[021/052] 161 - 衆 - 予算委員会 - 2号
平成16年10月18日
○仙谷委員
それでは、同様の観点から、政治と金のお話を聞きましょう。
これも、私に言わしめれば、この日歯連事件というのは、自民党政治に近づくために大金をばらまく、これをすれば、ほかの人がどうなっても、みずからの業界はまあまあうまくいくんだ、この政治ですね、この行動、これの端的なあらわれだと私は見ているんですよ。つまり、公平に競争をして努力した人が報われる話じゃなくて、少々すき間に入り込んだり、あるいは金で人的な友好関係をつくって、そこで政策的にその業界がまずくならないように、少なくともまずくならないように、できれば優遇措置を受けるように、そういう思惑のために金を大胆に大量にばらまいた事件だ、こういうふうに思うんですね。
私のところへもこういうのを送ってくれました。「日歯連盟だより」、これは平成十五年四月十五日、いろいろな、彼らの要望する政策的なことが書いてあります。当時の自民党の幹部でございましょう、古賀誠先生、野中さん、青木幹雄参議院議員。政治力をもってこれから実現していこうね、一緒にやろうね、職域代表の参議院議員も出してほしいね、出しましょうということがここに書いてあります。
私は、この日歯連の事件というのは、改めてそういう観点から、日本の政治が縦割り業界に、税制や、今回の場合は診療報酬とかそういう問題でありますけれども、縦割り業界にそういうある種の優遇措置をする、そういう資源の配分をしていく、そのために、個別の業界と自民党という政党、自民党の各派閥、族議員、この、人の特別の関係をつくるためにお金が使われた。もうこの政治構造自身を変えなければならない。何年言い続けたのかわからないけれども、変えなければいけない。
私は、今の日本の、国、地方を合わせて一千兆円の財政赤字というのは、日本社会のあらゆる矛盾の表現だと思っています。財政赤字があるから矛盾が出てきているんじゃないんです。矛盾があるから、それを糊塗しようとして、とりわけ自民党政治を延命させようとして、税を国民に負担願うことを嫌って財政の赤字で賄ってきた。子供や孫の懐に手を突っ込んで、生まれてきていない子供のキャッシュカードをつくってやってきた。こう見ているんですね。
そういう観点からこの日歯連の事件を見ると、権力に近づいて、歯科業界、まことに苦しい、毎年毎年三千人ふえるから苦しくなるんですよ、歯医者さんも。そこで、生き延びようとする人たちが、一人当たり年間三万円、九万人の歯医者さんのうち、六万人が日歯連の会員だ、日本歯科医師会の会員だ。年間十八億円。この十八億円を使って運動してきたというのが、これを見たらはっきりするじゃないですか。
ちなみに、この間、日歯連が実現しようとしたことは、細かく言いますと、そしゃく障害者の診断書の作成や障害者手帳申請手続を緩和してほしい、かかりつけ歯科医の初診料の請求がやりやすくしてほしい、歯科衛生士教育期間延長を凍結してほしい、あるいは本人負担三割というのがありました。それがちょうどこの平成十五年です。そういうのも、できたら自民党のお力によって、厚生省が幾ら言っても三割負担を阻止してほしいと医師会も歯科医師会も言っていたじゃないですか。
そのためにどのぐらい献金をしたか御存じですか、総理、自民党に。国民政治協会への献金だけでも、平成十一年度六億六千万円、平成十二年度五億九千三百万、平成十三年度四億五千万、平成十四年度四億六千三百万、表の献金だけでこれだけあるじゃないですか。そのほかに、名前はきょうは申し上げませんけれども、お一人お一人の議員の後援会とか資金管理団体とか県支部に、今申し上げた国民政治協会を通したお金ではなくて、少なくとも、平成十一年から十四年までに、日歯連から、これは例えば、何とか県歯科医師連盟を通したのとは別に、日歯連から直接各議員の資金管理団体や選挙区支部に配られた金が六億五千九百七十七万五千円じゃないですか、私の計算だと。ちゃんと、公表数字だけでそうなっているんですよ。これを巨額なお金だと言わずして、どう考えればいいんですか。
もうちょっと言いますと、最高は、逮捕された吉田幸弘さんという人が一億三千百万です。中原爽さんという人は八千二百九十七万五千円です。こういう金額を三年や四年の間にどうして払うんですか。代弁人、代理人をつくるというもくろみなのか、政策を金で買おうというもくろみなのか。普通の人はそうとしか考えられないじゃないですか。
さあ、ここで総理、総理も官房長官の方に指示されたというふうに一部報道されましたが、ある業界があって、ほとんど同じ構成員で、半ば準強制的に政治連盟の会費が払われるという政治連盟、業界の横にある政治連盟、こういう政治団体からは、自民党の受け皿である国民政治協会、つまり政治資金団体と言うらしいんでありますが、この政治資金団体に入れられる寄附であろうと、自民党本部に直接入れられる寄附であろうと、やはり限度を決めた方がいいんじゃないですか、これ、少なくとも。禁止せよとまで言いませんけれども。
例えば、最大限譲るとすれば、年間一億円でどうですか、総理。どうですか。お答えください。
○小泉内閣総理大臣 具体的な政治団体間の資金の提供について額の制限を設けるかどうか、一億円でどうかという話でありますが、私は、こういう点についても、今後、今、自民党でも検討しております、公明党でも検討しております、民主党でも検討されていると思います。日歯連の問題と、今、仙谷議員が指摘されました、政党なり政治家に献金する、資金を供給する問題、これは分けて考えなきゃいけないと思っています。
まず、法律に従って政治資金収支報告書を出す、これはもう当然であります。法律を守らなきゃならない、これも当然であります。同時に、民主政治でありますから、選挙をやればわかりますが、どの有権者も団体も、みずからの意向を通すために、支持政党、議員を見きわめます。自分たちの要求を通してくれるかどうかによって献金の額も考えようというのは、労働組合も政治団体も同じだと思います。
そして、私は、そういう資金を提供するというのが悪いとは思っておりません。要は、どういう団体が、どういう労働組合が、どの政党に、どの候補者に献金しているかというのを有権者がわかるというような、そういう透明性というのは必要だと思います。それに基づいて有権者がどう判断するか。
今言った日歯連の問題についても、要求を、例えば自由民主党にぶつけて、受け入れられた問題と受け入れられない問題があります。例えて言えば、日歯連は何億献金しようが、三割負担を阻止してくれというのを阻止できなかった。
逆に、いろいろな問題におきましても、これは献金の多い少ないにかかわらず、国民の歯科医療のために必要だなということだったら、政党としてこれは必要な改善だと思うならば、自民党だろうが民主党だろうが公明党だろうが、それの要求に沿って政策に反映するのもこれは悪いことではございません。
私は、そういう意味において、今の御質問でありますが、献金額を制限するというものも含めて、額はどの程度にするかという問題についても各党間で今後協議する必要があると思っております。
○仙谷委員 実は、総理、先般の本会議で、やはり政治献金は広く薄く集めるのが筋だ、正しいとおっしゃったから、私は、最大限譲歩して一億円と言ったんですよ、今。これでも庶民から見れば厚くかもわかりません。広く薄くだったら、毎年毎年五、六億円の金が自民党に自動的に入ってくる、これは薄くとは言えないんじゃないですか。自民党だって政党交付金が年間百五十億でしょう。そのうちの五億といったら、これはそんなに薄いお金じゃないと私は思いますよ。だから、その庶民感覚というか、市民感覚を総理に聞きたいと思って聞いたのです。だが、全然答えになっていないです、それは。
いいですか、九月二十九日には、総理が総務相に政治資金規正法の見直しを指示した。官房長官がそれを記者会見で、団体間の上限を決めるんだ、金融機関に送金の流れを限定するんだ、金融機関の振り込みとか、受けることを。透明化するんだとおっしゃったから、私は本気かと思っていたんですよ。ああ、これはいよいよ進むなと思っていた。
ところが、どうです、今のお答えは。広く薄くが、何かもうわけのわからぬ、まあ、みんなの党で相談してくれみたいな、こんな程度の話では、遅々として進まずというか、後退しているじゃないですか。この点はもう一度お答え願います。
総理の広く薄く感覚というのは、こういう業界団体が、政策を掲げている業界団体が政党に献金しようとする場合は、どのくらいが広く薄くの感覚なんですか。金額で言ってください。十億でも二十億でもいいですよ、あなたの感覚がそういう感覚ならば。どうですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、政治団体間の献金と個人献金、企業献金とは別だと思っております。
政治団体というのはいろいろな方々が団体をつくってやるわけですから、政党交付金が二百五十億とか三百億ということから考えて、制限するばかりじゃなくて、透明性を確保するんですから、各団体がこれだけ献金したということがわかって、有権者に判断材料を与えるということは大事だと思っておりますが、その額が、企業献金、個人献金の額と政治団体の額とは違っていいと思っています。
それと、政党に対して国民がどのように寄金を提供するか。自分たちの要求を政党に、議員に反映させたいと思って、票で応援する人、資金で応援する人、労力で応援する人、さまざまであります。それをいかに国民からうまく吸収して、国民の支持を得て、政党が選挙で勝利して、政権を担当して政策に反映していく、こういうのが民主政治ですから、私は、そういう点についても、企業献金、個人献金と政治団体の額というのは差異があっていいと思っていますので、額がどの程度がというのは、今後、各党間でよく協議していただきたいと思います。
○仙谷委員 僕は、総理の広く薄くの意味がまさに馬脚をあらわしたというか、全く具体的に考えていないということがわかりました。
それと、もう一つつけ加えますと、今総理がおっしゃったことは、総理がやろうとしている構造改革がにせものだということを自白したようなものなんですよ、言っておきますけれども。
この縦割り構造の、業界団体を中心に資源を配分する、これは税制でも予算でも補助金でもそうです、あるいは診療報酬でもそうです。このやり方が日本は限界に来ている。一九四〇年から続いている、統制経済のときから続いている、業界単位で物事を仕切っていくという構造、これが政治の構造なんだけれども、経済もその構造がなかなか直らない。官製談合の世界が直らないということが、今の日本の公正な競争社会ができないことにつながっているんじゃないですか。私は、ここは物すごく深く結びついていると思うんですよ。
総理が、縦割りの、省庁、族議員、業界、業界団体、政治連盟、あるいは政治連盟の隣の、自民党何とか支部がついているじゃないですか。この構造をたたき壊さない限り、経済構造改革なんというのは絶対できません、言っておきますけれども。そこと関係があるから私は申し上げているんですよ。それだけを申し上げておきます。
裏金の話をしましょう。
平成研への一億円というふうに報道をされています。しかし、だれが平成研への献金だということを認定できるんですか。だれもわからない。口悦という料理屋で橋本龍太郎さんという元総理大臣が、一億円の小切手を青木さんや野中さんにも見てもらいながら懐にしまった。それを、小切手がどう献金されてどのように分けられたのか、だれもおわかりでないじゃないですか。だれが認定しているんですか。
こういう事実があった、総理は、あったらしいな、そういう認識をしているんですか、していないんですか。こんなことはでっち上げかもわからない、新聞が書いているだけだ。いやしかし、検察庁がこれは起訴したわけですから、報告しなかったということについては。全くのうその事実をでっち上げて、村岡兼造さんまで起訴に及んだということは、私には考えられないんですけれども。
総理、どうですか。総理の認識としては、こういう事実があったというふうに認識しているんですか、していないんですか。あったらしいという認識はあるんですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、平成研の会計、収支状況については知りませんが、現に今、裁判手続にかけられている。なおかつ、一億円の日歯連側から平成研への献金というのは、当初記載されていなかったのが後日修正して記載されたということを聞いております。こういう状況から考えると、一億円の献金があったんだと思います。
○仙谷委員 では、そこまで総理の答弁を聞きましたので、次の質問に移ります。
これは、結局、後に訂正されたと言うけれども、社会的に問題になるというか、メディアの世界で問題になる、あるいは、検察庁に呼ばれて取り調べが始まったということで、訂正というか修正の報告をしたということになっているわけですね。
ということは、もらってから約三年間は裏金だったということなんですよ。どういうふうに使われたのかは、さっきから総理がおっしゃる、透明度が全くない。どこに消えたのかはわからない。繰越金に計上したけれども、実際はそんな金はもう既にない。どうも二〇〇一年の参議院選挙のときに分けたらしい。こういうことが言われているんですね。
当然のことながら、こんな処理が、何年もおくれて、修正しましたで済むものですか。今、企業の世界ではコンプライアンスということが言われておりますけれども、こんな法令の遵守意識で、まあ自民党の先生方の中には、随分この間修正の報告をしていらっしゃる方がおるようでありますけれども、こんなことでこのコンプライアンスが守れているというふうに、総理、お考えですか。
○小泉内閣総理大臣 献金があった場合には記載しなければならないという、政治資金規正法ですか、法律にのっとって対応しなかったからこそ、これに関係する方々が逮捕され、今、裁判手続にかけられているのだと思います。
これは、なぜ記載しなかったのか、私も不思議でしようがありません。まず、法律を守るのは当然なんですから、法律を守るということをしっかりと肝に銘じていただかなきゃならないと思っております。
○仙谷委員 ただ、この入金及び入金に関する処理については、橋本元総理は、わしは知らぬ、こう言っているんです、私は関係ないと。いや、実はこの会計処理については責任があったんだということを、そういう指示をしたんだと多分言われているんでしょう、滝川さんと共謀の上、虚偽の記載をしたということで起訴されておるのが村岡先生でありますから。
こういう前提なんですが、先ほどから総理がおっしゃっておる透明度という観点からいえば、このお金がどのように使われたのかというのは、やはり透明度を高めるためにも調べる必要がある。検察庁がわかるのであれば、ちゃんと報告を出してもらう必要がある。検察庁がそれはちょっと待ってほしいとおっしゃるならば、この委員会で、あるいは衆議院で調べる必要がある。
総理の透明度感覚、これだけ力説される透明度感覚からいって、この一億円の使われ方というのは解明をする必要があると思いますが、自民党総裁としても、あるいは日本の国政を預かる総理としても、いかがお考えですか。この使い道について、ちゃんと議会が自浄能力も発揮しながら、調査能力も発揮して調べる必要がある。こういうことについて、総理のお考えを聞きます。
○小泉内閣総理大臣 私は、今、この問題につきましては、裁判手続にかけられておりますので、法律にのっとって処理されるべきであり、国会において、議員がかかわっている問題であるならば、議員がしかるべき説明をする必要があるのではないかと思っております。
○仙谷委員 総理、他人事みたいなことをおっしゃっちゃだめですよ、こういう問題については。自民党総裁でもあるわけですからね。
ちょっと話題を転じますが、日歯のお金のうち、我々の調査によると、日歯側からお金は直接渡したけれども、国民政治協会という名前の自民党本部の事務局長、元宿仁さんというんですか、この人にお願いをして、一たん国民政治協会に入ったように処理をしてもらって、お金は直接派閥や議員に渡したというケース。それから、封筒に入れて何々先生用と書いて、それを国民政治協会という名前の自民党本部の元宿事務局長のところへ持っていって、国民政治協会が受けたようにして引き受けてもらって、それを後日、わからないように分割したりして、衆議院議員、参議院議員の支部の口座、衆議院第何選挙区支部の口座に振り込んでもらったというのがあるんですよ、こう言っておるんですね。ちゃんとそれは、元帳にも台帳にも残しておきましたと。自民党というよりも、名前は国民政治協会からいただいた領収書に、番号も、関連がわかるように番号を書いてあります、こうおっしゃっておるんですよ。
自民党は、この種の指名献金、指定献金、迂回献金なんか一切ないんだ、こういうふうに言ってきました。一切ないと。あったら大変ですからね、これは。だけれども、時々、事件というのは、事実は小説より奇なりといいまして、ほかの事件で捜索が入ったときにそういう証拠というのが出てくるんですよ、当人たちには困ったことに。当人たちには、私、困ると思うんだけれども。
話はかわりますけれども、今度の西武の事件も、インサイダー取引とか株式がこれだけ少なかったというのも、先般の総会屋事件で捜索・差し押さえが入ったときにそういう資料が出てきたのかもわかりませんよ。どうも、事件というのはそういうふうにして発展していくんですね。警察や検察が見逃しにできないと思うような重要な証拠が出てきたときには、もうこれは、相手が政治家であろうと大財閥であろうと、やはり捜査に着手しなきゃいけない、こういうことになっておるわけですよ。まだここがほどほどには実行されているから、日本も健全なところがあると私は見ておるんです。
しかし、そういう経過で、今度のこの日歯連の事件も、どうも検察庁さんも資料をちゃんとお持ちになっておるようです。
そこで、法務大臣、どうですか。この問題について検察庁の方から、そういう事実があったかなかったか、お答えいただけますか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
個別事件の具体的な事実、それらに関係しているものにつきましては、証拠関係につきましてはコメントを差し控えさせていただきます。よろしくお願いします。
○仙谷委員 迂回献金の一つの端的な例として、佐藤勉さんという人が、この平成十三年ですかに三百万もらったとか五百万もらった、迂回献金でもらったということが巷間言われているというか、少なくとも新聞報道にはありますね。それで佐藤さんを取り調べをしたんだ、こういう話がございますが、佐藤勉国会議員を取り調べたのかどうなのか、それについてお答えいただけますか。
○南野国務大臣 今お尋ねの迂回献金等につきましてのことでございますが、それらの御指摘につきましては、現在、東京地方検察庁に対し告発状が提出されているものと承知いたしており、検察当局において適切に対処するものと思います。
以上でございます。
○仙谷委員 適切に対処するということは、ちゃんと呼んで取り調べをしておるというふうに理解いたしました。
これは、報道機関にも、佐藤勉議員からは、名誉毀損だとかなんとか、抗議も全然ない、告訴もないということでありましょうから、まあ、ほぼ当たらずといえども遠からずというぐらいの事実関係はあったんじゃないかと思います。
この件もちゃんと伝票に番号が振られておって、どうも、金員授受の趣旨はともかくとして、金員が国民政治協会を通って特定の佐藤議員のところに持っていかれたということは本当のようでございますし、そしてまた、きょうの朝日新聞の報道によりますと、我々の調査と同じように、九九年には有力派閥幹部三人に一千万あてが配られて、これは後々、国民政治協会、自民党を通ったような処理がされた。お金自身は別途渡された。それから、平成十三年十一月には、やはりこれも名前を申し上げるのは控えますけれども、時の主流派閥、ここの党の幹部と有力議員、合わせて三人に合計五千万。一人には三千万、二人には一千万ずつ。これも領収書がある。領収書に番号が振られておって、日歯側の出金伝票の番号と合致しておる、こういうふうに言われておるんですね。
それで、私は、ここで総理にも、あるいは法務大臣にもお願いしたいんでありますが、ロッキード裁判のときと同じように、この種の非常に不健全な、脱法的、あえて的とつけますけれども、まあ脱法と言いたいんだけれども、この種の献金がこの間の日歯連の事件で捜査の当局が認知したものがあれば、つまり、物証があり、それを説明する供述があるとすれば、ちゃんと報告書を出すべきだ。ロッキード事件のときの灰色高官と同じように、報告書をつくって出すべきだ。証拠そのものも出していただいたらなおいいんだけれども、それはこの予算委員会で議決してもらわないと出てきませんので、まずは法務省が、刑事訴訟法四十七条に基づいて、公益のためにそういう報告書を提出するということを求めたいと思うんです。どうですか、法務大臣。(発言する者あり)
○南野国務大臣 初心者でございますので……(発言する者あり)
捜査の結果、具体的な事実関係は、立証に必要な範囲で公判において明らかにされるべきものであり、公にした場合には、今後の捜査、公判に重大な支障が生じることから、明らかにいたしかねることを御理解願いたいと思います。
以上です。
○仙谷委員 重大な支障が生じるのは、多分、名前が出される人たちだと思うんですけれども、そうじゃなくて、やはり今や日本は、この種のやみ献金、迂回献金とか、小汚いというよりも全く汚い不健全な金の流れ、これをクリーンに開示する。この数年間の企業のスキャンダルも、政治のスキャンダルも、行政のスキャンダルも、全部隠して、臭い物にふたをしようとするところが全部問題になった瞬間に凋落を始めるじゃないですか。
クリーン、オネスト、ビューティフルというのが我が岡田代表のスローガンですよ。これは、今の経済界でも、そうでなければ何にもできないと言っていますよ。(発言する者あり)いや、笑い事にしちゃいけない。
本当に、これをやるためにも、そういうコンプライアンスの世界をつくるためにも、この際、法務省、決意をして、刑事訴訟法四十七条に基づいて、ロッキード事件のようにちゃんと報告書をお出しになったらどうですか。もう一度、どうですか。
○甘利委員長 南野法務大臣、午前中の時間が来ております。簡潔にお願いします。
○南野国務大臣 はい、簡潔に申し上げます。
先ほど申し上げたとおりでございます。
○仙谷委員 では、午後の時間がございますので、この点についてはもう一度質問したいと思います。
○甘利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
平成16年10月18日
○仙谷委員
それでは、同様の観点から、政治と金のお話を聞きましょう。
これも、私に言わしめれば、この日歯連事件というのは、自民党政治に近づくために大金をばらまく、これをすれば、ほかの人がどうなっても、みずからの業界はまあまあうまくいくんだ、この政治ですね、この行動、これの端的なあらわれだと私は見ているんですよ。つまり、公平に競争をして努力した人が報われる話じゃなくて、少々すき間に入り込んだり、あるいは金で人的な友好関係をつくって、そこで政策的にその業界がまずくならないように、少なくともまずくならないように、できれば優遇措置を受けるように、そういう思惑のために金を大胆に大量にばらまいた事件だ、こういうふうに思うんですね。
私のところへもこういうのを送ってくれました。「日歯連盟だより」、これは平成十五年四月十五日、いろいろな、彼らの要望する政策的なことが書いてあります。当時の自民党の幹部でございましょう、古賀誠先生、野中さん、青木幹雄参議院議員。政治力をもってこれから実現していこうね、一緒にやろうね、職域代表の参議院議員も出してほしいね、出しましょうということがここに書いてあります。
私は、この日歯連の事件というのは、改めてそういう観点から、日本の政治が縦割り業界に、税制や、今回の場合は診療報酬とかそういう問題でありますけれども、縦割り業界にそういうある種の優遇措置をする、そういう資源の配分をしていく、そのために、個別の業界と自民党という政党、自民党の各派閥、族議員、この、人の特別の関係をつくるためにお金が使われた。もうこの政治構造自身を変えなければならない。何年言い続けたのかわからないけれども、変えなければいけない。
私は、今の日本の、国、地方を合わせて一千兆円の財政赤字というのは、日本社会のあらゆる矛盾の表現だと思っています。財政赤字があるから矛盾が出てきているんじゃないんです。矛盾があるから、それを糊塗しようとして、とりわけ自民党政治を延命させようとして、税を国民に負担願うことを嫌って財政の赤字で賄ってきた。子供や孫の懐に手を突っ込んで、生まれてきていない子供のキャッシュカードをつくってやってきた。こう見ているんですね。
そういう観点からこの日歯連の事件を見ると、権力に近づいて、歯科業界、まことに苦しい、毎年毎年三千人ふえるから苦しくなるんですよ、歯医者さんも。そこで、生き延びようとする人たちが、一人当たり年間三万円、九万人の歯医者さんのうち、六万人が日歯連の会員だ、日本歯科医師会の会員だ。年間十八億円。この十八億円を使って運動してきたというのが、これを見たらはっきりするじゃないですか。
ちなみに、この間、日歯連が実現しようとしたことは、細かく言いますと、そしゃく障害者の診断書の作成や障害者手帳申請手続を緩和してほしい、かかりつけ歯科医の初診料の請求がやりやすくしてほしい、歯科衛生士教育期間延長を凍結してほしい、あるいは本人負担三割というのがありました。それがちょうどこの平成十五年です。そういうのも、できたら自民党のお力によって、厚生省が幾ら言っても三割負担を阻止してほしいと医師会も歯科医師会も言っていたじゃないですか。
そのためにどのぐらい献金をしたか御存じですか、総理、自民党に。国民政治協会への献金だけでも、平成十一年度六億六千万円、平成十二年度五億九千三百万、平成十三年度四億五千万、平成十四年度四億六千三百万、表の献金だけでこれだけあるじゃないですか。そのほかに、名前はきょうは申し上げませんけれども、お一人お一人の議員の後援会とか資金管理団体とか県支部に、今申し上げた国民政治協会を通したお金ではなくて、少なくとも、平成十一年から十四年までに、日歯連から、これは例えば、何とか県歯科医師連盟を通したのとは別に、日歯連から直接各議員の資金管理団体や選挙区支部に配られた金が六億五千九百七十七万五千円じゃないですか、私の計算だと。ちゃんと、公表数字だけでそうなっているんですよ。これを巨額なお金だと言わずして、どう考えればいいんですか。
もうちょっと言いますと、最高は、逮捕された吉田幸弘さんという人が一億三千百万です。中原爽さんという人は八千二百九十七万五千円です。こういう金額を三年や四年の間にどうして払うんですか。代弁人、代理人をつくるというもくろみなのか、政策を金で買おうというもくろみなのか。普通の人はそうとしか考えられないじゃないですか。
さあ、ここで総理、総理も官房長官の方に指示されたというふうに一部報道されましたが、ある業界があって、ほとんど同じ構成員で、半ば準強制的に政治連盟の会費が払われるという政治連盟、業界の横にある政治連盟、こういう政治団体からは、自民党の受け皿である国民政治協会、つまり政治資金団体と言うらしいんでありますが、この政治資金団体に入れられる寄附であろうと、自民党本部に直接入れられる寄附であろうと、やはり限度を決めた方がいいんじゃないですか、これ、少なくとも。禁止せよとまで言いませんけれども。
例えば、最大限譲るとすれば、年間一億円でどうですか、総理。どうですか。お答えください。
○小泉内閣総理大臣 具体的な政治団体間の資金の提供について額の制限を設けるかどうか、一億円でどうかという話でありますが、私は、こういう点についても、今後、今、自民党でも検討しております、公明党でも検討しております、民主党でも検討されていると思います。日歯連の問題と、今、仙谷議員が指摘されました、政党なり政治家に献金する、資金を供給する問題、これは分けて考えなきゃいけないと思っています。
まず、法律に従って政治資金収支報告書を出す、これはもう当然であります。法律を守らなきゃならない、これも当然であります。同時に、民主政治でありますから、選挙をやればわかりますが、どの有権者も団体も、みずからの意向を通すために、支持政党、議員を見きわめます。自分たちの要求を通してくれるかどうかによって献金の額も考えようというのは、労働組合も政治団体も同じだと思います。
そして、私は、そういう資金を提供するというのが悪いとは思っておりません。要は、どういう団体が、どういう労働組合が、どの政党に、どの候補者に献金しているかというのを有権者がわかるというような、そういう透明性というのは必要だと思います。それに基づいて有権者がどう判断するか。
今言った日歯連の問題についても、要求を、例えば自由民主党にぶつけて、受け入れられた問題と受け入れられない問題があります。例えて言えば、日歯連は何億献金しようが、三割負担を阻止してくれというのを阻止できなかった。
逆に、いろいろな問題におきましても、これは献金の多い少ないにかかわらず、国民の歯科医療のために必要だなということだったら、政党としてこれは必要な改善だと思うならば、自民党だろうが民主党だろうが公明党だろうが、それの要求に沿って政策に反映するのもこれは悪いことではございません。
私は、そういう意味において、今の御質問でありますが、献金額を制限するというものも含めて、額はどの程度にするかという問題についても各党間で今後協議する必要があると思っております。
○仙谷委員 実は、総理、先般の本会議で、やはり政治献金は広く薄く集めるのが筋だ、正しいとおっしゃったから、私は、最大限譲歩して一億円と言ったんですよ、今。これでも庶民から見れば厚くかもわかりません。広く薄くだったら、毎年毎年五、六億円の金が自民党に自動的に入ってくる、これは薄くとは言えないんじゃないですか。自民党だって政党交付金が年間百五十億でしょう。そのうちの五億といったら、これはそんなに薄いお金じゃないと私は思いますよ。だから、その庶民感覚というか、市民感覚を総理に聞きたいと思って聞いたのです。だが、全然答えになっていないです、それは。
いいですか、九月二十九日には、総理が総務相に政治資金規正法の見直しを指示した。官房長官がそれを記者会見で、団体間の上限を決めるんだ、金融機関に送金の流れを限定するんだ、金融機関の振り込みとか、受けることを。透明化するんだとおっしゃったから、私は本気かと思っていたんですよ。ああ、これはいよいよ進むなと思っていた。
ところが、どうです、今のお答えは。広く薄くが、何かもうわけのわからぬ、まあ、みんなの党で相談してくれみたいな、こんな程度の話では、遅々として進まずというか、後退しているじゃないですか。この点はもう一度お答え願います。
総理の広く薄く感覚というのは、こういう業界団体が、政策を掲げている業界団体が政党に献金しようとする場合は、どのくらいが広く薄くの感覚なんですか。金額で言ってください。十億でも二十億でもいいですよ、あなたの感覚がそういう感覚ならば。どうですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、政治団体間の献金と個人献金、企業献金とは別だと思っております。
政治団体というのはいろいろな方々が団体をつくってやるわけですから、政党交付金が二百五十億とか三百億ということから考えて、制限するばかりじゃなくて、透明性を確保するんですから、各団体がこれだけ献金したということがわかって、有権者に判断材料を与えるということは大事だと思っておりますが、その額が、企業献金、個人献金の額と政治団体の額とは違っていいと思っています。
それと、政党に対して国民がどのように寄金を提供するか。自分たちの要求を政党に、議員に反映させたいと思って、票で応援する人、資金で応援する人、労力で応援する人、さまざまであります。それをいかに国民からうまく吸収して、国民の支持を得て、政党が選挙で勝利して、政権を担当して政策に反映していく、こういうのが民主政治ですから、私は、そういう点についても、企業献金、個人献金と政治団体の額というのは差異があっていいと思っていますので、額がどの程度がというのは、今後、各党間でよく協議していただきたいと思います。
○仙谷委員 僕は、総理の広く薄くの意味がまさに馬脚をあらわしたというか、全く具体的に考えていないということがわかりました。
それと、もう一つつけ加えますと、今総理がおっしゃったことは、総理がやろうとしている構造改革がにせものだということを自白したようなものなんですよ、言っておきますけれども。
この縦割り構造の、業界団体を中心に資源を配分する、これは税制でも予算でも補助金でもそうです、あるいは診療報酬でもそうです。このやり方が日本は限界に来ている。一九四〇年から続いている、統制経済のときから続いている、業界単位で物事を仕切っていくという構造、これが政治の構造なんだけれども、経済もその構造がなかなか直らない。官製談合の世界が直らないということが、今の日本の公正な競争社会ができないことにつながっているんじゃないですか。私は、ここは物すごく深く結びついていると思うんですよ。
総理が、縦割りの、省庁、族議員、業界、業界団体、政治連盟、あるいは政治連盟の隣の、自民党何とか支部がついているじゃないですか。この構造をたたき壊さない限り、経済構造改革なんというのは絶対できません、言っておきますけれども。そこと関係があるから私は申し上げているんですよ。それだけを申し上げておきます。
裏金の話をしましょう。
平成研への一億円というふうに報道をされています。しかし、だれが平成研への献金だということを認定できるんですか。だれもわからない。口悦という料理屋で橋本龍太郎さんという元総理大臣が、一億円の小切手を青木さんや野中さんにも見てもらいながら懐にしまった。それを、小切手がどう献金されてどのように分けられたのか、だれもおわかりでないじゃないですか。だれが認定しているんですか。
こういう事実があった、総理は、あったらしいな、そういう認識をしているんですか、していないんですか。こんなことはでっち上げかもわからない、新聞が書いているだけだ。いやしかし、検察庁がこれは起訴したわけですから、報告しなかったということについては。全くのうその事実をでっち上げて、村岡兼造さんまで起訴に及んだということは、私には考えられないんですけれども。
総理、どうですか。総理の認識としては、こういう事実があったというふうに認識しているんですか、していないんですか。あったらしいという認識はあるんですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、平成研の会計、収支状況については知りませんが、現に今、裁判手続にかけられている。なおかつ、一億円の日歯連側から平成研への献金というのは、当初記載されていなかったのが後日修正して記載されたということを聞いております。こういう状況から考えると、一億円の献金があったんだと思います。
○仙谷委員 では、そこまで総理の答弁を聞きましたので、次の質問に移ります。
これは、結局、後に訂正されたと言うけれども、社会的に問題になるというか、メディアの世界で問題になる、あるいは、検察庁に呼ばれて取り調べが始まったということで、訂正というか修正の報告をしたということになっているわけですね。
ということは、もらってから約三年間は裏金だったということなんですよ。どういうふうに使われたのかは、さっきから総理がおっしゃる、透明度が全くない。どこに消えたのかはわからない。繰越金に計上したけれども、実際はそんな金はもう既にない。どうも二〇〇一年の参議院選挙のときに分けたらしい。こういうことが言われているんですね。
当然のことながら、こんな処理が、何年もおくれて、修正しましたで済むものですか。今、企業の世界ではコンプライアンスということが言われておりますけれども、こんな法令の遵守意識で、まあ自民党の先生方の中には、随分この間修正の報告をしていらっしゃる方がおるようでありますけれども、こんなことでこのコンプライアンスが守れているというふうに、総理、お考えですか。
○小泉内閣総理大臣 献金があった場合には記載しなければならないという、政治資金規正法ですか、法律にのっとって対応しなかったからこそ、これに関係する方々が逮捕され、今、裁判手続にかけられているのだと思います。
これは、なぜ記載しなかったのか、私も不思議でしようがありません。まず、法律を守るのは当然なんですから、法律を守るということをしっかりと肝に銘じていただかなきゃならないと思っております。
○仙谷委員 ただ、この入金及び入金に関する処理については、橋本元総理は、わしは知らぬ、こう言っているんです、私は関係ないと。いや、実はこの会計処理については責任があったんだということを、そういう指示をしたんだと多分言われているんでしょう、滝川さんと共謀の上、虚偽の記載をしたということで起訴されておるのが村岡先生でありますから。
こういう前提なんですが、先ほどから総理がおっしゃっておる透明度という観点からいえば、このお金がどのように使われたのかというのは、やはり透明度を高めるためにも調べる必要がある。検察庁がわかるのであれば、ちゃんと報告を出してもらう必要がある。検察庁がそれはちょっと待ってほしいとおっしゃるならば、この委員会で、あるいは衆議院で調べる必要がある。
総理の透明度感覚、これだけ力説される透明度感覚からいって、この一億円の使われ方というのは解明をする必要があると思いますが、自民党総裁としても、あるいは日本の国政を預かる総理としても、いかがお考えですか。この使い道について、ちゃんと議会が自浄能力も発揮しながら、調査能力も発揮して調べる必要がある。こういうことについて、総理のお考えを聞きます。
○小泉内閣総理大臣 私は、今、この問題につきましては、裁判手続にかけられておりますので、法律にのっとって処理されるべきであり、国会において、議員がかかわっている問題であるならば、議員がしかるべき説明をする必要があるのではないかと思っております。
○仙谷委員 総理、他人事みたいなことをおっしゃっちゃだめですよ、こういう問題については。自民党総裁でもあるわけですからね。
ちょっと話題を転じますが、日歯のお金のうち、我々の調査によると、日歯側からお金は直接渡したけれども、国民政治協会という名前の自民党本部の事務局長、元宿仁さんというんですか、この人にお願いをして、一たん国民政治協会に入ったように処理をしてもらって、お金は直接派閥や議員に渡したというケース。それから、封筒に入れて何々先生用と書いて、それを国民政治協会という名前の自民党本部の元宿事務局長のところへ持っていって、国民政治協会が受けたようにして引き受けてもらって、それを後日、わからないように分割したりして、衆議院議員、参議院議員の支部の口座、衆議院第何選挙区支部の口座に振り込んでもらったというのがあるんですよ、こう言っておるんですね。ちゃんとそれは、元帳にも台帳にも残しておきましたと。自民党というよりも、名前は国民政治協会からいただいた領収書に、番号も、関連がわかるように番号を書いてあります、こうおっしゃっておるんですよ。
自民党は、この種の指名献金、指定献金、迂回献金なんか一切ないんだ、こういうふうに言ってきました。一切ないと。あったら大変ですからね、これは。だけれども、時々、事件というのは、事実は小説より奇なりといいまして、ほかの事件で捜索が入ったときにそういう証拠というのが出てくるんですよ、当人たちには困ったことに。当人たちには、私、困ると思うんだけれども。
話はかわりますけれども、今度の西武の事件も、インサイダー取引とか株式がこれだけ少なかったというのも、先般の総会屋事件で捜索・差し押さえが入ったときにそういう資料が出てきたのかもわかりませんよ。どうも、事件というのはそういうふうにして発展していくんですね。警察や検察が見逃しにできないと思うような重要な証拠が出てきたときには、もうこれは、相手が政治家であろうと大財閥であろうと、やはり捜査に着手しなきゃいけない、こういうことになっておるわけですよ。まだここがほどほどには実行されているから、日本も健全なところがあると私は見ておるんです。
しかし、そういう経過で、今度のこの日歯連の事件も、どうも検察庁さんも資料をちゃんとお持ちになっておるようです。
そこで、法務大臣、どうですか。この問題について検察庁の方から、そういう事実があったかなかったか、お答えいただけますか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
個別事件の具体的な事実、それらに関係しているものにつきましては、証拠関係につきましてはコメントを差し控えさせていただきます。よろしくお願いします。
○仙谷委員 迂回献金の一つの端的な例として、佐藤勉さんという人が、この平成十三年ですかに三百万もらったとか五百万もらった、迂回献金でもらったということが巷間言われているというか、少なくとも新聞報道にはありますね。それで佐藤さんを取り調べをしたんだ、こういう話がございますが、佐藤勉国会議員を取り調べたのかどうなのか、それについてお答えいただけますか。
○南野国務大臣 今お尋ねの迂回献金等につきましてのことでございますが、それらの御指摘につきましては、現在、東京地方検察庁に対し告発状が提出されているものと承知いたしており、検察当局において適切に対処するものと思います。
以上でございます。
○仙谷委員 適切に対処するということは、ちゃんと呼んで取り調べをしておるというふうに理解いたしました。
これは、報道機関にも、佐藤勉議員からは、名誉毀損だとかなんとか、抗議も全然ない、告訴もないということでありましょうから、まあ、ほぼ当たらずといえども遠からずというぐらいの事実関係はあったんじゃないかと思います。
この件もちゃんと伝票に番号が振られておって、どうも、金員授受の趣旨はともかくとして、金員が国民政治協会を通って特定の佐藤議員のところに持っていかれたということは本当のようでございますし、そしてまた、きょうの朝日新聞の報道によりますと、我々の調査と同じように、九九年には有力派閥幹部三人に一千万あてが配られて、これは後々、国民政治協会、自民党を通ったような処理がされた。お金自身は別途渡された。それから、平成十三年十一月には、やはりこれも名前を申し上げるのは控えますけれども、時の主流派閥、ここの党の幹部と有力議員、合わせて三人に合計五千万。一人には三千万、二人には一千万ずつ。これも領収書がある。領収書に番号が振られておって、日歯側の出金伝票の番号と合致しておる、こういうふうに言われておるんですね。
それで、私は、ここで総理にも、あるいは法務大臣にもお願いしたいんでありますが、ロッキード裁判のときと同じように、この種の非常に不健全な、脱法的、あえて的とつけますけれども、まあ脱法と言いたいんだけれども、この種の献金がこの間の日歯連の事件で捜査の当局が認知したものがあれば、つまり、物証があり、それを説明する供述があるとすれば、ちゃんと報告書を出すべきだ。ロッキード事件のときの灰色高官と同じように、報告書をつくって出すべきだ。証拠そのものも出していただいたらなおいいんだけれども、それはこの予算委員会で議決してもらわないと出てきませんので、まずは法務省が、刑事訴訟法四十七条に基づいて、公益のためにそういう報告書を提出するということを求めたいと思うんです。どうですか、法務大臣。(発言する者あり)
○南野国務大臣 初心者でございますので……(発言する者あり)
捜査の結果、具体的な事実関係は、立証に必要な範囲で公判において明らかにされるべきものであり、公にした場合には、今後の捜査、公判に重大な支障が生じることから、明らかにいたしかねることを御理解願いたいと思います。
以上です。
○仙谷委員 重大な支障が生じるのは、多分、名前が出される人たちだと思うんですけれども、そうじゃなくて、やはり今や日本は、この種のやみ献金、迂回献金とか、小汚いというよりも全く汚い不健全な金の流れ、これをクリーンに開示する。この数年間の企業のスキャンダルも、政治のスキャンダルも、行政のスキャンダルも、全部隠して、臭い物にふたをしようとするところが全部問題になった瞬間に凋落を始めるじゃないですか。
クリーン、オネスト、ビューティフルというのが我が岡田代表のスローガンですよ。これは、今の経済界でも、そうでなければ何にもできないと言っていますよ。(発言する者あり)いや、笑い事にしちゃいけない。
本当に、これをやるためにも、そういうコンプライアンスの世界をつくるためにも、この際、法務省、決意をして、刑事訴訟法四十七条に基づいて、ロッキード事件のようにちゃんと報告書をお出しになったらどうですか。もう一度、どうですか。
○甘利委員長 南野法務大臣、午前中の時間が来ております。簡潔にお願いします。
○南野国務大臣 はい、簡潔に申し上げます。
先ほど申し上げたとおりでございます。
○仙谷委員 では、午後の時間がございますので、この点についてはもう一度質問したいと思います。
○甘利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
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午後一時一分開議