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ライフスタイルをテーマに建築家の日常を綴っています。
最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■耐震リフォーム物件~既存家屋の良さを残しつつプチリノベーション

2007-07-24 22:31:02 | ■建築-竣工物件
耐震リフォームの物件がようやく工事完了した。
始めは、簡単な壁の補強工事のつもりがどんどん工事が膨らみ軽いリフォームとなってしまった・・・

まぁ、お客様からは感謝していただいたので良しとしますが・・・
他の設計者さんの物件のリフォームってやっぱり予想外の事が多く大変ですね。



その問題のひとつが、壁・天井を空けてみて始めて気づく不可解な工事。
駐車場部分のかなり無理な構造を支えている柱の二本ともが、ボルトで固定されておらず、その後他の工事業者が補強工事を行った箇所も、全く意味を成していないことが判明。
鉄骨の基礎を掘ってみると、無筋でただモルタルが流してあるだけだったりと・・・



結局、コストをかけない必要最低限の補強で、対処をする事に。
万一大地震が来ても、ぺしゃんとつぶれない程度の補強。

本当は、もっとお金をかけて信頼性のある補強方法を行いたいのですが、一箇所だけ強固にすると、逆に他のところが弱くなってしまう恐れがあり、やむなくの対処。


結局、我々の発見した問題の対処療法でしかなく、見えない壁の中にも重大な欠陥が隠れている場合は、処置の施しようがない。
この事が耐震リフォームが難しい理由だ。

過去の増改築で、柱を取り除いたという部分は、梁が宙ぶらりんのまま放置されていたり、世間の地震に対する意識の低さに改めて驚愕させられる体験でした。

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で、冒頭の写真の話に戻りますが、コレは、耐震補強と絡んでクロスの張替え・間仕切り移動をした部屋。
始めは建具の交換をして、Rのついた壁も普通の壁にしてしまう予定だったのですが、コレだけ手の込んだ意匠を無駄にする事は出来ません。

間接照明を仕込み・落ち着いた感じの部屋として蘇らせました。



始めは、お金がないので必要最低限の工事でスタートしたのですが・・・
なんだかんだでステンドグラスの追加工事をする事になりました。
大面積のステンドグラスの為、予算を抑えながらどんな表現が可能か?

下の方は外から入ってくる光が弱いのと、植栽の影になるので・・・
ポイントを上に持っていき、だんだんと下に下がるにしたがって色とデザインをぼかすようデザインを頼んでみました。
デザイン自体はステンドグラス工房の方の提案なのですが、
外部の格子の影をうまく利用した、蔦状にデザインになりました。

コレにはお客様も大喜び。
私もそのぼかしの工夫が実に良く効いていて出来栄えに満足。

「宝石は身に着けている時、自分が楽しむ事が出来るけど、ステンドグラスは道を通り過ぎる人にも愉しんでもらえる」

コレは、お客様の言葉ですが、そのように皆が愉しんでもらえると思うととても嬉しいですね。



コレは、オマケで同じデザインのものを階段の踊り場にも付けていただいたもの。
こちらは、ホールにつけたものと違って色が濃い目でデザインされていて、踊り場に落とす影がとても綺麗。

これらのステンドグラスは、毎日、季節、時間によって様々な光の姿を映し、お施主様の心も満たしてくれる事でしょう。
ほんと、お客様に喜んでいただき良かったです。

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■Akatukiの作品集のページはこちらから

■私がお頼みしたステンドグラス屋さん”武蔵野工房”のHPはこちらから

※本物件はグループアプローチ建築設計事務所勤務時代に担当者として設計に携わりました。
現在は退所し、物件写真等は削除させていただいております。

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