第177国会-衆議院-文部科学委員会-17号 平成23年08月10日
○川口(浩)委員 川口浩でございます。
質問の機会をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。
さて、歯科診療に関係する皆様が長年にわたり取り組まれてまいりました歯科口腔保健の推進に関する法律が、七月二十七日、参議院にて可決し、八月二日の衆議院本会議にて可決、成立をいたしました。成立までの間に多大な御指導、御尽力を賜りました関係者の皆様には、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。
この法律の成立を契機とし、時代の要請にこたえる歯科医療に貢献できるような人材育成のためにも、なお一層の取り組みが望まれるものと考え、本日は質問をさせていただきます。
先日、関西の医療系単科大学を経営する学校法人が統合に向けて協議を進めているとの報道がございました。また、大宮法科大学院と桐蔭横浜大学法科大学院も統合を発表されました。比較的経営が安定していると思われる医療系の大学も厳しい競争にさらされておりまして、両大学は、他大学に先駆けた統合で教育環境と経営基盤の強化を図っているとのことだと考えます。 この件を含めまして、 ニーズにマッチした競争と連携を進めていく上でも、医療系大学の統合の必要性及び今後十八歳人口が減少し経営が困難になっていくであろう私立大学のあり方について、文部科学大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
○高木国務大臣 川口委員にお答えをいたします。
まず初めに、私学関係者におかれては、我が国の教育活動の充実のために何かと御活躍いただいておりますことに敬意を表したいと思っております。
今御指摘ありましたように、十八歳人口は、今後十年間で百二十万人から百十万人台で推移をすると言われております。そして、その後減少していくことが見込まれておりまして、私立大学においては、人口減少期に向けて、それぞれ特色を生かした教育研究の質の向上を図って、そのための経営基盤を強化していくことが重要であろう、このように考えております。
医療系大学においても、建学の精神を生かして教育研究の強化などを進められておりまして、そのような取り組みの一環として、大学の長所を生かした連携が進められているものと私は承知をいたしております。今、具体的な大学の名前も挙がっておりましたが、それらの大学は、そのような観点から連携を深めていこうということであろうと思っております。
文部科学省といたしましては、各大学の魅力をより高めるさまざまな取り組み、こういったものを見守りつつ、必要な助言を今後とも行っていきたい、このように考えております。
○川口(浩)委員 次に、歯科医師の需給問題について、文部科学省の考えをお尋ねさせていただきます。
歯科医師の需給問題につきましては、この数年議論がなされており、そろそろある一定の方向性を見出していかなければならないんじゃないかなと感じております。
平成二十三年三月二十二日に厚生労働省から発表されました第百四回歯科医師国家試験の学校別合格者状況を見ますと、新卒、既卒を含む全体合格率七一・〇%に対し、各大学の状況はと申しますと、四〇%前半から九〇%台とかなりばらつきがございます。一方、医科におきましては、七〇%の後半から九〇%の後半でございます。
既卒者の合格率は、医科においては六〇・二%でございますが、歯科では四六・二%となっておりまして、歯科の場合に限って言えば、国家試験受験者数が新卒より既卒の数が多い、もしくは同数に近い大学もございます。
入学時の競争倍率につきましても、一・一未満の大学も何校かございます。
このような結果をかんがみますと、学校の統廃合、そして、今行われているような一律の入学定員の削減及び一律の補助金のあり方について、見直しをしなければならないのではないかと思われます。
また、文部科学省においては、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議では二〇一〇年から各大学のヒアリングを行っておりまして、現状の教育課程に改善が必要な歯科大、歯学部に関してはフォローアップを行っているところでございますが、改善が見られない大学があるのも事実ではないかと思われます。
国民の声にこたえることのできる質の高い歯科医療を引き続き提供し続けていくには、改善の見られない大学には、法的手段を含めました何らかの措置が必要ではないかと考えられる時期ではないかと思われます。
文部科学省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○笠大臣政務官 ただいま委員御指摘のとおり、確かに歯科大学、合格率等々比較をしますと、大学によって随分ばらつきがあり、大変頑張っているところと、今、困難な状況の中で、今御指摘がありましたように、改善をしっかりしていかなければならない大学があるというふうに承知をしております。
平成二十一年の一月に歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が取りまとめた第一次報告の提言を踏まえて、同会議において昨年九月からそのフォローアップ調査を行って、本年五月にこの結果を公表したところでございます。
本調査結果では、多くの歯学部で教育の改善充実のための意欲的な取り組みがなされている一方で、現状の教育課程に改善が必要な歯学部も散見されることが指摘をされているところでございます。
文部科学省としては、この結果を踏まえて、すぐれた入学者の確保が困難な大学や国家試験合格率の低い大学等に対し、厳正な入学定員を設定するなど、必要な取り組みの実施について強く働きかけるとともに、あわせて、改善計画を具体的に提出させて、そして、これを公表することによって継続的な改善を求めていきたい、そのように促してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
○川口(浩)委員 問題は、国民の皆様の命に寄り添う医療人としての自覚、それから生命の尊厳や医の倫理、こういったものを、深い認識を教育の現場で教えるためには、私は、少人数教育の推進と臨床実習を充実させることが不可欠ではないかなと思っております。
中でも、臨床実習の抜本的改革は急務ではないかと思います。質の高い医療を提供するためには、ただ単に国家試験に通るためだけの学問ではなく、医療人としての学問を学び、体験することが絶対的に必要だと思います。
歯学教育においては、口腔疾患は全身疾患の入り口ととらえ、関連する医学教育との連携を図り、患者を総合的に診断し治療する能力の育成を図っていく必要があると思います。地域の一般病院や口腔外科医院等とも連携をし、質量ともに充実した臨床実習の機会の確保に努めることが最重要の課題と考えております。
また、高齢者、心身障害者に対する訪問歯科診療やリハビリテーション医療に関する歯科医学の充実も不可欠だと思います。看護、福祉、介護に関する科目の履修や、これを通じて関連する資格の取得等も検討していく必要があるのではないでしょうか。
いずれの場合におきましても、臨床実習の機会と時間の確保は絶対的に必要です。医科、歯科、医学部、歯学部における臨床実習の今後について、その連携を含めた文部科学省の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○笠大臣政務官 ただいま川口先生から御指摘があったとおり、本当に医療人として、もちろん学問あるいは知見、知識を身につけていくことも大事でございますけれども、やはり全人格を形成していくことは極めて重要だというふうに考えております。
現在、臨床実習の実施状況は、医学部で平均四十七・八週、歯学部で平均四十一・二週ということで、やや歯学部の方が少ないという数字が出ておるわけですが、もちろんこれは、大学によってどこに重点を置くかということでの違いも、特に私立の大学においてはあろうかと思います。
ただ、いずれにしても、臨床実習は、学生が直接に患者と接することにより、患者の全人的理解あるいは患者に対する責任感等を培い、基本的な臨床技能や知識を修得し、科学的な思考力と問題解決力を養うなど、医療人としての基礎を構築する上で重要な教育段階であると私どもも考えております。
また、患者や先輩医師等と接する中で、コミュニケーション能力やチーム医療について学ぶことにも臨床実習の大きな意義があるというふうに考えております。
文部科学省としては、こうした臨床実習の充実のために、医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂や、臨床実習開始前に必要な知識、技能、態度を評価する教養試験の導入などをこれまで行ってまいりました。
今後は、さらにこうした取り組みを推進していくと同時に、見学や模擬診療にとどまらず、学生が診療に参加する診療参加型の臨床実習の充実、あるいは、先ほども御指摘がありました、学外の医療機関や福祉施設等との地域の中での連携、そして実習終了時の評価の充実などが課題であるというふうに認識をしており、引き続き各大学における臨床実習の充実のための取り組みを私どももしっかりと促してまいりたいと思いますので、また先生のいろいろなさまざまな御指導も賜れればというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
○川口(浩)委員 大変ありがとうございます。
やはり、私どもが学生のころは、まず、歯科医師の前に人間であれとか、いろいろ立派なお題目を教わっていたのでございますが、どうも今の時代というのは、資格を取る、それだけに目が向いてしまいまして、無駄な時間といったら恐縮でございますが、心に余裕を持つ学生生活がなかなか送りにくくなっているんではないかなと思います。
また、一般社会におきましても、例えば新入社員で会社なり組織に入ってまいりましても、コミュニケーション能力というか、場合によってはどうあいさつをしたらいいかわからない、そういうことも間々聞く場合がございますので、ぜひひとつ、その辺も含めまして慎重に御検討いただければと思います。
次に、三月十一日に発災いたしました東日本大震災でございますが、悲しいことに、いまだに身元が特定されていない御遺体が多数ございます。御遺族にとりましては、御遺体がない、遺品がないという現状は、その事実を受け入れることができず、お気持ちが三月十一日のままでいつまでも時計がとまった状態ではないか、そんなふうに思われます。 震災直後から七月末日までで、延べにして二千五百九十九名の歯科医師が身元確認に動員され、多数の身元確認に尽力をいたしてまいりました。これは世界でも例のない数字でございます。
震災に限らず、犯罪におきましても解剖医というのは大変重要な役割を担っておりますが、残念ながら、歯科系の学部、歯科大学におきましては、歯科に関する法医学講座を有する大学が少ないのが現状でございます。歯科法医学、法医学の底上げを図るための法医学教育の充実を歯学教育カリキュラムにも盛り込んで、また、法医学部門においては、法医学を希望する学生さんらへの奨学金制度等の検討も考える必要があるのではないでしょうか。
このような検視そして法医学に関して、どういうふうに取り組んでいくお考えなのか、文部科学大臣にお尋ねをいたします。
○高木国務大臣 このたびの東日本大震災では、とうとい多くの命が失われました。改めてお悔やみを申し上げたいと存じます。
そのような中で、身元確認などにおいて多くの歯科医師の方々に多大な御尽力をいただいたことについては、深く感謝を申し上げたいと思っております。
法医学については、本年四月に、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会、これは警察庁を中心としてやられておりますけれども、これにおいても、歯科法医学の強化について提言をされております。
今回の歯科医師の皆さん方の貢献を踏まえて、歯学生の歯科法医学知見の底上げを図ることは、極めて重要だと考えております。
文部科学省といたしましては、歯学教育の指針とされている歯学教育モデル・コア・カリキュラムに、法医学に関する教育の学習到達目標を盛り込みまして、各大学に提示するなど、法医学教育の改善充実を図っているところであります。
また、奨学金のことでありますけれども、これは、特定の分野に限らず、すぐれた学生などであって、経済的な理由によって修学に困難があると言われる者については、日本学生支援機構の奨学金により、幅広く経済的な支援を行っております。今後とも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
○川口(浩)委員 ありがとうございます。
先日の新聞の報道等によりますと、昔と比べますと、歯学部、歯科大学の教育のカリキュラムの中で、いわゆる全身にかかわる一般的な医学的教養、そういった学習の時間が少なくて、知識が少し希薄になっているんじゃないかという御指摘もございました。
また、さきの震災のときの例でもわかりますように、個人識別ということに関しましては、六年間の間できちんとした基本的な事項を教育することによって、かなり行政解剖、司法解剖等に役に立つ場面ができるんじゃないかなと考えておりますので、ぜひその辺も含めて御検討をいただければと思っております。
それから、最後に、歯科医師の需給問題というと、どうしても、私どももそうですし、世間一般の考え方としても、常にここ数年、マイナスの方向を向いた議論ばかりがされており、歯科界の将来はとても暗いように思われているのが現実でございます。しかしながら、この先、高齢社会を迎えるに当たり、そしてまた少子化が進む中でも、新たなニーズや、患者の全身状態を考える総合的な医療、こういった質の高い歯科診療が求められているのではないかなと思います。
歯科医師としてやるべきこと、それから、仕事の魅力をしっかりと伝えて、歯科医師になりたいなと思う優秀な人材が一人でも多くふえるように、その発展に頑張っていきたいと思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
済みません、風邪を引いていて、お聞き苦しい声で失礼をいたしました。ありがとうございます。
○川口(浩)委員 川口浩でございます。
質問の機会をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。
さて、歯科診療に関係する皆様が長年にわたり取り組まれてまいりました歯科口腔保健の推進に関する法律が、七月二十七日、参議院にて可決し、八月二日の衆議院本会議にて可決、成立をいたしました。成立までの間に多大な御指導、御尽力を賜りました関係者の皆様には、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。
この法律の成立を契機とし、時代の要請にこたえる歯科医療に貢献できるような人材育成のためにも、なお一層の取り組みが望まれるものと考え、本日は質問をさせていただきます。
先日、関西の医療系単科大学を経営する学校法人が統合に向けて協議を進めているとの報道がございました。また、大宮法科大学院と桐蔭横浜大学法科大学院も統合を発表されました。比較的経営が安定していると思われる医療系の大学も厳しい競争にさらされておりまして、両大学は、他大学に先駆けた統合で教育環境と経営基盤の強化を図っているとのことだと考えます。 この件を含めまして、 ニーズにマッチした競争と連携を進めていく上でも、医療系大学の統合の必要性及び今後十八歳人口が減少し経営が困難になっていくであろう私立大学のあり方について、文部科学大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
○高木国務大臣 川口委員にお答えをいたします。
まず初めに、私学関係者におかれては、我が国の教育活動の充実のために何かと御活躍いただいておりますことに敬意を表したいと思っております。
今御指摘ありましたように、十八歳人口は、今後十年間で百二十万人から百十万人台で推移をすると言われております。そして、その後減少していくことが見込まれておりまして、私立大学においては、人口減少期に向けて、それぞれ特色を生かした教育研究の質の向上を図って、そのための経営基盤を強化していくことが重要であろう、このように考えております。
医療系大学においても、建学の精神を生かして教育研究の強化などを進められておりまして、そのような取り組みの一環として、大学の長所を生かした連携が進められているものと私は承知をいたしております。今、具体的な大学の名前も挙がっておりましたが、それらの大学は、そのような観点から連携を深めていこうということであろうと思っております。
文部科学省といたしましては、各大学の魅力をより高めるさまざまな取り組み、こういったものを見守りつつ、必要な助言を今後とも行っていきたい、このように考えております。
○川口(浩)委員 次に、歯科医師の需給問題について、文部科学省の考えをお尋ねさせていただきます。
歯科医師の需給問題につきましては、この数年議論がなされており、そろそろある一定の方向性を見出していかなければならないんじゃないかなと感じております。
平成二十三年三月二十二日に厚生労働省から発表されました第百四回歯科医師国家試験の学校別合格者状況を見ますと、新卒、既卒を含む全体合格率七一・〇%に対し、各大学の状況はと申しますと、四〇%前半から九〇%台とかなりばらつきがございます。一方、医科におきましては、七〇%の後半から九〇%の後半でございます。
既卒者の合格率は、医科においては六〇・二%でございますが、歯科では四六・二%となっておりまして、歯科の場合に限って言えば、国家試験受験者数が新卒より既卒の数が多い、もしくは同数に近い大学もございます。
入学時の競争倍率につきましても、一・一未満の大学も何校かございます。
このような結果をかんがみますと、学校の統廃合、そして、今行われているような一律の入学定員の削減及び一律の補助金のあり方について、見直しをしなければならないのではないかと思われます。
また、文部科学省においては、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議では二〇一〇年から各大学のヒアリングを行っておりまして、現状の教育課程に改善が必要な歯科大、歯学部に関してはフォローアップを行っているところでございますが、改善が見られない大学があるのも事実ではないかと思われます。
国民の声にこたえることのできる質の高い歯科医療を引き続き提供し続けていくには、改善の見られない大学には、法的手段を含めました何らかの措置が必要ではないかと考えられる時期ではないかと思われます。
文部科学省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○笠大臣政務官 ただいま委員御指摘のとおり、確かに歯科大学、合格率等々比較をしますと、大学によって随分ばらつきがあり、大変頑張っているところと、今、困難な状況の中で、今御指摘がありましたように、改善をしっかりしていかなければならない大学があるというふうに承知をしております。
平成二十一年の一月に歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が取りまとめた第一次報告の提言を踏まえて、同会議において昨年九月からそのフォローアップ調査を行って、本年五月にこの結果を公表したところでございます。
本調査結果では、多くの歯学部で教育の改善充実のための意欲的な取り組みがなされている一方で、現状の教育課程に改善が必要な歯学部も散見されることが指摘をされているところでございます。
文部科学省としては、この結果を踏まえて、すぐれた入学者の確保が困難な大学や国家試験合格率の低い大学等に対し、厳正な入学定員を設定するなど、必要な取り組みの実施について強く働きかけるとともに、あわせて、改善計画を具体的に提出させて、そして、これを公表することによって継続的な改善を求めていきたい、そのように促してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
○川口(浩)委員 問題は、国民の皆様の命に寄り添う医療人としての自覚、それから生命の尊厳や医の倫理、こういったものを、深い認識を教育の現場で教えるためには、私は、少人数教育の推進と臨床実習を充実させることが不可欠ではないかなと思っております。
中でも、臨床実習の抜本的改革は急務ではないかと思います。質の高い医療を提供するためには、ただ単に国家試験に通るためだけの学問ではなく、医療人としての学問を学び、体験することが絶対的に必要だと思います。
歯学教育においては、口腔疾患は全身疾患の入り口ととらえ、関連する医学教育との連携を図り、患者を総合的に診断し治療する能力の育成を図っていく必要があると思います。地域の一般病院や口腔外科医院等とも連携をし、質量ともに充実した臨床実習の機会の確保に努めることが最重要の課題と考えております。
また、高齢者、心身障害者に対する訪問歯科診療やリハビリテーション医療に関する歯科医学の充実も不可欠だと思います。看護、福祉、介護に関する科目の履修や、これを通じて関連する資格の取得等も検討していく必要があるのではないでしょうか。
いずれの場合におきましても、臨床実習の機会と時間の確保は絶対的に必要です。医科、歯科、医学部、歯学部における臨床実習の今後について、その連携を含めた文部科学省の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○笠大臣政務官 ただいま川口先生から御指摘があったとおり、本当に医療人として、もちろん学問あるいは知見、知識を身につけていくことも大事でございますけれども、やはり全人格を形成していくことは極めて重要だというふうに考えております。
現在、臨床実習の実施状況は、医学部で平均四十七・八週、歯学部で平均四十一・二週ということで、やや歯学部の方が少ないという数字が出ておるわけですが、もちろんこれは、大学によってどこに重点を置くかということでの違いも、特に私立の大学においてはあろうかと思います。
ただ、いずれにしても、臨床実習は、学生が直接に患者と接することにより、患者の全人的理解あるいは患者に対する責任感等を培い、基本的な臨床技能や知識を修得し、科学的な思考力と問題解決力を養うなど、医療人としての基礎を構築する上で重要な教育段階であると私どもも考えております。
また、患者や先輩医師等と接する中で、コミュニケーション能力やチーム医療について学ぶことにも臨床実習の大きな意義があるというふうに考えております。
文部科学省としては、こうした臨床実習の充実のために、医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂や、臨床実習開始前に必要な知識、技能、態度を評価する教養試験の導入などをこれまで行ってまいりました。
今後は、さらにこうした取り組みを推進していくと同時に、見学や模擬診療にとどまらず、学生が診療に参加する診療参加型の臨床実習の充実、あるいは、先ほども御指摘がありました、学外の医療機関や福祉施設等との地域の中での連携、そして実習終了時の評価の充実などが課題であるというふうに認識をしており、引き続き各大学における臨床実習の充実のための取り組みを私どももしっかりと促してまいりたいと思いますので、また先生のいろいろなさまざまな御指導も賜れればというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
○川口(浩)委員 大変ありがとうございます。
やはり、私どもが学生のころは、まず、歯科医師の前に人間であれとか、いろいろ立派なお題目を教わっていたのでございますが、どうも今の時代というのは、資格を取る、それだけに目が向いてしまいまして、無駄な時間といったら恐縮でございますが、心に余裕を持つ学生生活がなかなか送りにくくなっているんではないかなと思います。
また、一般社会におきましても、例えば新入社員で会社なり組織に入ってまいりましても、コミュニケーション能力というか、場合によってはどうあいさつをしたらいいかわからない、そういうことも間々聞く場合がございますので、ぜひひとつ、その辺も含めまして慎重に御検討いただければと思います。
次に、三月十一日に発災いたしました東日本大震災でございますが、悲しいことに、いまだに身元が特定されていない御遺体が多数ございます。御遺族にとりましては、御遺体がない、遺品がないという現状は、その事実を受け入れることができず、お気持ちが三月十一日のままでいつまでも時計がとまった状態ではないか、そんなふうに思われます。 震災直後から七月末日までで、延べにして二千五百九十九名の歯科医師が身元確認に動員され、多数の身元確認に尽力をいたしてまいりました。これは世界でも例のない数字でございます。
震災に限らず、犯罪におきましても解剖医というのは大変重要な役割を担っておりますが、残念ながら、歯科系の学部、歯科大学におきましては、歯科に関する法医学講座を有する大学が少ないのが現状でございます。歯科法医学、法医学の底上げを図るための法医学教育の充実を歯学教育カリキュラムにも盛り込んで、また、法医学部門においては、法医学を希望する学生さんらへの奨学金制度等の検討も考える必要があるのではないでしょうか。
このような検視そして法医学に関して、どういうふうに取り組んでいくお考えなのか、文部科学大臣にお尋ねをいたします。
○高木国務大臣 このたびの東日本大震災では、とうとい多くの命が失われました。改めてお悔やみを申し上げたいと存じます。
そのような中で、身元確認などにおいて多くの歯科医師の方々に多大な御尽力をいただいたことについては、深く感謝を申し上げたいと思っております。
法医学については、本年四月に、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会、これは警察庁を中心としてやられておりますけれども、これにおいても、歯科法医学の強化について提言をされております。
今回の歯科医師の皆さん方の貢献を踏まえて、歯学生の歯科法医学知見の底上げを図ることは、極めて重要だと考えております。
文部科学省といたしましては、歯学教育の指針とされている歯学教育モデル・コア・カリキュラムに、法医学に関する教育の学習到達目標を盛り込みまして、各大学に提示するなど、法医学教育の改善充実を図っているところであります。
また、奨学金のことでありますけれども、これは、特定の分野に限らず、すぐれた学生などであって、経済的な理由によって修学に困難があると言われる者については、日本学生支援機構の奨学金により、幅広く経済的な支援を行っております。今後とも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
○川口(浩)委員 ありがとうございます。
先日の新聞の報道等によりますと、昔と比べますと、歯学部、歯科大学の教育のカリキュラムの中で、いわゆる全身にかかわる一般的な医学的教養、そういった学習の時間が少なくて、知識が少し希薄になっているんじゃないかという御指摘もございました。
また、さきの震災のときの例でもわかりますように、個人識別ということに関しましては、六年間の間できちんとした基本的な事項を教育することによって、かなり行政解剖、司法解剖等に役に立つ場面ができるんじゃないかなと考えておりますので、ぜひその辺も含めて御検討をいただければと思っております。
それから、最後に、歯科医師の需給問題というと、どうしても、私どももそうですし、世間一般の考え方としても、常にここ数年、マイナスの方向を向いた議論ばかりがされており、歯科界の将来はとても暗いように思われているのが現実でございます。しかしながら、この先、高齢社会を迎えるに当たり、そしてまた少子化が進む中でも、新たなニーズや、患者の全身状態を考える総合的な医療、こういった質の高い歯科診療が求められているのではないかなと思います。
歯科医師としてやるべきこと、それから、仕事の魅力をしっかりと伝えて、歯科医師になりたいなと思う優秀な人材が一人でも多くふえるように、その発展に頑張っていきたいと思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
済みません、風邪を引いていて、お聞き苦しい声で失礼をいたしました。ありがとうございます。