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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■液状化マップ+隅田川氾濫マップ~どうなっちゃうの自宅建設?~第43話

2006-09-22 22:31:53 | ■建築家の自邸・構想~建築、竣工まで
このコーナーではakatukiが自宅建設の為に日々奮闘する様子を記事にしております。
自宅建設と同時進行で書き綴っている為、初めて記事を読まれる方は第一話からご覧ください。
すこしづつ更新していきますので、お引き立ての程宜しくお願いいたします。

◆建築家の自邸・二世帯住宅建設記の目次はこちらから

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計画案がなかなか進まない私。
とにもかくにも地盤の状況を本格に調べなければこれ以上進みません。

お金をかけてボーリング調査+坑内試験など本格的な調査をするにはお金がかかります。
簡単な見積もりを取ると40万円ほど・・・
試験も30m以上の穴を開けなければいけないの大変なのです。

木造住宅案で進める場合は、そこまで本格的な調査でなく簡易的な調査で代替できます。
SS(スウェーデン式サウンディング試験)という調査なら5万円+αで調査が出来るのでその差額はとても大きいです。

海外旅行が余裕で出来てしまう・・・

また、RCの案でも支持杭を打たない前提の調査だと、平板載加試験という地表(建物の基礎面)に加重を掛けて地耐力を測定する方法。
ハンドボーリングという人力で測定する方法など、予算を抑えた調査も可能です。

そんな関係で、先に案を練ってから構造設計士の方に相談したのです。

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構造設計士に前回のRC案を見せて打ち合わせすると・・・
「やはり杭の必要がありそうだ。」
との回答。
でも地盤調査をしてみないとなんともいえない状況らしい。

そして、近隣の地盤データから液状化の可能性が高い土壌だと指摘を受けていたのです。

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私は、インターネットを活用して過去の液状化事例を調べ始めました。
その時”コノ”液状化マップなるものを発見し、調査に乗り出したのです。


■関東地震液状化履歴図



荒川区役所にその所在を問い合わせたところ、都庁に保管してあるという話で仕事の合間に都庁へ向かいました。

「液状化マップ」は正式には
「東京の液状化予測図~関東地震規模の地震動を対象として」という冊子で、関東大震災クラスの地震が来た時の予想という形になっています。

その、関東大震災時の液状化が発生した場所をプロットした資料がこちら。
■:オレンジが激しい液状化に見舞われた地域。
■:赤は軽度の液状化の起きた地域。
■:青は井水の変化や地割れの地域。

■:緑は災害が確認されなかった地域。
■:白は未調査(被害がなかっただろうとして調査されていない)地域。

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この地図を見ると、関東大震災の時には液状化の被害を受けなかった緑の区分に該当します。
良かった~!液状化の心配は低いのでは?と喜んだのですが・・・

■領域判定による東京低地の液状化予測図



しかし、なんだかこの地図見ると赤い・・・

■:赤が液状化の発生しやすい地域。
■:黄色は液状化の発生が少ない地域。
■:緑は液状化がほとんど発生しない地域。

ということ。
この予測図は、土地の成り立ち・砂質土壌の層の厚み(地表に近いほど不利)・地下水位等をポイント化し、判定しています。
「地盤全体での液状化指数PL」と「表層から6mまでにある砂層の層厚と算出したFL値による過度」を掛け合わせて算出されたのも。

ほとんど、関東大震災の履歴に沿う結果となっているのですが、それよりも「液状化の恐れのある範囲が広くなっています。

しかし、足立区・墨田区・江東区・大田区が赤いことが良く解ります。
意外にも大田区が赤いことに驚きましたが、そういえば友人の自宅の近くに”大森貝塚”があった事を思い出しました。
ココも昔海だったんですね。

■自宅周辺の液状化予想図



恐ろしい・・・
ちょうど私の家の周りが赤い範囲に”ギリギリ”掛かっている。
コレは本当に液状化の危険性を危惧して建てなければなりません。
支持杭を打つなら何とかなるのだけど、それ以外の方法では不安は払拭し切れません。
どうしよう・・・

コノ状況を考えるに、まずはボーリング調査をして液状化試験をするより仕方ありません。
高いお金を払ってでも見極めておく必要がありそうです。

しかし、そうはいっても、私の敷地で支持杭が施工できるかも微妙。
結果、液状化対策をあまり考慮しない設計をせざるを得ないので、今一度杭業者に現地を見て頂くことにしようと思います。

■参考文献「東京の液状化予想図」
  発行:平成11年2月 東京都土木技術研究所

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■補足解説■

液状化とは、水分を多く含んだ砂質の地盤で発生する現象。
私の敷地のように、砂質の地盤下に粘土質の土壌があると水が溜まりやすく、地下水位が高い場合にはさらなる危険性があります。
砂の粒子が結束して比較的強い地盤を形成していても、地震によって砂の隙間に入り込んでいた間隙水が、浮力を生み土の粒子をバラバラにして地盤全体が液体のような状態になる事をいいます。

この状況下では、キチンと構造設計された建物では予想より遥かに強い揺れを受け、倒壊や・沈下の恐れが非常に高まります。

通常の構造計算では”基礎ごと動く”という事は想定外だからです。

木造の家屋・プレハブメーカーの住宅などは、ボーリング調査等を行わない為、この液状化対策を行っていないのが現状です。

建築基準法等でも、この液状化に対する整備は行われていなく、万が一起きた場合はしょうがない・・・
という、かたちで家々が建っているわけです。

でも、どんなに建物を頑丈にしても基礎ごと揺さぶられたら大変です。
ましてや、震度7以上の地震に耐えうる設計を課す建築基準法ですが、液状化の起きた地盤ではそれ以上の揺れになる事はまのがれません。

しかし、液状化には解明されていない点も多く。
2000~3000万円の住宅に500~1000万円の対策費は払えません。

あとは、本当に神頼み!
といった状態で建設が続いています。
恐ろしい事ですが、我が自邸もそういう設計になるかもしれません・・・

ちなみに、分譲マンション等の高層の建物は、まず間違いなく支持杭を施工していますので、液状化の点では安心できます。
しかし、別の問題もはらんでいるのでどっちが安全とは言い切れませんね・・・

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■隅田川及び新河岸川流域浸水予想区域図



調査ついでに、川の氾濫についても調査。
近頃、局地的大雨で全国各地で浸水被害・土砂崩れが起きているので心配になっているのです。

先日報告した荒川の浸水予測地図を見ようと探したのですが、荒川は一級河川の為、管轄が国だという。
国会図書館などに行かないとないという話だったので諦めて、二級河川の”隅田川”の氾濫した時の予想図をみてみる。

■自宅周辺の浸水被害予想図



■:浸水2.0m以上
■:浸水1.0~2.0m
■:浸水0.5~1.0m
■:浸水0.2~0.5m

我が家は0.5~1m浸水する地域。
なんだかコレくらいか~
と、安心してしまう自分が怖い。

平成12年9月の東海豪雨(降雨量589mm・時間最大114mm)が基準らしい。
最近の大雨を見ているとこのくらい余裕で降りそう・・・

でも、先日調べた荒川の氾濫よりまだましなのです。

■荒川水系荒川浸水予想図



この荒川水系荒川浸水予想図によると我が家は2~5m浸水する地域の端っこの方。
3mぐらい浸水するのではないでしょうか?
1階が丸々ダメになる恐れがあります。

このシュミレーションは<1/200確率雨量(548mm/3日)>を元に造っているらしい。
コレは私が生きている間に3割の確率で浸水する計算。
でも、まてよ・・・

さっきの東海豪雨は(降雨量589mm・時間最大114mm)は2日で589mm降ったのです。
このシュミレーションでは荒川に流れ出る山での降雨量を含む為、すぐにこんな雨量超えてしまうのではないかと不安がある・・・

考えれば考えるほど鬱になる安全対策。
安全の期待値を下げざるを得ないのは解っているが、知っていれば知っているほど恐ろしくなってしまうものです。

正直調べすぎました・・・
ちょっと後悔です。

■荒川水系荒川浸水予想図はこちらから

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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
うちの会社も (aonuma)
2006-09-24 22:13:24
液状化。

地震さえ無ければ関係ない話ですが、あと30年くらいのうちに一回くらいは来そうですよね。

大きな地震。



うちの会社のビルも埋立地に建っているのでやばそうです。
返信する
あと5年 (akatuki)
2006-09-25 23:13:59
>aonumaさま



もう来るもう来るといわれもう何年か経ってしまいました。

私自身、すぐ巨大地震が関東を襲うと思っているものですから、震度3くらいのゆれでもいつもビクビクしています。

心配しすぎもしょうがないんですけど・・・



埋立地も最近のものなら心配ないはずですけど。

そう、いくら自宅が安全でも地震が来た時に家にいる保証がないので、自分の身を完全に守るのは不可能です。

やはり海外にいる間に起きるんだったら起きて欲しいですね。
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