ライフスタイルをデザインする建築家の・・・ライフスタイル

ライフスタイルをテーマに建築家の日常を綴っています。
最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■火事現場のリフォーム~耐火性能の重要性

2006-03-30 23:45:10 | ■建築話
今日は火事後の現場に行ってきました。
実は、この現場に行くのは二度目。
人間慣れとは恐ろしいものです・・・

現場訪問一回目。
電気のつかない薄暗い現場に怯えながら足を踏み入れる。

階段を登るとジャリッと靴底に灰があたる。
生ものを踏んだような異様な感触にビクビクしながら現場を見て回ったのです。

現場訪問二回目の今日は、そういった恐怖感はすっかりなくなりかなり冷静に現場を見ることが出来ました。

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上の写真はコンセントプレートだったところ。
火事の炎でプレートが焼け爛れてしまっている。

実はこのプレートだけではなく、プラスチック製品は全て溶けて床に落ちてしまっている。
エアコンなどは見る影もなく、ドロンと溶けてベタッという感じである。

現場を見て思ってつくづく感じた事は石膏ボードの偉大さ。
建具のオレフィンシートは焼け落ち、家具のほとんどは焼け焦げているのに石膏ボードの裏側の空間(小屋裏)は被害が皆無だった。

内装制限で火気使用室の上に部屋がある場合は不燃材料を使用しなければならないのだが、法の重要性に思わず納得してしまった。

もし、天井材に可燃物を使用していたなら一気に火は燃え移り家全体に炎は燃え移っていただろう。

※不燃材料とは20分間火に耐える性能で、主に消防車が到着するまでに有する時間内に耐える建材

写真のコンセントプレートもそうだ。
木造の準耐火建築物以上になると一定規模以上の開口部はキチンと不燃処理をしなければならない。

特にダウンライトが問題になる。
木造の準耐火建築物でダウンライトを取り付けるにはかなりの制約を受けるので、意匠を優先したい我々はかなり煩わしい法規。
今までは、コレくらいの開口部いいじゃないか?と思っていたのだが、石膏ボードの重要性を改めて知った私はコレラの基準法の定めに関心せざるを得ない。

この法規のおかげでどれだけの人の命が救われたか?

建築基準法の条文のみで設計していた私も、火災の恐怖と防火の重要性を実感した事によって生きた条文として心に刻み込まれました。

建築士の資格を得る際にこういった法の真意を伝える講習でも行えば、法規違反する人も少なくなるのでは・・・
と思った、貴重な体験でした。

※本物件はグループアプローチ建築設計事務所勤務時代に担当者として設計に携わりました。
現在は退所し、物件写真等は削除させていただいております。


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