伝えるためには技術が必要。志が必要。ノウハウが必要。, 2008/4/6
By 歯職人
著者の白石草氏は、インターネットTV局草分けである『OurPlanet-TV』を設立し、またビデオ番組作りのワークショップを運営し、また現役のビデオジャーナリストでもある。
本書は、副題にある「ゼロから始めるドキュメンタリー製作」にあるように、素人がゼロから始めるための、ワークショップの経験を踏まえた上での「伝えるためには技術」と「ノウハウ」が詰まっている。
白石氏はまず企画書の大切さを強調する。その大切さの例えとしてラブレターをあげる。
相手の心を動かすラブレターとなる企画書なのか?ここに企画書の力の分かれ目があるようだ。
ビデオカメラも、PCも既に身近な存在となった。この安価となった道具と本書を武器に、それぞれの現場の人間だから出来る、それぞれの現場からのメッセージが発信される時代は既に幕開けした。
本書は、そんな時代を加速する。
ビデオカメラでいこう (単行本)
白石 草 (著)
価格: ¥ 1,785 (税込)
内容紹介
ホームビデオからドキュメント映画上映会、インターネットTVで公開できる作品に仕上げるコツが満載です。企画から撮影、パソコンでの編集までイラスト図解と共に初心者が陥り易い具体例を交えながら解説。映画監督森達也他3人のインタビュー、企画書・取材申請書のひな型付き。
著者について
1993年早稲田大学卒業。テレヒ朝日系の技術会社を経て、1995年東京メトロホリタンテレビジョン(TOKYO MX)入社。ビデオジャーナリストとして、ニュース・ドキュメンタリー番組の制作に携わる。2001年に独立し、フリーランスとして活動。同年10月に非営利のインターネット放送局『OurPlanet-TV』を設立し、2005年にNPO法人化。現在、共同代表。東京大学大学院情報学環教育部および早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース講師。
単行本: 176ページ
出版社: 七つ森書館 (2008/3/27)
ISBN-10: 4822808602
ISBN-13: 978-4822808600
発売日: 2008/3/27
もくじ
はじめに
1章 ビデオの可能性はこんなに広い
同時多発テロをきっかけに生まれた「放送局」
初期投資は14万円
素人が作るドキュメンタリー
ビデオジャーナリズムの始まり
旅行ビデオも作品となる
ビデオ作りは料理と同じ
グループで撮るか、ひとりで撮るか
*綿井健陽さんにきく 撮影技術を養う
2章 身近な世界を切りとる企画
プロ顔負けの作品が誕生する理由
主題は身近な世界にある
企画書を書こう──ラブレターの法則
主人公は誰か?
ストーリーの地図を作る
取材の許可をとる
プライバシー・肖像権・著作権
*海南友子さんにきく 企画との出会い
3章 映像作りにかかる時間とお金
ビデオ作りはこんなに簡単になった
制作中の生活はどうするか?
市民ビデオが活発な国
日本の市民メディア
*森達也さんにきく 資金調達と上映の悩み
4章 五感を駆使したビデオの技術
現場での楽しさを味わう
どんなカメラを選べばいいのか?
基本はフィックス(固定)
まず構成ありき
構図の基礎
「足」と「心」で撮る
レンズの特性
光を感じる
カメラを動かす撮影
飛び越えてはいけない線?
作品を支える音の世界
マイク選びのコツ
人の心を引き出すインタビュー
取材がうまくいかないとき
*坂上香さんにきく 被写体との向き合い方
5章 思いを伝える編集技術
映像を自由自在にデザインする
編集の原則
編集の面白さ・怖さ
ノンリニア編集って何だろう?
料理は「盛り付けが」が重要?
*ビデオ作りで 自分が変わった 社会が変わった
6章 多くの人に見てもらうための公開ノウハウ
こんなにある公開手法
視聴率10%よりも10人の上映会
ビデオが対話を生む
映像祭に出品してみよう
ビデオで社会を変える
ビデオで私が変わる
巻末資料
たちよみ
はじめに
2004年に米国で「ターネーション」というドキュメンタリー映画が公開されました。この映画を作ったジョナサン・カウェットは、30歳で定職のないいわばニート。自らの生い立ちを描いたビデオ作品が映画監督の目に留まり映画化。後にカンヌ映画祭にも出品されるなど、高い評価を受けました。編集で使用したのは、恋人のパソコンに入っていた無料ソフト。制作費はわずか218ドル(約2万円)と当時大きな話題となりました。
私もまた、これまでまったくビデオカメラに触ったこともなかった人が、素晴らしい作品を生み出していく瞬間に、ここ数年、何度となく立ち会ってきました。身近な家族や仕事、自分の暮らす地域。自分の日常をカメラで記録し、ゆっくりと作品を仕上げていく彼らの姿は、毎回新鮮で刺激的な発見の連続でした。
かつて放送局に勤めていた頃の私は、映像作品は「プロ」が作るもの、そう思い込んでいました。しかし、インターネット放送局・OurPlanet-TV(通称・アワプラ)を設立し、一般の人たちと映像作りをするなかで、私の考え方はがらりと変わりました。「素人」にこそビデオを持ってもらうべきだ。そう考えるようになったのです。
ところが、いざ周りを見回してみると、日本には、市民が映像作りを学べる場がほとんどないことに気づきました。映像をすぐにビジネス本位で捉えてしまう日本では、ネット上の素人動画が話題になっても、一般市民が映像作りに参加するという発想に乏しいのが現実です。書籍ですら、プロ向きの技術書だけで、一般向けの入門書はまったく見当たりません。
ですからこの本は、誰もが手軽に映像作りを始められる、もっとも基本的な参考書になればと作りました。数年間にわたるワークショップで経験したこと、考えたことを元に、初心者はどんな点に苦労し、失敗するのか。具体的なエピソードを交えながら、ビデオの制作プロセスがひととおり追体験できるよう工夫してあります。
しかも、単にビデオを撮影編集し個人として楽しむだけでなく、映像を見た人に何かを感じてもらえる作品作りをするためにはどうすれば良いのか。プロでも悩むような難しい課題にもまた挑戦できるように作ったつもりです。また、技術的なテクニックだけでなく、ビデオ作りの重要な柱である「企画」の立て方や「構成」の考え方のほか、公開の手法についても触れています。これまで何本かビデオ作品を作ったことのある人は、不得意な部分から順に読んでいただければ、これまでぶつかっていた悩みが解消すると思います。
なかでも第4章は、フィルム時代から続く撮影の基本的な部分を大切にしながらも、デジタル時代に合った撮影手法を詳細に解説しました。技術を体系的に学んだ経験がない人にとっては、やや難しいと感じる部分があるかもしれませんが、どれも大切な知識ですので、撮影のたびに本を開き、繰り返し読んでいただければと思います。撮影を重ねるうちに、きらりと光るカットが撮れるようになるでしょう。
ビデオ作りには根気が必要です。撮影が思うように進まなかったり、編集中に挫折しそうになることも少なくありません。しかし、山登りの最中に辛い思いをすればするほど、頂上にたどり着いた時の爽快感や感動が格別なように、ビデオも制作に苦心すればするほど、その完成は大きな喜びとなります。一編のビデオを制作したことで、人生が変わった、ものの見方が変わったという人は少なくありません。ぜひ、あなたも、ビデオカメラを手に町に出てみてください。 この本を手にした人から新たな一編が生まれることを、心から応援しています。
By 歯職人
著者の白石草氏は、インターネットTV局草分けである『OurPlanet-TV』を設立し、またビデオ番組作りのワークショップを運営し、また現役のビデオジャーナリストでもある。
本書は、副題にある「ゼロから始めるドキュメンタリー製作」にあるように、素人がゼロから始めるための、ワークショップの経験を踏まえた上での「伝えるためには技術」と「ノウハウ」が詰まっている。
白石氏はまず企画書の大切さを強調する。その大切さの例えとしてラブレターをあげる。
相手の心を動かすラブレターとなる企画書なのか?ここに企画書の力の分かれ目があるようだ。
ビデオカメラも、PCも既に身近な存在となった。この安価となった道具と本書を武器に、それぞれの現場の人間だから出来る、それぞれの現場からのメッセージが発信される時代は既に幕開けした。
本書は、そんな時代を加速する。
ビデオカメラでいこう (単行本)
白石 草 (著)
価格: ¥ 1,785 (税込)
内容紹介
ホームビデオからドキュメント映画上映会、インターネットTVで公開できる作品に仕上げるコツが満載です。企画から撮影、パソコンでの編集までイラスト図解と共に初心者が陥り易い具体例を交えながら解説。映画監督森達也他3人のインタビュー、企画書・取材申請書のひな型付き。
著者について
1993年早稲田大学卒業。テレヒ朝日系の技術会社を経て、1995年東京メトロホリタンテレビジョン(TOKYO MX)入社。ビデオジャーナリストとして、ニュース・ドキュメンタリー番組の制作に携わる。2001年に独立し、フリーランスとして活動。同年10月に非営利のインターネット放送局『OurPlanet-TV』を設立し、2005年にNPO法人化。現在、共同代表。東京大学大学院情報学環教育部および早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース講師。
単行本: 176ページ
出版社: 七つ森書館 (2008/3/27)
ISBN-10: 4822808602
ISBN-13: 978-4822808600
発売日: 2008/3/27
もくじ
はじめに
1章 ビデオの可能性はこんなに広い
同時多発テロをきっかけに生まれた「放送局」
初期投資は14万円
素人が作るドキュメンタリー
ビデオジャーナリズムの始まり
旅行ビデオも作品となる
ビデオ作りは料理と同じ
グループで撮るか、ひとりで撮るか
*綿井健陽さんにきく 撮影技術を養う
2章 身近な世界を切りとる企画
プロ顔負けの作品が誕生する理由
主題は身近な世界にある
企画書を書こう──ラブレターの法則
主人公は誰か?
ストーリーの地図を作る
取材の許可をとる
プライバシー・肖像権・著作権
*海南友子さんにきく 企画との出会い
3章 映像作りにかかる時間とお金
ビデオ作りはこんなに簡単になった
制作中の生活はどうするか?
市民ビデオが活発な国
日本の市民メディア
*森達也さんにきく 資金調達と上映の悩み
4章 五感を駆使したビデオの技術
現場での楽しさを味わう
どんなカメラを選べばいいのか?
基本はフィックス(固定)
まず構成ありき
構図の基礎
「足」と「心」で撮る
レンズの特性
光を感じる
カメラを動かす撮影
飛び越えてはいけない線?
作品を支える音の世界
マイク選びのコツ
人の心を引き出すインタビュー
取材がうまくいかないとき
*坂上香さんにきく 被写体との向き合い方
5章 思いを伝える編集技術
映像を自由自在にデザインする
編集の原則
編集の面白さ・怖さ
ノンリニア編集って何だろう?
料理は「盛り付けが」が重要?
*ビデオ作りで 自分が変わった 社会が変わった
6章 多くの人に見てもらうための公開ノウハウ
こんなにある公開手法
視聴率10%よりも10人の上映会
ビデオが対話を生む
映像祭に出品してみよう
ビデオで社会を変える
ビデオで私が変わる
巻末資料
たちよみ
はじめに
2004年に米国で「ターネーション」というドキュメンタリー映画が公開されました。この映画を作ったジョナサン・カウェットは、30歳で定職のないいわばニート。自らの生い立ちを描いたビデオ作品が映画監督の目に留まり映画化。後にカンヌ映画祭にも出品されるなど、高い評価を受けました。編集で使用したのは、恋人のパソコンに入っていた無料ソフト。制作費はわずか218ドル(約2万円)と当時大きな話題となりました。
私もまた、これまでまったくビデオカメラに触ったこともなかった人が、素晴らしい作品を生み出していく瞬間に、ここ数年、何度となく立ち会ってきました。身近な家族や仕事、自分の暮らす地域。自分の日常をカメラで記録し、ゆっくりと作品を仕上げていく彼らの姿は、毎回新鮮で刺激的な発見の連続でした。
かつて放送局に勤めていた頃の私は、映像作品は「プロ」が作るもの、そう思い込んでいました。しかし、インターネット放送局・OurPlanet-TV(通称・アワプラ)を設立し、一般の人たちと映像作りをするなかで、私の考え方はがらりと変わりました。「素人」にこそビデオを持ってもらうべきだ。そう考えるようになったのです。
ところが、いざ周りを見回してみると、日本には、市民が映像作りを学べる場がほとんどないことに気づきました。映像をすぐにビジネス本位で捉えてしまう日本では、ネット上の素人動画が話題になっても、一般市民が映像作りに参加するという発想に乏しいのが現実です。書籍ですら、プロ向きの技術書だけで、一般向けの入門書はまったく見当たりません。
ですからこの本は、誰もが手軽に映像作りを始められる、もっとも基本的な参考書になればと作りました。数年間にわたるワークショップで経験したこと、考えたことを元に、初心者はどんな点に苦労し、失敗するのか。具体的なエピソードを交えながら、ビデオの制作プロセスがひととおり追体験できるよう工夫してあります。
しかも、単にビデオを撮影編集し個人として楽しむだけでなく、映像を見た人に何かを感じてもらえる作品作りをするためにはどうすれば良いのか。プロでも悩むような難しい課題にもまた挑戦できるように作ったつもりです。また、技術的なテクニックだけでなく、ビデオ作りの重要な柱である「企画」の立て方や「構成」の考え方のほか、公開の手法についても触れています。これまで何本かビデオ作品を作ったことのある人は、不得意な部分から順に読んでいただければ、これまでぶつかっていた悩みが解消すると思います。
なかでも第4章は、フィルム時代から続く撮影の基本的な部分を大切にしながらも、デジタル時代に合った撮影手法を詳細に解説しました。技術を体系的に学んだ経験がない人にとっては、やや難しいと感じる部分があるかもしれませんが、どれも大切な知識ですので、撮影のたびに本を開き、繰り返し読んでいただければと思います。撮影を重ねるうちに、きらりと光るカットが撮れるようになるでしょう。
ビデオ作りには根気が必要です。撮影が思うように進まなかったり、編集中に挫折しそうになることも少なくありません。しかし、山登りの最中に辛い思いをすればするほど、頂上にたどり着いた時の爽快感や感動が格別なように、ビデオも制作に苦心すればするほど、その完成は大きな喜びとなります。一編のビデオを制作したことで、人生が変わった、ものの見方が変わったという人は少なくありません。ぜひ、あなたも、ビデオカメラを手に町に出てみてください。 この本を手にした人から新たな一編が生まれることを、心から応援しています。