「10番マーク!!」
「10番フリーにするな!」
自分自身が着けている背番号だからというのもあるが、自分の近くで周りが言っているため試合のたびにこんな声が聞こえてくる。
憧れていた背番号でのプレー。
正直もっとプレッシャーを感じながらのプレーになりぎこちない感じになったりするかもしれないと思っていたが、新シーズンは初戦から全く背番号にプレッシャーを感じることなくプレーすることが出来ていた。
初戦の早い段階で得点を決め、その日はその後もゴールとアシストを上げたためプレッシャーを感じることなく不安なくプレー出来ていたのかもしれない。
人数不足により苦しい試合はいくつかあったが、人数がしっかり揃った試合では他を圧倒し全く問題がないほど圧勝もしながら勝ち続けた。
本来ならばこのチームは県リーグ1部あたりでプレーしていてもおかしくはない。
一人一人のレベルの高さを見れば本当にそのリーグでやれていたと思う。
でも実際はなかなか人数が集まらなかったりするため、とてもじゃないが県リーグに参加するだけの余裕はなかった。
市内リーグでは正直敵なしで、やっているサッカーが好きだからとても楽しかった。
試合だけでも成長出来ている自分を感じることも出来た。
でも実際にこのチーム、ほんとのところはどの程度強いのか?
県リーグトップクラスのチームともやれるとは思ってはいたが、本当にそのレベルでも通用するのか?
そんなことを思うようになっていた頃、県内全ての高校、社会人を対象としたトーナメント大会が開かれることとなった。
県内1を決めるガチンコのトーナメントだ。
今シーズンのリーグ戦も半分を過ぎた頃だった。
市内1部リーグは10チームの総当たりリーグでそれを2回戦行う。
つまり1シーズンは18試合を行うことになる。
そのリーグの半分を過ぎた頃にはチームは全勝をキープしていたためすでにこのリーグで独走状態となっていた。
そんなチームが好調を維持する中で、いよいよ県内1を決める大会が行われることになった。
こういう高校、社会人の県内1を決める大会はこの年以降には行われた記憶はない。
たまたまあっただけなのか、この大会が行われた経緯は全く知らないが、この年に行われたことは本当に良かった。
自分自身が今のこのチームが一番強いと思える時期にこの大会に出れる。
そしてそれは自分自身が疑問に感じていた本当のチームの実力も知ることが出来る。
絶好の機会を得ることが出来たことは本当に嬉しかった。
ちなみにこの大会は天皇杯へと繋がる大会ではなかった。
当時は今とは天皇杯の県代表を決める形がずいぶんと違い、きちんと県内で登録しているチームであればチャンスはどのチームにもあった。
うちのチームもその資格はあったのだが、毎年この天皇杯の予選には出場をすることはなかった。
1度だけこの県内1を決める大会の後に天皇杯予選に出ようという話になりかなり盛り上がったが、予選の時期があまりにも悪くメンバーの大半が参加出来ないと分かり結局僕がこのチームに在籍している間は一度も天皇杯予選には出場することはなかった。
この大会は地区ごとに分けられ、その地区を勝ち抜いた上位4チームが本選へと駒を進める。
全てがトーナメントで行われるため場合によっては運にも左右されることもある。
そしてこの大会での1回戦、そして2回戦。
チームからしたら普通の試合だっただろうが、僕にとっては忘れることの出来ない貴重な対戦相手との試合となった。
続
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