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歯科技工士・岩澤 毅

[新編]氷川清話 [新書] 勝 海舟 (著), 高野 登 (翻訳)

2010年10月25日 | amazon.co.jp・リストマニア
海舟の「江戸弁」と「放言」を楽しむための一冊, 2010/10/25

By 歯職人

 『氷川清話』は数社から出版されているが、このレビューは高野登の訳注によるPHP研究所 (2009/10/29)版に関してのものである。
 海舟の「江戸弁」と「放言」を楽しむための一冊です。海舟の語りはやや脱線気味で、史料にはなり得ない。聞き手・編集者(発行当時)の校訂作業の粗雑さが、『氷川清話』の価値を下げている。
 本書の構成は、海舟の地の文と高野による解説が極めて近接して読む事が出来る構成で便利の良い一冊です。しかし、高野の幕末史の理解が、表面的で深みが無い。
 一つの謎とされる海舟と福澤諭吉の距離感については、海舟の実務者として矜持と幾多の生命と生活を預かった経験のある者から見た諭吉の限界の認知が、諭吉をして海舟評価の低さを生んだのではないだろうか。
 海舟と諭吉の関係を考える上で、直接材料にはならないが、言及無き言及の意味を考える上で参考になる。
 いわゆる幕末維新の「志士」の行動を年長者の視点から見続けた海舟が、求められて語った記録である。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4569774121/ref=cm_cr_mts_prod_img

シンペンヒカワセイワ カツカイシュウノセイジカントバクマツイシンノリメンシ
新編 氷川清話―勝海舟の政治観と幕末維新の裏面史

高野 澄【編著】
PHP研究所 (2009/11/11 出版)

255p / 18cm
ISBN: 9784569774121
NDC分類: 289.1
価格: ¥945 (税込)

詳細
幕末の動乱期に卓越した政治手腕を発揮した勝海舟が自在に語る!歯に衣着せず語った、辛辣な人物評および痛烈な時局批評。


1 冒険の心
2 同時代の人物
3 歴史の人物
4 アジアの人物
5 文学・文芸
6 政治・経済・外交
7 海軍
8 明治の政治・政治家
9 修養・鍛錬
10 清・朝鮮・日清戦争
11 多事多感

現代にも通じる洞察力や大陸的な見識を学ぶ。

幕府崩壊末期に卓越した手腕を発揮した勝海舟が残した言葉を紹介。歯に衣着せず語った辛辣な人物評、痛烈な時局の数々は痛快。

徳川幕府の護持を第一の目的とせず、日本という国を再生させるために奔走した勝海舟。政治家、官僚の勝海舟には与えられた政治的な事業や、海舟自ら望んだ政治的な目標があった。徳川幕府の臣下であったにも関わらず、幕府という組織を目標達成のための道具として使う戦略をたてる。目的のためには、自らの立場や人生を変えることも厭わなかった。編者は、“『氷川清話』は著名な政治家の自慢ばなしではなく、優秀な政治家になろうとした人間の記録として読むべきである”という。

▼勝海舟の、目的に向かう過程で生じる快感と絶望、諦観と野望の複雑な組み合わせのなかからにじみ出てくる哀愁を言葉の中から汲み取り、解説を加えた。爽快な語り口で人気の『氷川清話』を再編集し、編者の感想を加え、勝海舟の生き様を現代に再現。

●まえがき 
●(一)冒険の心 
●(二)同時代の人物 
●(三)歴史の人物 
●(四)アジアの人物 
●(五)文学・文芸 
●(六)政治・経済・外交 
●(七)海軍 
●(八)明治の政治・政治家 
●(九)修養・鍛錬 
●(十)清・朝鮮・日清戦争 
●(十一)多事多感 
●あとがき  著者紹介
高野澄[タカノキヨシ]
作家。昭和13年(1938)、埼玉県に生まれる。同志社大学文学部卒業後、立命館大学大学院に学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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