ごまめhttp://www.biwa.ne.jp/~yusei-e/36号(2006年9月発行予定)投稿予定原稿
「身分法」用例の澱(おり)
岩澤 毅(秋田市)
医療関係職種の資格・業務等を定めた法律を、「身分法」と表記する慣例が続いている。
平成14年12月13日に開催された医道審議会医道分科会において、「医師及び歯科医師に対する行政処分の審議を行うに当たっての基本的考え方」が取りまとめられ、また平成14年11月26日開催された医道審議会保健師助産師看護師分科会看護倫理部会においては「保健師、助産師、看護師の行政処分の考え方について」が、まとめられている。
「医師及び歯科医師に対する行政処分の審議を行うに当たっての基本的考え方」の行政処分の考え方の事案別考え方2)は、
保健師助産師看護師法等その他の身分法違反(無資格者の関係業務の共犯等)
医療関係職種の身分法は、医師、歯科医師の補助者として医療に従事する者の資格・業務について規定した法律である。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、医療において指導的な立場にある医師、歯科医師自らが、医療に関する基本的な法令に違反する行為は、医師、歯科医師が当然に果たすべき義務を怠った犯罪として、医師法、歯科医師法違反と同様に、重い処分とする。
また、「保健師、助産師、看護師の行政処分の考え方について」2、事案別の考え方(2)
身分法(保健師助産師看護師法、医師法等)違反
保健師助産師看護師法、医師法等の医療従事者に関する身分法は、医療が国民の健康に直結する極めて重要なものであるとの考え方から、定められた教育課程を修了し免許を取得した者が医療に従事すること及び免許を取得していない者が不法に医療行為を行うことのないよう規定している。また、不法に医療行為を行った際の罰則についても、国民の健康に及ぼす害の大きさを考慮して量刑が規定されているところである。
行政処分に当たっては、司法処分の量刑の程度に関わらず、他者の心身の安全を守り国民の健康な生活を支援する任務を負う看護師等が、自らに課せられた基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらすような法令違反を犯したことを重く見るべきである。
と、記されている。
単語「身分」の辞書的意味を探ると、
みぶん 1 【身分】
(1)その人が属する社会における地位や資格。 「―を保障される」「―を証明する物」
(2)境遇。 「よい御―だ」
(3)封建社会における制度的階級序列。西洋中世の貴族・僧侶・市民・農奴、日本江戸時代の士・農・工・商の類。 「―制度」
(4)法律が規定する関係としての地位。 三省堂「大辞林 第二版」より
との説明がある。また身分法に関しては、
みぶん-ほう ―はふ 0 【身分法】
私法のうち、身分関係あるいは家族関係に関する法規の全体。→財産法
との説明がある。
他に、公務員の「身分保障」との用例があり、国家公務員法七十五条の見出しが「身分保障」とあり、七十五条「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」とある。
公務員制度改革の議論の中のものではあるが、旧厚生省社会保障畑出身の阿部正俊参議院議員(注1)が、下記の「身分」に関し以下の発言を行っている。
第156国会 - 参議院 - 内閣委員会(平成15年03月26日)の阿部正俊議員の発言
何か、私はあえてこだわるつもりもありませんが、どうも従来、天皇の官吏とか官僚だとかいう特定の何か集団に、入るのが身分ということなのかな、それが国家公務員なのかなという感覚がどこか基本のところにあるような気がしてしようがないんです。国民の受け止めもどうもそういう面があるんではないかと。そういうことが、少しこれからの改革、新しい公務員像とマッチするのかしないのか。
新しい公務員像にはそこを私は突き破っていかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするんですけれども、そうだとするならば、今言った身分という言葉はできればやめてもらいたいと思うし、少なくとも身分保障というふうな表現というのは、どうも誤解といいましょうか、新しい公務員像にふさわしくないんじゃないかなという気がしますけれども。
厚生労働省医政局関係の他省庁・局等に類を見ない「身分」表記使用の頻度の高さとその感覚に、私は違和感を覚えるのです。
各医療職種によるチーム医療が当然の様に必要にされる現代においても、厚生労働省医政行政が、「愛染かつら」(注2)の時代と何ら変らない職種観・言語感覚の上に築かれているのではないかとの疑いを持つのです。
各医療職種を規定する法律は、意味内容の面からも「資格法」あるいは「資格者法」との言い換え、用語用法の変更が妥当であり必要ではないかと考えます。
「身分法」を字義と歴史的経過に則って使用するならば、現代において「身分法」と表記すべきものは、皇室典範に代表されるものではないかと考えるのです。
(注1)阿部正俊参議院議員(自由民主党・山形県選挙区、当選2回)
(あべまさとし)昭和17年11月4日生まれ、出身地山形県北村山郡小田島村(現東根市)
【 学歴・職歴 】
昭和41年 東北大学法学部卒業
昭和41年 厚生省入省 北九州市障害福祉課長、厚生大臣(橋本龍太郎)秘書官、 老人保健福祉局長を経て、平成7年6月 厚生省退官
平成7年7月~現在 参議院議員(自由民主党・山形県選挙区、当選1回)
平成13年7月 参議院議員(自由民主党・山形県選挙区、当選2回)
平成13年9月 厚生労働委員長
平成14年7月 内閣委員会筆頭理事
平成15年7月 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 筆頭理事
平成15年7月 外交防衛委員会筆頭理事
平成15年9月 外務副大臣
平成16年9月 自由民主党副幹事長
平成16年10月 予算委委員会理事 イラク特委員会 筆頭理事
【 自由民主党での主な活動 】
・厚生労働部会 副部会長
・自由民主党政務調査会社会部会介護保険問題に関する小委員会委員長
・医療基本問題調査会 医療提供体制の改革ワーキンググループ副主査
山形県連会長
http://www.abe-masatoshi.org/(注2)愛染かつら
戦前に松竹、戦後は大映で、過去二回にわたって映画化された。原作は、川口松太郎。
松竹(1938年)は、田中絹代、上原謙、佐分利信他の出演
松竹映画「愛染かつら」主題歌は、西条八十作詞「旅の夜風」
花も嵐も 踏み越えて
行くが男の 生きる途
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ
月の比叡(ひえい)を 一人行く
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD6570/
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/tabinoyokaze.html
(上記WEBサイトアドレスは、2006.01.19に取得した。)
2006.01.19記
ごまめ掲載はここまで
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/12/s1213-6.html医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について
平成14年12月13日に開催された医道審議会医道分科会において、医師及び歯科医師に対する行政処分の審議を行うに当たっての基本的考え方が取りまとめられました。
今後(次回以降)の審議においては、この考え方を基本として、厳正に執り行っていくこととされましたので、お知らせいたします。
(照会先)
厚生労働省医政局医事課
三浦(内線2564)、宇都(内線2576)
平成14年12月13日
医道審議会医道分科会
医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について
(はじめに)
医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて行われるものであり、医師、歯科医師その他の医療の担い手は、医療を受ける者に対し良質かつ適切な医療を行うよう努めるべき責務がある。
また、医師、歯科医師は、医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保することを任務としている。
医師法第7条第2項及び歯科医師法第7条第2項に規定する行政処分については、医師、歯科医師が相対的欠格事由に該当する場合又は医師、歯科医師としての品位を損するような行為があった場合に、医道の観点からその適性等を問い、厚生労働大臣はその免許を取り消し、又は期間を定めて業務の停止を命ずるものである。
医師、歯科医師免許の取消又は業務の停止の決定については、基本的には、その事案の重大性、医師、歯科医師として求められる倫理上の観点や国民に与える影響等に応じて個別に判断されるべきものであり、かつ、公正に行われなければならない。
また、より公正な規範を確立する要請に基づき、一定の考え方を基本としつつ処分内容を審議することが重要である。
このため、今後、当分科会が行政処分に関する意見を決定するにあたっては、次の「行政処分の考え方」を参考としつつ、医師、歯科医師として求められる品位や適格性、事案の重大性、国民に与える影響等を勘案して審議していくこととする。
この「行政処分の考え方」については、行政処分における処分内容が社会情勢・通念等により変化しうるべきものであると考えるため、必要に応じて、当分科会の議論を経ながら見直しを図っていくものとする。
なお、行政処分は、医師、歯科医師の職業倫理、医の倫理、医道の昂揚の一翼を担うものでもあり、国民の健康な生活の確保を図っていくためにも厳正なる対処が必要と考えている。
国民の医療に対する信頼確保に資するため、刑事事件とならなかった医療過誤についても、医療を提供する体制や行為時点における医療の水準などに照らして、明白な注意義務違反が認められる場合などについては、処分の対象として取り扱うものとし、具体的な運用方法やその改善方策について、今後早急に検討を加えることとする。
行政処分の考え方
(基本的考え方)
医師、歯科医師の行政処分は、公正、公平に行われなければならないことから、処分対象となるに至った行為の事実、経緯、過ちの軽重等を正確に判断する必要がある。そのため、処分内容の決定にあたっては、司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にすることを基本とし、その上で、医師、歯科医師に求められる倫理に反する行為と判断される場合は、これを考慮して厳しく判断することとする。
医師、歯科医師に求められる職業倫理に反する行為については、基本的には、以下のように考える。
(1) まず、医療提供上中心的な立場を担うべきことを期待される医師、歯科医師が、その業務を行うに当たって当然に負うべき義務を果たしていないことに起因する行為については、国民の医療に対する信用を失墜するものであり、厳正な対処が求められる。その義務には、応招義務や診療録に真実を記載する義務など、医師、歯科医師の職業倫理として遵守することが当然に求められている義務を含む。
(2) 次に、医師や歯科医師が、医療を提供する機会を利用したり、医師、歯科医師としての身分を利用して行った行為についても、同様の考え方から処分の対象となる。
(3) また、医師、歯科医師は、患者の生命・身体を直接預かる資格であることから、業務以外の場面においても、他人の生命・身体を軽んずる行為をした場合には、厳正な処分の対象となる。
(4) さらに、我が国において医業、歯科医業が非営利の事業と位置付けられていることにかんがみ、医業、歯科医業を行うに当たり自己の利潤を不正に追求する行為をなした場合については、厳正な処分の対象となるものである。また、医師、歯科医師の免許は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療を担い得る者として与えられるものであることから、経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても、当然に処分の対象となるものである。
(事案別考え方)
1) 医師法、歯科医師法違反(無資格医業、無資格歯科医業の共犯、無診察治療等)
医療は国民の健康に直結する極めて重要なものであることから、医師法、歯科医師法において、医師、歯科医師の資格・業務を定め、医師、歯科医師以外の者が医業、歯科医業を行うことを禁止し、その罰則規定は、国民保健に及ぼす危険性の大きさを考慮して量刑が規定されているところである。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが国民の健康な生活を確保する任務を負うべき医師、歯科医師自らが、医師法又は歯科医師法に違反する行為は、その責務を怠った犯罪として、重い処分とする。
2) 保健師助産師看護師法等その他の身分法違反(無資格者の関係業務の共犯等)
医療関係職種の身分法は、医師、歯科医師の補助者として医療に従事する者の資格・業務について規定した法律である。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、医療において指導的な立場にある医師、歯科医師自らが、医療に関する基本的な法令に違反する行為は、医師、歯科医師が当然に果たすべき義務を怠った犯罪として、医師法、歯科医師法違反と同様に、重い処分とする。
3) 薬事法違反(医薬品の無許可販売又はその共犯等)
薬事法は、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に必要な措置等を講じることにより、保健衛生の向上を図ることを目的としている。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師自らが、同法令に違反することは、基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらす行為であることから、重い処分とする。
4) 麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反(麻薬、向精神薬、覚せい剤及び大麻の不法譲渡、不法譲受、不法所持、自己施用等)
麻薬、覚醒剤等に関する犯罪に対する司法処分は、一般的には懲役刑となる場合が多く、その量刑は、不法譲渡した場合や不法所持した麻薬等の量、施用期間の長さ等を勘案して決定され、累犯者については、更に重い処分となっている。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師として、麻薬等の薬効の知識を有し、その害の大きさを十分認識しているにも関わらず、自ら違反したということに対しては、重い処分とする。
5) 殺人及び傷害(殺人、殺人未遂、傷害(致死)、暴行等)
本来、人の命や身体の安全を守るべき立場にある医師、歯科医師が、殺人や傷害の罪を犯した場合には厳正な処分をすべきと考えるが、個々の事案では、その様態や原因が様々であることから、それらを考慮する必要がある。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、殺人、傷害致死といった悪質な事案は当然に重い処分とし、その他の暴行、傷害等は、医師、歯科医師としての立場や知識を利用した事案かどうか、事犯に及んだ情状などを考慮して判断する。
6) 業務上過失致死(致傷)
(1) 交通事犯(業務上過失致死、業務上過失傷害、道路交通法違反等)
自動車等による業務上過失致死(傷害)等については、医師、歯科医師に限らず不慮に犯し得る行為であり、また、医師、歯科医師としての業務と直接の関連性はなく、その品位を損する程度も低いことから、基本的には戒告等の取り扱いとする。
ただし、救護義務を怠ったひき逃げ等の悪質な事案については、行政処分の対象とし、行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、人の命や身体の安全を守るべき立場にある医師、歯科医師としての倫理が欠けていると判断される場合には、重めの処分とする。
(2) 医療過誤(業務上過失致死、業務上過失傷害等)
人の生命及び健康を管理すべき業務に従事する医師、歯科医師は、その業務の性質に照し、危険防止の為に医師、歯科医師として要求される最善の注意義務を尽くすべきものであり、その義務を怠った時は医療過誤となる。
司法処分においては、当然、医師としての過失の度合い及び結果の大小を中心として処分が判断されることとなる。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、明らかな過失による医療過誤や繰り返し行われた過失など、医師、歯科医師として通常求められる注意義務が欠けているという事案については、重めの処分とする。
なお、病院の管理体制、医療体制、他の医療従事者における注意義務の程度や生涯学習に努めていたかなどの事項も考慮して、処分の程度を判断する。
7) 猥せつ行為(強制猥せつ、売春防止法違反、児童福祉法違反、青少年育成条例違反等)
国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師は、倫理上も相応なものが求められるものであり、猥せつ行為は、医師、歯科医師としての社会的信用を失墜させる行為であり、また、人権を軽んじ他人の身体を軽視した行為である。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、特に、診療の機会に医師、歯科医師としての立場を利用した猥せつ行為などは、国民の信頼を裏切る悪質な行為であり、重い処分とする。
8) 贈収賄(収賄罪、贈賄罪等)
贈収賄は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
なお、特に医師としての地位や立場を利用した事犯など悪質と認められる事案は、重めの処分とする。
9) 詐欺・窃盗(詐欺罪、詐欺幇助、同行使等)
詐欺・窃盗は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
なお、特に、医師、歯科医師としての立場を利用して、虚偽の診断書を作成、交付するなどの方法により詐欺罪に問われるような行為は、業務に関連した犯罪であり、医師、歯科医師の社会的信用を失墜させる悪質な行為であるため、重い処分とする。
10) 文書偽造(虚偽診断書作成、同行使、虚偽有印公文書偽造等)
文書偽造は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
なお、特に、虚偽の診断書を作成、交付した場合など医師、歯科医師としての立場を利用した事犯等悪質と認められる事案は、重めの処分とする。
11) 税法違反(所得税法違反、法人税法違反、相続税法違反等)
脱税は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
また、医療は、非営利原則に基づいて提供されるべきものであることから、医業、歯科医業に係る脱税は、一般的な倫理はもとより、医師、歯科医師としての職業倫理を欠くものと認められる。このため、診療収入に係る脱税など医業、歯科医業に係る事案は、重めの処分とする。
12) 診療報酬の不正請求(診療報酬不正請求(保険医等登録取消))
診療報酬制度は、医療の提供の対価として受ける報酬であり、我が国の医療保険制度において重要な位置を占めており、これを適正に受領することは、医師、歯科医師に求められる職業倫理においても遵守しなければならない基本的なものである。
診療報酬不正請求は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療について、医師、歯科医師としての地位を利用し社会保険制度を欺いて私腹を肥やす行為であることから、診療報酬の不正請求により保険医等の登録の取消処分を受けた医師、歯科医師については、当該健康保険法に基づく行政処分とは別に医師法又は歯科医師法による行政処分を行うこととする。
行政処分の程度は、基本的には不正請求額などに応じて決定するが、当該不正は医師、歯科医師に求められる職業倫理の基本を軽視し、国民の信頼を裏切り、国民の財産を不当に取得しようというものであるため、重い処分とする。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1126-6.html
保健師、助産師、看護師の行政処分の考え方について
平成14年11月26日開催された、医道審議会保健師助産師看護師分科会看護倫理部会において、別添のとおりとりまとめられましたので、お知らせいたします。
照会先: 医政局看護課
赤熊(内線2593)
平成14年11月26日
医道審議会保健師助産師看護師分科会
看護倫理部会
保健師助産師看護師行政処分の考え方
「身分法」用例の澱(おり)
岩澤 毅(秋田市)
医療関係職種の資格・業務等を定めた法律を、「身分法」と表記する慣例が続いている。
平成14年12月13日に開催された医道審議会医道分科会において、「医師及び歯科医師に対する行政処分の審議を行うに当たっての基本的考え方」が取りまとめられ、また平成14年11月26日開催された医道審議会保健師助産師看護師分科会看護倫理部会においては「保健師、助産師、看護師の行政処分の考え方について」が、まとめられている。
「医師及び歯科医師に対する行政処分の審議を行うに当たっての基本的考え方」の行政処分の考え方の事案別考え方2)は、
保健師助産師看護師法等その他の身分法違反(無資格者の関係業務の共犯等)
医療関係職種の身分法は、医師、歯科医師の補助者として医療に従事する者の資格・業務について規定した法律である。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、医療において指導的な立場にある医師、歯科医師自らが、医療に関する基本的な法令に違反する行為は、医師、歯科医師が当然に果たすべき義務を怠った犯罪として、医師法、歯科医師法違反と同様に、重い処分とする。
また、「保健師、助産師、看護師の行政処分の考え方について」2、事案別の考え方(2)
身分法(保健師助産師看護師法、医師法等)違反
保健師助産師看護師法、医師法等の医療従事者に関する身分法は、医療が国民の健康に直結する極めて重要なものであるとの考え方から、定められた教育課程を修了し免許を取得した者が医療に従事すること及び免許を取得していない者が不法に医療行為を行うことのないよう規定している。また、不法に医療行為を行った際の罰則についても、国民の健康に及ぼす害の大きさを考慮して量刑が規定されているところである。
行政処分に当たっては、司法処分の量刑の程度に関わらず、他者の心身の安全を守り国民の健康な生活を支援する任務を負う看護師等が、自らに課せられた基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらすような法令違反を犯したことを重く見るべきである。
と、記されている。
単語「身分」の辞書的意味を探ると、
みぶん 1 【身分】
(1)その人が属する社会における地位や資格。 「―を保障される」「―を証明する物」
(2)境遇。 「よい御―だ」
(3)封建社会における制度的階級序列。西洋中世の貴族・僧侶・市民・農奴、日本江戸時代の士・農・工・商の類。 「―制度」
(4)法律が規定する関係としての地位。 三省堂「大辞林 第二版」より
との説明がある。また身分法に関しては、
みぶん-ほう ―はふ 0 【身分法】
私法のうち、身分関係あるいは家族関係に関する法規の全体。→財産法
との説明がある。
他に、公務員の「身分保障」との用例があり、国家公務員法七十五条の見出しが「身分保障」とあり、七十五条「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」とある。
公務員制度改革の議論の中のものではあるが、旧厚生省社会保障畑出身の阿部正俊参議院議員(注1)が、下記の「身分」に関し以下の発言を行っている。
第156国会 - 参議院 - 内閣委員会(平成15年03月26日)の阿部正俊議員の発言
何か、私はあえてこだわるつもりもありませんが、どうも従来、天皇の官吏とか官僚だとかいう特定の何か集団に、入るのが身分ということなのかな、それが国家公務員なのかなという感覚がどこか基本のところにあるような気がしてしようがないんです。国民の受け止めもどうもそういう面があるんではないかと。そういうことが、少しこれからの改革、新しい公務員像とマッチするのかしないのか。
新しい公務員像にはそこを私は突き破っていかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするんですけれども、そうだとするならば、今言った身分という言葉はできればやめてもらいたいと思うし、少なくとも身分保障というふうな表現というのは、どうも誤解といいましょうか、新しい公務員像にふさわしくないんじゃないかなという気がしますけれども。
厚生労働省医政局関係の他省庁・局等に類を見ない「身分」表記使用の頻度の高さとその感覚に、私は違和感を覚えるのです。
各医療職種によるチーム医療が当然の様に必要にされる現代においても、厚生労働省医政行政が、「愛染かつら」(注2)の時代と何ら変らない職種観・言語感覚の上に築かれているのではないかとの疑いを持つのです。
各医療職種を規定する法律は、意味内容の面からも「資格法」あるいは「資格者法」との言い換え、用語用法の変更が妥当であり必要ではないかと考えます。
「身分法」を字義と歴史的経過に則って使用するならば、現代において「身分法」と表記すべきものは、皇室典範に代表されるものではないかと考えるのです。
(注1)阿部正俊参議院議員(自由民主党・山形県選挙区、当選2回)
(あべまさとし)昭和17年11月4日生まれ、出身地山形県北村山郡小田島村(現東根市)
【 学歴・職歴 】
昭和41年 東北大学法学部卒業
昭和41年 厚生省入省 北九州市障害福祉課長、厚生大臣(橋本龍太郎)秘書官、 老人保健福祉局長を経て、平成7年6月 厚生省退官
平成7年7月~現在 参議院議員(自由民主党・山形県選挙区、当選1回)
平成13年7月 参議院議員(自由民主党・山形県選挙区、当選2回)
平成13年9月 厚生労働委員長
平成14年7月 内閣委員会筆頭理事
平成15年7月 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 筆頭理事
平成15年7月 外交防衛委員会筆頭理事
平成15年9月 外務副大臣
平成16年9月 自由民主党副幹事長
平成16年10月 予算委委員会理事 イラク特委員会 筆頭理事
【 自由民主党での主な活動 】
・厚生労働部会 副部会長
・自由民主党政務調査会社会部会介護保険問題に関する小委員会委員長
・医療基本問題調査会 医療提供体制の改革ワーキンググループ副主査
山形県連会長
http://www.abe-masatoshi.org/(注2)愛染かつら
戦前に松竹、戦後は大映で、過去二回にわたって映画化された。原作は、川口松太郎。
松竹(1938年)は、田中絹代、上原謙、佐分利信他の出演
松竹映画「愛染かつら」主題歌は、西条八十作詞「旅の夜風」
花も嵐も 踏み越えて
行くが男の 生きる途
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ
月の比叡(ひえい)を 一人行く
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD6570/
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/tabinoyokaze.html
(上記WEBサイトアドレスは、2006.01.19に取得した。)
2006.01.19記
ごまめ掲載はここまで
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/12/s1213-6.html医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について
平成14年12月13日に開催された医道審議会医道分科会において、医師及び歯科医師に対する行政処分の審議を行うに当たっての基本的考え方が取りまとめられました。
今後(次回以降)の審議においては、この考え方を基本として、厳正に執り行っていくこととされましたので、お知らせいたします。
(照会先)
厚生労働省医政局医事課
三浦(内線2564)、宇都(内線2576)
平成14年12月13日
医道審議会医道分科会
医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について
(はじめに)
医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて行われるものであり、医師、歯科医師その他の医療の担い手は、医療を受ける者に対し良質かつ適切な医療を行うよう努めるべき責務がある。
また、医師、歯科医師は、医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保することを任務としている。
医師法第7条第2項及び歯科医師法第7条第2項に規定する行政処分については、医師、歯科医師が相対的欠格事由に該当する場合又は医師、歯科医師としての品位を損するような行為があった場合に、医道の観点からその適性等を問い、厚生労働大臣はその免許を取り消し、又は期間を定めて業務の停止を命ずるものである。
医師、歯科医師免許の取消又は業務の停止の決定については、基本的には、その事案の重大性、医師、歯科医師として求められる倫理上の観点や国民に与える影響等に応じて個別に判断されるべきものであり、かつ、公正に行われなければならない。
また、より公正な規範を確立する要請に基づき、一定の考え方を基本としつつ処分内容を審議することが重要である。
このため、今後、当分科会が行政処分に関する意見を決定するにあたっては、次の「行政処分の考え方」を参考としつつ、医師、歯科医師として求められる品位や適格性、事案の重大性、国民に与える影響等を勘案して審議していくこととする。
この「行政処分の考え方」については、行政処分における処分内容が社会情勢・通念等により変化しうるべきものであると考えるため、必要に応じて、当分科会の議論を経ながら見直しを図っていくものとする。
なお、行政処分は、医師、歯科医師の職業倫理、医の倫理、医道の昂揚の一翼を担うものでもあり、国民の健康な生活の確保を図っていくためにも厳正なる対処が必要と考えている。
国民の医療に対する信頼確保に資するため、刑事事件とならなかった医療過誤についても、医療を提供する体制や行為時点における医療の水準などに照らして、明白な注意義務違反が認められる場合などについては、処分の対象として取り扱うものとし、具体的な運用方法やその改善方策について、今後早急に検討を加えることとする。
行政処分の考え方
(基本的考え方)
医師、歯科医師の行政処分は、公正、公平に行われなければならないことから、処分対象となるに至った行為の事実、経緯、過ちの軽重等を正確に判断する必要がある。そのため、処分内容の決定にあたっては、司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にすることを基本とし、その上で、医師、歯科医師に求められる倫理に反する行為と判断される場合は、これを考慮して厳しく判断することとする。
医師、歯科医師に求められる職業倫理に反する行為については、基本的には、以下のように考える。
(1) まず、医療提供上中心的な立場を担うべきことを期待される医師、歯科医師が、その業務を行うに当たって当然に負うべき義務を果たしていないことに起因する行為については、国民の医療に対する信用を失墜するものであり、厳正な対処が求められる。その義務には、応招義務や診療録に真実を記載する義務など、医師、歯科医師の職業倫理として遵守することが当然に求められている義務を含む。
(2) 次に、医師や歯科医師が、医療を提供する機会を利用したり、医師、歯科医師としての身分を利用して行った行為についても、同様の考え方から処分の対象となる。
(3) また、医師、歯科医師は、患者の生命・身体を直接預かる資格であることから、業務以外の場面においても、他人の生命・身体を軽んずる行為をした場合には、厳正な処分の対象となる。
(4) さらに、我が国において医業、歯科医業が非営利の事業と位置付けられていることにかんがみ、医業、歯科医業を行うに当たり自己の利潤を不正に追求する行為をなした場合については、厳正な処分の対象となるものである。また、医師、歯科医師の免許は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療を担い得る者として与えられるものであることから、経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても、当然に処分の対象となるものである。
(事案別考え方)
1) 医師法、歯科医師法違反(無資格医業、無資格歯科医業の共犯、無診察治療等)
医療は国民の健康に直結する極めて重要なものであることから、医師法、歯科医師法において、医師、歯科医師の資格・業務を定め、医師、歯科医師以外の者が医業、歯科医業を行うことを禁止し、その罰則規定は、国民保健に及ぼす危険性の大きさを考慮して量刑が規定されているところである。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが国民の健康な生活を確保する任務を負うべき医師、歯科医師自らが、医師法又は歯科医師法に違反する行為は、その責務を怠った犯罪として、重い処分とする。
2) 保健師助産師看護師法等その他の身分法違反(無資格者の関係業務の共犯等)
医療関係職種の身分法は、医師、歯科医師の補助者として医療に従事する者の資格・業務について規定した法律である。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、医療において指導的な立場にある医師、歯科医師自らが、医療に関する基本的な法令に違反する行為は、医師、歯科医師が当然に果たすべき義務を怠った犯罪として、医師法、歯科医師法違反と同様に、重い処分とする。
3) 薬事法違反(医薬品の無許可販売又はその共犯等)
薬事法は、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に必要な措置等を講じることにより、保健衛生の向上を図ることを目的としている。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師自らが、同法令に違反することは、基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらす行為であることから、重い処分とする。
4) 麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反(麻薬、向精神薬、覚せい剤及び大麻の不法譲渡、不法譲受、不法所持、自己施用等)
麻薬、覚醒剤等に関する犯罪に対する司法処分は、一般的には懲役刑となる場合が多く、その量刑は、不法譲渡した場合や不法所持した麻薬等の量、施用期間の長さ等を勘案して決定され、累犯者については、更に重い処分となっている。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師として、麻薬等の薬効の知識を有し、その害の大きさを十分認識しているにも関わらず、自ら違反したということに対しては、重い処分とする。
5) 殺人及び傷害(殺人、殺人未遂、傷害(致死)、暴行等)
本来、人の命や身体の安全を守るべき立場にある医師、歯科医師が、殺人や傷害の罪を犯した場合には厳正な処分をすべきと考えるが、個々の事案では、その様態や原因が様々であることから、それらを考慮する必要がある。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、殺人、傷害致死といった悪質な事案は当然に重い処分とし、その他の暴行、傷害等は、医師、歯科医師としての立場や知識を利用した事案かどうか、事犯に及んだ情状などを考慮して判断する。
6) 業務上過失致死(致傷)
(1) 交通事犯(業務上過失致死、業務上過失傷害、道路交通法違反等)
自動車等による業務上過失致死(傷害)等については、医師、歯科医師に限らず不慮に犯し得る行為であり、また、医師、歯科医師としての業務と直接の関連性はなく、その品位を損する程度も低いことから、基本的には戒告等の取り扱いとする。
ただし、救護義務を怠ったひき逃げ等の悪質な事案については、行政処分の対象とし、行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、人の命や身体の安全を守るべき立場にある医師、歯科医師としての倫理が欠けていると判断される場合には、重めの処分とする。
(2) 医療過誤(業務上過失致死、業務上過失傷害等)
人の生命及び健康を管理すべき業務に従事する医師、歯科医師は、その業務の性質に照し、危険防止の為に医師、歯科医師として要求される最善の注意義務を尽くすべきものであり、その義務を怠った時は医療過誤となる。
司法処分においては、当然、医師としての過失の度合い及び結果の大小を中心として処分が判断されることとなる。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、明らかな過失による医療過誤や繰り返し行われた過失など、医師、歯科医師として通常求められる注意義務が欠けているという事案については、重めの処分とする。
なお、病院の管理体制、医療体制、他の医療従事者における注意義務の程度や生涯学習に努めていたかなどの事項も考慮して、処分の程度を判断する。
7) 猥せつ行為(強制猥せつ、売春防止法違反、児童福祉法違反、青少年育成条例違反等)
国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師は、倫理上も相応なものが求められるものであり、猥せつ行為は、医師、歯科医師としての社会的信用を失墜させる行為であり、また、人権を軽んじ他人の身体を軽視した行為である。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、特に、診療の機会に医師、歯科医師としての立場を利用した猥せつ行為などは、国民の信頼を裏切る悪質な行為であり、重い処分とする。
8) 贈収賄(収賄罪、贈賄罪等)
贈収賄は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
なお、特に医師としての地位や立場を利用した事犯など悪質と認められる事案は、重めの処分とする。
9) 詐欺・窃盗(詐欺罪、詐欺幇助、同行使等)
詐欺・窃盗は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
なお、特に、医師、歯科医師としての立場を利用して、虚偽の診断書を作成、交付するなどの方法により詐欺罪に問われるような行為は、業務に関連した犯罪であり、医師、歯科医師の社会的信用を失墜させる悪質な行為であるため、重い処分とする。
10) 文書偽造(虚偽診断書作成、同行使、虚偽有印公文書偽造等)
文書偽造は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
なお、特に、虚偽の診断書を作成、交付した場合など医師、歯科医師としての立場を利用した事犯等悪質と認められる事案は、重めの処分とする。
11) 税法違反(所得税法違反、法人税法違反、相続税法違反等)
脱税は、医師、歯科医師としての業務に直接関わる事犯ではないが、医師、歯科医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、行政処分に付することとし、行政処分の程度は、基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
また、医療は、非営利原則に基づいて提供されるべきものであることから、医業、歯科医業に係る脱税は、一般的な倫理はもとより、医師、歯科医師としての職業倫理を欠くものと認められる。このため、診療収入に係る脱税など医業、歯科医業に係る事案は、重めの処分とする。
12) 診療報酬の不正請求(診療報酬不正請求(保険医等登録取消))
診療報酬制度は、医療の提供の対価として受ける報酬であり、我が国の医療保険制度において重要な位置を占めており、これを適正に受領することは、医師、歯科医師に求められる職業倫理においても遵守しなければならない基本的なものである。
診療報酬不正請求は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療について、医師、歯科医師としての地位を利用し社会保険制度を欺いて私腹を肥やす行為であることから、診療報酬の不正請求により保険医等の登録の取消処分を受けた医師、歯科医師については、当該健康保険法に基づく行政処分とは別に医師法又は歯科医師法による行政処分を行うこととする。
行政処分の程度は、基本的には不正請求額などに応じて決定するが、当該不正は医師、歯科医師に求められる職業倫理の基本を軽視し、国民の信頼を裏切り、国民の財産を不当に取得しようというものであるため、重い処分とする。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1126-6.html
保健師、助産師、看護師の行政処分の考え方について
平成14年11月26日開催された、医道審議会保健師助産師看護師分科会看護倫理部会において、別添のとおりとりまとめられましたので、お知らせいたします。
照会先: 医政局看護課
赤熊(内線2593)
平成14年11月26日
医道審議会保健師助産師看護師分科会
看護倫理部会
保健師助産師看護師行政処分の考え方