさに視線が
向けられがちですが、その真髄は、むしろ、
この壁画が辿った数奇運命道程
(みちのり)にあるのかもしれません。

    
   
 しかしながら、それらについて話しを始める
と紙幅が足りないどころか、怪しげなオカルト
まがいの落し穴に嵌まってしまいそうなので、
ここでは概略に止めておきますが、

 同時に

 ダ・ヴィンチはこうも言っているのです。

 「何ら身体の動きをともなわない
     魂の動きというものもある


    

 つまり、

 それが『モナ・リザ』を指していること
は言うまでもないことですが ・・・



 その『モナ・リザ』「罠」としての
意味を持つのは、『最後の晩餐』
喪失した場合の「次善の策」、または、
失われないまでも解読不能となった
事態を見越したうえでの「三善の策」
としてのものですが、終生、手もとに置いて
いた3枚の油彩画のレゾンデートル
(存在理由)がそこにあるわけです。


『聖アンナと聖母子』 『モナ・リザ』 『洗礼者聖ヨハネ』
 
 それでは、『最後の晩餐』の数奇な
運命を簡単に辿ってみることにしましょう。

 完成から1年後、フランス軍がミラノに侵攻、
ミラノ公ロドヴィコ・スフォルツァは捕らえられ
捕虜としてフランスに連行されますが、

 1508年に獄中で亡くなります。

 フランスの統治下に置かれたミラノでは、
『最後の晩餐』の画力に心を奪われた
ルイ12世が、壁ごと壁画をそっくりそのまま
フランスに持ち帰ろうと画策しますが、壁から
引き剥がすことが出来ずに断念します。

 フランス行きを免れた『最後の晩餐』
でしたが、この後、壁から剥がせないが故に
著しい損傷を負うことになるのです。
 
 修道院の食堂に聖書に因(ちな)む物語が
壁画として描かれることはままあることで、

 それ自体は特異な例ではありませんが、
『最後の晩餐』劣悪にして悲惨
このうえない環境にありました。

 壁の裏側には湿気や熱を作り出す厨房が
あり、下には地下水が流れていました。

 湿気は壁の中を伝って絵を損傷させます。

 テンペラで描かれた絵の具は徐々に腐り
始め、完成から20年足らずで剥落し、腐蝕
した壁はやがて巨大な黒いシミ
呼ばれるようになります

 表向きにはダ・ヴィンチも修復に尽力する
ポーズを示しますが、その実、すでに次善、
三善の策としての『モナ・リザ』を始め
とする作品に「罠」を忍ばせていた以上、

 無駄な足掻きとしか思われない修復作業
には何らの食指も動かなかったわけです。

 17世紀には大雑把な修復ゆえか、愛着の
沸かない壁画に対し、大胆にも絵の一部を
くり抜いて、壁画の中央下部に出入り用の
扉のための大きな穴が開けられます


        up_slow
 厨房と食堂の通路用に開けられた穴の痕跡隠し

 こうして食卓の下に描かれていたキリスト
の足は永遠に失われることになるのです。

 
     イエス・キリストの足の習作

 いやぁ、波乱な幕開けにして悲運な経過
ですが、この先どうなるのでしょうか。

 さて

 次の危機は18世紀の終わりに訪れます。

 かのナポレオン・ボナパルト
進攻によってミラノは占領されます。

 フランス軍は修道院の食堂を食料貯蔵庫
として使用しますが、芸術などに興味のない
兵士たちは壁に石を投げたり、剣を突いたり
して、ひどく壁画を傷つけたわけです。

 また一時期においては、

 食堂が馬小屋として使われたことも、馬の
呼気や排泄物によるガスで浸食され、劣化
拍車がかったわけで、それはもう、目の
当てられない状態だったでしょうね

 ナポレオンが絵の保存を命ずると食堂は
封鎖され、レンガで覆われた壁画は人々の
目から長らく遠ざけられることになります。

 その後、漸(ようや)くのことに、この地を
訪れた観光客が言い知れぬ魅力を放って
いる壁画を発見することになるのですが、

 壁の下の部分はちょっと触れるだけでも
剥がれ落ちるような危険な状態で、何度と
なく修復が繰り返されることになりました。

 20世紀に入り、専門家による修復のため
の詳しい調査が行われ、これまでに10回を
超える修復がなされていたことが判明した
のですが、それまでの修復は杜撰(ずさん)
で手荒く、誤写となる補筆や加筆に加えて
致命的とも言える損傷を与えていました。

 剥がれた絵の具の定着のために動物性
の分厚い糊(のり)が使用され、絵の表面
には熱く熱したローラーがあてられました。

 人物の顔も、手の表情も描きかえられて
台無しになっている可能性を誰も否定する
ことはできないでしょうね

 こうして、

 およそ4世紀半にわたり、幾多の危機に
遭遇しながらも何とか生き残ってきた壁画
は、第二次世界大戦下において最大かつ
絶体絶命の危機に見舞われるのです。

 修道院は爆撃を受けて破壊され、壁画は
天井のない場所に3年間も放置されたまま
、防水シートの下で雨露をしのぎ、風や埃
に晒されながら、戦争が終わるまでの間を
からくも生き延びたというわけです。

 いやぁ、まさに、波瀾万丈人生
否、「画生」とも言うべき運命は、

 喪失「瀬戸際」にあった壁画
をなんとか蘇らせることになります。

 足かけ22年(1977年から1999年5月28日)
にも及ぶ、大規模な修復作業の結果、

    

 後世の修復家による加筆などの誤写は
取り除かれたようなのですが、オリジナル
の絵の具が残っていない箇所も多く、壁の
下地が露出している部分も見られます。

 とまれ、20世紀の終わりには20年以上の
歳月を費やして修復という「復活劇」
が上演されたわけで、ある意味において、

 この壁画が担った宿命的使命
感ぜずにはいられませんが ・・・

 
 前述のように、

 『最後の晩餐』に秘匿されている
「罠」気宇壮大で、時間的には
遠大で空間的には広大にして無辺です。

 結論から言えば、『最後の晩餐』
でのヨハネと目される女性のような人物に

        
     『最後の晩餐』のヨハネ

 世間での注目が集まることで天狗
持ち物である隠れ蓑の如き「罠」
透明化成功するわけですが、


 『最後の晩餐』のヨハネ 『岩窟の聖母』のマリア

 それは、

 『岩窟の聖母』実相としての

 
  『岩窟の聖母』におけるマリアの正体

 聖母マリアや大天使ウリエル(ガブリエル)


 
 さらに、



 幼児のイエスや赤子として表現されている
洗礼者聖ヨハネの実像にも ・・・



 あるいは、もっと言えば、

 『最後の晩餐』演技をする



 13人人物は、そのすべてが人類の
歴史と未来につながる全人類を代表する
それぞれであって、私でもあり、アナタでも
あり、且つまた、まだ見ぬ未来の子孫たち
でもあるという万能のオールカマーにして
オールマイティな「罠」なのです。

 もちろん、『受胎告知』のガブリエル
も然(しか)りです。



  「おっ、お前は、ドラゴンなのか !!

   

   「やだぁ、バレちゃった」



 「でも本当はドラゴンじゃなく、
     蜥蜴(トカゲ)なのよ」



     「きゃっ !!

 
   『岩窟の聖母』における聖母マリア

 「ドラゴンはこの人たちです」





 … to be continue !!

 

コメント一覧

小吉
ダ・ヴィンチが絵が劣化することを知らないわけがないけれどそんな劣悪な場所に描いたのは「人々はこの絵に魅了され必ず修復される」という確信があったのでしょうか。
記事の中の『最後の晩餐』が歩んできた歴史を読むと「いつ無くなってもおかしくない」なと思いました。
よくもまあ生きていた。
リンゴとバナナ
記事では「ドラゴンはこの人たち」としてるからドラゴンでしょうけど、どっちに見えるかって言ったら、最後の顔は、やっぱ“トカゲ顔”⇒“トカゲ女”かも・・・
まみむメモ
「そう見えてくる」とは、“トカゲ顔”って、ことですか?

つまり、その“レプティリアン”だという意味ですか!?
リンゴとバナナ
何だかそう言われると、最後の天使ウリエルの顔がだんだんそう見えてくるから恐い!
小吉
なんだか鋭い目つき。
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