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首都直下地震の想定がM8.5に~どうする地震対策

2013-11-11 09:24:39 | ■建築話
先日、中央防災会議が首都直下地震の想定wpM7.5からM8.5へと引き上げました。
その地震のエネルギーは約32倍となります。

首都直下地震の被害想定の見直しを進めている中央防災会議の作業部会「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」(WG)は、「防災上考慮すべき最大の地震」をマグニチュード(M)8.5以上とする方針を固めた。相模湾から東に延びる相模トラフが動くことを想定しており、被害は首都圏の広範囲に及ぶ見通し。従来はエネルギーが30分の1以下のM7.5で対策を進めており、広域支援体制の再構築が迫られそうだ。【飯田和樹、渡辺諒】

 東日本大震災を想定できなかった反省を踏まえ、起こりうる最大規模を再検討。その結果、相模湾から千葉県沖まで延びる相模トラフの大部分が一度に動く可能性を否定しきれず、この場合はM8.5以上となった。

 相模トラフでは過去、M8前後の地震が2回確認されている。1703年の元禄関東地震(M7.9〜8.2)と、1923年の関東大震災(M7.9)で、いずれも相模トラフの一部が動いたと考えられてきた。M8.5以上の巨大地震が実際に起きた痕跡は確認されていないが、この2回の地震とは別の年代に、三浦半島で津波があった痕跡や、房総半島南部沿岸で地震による隆起が発見されるなど、未確認の巨大地震があったことを推測させる新たな知見がここ数年で発表されている。

 国が2004年度に公表した現在の首都直下地震の被害想定では、元禄関東地震のようなM8級の地震発生確率は低いとし、より現実的とされた規模(M6.9〜7.5)と震源から18パターンを想定。最も被害が大きいのは「冬の夕方に東京湾北部を震源とするM7.3」で、死者1万1000人▽建物全壊など85万棟▽経済被害112兆円−−となった。一方、東京都も昨年4月に元禄関東地震などを考慮した首都直下地震の被害想定を公表。死者は最大9641人などとしているが、M8.5以上ほどの巨大地震は考慮していない。

 M8.5以上が発生すれば、相模湾での大津波や首都圏の広範囲を強い揺れが襲うことになる。首都圏の各自治体は防災計画の抜本的な見直しを迫られることになりそうだ。国は当初、今春までに被害想定を見直す予定だったが、「M8.5」が発生する可能性について議論が長引き、公表が大幅に遅れてきた。WGの議論はまとまりつつあるが、委員の中には「過去に起きた例がない地震を想定しても現実味がないのではないか」と懐疑的な見方も残る。

参考文献:毎日新聞 2013年11月09日

もちろんこれは複合的な最大規模を想定しているわけですが、こんなにコロコロ基準が変わるともう何を信じていいかわからないですね。

家を建てる際には、指標となるのが建築基準法。
この建築基準法の耐震基準は

  1. 建築物の存在期間中に数度遭遇することを考慮すべき稀に発生する地震動に対してほとんど損傷が生ずるおそれのないこと。

  2. 建築物の存在期間中に1度は遭遇することを考慮すべき極めて稀に発生する地震動に対して倒壊・崩壊するおそれのないこと。

となっています。
これは具体的に示すと

この稀に発生する地震動:震度5弱→損傷なし
極めて稀に発生する地震動:震度6弱→倒壊・崩壊しない=震度6弱以上に対しては倒壊・損傷の保障なし


ということになります。
つまり、合法に建てた家も地震が来たら建物が無事という基準というよりは、身を守る最低限の性能と捉えたほうが良いということです。
※震度6弱以上で必ず倒壊するというわけではありません。実際、最新の基準法で建てられた家の多くはこれ以上の地震に対して耐えています。

震源のマグニチュードと震度階については気象庁のHPで電球に例えられていますが、
マグニチュードが電球の明るさで、そこから離れた場所の明るさが震度となります。
つまり、震源の位置(深さや距離)によって震度は異なる事になります。

今回の首都直下地震の想定では震源位置の想定が異なると読み取れるので、単純に比較は出来ませんが(ちなみに単純に32倍ゆれるわけではないです)、マグニチュード1の差はとても大きいですよね。

参考に東南海トラフ巨大地震の想定はマグニチュード9.1
東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9.0でした。
阪神淡路大震災はマグニチュード7.3でした。

太平洋沖地震の被害の多くは津波だったことを考えると、マグニチュードの大きさというよりはやはり、震源の位置や地盤の状況等が建物の揺れ(震度階)に影響を与えているかがわかります。

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そして、建物の揺れ方は構造要素(木造の場合は耐力壁)のバランスによっても異なる動きをします。
現在の建築基準法に則した建物ですと、ある一定のバランス基準はクリアしていますが、昔の建物はバランスを考慮する基準がなかった為、同じ年代に建てられた建物の中でも強度にばらつきがあります。
また、耐震要素の量等についても変更になっています。

元となる基準がひとつでも作られた年代や間取りによって建物の強度は一定じゃないんですね。

現在東京都(他の行政庁でも)では耐震化に力を入れていて、耐震診断や耐震リフォーム・耐震建替えに対してかなりの額の助成金を出しています。
私の住まいの荒川区の木造住宅の場合

  1. 耐震診断で30万円までの助成(実質自己負担0)

  2. 耐震補強設計で設計料の2/3(15万円まで)

  3. 耐震補強工事で工事費の2/3(100万円まで)

  4. 耐震建替えで工事費の2/3(150万円まで)


といった助成金制度があります。

今後、建て替えを検討している方はもちろん、自分の家が今の基準に対してどれくらいの強度を持っているかを知るにはとても良い制度です。
手が空いた際に耐震診断について詳しく書いてみようと思っていますが、本当にこの制度を使わないで建替えてしまうと損だと思いますので、まずは同様の制度が住まいの市町村にあるか調べてみてください。
特に特別なコストアップなしで150万円+αの助成金が受けられるのは大きいですよね。

ちなみに、これは宣伝になってしまいますが・・・
私は荒川区の耐震診断員として登録していますので、もし荒川区内で耐震診断等をご希望の方がいましたらご相談いただけたらと思います。
建築家の立場として無理にリフォームや建て替えを勧めることなくアドバイスを行うことが出来るかと思います。

→東京都の耐震助成制度等にかかわるHPはこちらから

→荒川区の耐震助成金の詳細はこちらで確認できます

しかし、耐震診断を行うとほんと、不安になるような値が出てしまうんですよね。。。
それほど現在の基準が強化・改善されてきているんですね。

まずは、今の住まいの弱点を知ること。
その上で対策を立てるのが有効なのではないでしょうか?


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