この驚異的な発展には、他の国と異なる何ものかが
なくてはならない。 果たせるかな、この国の三千年の
歴史がそれであった」 … で、始まる所謂(いわゆる)、
「アインシュタインの予言」 なる文書の
存在があります。
アルベルト・アインシュタイン博士の発言として流布する
約300字程度の文章ですが、古くは1956年(昭和31年)の
『祖国愛』(著者:今村均)に、また、1977年(昭和52年)の
『新世紀の宝庫・日本』(著者:名越二荒之助)にも、散見
するもので、最近では2005年(平成17年)の『世界の偉人
たちが贈る日本賛辞の至言33選』に紹介されています。
1号さんの 『表の顔と裏の顔』 でもその一部
につき掲載がありましたが、「近代日本の驚くべき発展」を
賞賛し、「来るべき世界政府の盟主となるは日本であろう」
と予言したもので、「そのような尊い国を作っておいてくれた
ことを神に感謝する」 とまで言わしめているのです。
この文章は1950年代以降、書籍・雑誌などに引用・転載
が繰り返され、インターネットの普及後はウェブ上の記事に
多数引用されています。
度重なる引用や孫引きによって、文章の一部が抜け落ち
ていたり、語句が書き換えられたりと、さまざまなバージョン
にアレンジされて、現在、流布しているようですが、以下に
代表的な例を提示します。
― ― ― ― ― ―
「近代、日本の発達ほど、世界を驚かしたものはない。
この驚異的な発展には、他の国と異なる何ものかが
なくてはならない。 果たせるかなこの国の、三千年の
歴史がそれであった。
この長い歴史を通して、一系の天皇を戴(いただ)いて
いるということが今日の日本をあらせしめたのである。
私はこのような尊い国が、世界に一カ所位なくてはなら
ないと考えていた。
何故ならば世界の未来が進むだけ進み、その間幾度か
戦いは繰り返されて、最後には戦いに疲れる時がくる。
その時人類は、まことの平和を求めて、世界的な盟主を
挙げねばならない。
この世界の盟主なるものは武力や金力ではなく、凡ゆる
国の歴史を抜き越えた最も古くまた尊い家柄でなくては
ならない。
世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。 それは
アジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。
吾々は神に感謝する、吾々に日本という尊い国を作って
置いてくれたことを」
― ― ― ― ― ―
何とも日本人の琴線に触れるような発言であり、愛国心
を擽(くすぐ)る内容ですが、この文章の出典とされる雑誌
『改造』 (アインシュタイン特集号)1922年(大正11年)
12月号に、該当する文章の存在は確認されていません。
2005年(平成17年)には、アインシュタイン がこのような
趣旨の発言をしたという例は一例も存在しないとする論証
を、ドイツ文学研究者の中澤英雄・東京大学教授(当時)が
発表しました。
中澤教授は、アインシュタインの思想と矛盾する内容で
あり、この「予言」の原型を宗教家の田中智學が、1929年
(昭和3年)に著した 『日本とは如何なる國ぞ』 という本の
一節であると指摘しています。
紙幅の都合上、ここでは紹介できませんが、内容的にも
極めて酷似していることは疑いようもありません。
著者である田中智學氏は、この言葉について …
大日本帝国憲法の制定に大きな影響を与えたドイツ人の
法学者ローレンツ・フォン・シュタインの発言として紹介して
おり、「予言」は アインシュタインのものではない可能性が
より高くなってきたのです。
中澤教授は「シュタイン」と「アインシュタイン」という名前
の類似性から、流布する過程ですり替わってしまったとした
うえで、内容的にシュタインの思想とも食い違っていること
などから、シュタインの言葉でもなく、田中氏による創作で
あると考察しました。
つまり、シュタインを狂言回しに田中氏が自らの思想を
語ったものが、細部に改変が加えられて「アインシュタイン
の予言」として二重の錯誤を経て流布するに至ったもので
あると論証したわけです。
さらに、アインシュタインの研究を行なっている板垣良一・
東海大学教授(物理学史)も、「アインシュタインはキリスト
教でもユダヤ教でもなく、神にこだわらない人だった」 とした
うえで、彼が残した日記や文献でも日本の天皇制に言及
したものはなく、この発言を 「アインシュタインではない」 と
断言しています。
また、
「予言」の内容とほぼ同じものが、大本教の教義解説書
『大本のしおり』 1967年(昭和42年)刊に、「スタイン博士」
の言葉として見られると指摘しているのは、『トンデモ日本
史の真相』(著者:原田実)です。
この「予言」がアインシュタインのものではないという話は
、2006年(平成18年)6月7日付の『朝日新聞』でも取り上げ
られたようなのですが …
朝日新聞には捏造のイメージが付きまとうので、ここまで
とします
以上、Wikipedia より 適宜抜粋引用しました。
ところで、
『表の顔と裏の顔』 の記事に、「予言」の一部が
引用・転載されていましたが …
おそらく1号 さんは偽書であることを知っていたうえで、
あえて 「真偽の追求はしてくれるな」 との
気持ちを 「白黒つかない日本人」 という表現
で示し 「ハッキリしないのです」 とのフレーズの
なかに オチ と 希望的な観測 をそこに押し込めて
いたのではないでしょうか
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/319.html(参照)
ですから、記事にあった行間が読めないという1号さん
の指摘に反発し対抗して、この記事を書いたわけではない
ことをここに記しておきます。
偽書といえば、江戸末期から唱えられている日本最古の
史書 『古事記』 の偽書説が有名ですが …
これを紐解くと現代の日中韓の関係や二国間の諸問題
の根っこが見えてきそうなので、近々にもチャレンジ
してみたいと大風呂敷 を広げてみましたが …
それでは最後に、正真正銘の
「アインシュタインの予言」 を
「第2次世界大戦では、原子爆弾が兵器として利用され
ましたが、第三次世界大戦が起こったら、どのような兵器
が使われると思いますか」 というインタビューを受けた
アインシュタインが、「第三次世界大戦についてはわかり
ませんが、第四次大戦ならわかります」 と肯(うなず)いて
、「それは 石 と 棍棒 でしょう」 と答えたいうものです。
いまさら、言うまでもなく、
これは、「予言」 というより、第三次世界大戦は
全面核戦争になるので、文明の崩壊は必然であると
いうジョークという名の 「警句」 です
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