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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

繰り返しの地震に耐える家造り~制震テープ

2016-04-16 22:30:13 | ■建築話
熊本地震で亡くなられた方にご冥福を祈ると共に、被災された方々、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
まだ、被害の全容が見えぬ中、大きい余震が多く様々な被害が懸念されます。

専門家の立場からすると繰り返しの地震ほど怖いものはありません。
特に木造の場合、主要な耐力壁である構造用合板(ダイライト等構造用面材)は釘で留められています。
ねじでしっかりと固定されているのではなく、最近では機械でとても速いスピードで打ち付けられているんですが・・・
解りやすくいうと鉄砲のようなもので撃ってるんですね。
ですからかなり精度が甘いのです。

 

現場で見ているとこの留め付けガ不適正、不十分なケースを良く見かけます。
一番多いのは打ち付ける力が大きすぎて、釘が練り込みすぎてしまって充分に力を発揮できないもの。
また、部材の端に打ってしまってすぐに抜けてしまいそうなもの、下地とずれていて全く効いてないものなど、所定の耐力を確保できないであろう状況をこれまで数多く見てきました。
こういった状態では、1度目の地震では有効に働いても二度目の地震では効果が著しく落ちると想定されます。

こういった事態は役所や第三者の検査ではほとんどチェックを受けることなく見過ごされています。
現場監理の際には指摘して直していただくようにしていますが、不安はそれだけではなく、やはり釘で留めている為に強い力で動いた場合に緩む事。
繰り返しの地震の力にどれだけ有効に働くのか疑問が残るのです。

5年ほど前?調べた商品のカタログが見つかりました。
それが「超制震住宅」「家をまるごとダンパー」と謳っている制震テープです。
解りやすく言うとゴムでできた包帯のようなもので構造体を強化し粘りを持たせたもの。
地震の動的エネルギーを熱エネルギーに変えて揺れを抑えるというものでした。
価格は住宅1棟で30~50万ほどの費用だったかと思います。(古い情報なので正確ではありません)

試験データも揃っていて、躯体のみの住宅とテープを貼った住宅とで揺れの様子を比較したものでかなりの成果が出ていました。
ただ、実際の住宅ではさらに内側にも石膏ボードや外壁材も取り付くので実験値よりも一般の住宅も粘りが強くなると思われるので、その差は小さくなると思います。
ですがその効果はかなり高いと思われます。

一番の利点は先ほど指摘した様な施工不良があったとしてもある程度カバーできるのと、繰り返しの揺れによって釘の穴が広がるのを防ぐ効果が期待できると思われることです。

以前頂いたサンプルが本に挟まれ、少し解けた様な状態で出てきたのですが、強い粘着性はまだ残っていました。
ですので、製品そのものの性能は確かのようです。

今回の震災を受けて繰り返しの地震に対する備えをもう少し考えるべきだと思いました。
とりあえず、今計画中の住宅でも使える技術か問い合わせしてみたいと思います。



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