ライフスタイルをデザインする建築家の・・・ライフスタイル

ライフスタイルをテーマに建築家の日常を綴っています。
最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■斜陽館再見~太宰治記念館・五所川原市

2007-05-10 23:32:52 | ■国内旅行
GWに訪れた太宰治記念館。
青森県の五所川原市にある建物で、一般的に”斜陽館”の愛称で親しまれている。



実は、この斜陽館は二度目の訪問。
しかし、以前訪れた時は大学に入り始めてすぐだった為、建築の”ケ”の字も解からずに見た気になっていました。

あ~素晴らしい書院。
欄間の彫刻が繊細で、釘隠しの鋲やら障子の格子の割付など、建築を何年かやって来た今の私には全く別の建物に見えてきました。

そう、昔は「太宰治がここで生まれ育ったんだ。へ~」って感じ。
成長しました・・・



特徴的なのがこの階段の手摺。
まるでコケシのようだ。
堀江佐吉という棟梁の手によるデザインで、弘前市内にある”青森銀行記念館”にも同氏の同様なデザインの手摺がある。



天井の寄木模様。
乳母の部屋?へ続く階段の一角だけが、このすばらしい天井に。
よ~く建物を見ていないと見逃しそうなところにも技アリ。



このような豪華な洋間のある建物に住んでいながら、どうして、あのような小説を書けるのか?
斜陽館を訪れて、解ったような解らないような・・・

太宰治は、この建物を「ただ大きいだけ」と評し、あまり気に入っていなかったようだ。
その暮らしに溺れる事のない思想を持ってたからこそ、あのような作品を世に送り出したのだろうか?



資料室の脇にあった太宰治のネブタ。
弘前のものは正式には”ねぷた”と呼ぶらしい。
”ぶ”でなく”ぷ”

それにしても良く出来ている。



入口にあった曲面の塀。
何がどうした?という訳ではないんですけど・・・
愛らしい。

この年代(明治40年)の建物って、和の様式に無理やり洋を取り入れている感が強いのだけど、その危ういバランスが見事なんですよね。
今は、洋風といったら私たちはキチンとイメージできるけれども、この頃って見よう見まねで作り上げていた。
だからこそ、少ない情報で既成概念に捕われずにデザインされている。
それがかえって日本にしかない、”偽”洋風の確固たる地位を築いているのだと思う。



<オマケ>
すぐ近くにある物産館で頂いた「太宰ラーメン」。
筍と葱、ワカメたっぷりのラーメンで太宰治のお気に入りだったとか。
なんか、庶民的でいいよなぁ~と。

なんか、無性に太宰さんの小説を読みたくなってしまいました・・・

■斜陽館の公式HPはこちら

---AkatukiのGWの旅行記---

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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
太宰小説 (ちびなべ)
2007-05-12 23:01:54
中学生位の見えない将来に不安を抱く年頃の頃、読みふけっていました。明治ってそういう働かなくて生きていける富裕層、特に知識人の若者が自分の存在意義を見つけるのに苦労して自虐的?(言葉が正しいか怪しいけど)な精神になる事が多いと習った記憶があります。
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すごい・・・ (akatuki)
2007-05-13 09:19:05
>ちびなべさん

中学時代にそこまで完璧に太宰治(明治時代)を把握しているなんて・・・

僕も何冊かは読みましたが、メロスががむしゃらにはしっているイメージしか残っていません・・・
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