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歯科技工士・岩澤 毅

藤井 聡 (著)  コンプライアンスが日本を潰す (扶桑社新書)

2013年06月09日 | amazon.co.jp・リストマニア
「国土強靭化」のイデオローグ藤井聡京大教授による竹中平蔵慶大に代表される新自由主義徹底批判, 2013/6/9

By 歯職人

 独特な風貌と語り口、一つの学問分野には収まりきれない学識から固定ファンを持つ「国土強靭化」のイデオローグ藤井聡京大教授による、「コンプライアンス」をキーワードにした日本社会を改造しようとする者たち、日本経済を破壊した者たちへの徹底批判の書である。
 藤井教授は本書で、「タクシー」「建設産業」「独占禁止法・談合」の三つを例に、「コンプライアンス」を看板にした日本に現れた新自由主義が、連綿と続く日本の国柄を掘り崩す様とその構造・要因を解明する。
 更に、「コンプライアンス」という言葉の流行が コンプライ(comply)という英語の名刺形の字義とその用例、「~に従う」という意味の「comply with~」の如く、人々の精神を「屈服」させの破壊力をもつイデオロギーの道具立てとして機能している姿を言わば日本論・日本社会論として論考を進める。政治的にも注目を集めるTPPが、新自由主義の完成形への道の「最後の攻防戦」と位置付ける。
 論述はアメリカにおいて育成された新自由主義(主流派経済学)と日本におけるその同調者批判へと進む。小泉・竹中氏らの「改革者」対「抵抗勢力」とい図式作りとその劇場化の手法を解剖し、新たな抵抗の論理の構築を目指す。
 本書は、東日本大震災以降俄然注目を集める「国土強靭化」を提唱し、竹中平蔵氏に代表される新自由主義(主流派経済学)に果敢に挑み続ける藤井聡京大教授の新書版の入門書として手軽な作りになっている。
 藤井教授は、第2次安倍内閣の内閣官房参与との立場を得た。対して竹中平蔵氏は、成長戦略を実現することを目的として内閣に設置された日本経済再生本部の産業競争力会議のメンバーとなった。この官邸内のパワーバランスがどのように変化するか、注目したい。

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扶桑社新書
コンプライアンスが日本を潰す - 新自由主義との攻防

藤井 聡【著】

価格 \777(税込)
扶桑社(2012/06発売)

内容説明

アメリカ発のイデオロギーに毒された日本の歪んだ法令システムを国民の手に取り戻そう。TPP絶対阻止と「談合」の合法的復活へ。

目次

第1章 重大な局地戦―タクシー社会を押し潰した「コンプライアンス」(「コンプライアンス」でタクシー社会は大混乱;タクシー市場は、ラーメン市場とぜんぜん違う ほか);
第2章 巨大産業の崩壊―建設産業を潰す「コンプライアンス」(建設の関連産業に関わる人は、日本の全雇用の3分の1から半分近く;「コンプライアンス」のために、崩壊しつつある建設産業 ほか);
第3章 コンプライアンス・デフレ―コンプライアンスが日本経済を潰す(公正取引委員会は、新自由主義が日本に埋め込んだ「経済警察・司法組織」;「新自由主義」という猟犬を日本に差し向けたアメリカ ほか);
第4章 最後の攻防、TPP―日本を潰す最強のコンプライアンス装置(TPPにおけるコンプライアンスの図式:日本のアメリカに対する服従;TPPにおけるアメリカの意図/新自由主義とTPP ほか);
第5章 私たちに法令をコンプライアンスさせるべし(コンプライアンスは日本の免疫不全である;日本の国家的免疫不全についての病歴 ほか)

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