透明人間たちのひとりごと

チベットに自由と正義を

 来日中のチベット仏教最高指導者 ダライ・ラマ14世
21日に静岡市駿河区で講演し、「21世紀は対話を通して
平和の世紀にしていかなければならない」 と訴えました。

 20世紀の戦争や現在も世界各地で起こる紛争を挙げ、
「人間が存在する限り、意見の違いは存在する。 しかし、
決して暴力的に解決されてはならない」 と指摘し、さらに
「人類家族は一つだという認識を、私たちがもっと堅固に
持つことが求められている」 と強調しました。

 ダライ・ラマ14世といえば、

一昨昨日(19日)、東京都港区増上寺で若手宗教者との
対話集会に出席し、中国政府のチベット政策に抗議する
チベット族僧侶たちの焼身自殺が同国内で続発している
ことに 「自分の最も大切な命を他人のために投げ出し、
世の中の不条理を問いかける尊く素晴らしい行為だ
」 と
述べたそうですが …

 「焼身自殺に理解を示したともいえ、中国政府を刺激し、
波紋を呼びそうだ」

 と一昨日の朝刊では伝えていましたが、その一方で … 

 昨日の新聞では 、「チベット虐殺で江氏らに逮捕状」 と
いう見出しで、1980~1990年代に行なわれたチベットでの
「ジェノサイド(大虐殺)」 に関与した容疑で江沢民元国家
主席(87)、胡錦濤前主席(70)、李鵬元首相(85)ら5人の
政権幹部経験者に対して、スペインの裁判所が逮捕状を
出したそうで、「大虐殺、人道に対する罪、拷問、テロ」 に
責任があるとする人権団体の刑事告発に 「当時の政治、
軍の高官が関与した疑いがある」 との見解を当裁判所が
示したそうなのです。

 これに対し、中国の報道官は「国外のチベット独立勢力
は何度もデマを飛ばして中国政府を侮辱、攻撃し、中国と
他国の関係を破壊しようと企てている」と主張し、スペイン
側に「誤った決定」を変えて、「中国との関係を損ねるよう
なこと」をしないよう要求しました。

 また中国外務省は、20日の記者会見で 「強烈に不満で
断固として反対する」 「チベット独立勢力に誤ったサインを
送らないで欲しい」 と強く非難し、スペイン側に対して説明
を求めていることを明らかにしました。

 江元主席らは中国国内にいる限りにおいて、逮捕される
ことはありませんが、告発した人権団体は今回の裁判所
の判断を「大きな一歩だ」と評価しているようです。

 ところで、ダライ・ラマ14世ですが、20日午前には、参院
議院会館で与野党の国会議員を前にして中国の習近平
国家主席について 「現実的な考え方をする人で、ビジョン
を述べるだけでなく、実行する勇気と行動力を持っている
のではないか。これからどうなるか見ていきたい」と延べ、
習氏が進める国内改革に期待を示していましたが、どこか
二枚舌的で、媚びへつらい、阿(おもね)るような素振りを
見せるいやらしさを感じたのは 2号 の偏見のなせる業
だったのでしょうか

 さらに言えば、中国当局によるチベット自治区での弾圧
が 「際だって悪化した」 と米国務省が20日に発表したよう
に世界各国の信仰の自由に関する2012年の年次報告書
では、中国政府が主張する 「信仰の自由」 は 「国際的な
基準を満たしていない」 と指摘し、この1年で弾圧に抗議
する焼身自殺者が83人に達したと強い懸念を示しました。

 亡命チベット人向けのラジオ局 「チベットの声」
本部オスロ)は今年1月、中国本土で2009年以降に焼身
自殺を図ったチベット族の人数は100人に達したと報じて
いますので、8割以上が昨年に発生したことになります。

 前述のように、チベット自治区での法的根拠が明らかで
ない拘束や拷問などの弾圧行為が「際だって悪化した」 と
指摘し批判する報告内容ですが、政府の新体制発足など
政治的な移行期や宗教的記念日に合わせて弾圧が激化
したことなども年次報告書では明らかにしています。

 にもかかわらず

 相次ぐチベット族の僧侶たちの焼身自殺を賛美するかの
ような19日の増上寺でのダライ・ラマ14世の発言内容には
違和感と失望感を禁じ得ませんし、20日の参院議員会館
での習主席を持ち上げるような発言にしても、何を考えて
いるのかよくわかりません。

 ダライ・ラマ14世は 「私たちはチベットの独立を求めては
いない。中国の枠内にとどまると明言しており、分裂主義
の思想は持っていない」 と強調し、チベット族の焼身自殺
に関しては 「非常に悲しいことだ。  中国高官は私たちが
その原因をつくり、煽っていると批判するが、中国当局は
彼らを焼身自殺へ追い詰めている原因を究明してほしい」
と訴えたそうですが、やはりどうも釈然としません

 あたり障りのない当事者意識に欠けた他人事的な発言
に終始する姿勢はスペインの裁判所とは大違いです。

 ダライ・ラマ14世 を崇拝し、国の行く末を託しながら …

 「チベットに自由を」 と叫んで自らに火を放った
18歳の僧侶、ダライ・ラマの「チベット帰還」を求め、
躊躇(ためら)いもなく身体に火をつけた20歳の僧侶 …

 報告書などにもあるように、2009年以来の焼身自殺者は
100人に上り、このうち少なくとも84人が死亡したということ
ですが …

 これでは、若い僧侶たちの魂は浮かばれませんase

 現在の国際社会では「民族自決」(一国家一民族)
は正当な権利であるとされています。

 たとえば、かつてのソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)
は各民族の共和国が独立する権利を保留して 「自発的
にソ連邦に参加した連邦国家でした。(所属国家選択説)

 そこで、スターリンは民族が独立する条件を示します。

 1 人口が100万人以上あること。
 2 共和国の名を冠した民族がその過半数を占めること。
 3 外国と国境を接していること。

 という3条件です。

 中国で言えば、チベット、新疆ウイグル、内モンゴルなど
の各自治区は、スターリンの言う独立国家の条件をすべて
満たしていて、、かつてこれらの地域における独立運動の
スローガンは「自治区にソ連の共和国と同じ権利を認めよ」
というものでした。

 このために、中国共産党は少数民族の地区がスターリン
の3条件を満たすことがないように、との思惑から漢民族
の移住政策を強引に推し進めたわけですが …

 この条件を見て、前稿の 1号 さんのエントリー記事で
ある 『新疆ウイグルの涙痕』 に記された新疆
ウイグル自治区の現状を知れば、嫌でも中国政府の姑息
さが知れようというものです。

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/339.html(参照)

 漢民族は中国の総人口の9割以上を占めていますが、
建国以来、中国共産党は多数の漢人移民を少数民族
の地区へと送り込みました。 

 その結果、内モンゴル自治区では、人口の9割以上が
漢人となり、もはや、スターリンの独立条件を満たしては
いませんし、新疆ウイグル自治区においても同様の状況
が生まれつつあることは 『新疆ウイグルの涙痕』 にある
とおりです。

 現在、ウイグル族が4割にまで人口比率を減らしている
のに対して、漢人は4割を占めるまでになっているのです。

 近い将来に、同自治区において漢人が最大の人口を
有することは確実で、そうなれば、「民族自決」 に基づく
ウイグル人の国家として独立するのは、ほぼ不可能に
なってしまいます。

 そうした意味からも新疆ウイグルの独立運動に残されて
いる時間は少ないと言えるでしょう。

 同じことはチベット自治区においても憂慮されるわけで、
現状では依然としてチベット人が9割を占めていますが、
青海省西寧とラサを結ぶ青蔵鉄道の開通など移動手段
の発達によって、漢民族の移住が加速促進されることは
必至の状況にあり、そうなれば、チベットも新疆ウイグル
も内モンゴルの各自治区も中国共産党の主張どおりに
「中華人民」の国=中華人民共和国
あるということになってしまうのです。

 そういえば、『ヘイト気分にチープな心』
記事のなかで、5号違和感不信感 を抱く
人物 のひとりとしてダライ・ラマ14世 を挙げて
いましたが、ひょっとして、それは 慧眼 だったのかも

 … という気持ちにさせられてしまいそうです

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/324.html(参照)

 さて

 きょうは、JFK(ジョン・F・ケネディ)の暗殺事件から50年
の節目の日でもあり、巷に渦巻く陰謀の噂話でも書こうか
と考えていたのですが、喫緊の問題として、前稿の記事で
ある『新疆ウイグルの涙痕』との繋がりも考慮
してチベット問題 を取り上げてみました。

 習近平国家主席 に対する ダライ・ラマ14世 とは違って
1号 さんに阿(おもね)たわけではありませんので …

 その点 どうか あしからずase2

 「チベットに自由と
    平和と正義を !!」


 symbol2 若き僧侶たちの思いよ届け … symbol3kirakira2

  そう願ってやみません clapnose3

コメント一覧

バカボンのパパのパパ
ノーベル平和賞ほど有名無実なものはないのだ!
佐藤栄作元首相、オバマ大統領 … まっ、ダライ・ラマもそうなのだ!
透明人間2号
「非暴力不服従」というガンジーの運動は弁護士だった彼が仕事で南アフリカへ渡ったときの経験から得た武器(トルストイの思想に共感したもの)で、南アフリカというのがなかなかのミソです。
かの悪名高きアパルトヘイトを終わらせたネルソン・マンデラも非暴力で差別と闘い人種差別政策に終止符を打ったわけですが、ガンジーの影響をうけたことは間違いありません。
ついでに言えば、黒人差別と闘ったアメリカのキング牧師もミャンマーを民主化に導くアウン・サン・スー・チー女史も「非暴力」を貫き「不服従」の精神を忘れてはいませんでした。
ダライ・ラマ14世の場合は非暴力的ではあっても不服従かといえば、そうではない言動がちらほらと見てとれます。
ここに列挙した人物は、ガンジーを除き、いずれも「ノーベル平和賞」を受賞していますが、賞に値する結果が得られていないのはダライ・ラマ14世だけですね。
そうした不徹底さがどこかで影響しているのかもしれません。
おいら
http://sin-sei.at.webry.info/
非暴力といえばガンジーだけど、それは相手がイギリスだったから独立できたんだよな。理想を貫くのはいいけどダライ・ラマのやりかたでは、平和になるにせよ奴隷の平和になるだけですわ。
若き特攻隊員
ダライ・ラマって、確かノーベル平和賞を貰ってるんだよねぇ~???

だったらチベットを平和にしろよ!
ココナン
中国当局が新しい監視システムを開発したというニュースがありました。
ウイグル語やチベット語などの少数民族が使う言葉で交わされた通信やネット上の文字情報でのやりとりを監視できるように開発したそうで、詳細は不明ですが、少数民族の言語を中国語に翻訳して監視する仕組みのようですよ。
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