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歯科技工士・岩澤 毅

165 - 参 - 厚生労働委員会 - 2号 平成18年10月26日

2006年10月26日 | 国会議事録
[001/001] 165 - 参 - 厚生労働委員会 - 2号
平成18年10月26日

○櫻井充君 柳澤大臣は患者さんとおっしゃいましたが、多分大臣は患者さんの中の特別特別特別待遇を受けているから何も分かりませんよ。はっきり申し上げておきますが。
 皆さん、待ち時間というか、本当に僕らだっていろいろ説明したいですよ。インフォームド・コンセントだ何だと言われて、ちゃんとやりたいですよ。OECDの外来の平均の数と比べれば僕ら四倍やっているんですよ。だから三分診療と言われているんですよ。もし、これがOECD並みになったら、十二分間できますから、もうちょっとちゃんと患者さんに説明できますよ。
 それから、我々の労働条件、どうなんですか。本当に労働条件、今の中で基準法をちゃんと守られているんですか。昔の当直と今の当直、違いますよ。全く夜一睡もできない当直もあります。いまだにこれは夜間の労働とは認めていただいておりません。そうすると、三十六時間ぐらい継続して働かなきゃいけないこともあるわけですよ。そういう実態、御存じですか。
 そういうことを知らないで、なぜ医療費だけがどんどんどんどん抑制されるんですか。そうではなくて、その分野に対して医療費を増やしたとしても、雇用さえ確保すればそれでいいはずですよ。我々医者の給料上げてくれなんて思っていませんよ。人手さえ増やしてもらえればいいんです。ところが、人手が増やせないのは何でかというと、必要な医療費をどんどんどんどん抑制するからです。公共事業費を削減して、公共事業で食べている人たちを医療の分野で雇用を吸収すればいいだけの話ですよ。
 大体、大学病院で私が医者をやっていた当時、医者がやらなきゃいけないようなことなんかせいぜい三割程度ですよ。あとの七割程度は本当に、医者が一番何かというと、研修医がなぜ今大学病院から離れているかといったら、雑用ばっかりだから。ほかの民間病院に行った方がきちんとした研修ができるからそうやって離れているじゃないですか。我々は、僕は無給の時代が五年半ありました。無給ですよ。一円も大学からもらっていませんよ。そういう時代があるから、彼らからしてみればていのいい労働者ですよ。だから、地域の医師不足だってそこのところから起こってきているんですね。
 いずれにしてもですよ、いずれにしても、ここのところをはっきりしていただかないと、今みたいな答弁ではなくて、ちゃんとした実態を認識していただかないと、日本の医療制度は私は守れないと思っています。
 その意味で、もう一つ、今回、ここにありますが、これ三万人の署名があります。それは何かというと、今日お配りしたかもしれません、お配りしていますね、歯科のことに関してこの四月の改定でどういうことが起こったかというと、文書すべて全部一律に提供しろと、そういうような内容のことでした。
 私は、この四月―五月にかけてアンケートを実施した結果、患者さんの、まあこれは九百弱の声ですけれども、その中の六〇%の方は文書は要らないと。そして、それよりも診療時間もうちょっと長くしてくれ、待ち時間短くしてくれと。文書が欲しいという方もいらっしゃいました。文書が欲しいという方は一〇%もいなかった。
 この制度の改正は本来は患者さんのためであったはずです。ここにあるのは歯医者の署名ではありません。患者さんの署名です。後で十万超えたら大臣のところにお持ちしようと思っていますが、今、毎日すごい勢いで増えてきております。今日はある分だけ持ってまいりました。
 大臣、こんな無駄なこと何でやらせるんですか。医者と患者の関係は文書一枚書けばそれでつくれると思っているんですか。そういうもんじゃないですよ。現場でみんな苦労してやっているのは何かと。ちゃんと分かりやすくやるためにちゃんと口頭でも説明していますよ。我々は文書が必要だという人たちに対しては文書書いていますよ。何で要らないとまで言う人にそうやってやらせるんですか。そしてその無駄な時間をなぜ強いるんですか。私の調査では、一日歯医者九十五分ですよ、九十五分文書に書くのに充てています。日本歯科医師会の調査だと六十五分だったかと思いますが。
 八時間の診療のうちの一時間以上を文書に充てることが本当に患者さんのためになりますか。私は、まず少なくともこの制度、書くなとは言いません、必要な方だけに変えた方がいいんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) この書面の作成というのは、必要なときに患者さんとの同意の下で発給しているということでございまして、先生が……

○櫻井充君 違うよ。

○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、先生が必要でないというふうになれば、患者さんの方が要求しない限りそれは必要ないということで治療に御専念いただくことも可能だと、こういう制度であるというふうに承知をしております。

○櫻井充君 大臣、違いますよ。これ、ちゃんと文書書かないと点数取れないんです。点数請求できないんですよ。だから問題なんですよ。
 そして、もう一つ言っておきますけれども、これ各々の県の技官によって全然違うんですよ。静岡なんか一番ひどいですね、今。静岡県の技官は、こういうペーパー作って、ここの国会の中でじゃその歯医者さんたちの書く時間を短縮するためにみんなで努力してください、工夫しましょうと。例えば、重症、中等症、軽症とありますよね。丸付けていった方が早いわけですよ。それすら駄目と言っているんですよ。こんな技官っていますかね。つまり、本当の意味で、いい医療を提供しようとかなんとかじゃなくて、我々からすると、これは歯医者をただ単純にいじめているんじゃないかと思うような内容なんですよ。(発言する者あり)ああ、そうですか。
 それで、もう一度申し上げますが、一律全部文書を書けです。文書を書かなかったら保険点数は請求できないんですよ。だから、皆さんは保険点数を請求するためにそうやって文書を書いております。ですから問題だというふうに私は申し上げているんですね。大臣、いかがですか。

○政府参考人(水田邦雄君) まず、事実関係を申し上げますと、この文書による情報提供は指導管理料の算定要件ということでございまして、本当にこの指導管理が必要のない方であれば、当然これは文書も必要ありませんし指導管理料もないということになるわけでございまして、それは大臣申し上げたと思います。この文書提供そのものにつきましては、このメリットといたしましては、歯科診療では特に家庭での自分自身による管理というものが不可欠であるという特性がございますので、特に重要なものであると考えてございますし、また治療計画を示すことによって患者による医療の選択ということに寄与するものと考えてございます。
 先生御指摘の、文書提供不要と考えている患者についても出す必要があるのかどうかということでございますけれども、一般的にはこういったメリットがあるわけでありますし、またこの文書提供が必要かどうかをどのように見分けるかと、こういった問題もありまして、今回の改定におきましては指導管理料等の算定要件としたところでございます。今後の在り方につきましては、これは結果検証ということで、患者の意向、患者の満足度、こういったことから、私どもも中央社会保険医療協議会の診療報酬改定結果検証部会において調査を開始したところでございます。
 それからもう一点。これが各県において様々、区々になっているんじゃないかということでございますけれども、基本的にはこれは統一ルールの下で行われているものでございまして、またさらにそれに加えまして、現在、日本歯科医師会におきまして提供文書のひな形というものを作成中でございます。私どもも協議をしているところでございまして、このひな形ができますと、患者さんに対しまして過不足なく情報提供を行うスタンダードができると考えておりまして、こういった努力によりまして効率的な情報提供ということが可能になると、このように考えてございます。

○櫻井充君 文書書かなくてもいいというのは、それはそのとおりかもしれませんが、その上の、要するに保険点数が付かないということは収入大幅減になるということですよ。結局、そこが一番問題なんですよ。技術料とかそういうもの、本来上げてもらいたいものがほとんど上がらずに、こういう文書を書いたらおまけで点数が付くようなシステムにしているから問題なんですよ。
 何で医者や歯医者やそういういろんな人たちの技術料そのもの自体が評価されないんでしょうか。もっと技術料が評価されたらいいんですよ。そして、そういうことであったら技工料そのものだって上がってくるから、技工士さんだってあんなに苦しい生活にならないはずですよ。今の日本の技工料で技工士さんたち今どのぐらい働いているか御存じですか。一日十六時間ぐらい働いていますよ、しかも休みなくね。そういうことを強いていいのかどうかということですよ。あなた方が考えた制度だから、見えかプライドか何か知らないけど、そんなつまらないことでどうしてこんなことをずっと継続するんですか。
 私が問題提起したのはこの四月ですよ。五月だったか。五月にやって、六月には問題提起したはずですよ。じゃ何が進んだんですか。どういうふうに声を集めたんですか。調査は本当にしましたか。調査もしないで、何もしないような格好で一般論を言わないでくださいよ。あなたのおっしゃっていることはあなたなりの正論かもしれないけど、現実とは全く違うということですね。
 大臣、この点を本当に変えていただかないと患者さんが気の毒です。患者さんが、本来だったら、例えば二十分なら二十分の診療時間があった、そしてもうちょっと説明時間があったと。そのものを削って文書に書いて、待ち時間も長くなっているということになるとしたら患者さんのためにならないんですよ。
 ですから、患者さんが要求した場合、その場合にだけ文書は提供することにする、そして元々の、文書提供によって保険点数を上乗せするようなそういうシステムそのもの自体をやめるべきではないんですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、いろんな御審議、診療報酬等の審議の中からこういう結論を出したと、こういうふうに私は承知をいたしております。
 私、就任するなり同僚の議員から、神奈川県の例ですけれども、こんなにすごい書式でもって出さされるんだよという話を聞きまして、それを直ちに部内にも伝えましたところ、いや、こういうことではなくて、もっともっと簡便に様式化して、患者の情報としては十分だけれども先生には余り負担が掛からないようなことで今工夫している途上にあると、こういう報告を受けまして、しばらくそれじゃ様子を見ようということで私としてはこの問題に対処しているということで、今も保険局長が言うように、更にこれについては検証をするという、機会を設けて検証する、そしてもっといいものにしていくということでありますので、余り現状ですべてを否定し去るようなことではなくて、建設的に是非お願いしたいと、このように申し上げたいと思います。

○櫻井充君 建設的に言っているじゃないですか。建設的に何もしてくれないのが厚生労働省じゃないですか。
 それから、神奈川の技官の話がありましたが、あれは私が厚生労働省に申し上げたから厚生省が動いたことですよ。あれは私と同僚の浅尾議員が、問題があるんじゃないかといって厚生省に話をして、それから厚生省が調べ始めたことですよ、言っておきますけど。そういう問題提起もちゃんとしておりますよ、こちら側で。そして、問題提起をした上でやっとやっと動くような体質じゃないですか。
 この間来られた官僚の方は、もっと詳しいことを僕に調べてこいと言うんですから。何で私がそれ以上調べなきゃいけないんでしょうか。こちら側がいろんな方からお伺いして、おかしいと言って、そういうことを厚生省に行って調査してくれと言ったら、もっとあなた方は調べてきなさいと、そういう感じで私は言われました。だから、それはおかしいですねという話をして、結果的に厚生省が調べて、独自で調べて、それで神奈川の方に通知が行っているはずですから。
 いずれにしても、もう時間になりましたが、大臣、医療提供体制の在り方全般を考えてください。そうしないと、これは、医療従事者が今まで本当に体壊しながらみんなやってきたからもっているだけの話で、一生懸命やっていれば、やっている人たちがみんな勤務医を辞めているんですよ。ですから、そういうことをしないと患者さんたちにこれからまた御迷惑を掛けるということを是非念頭に置いていただいて厚生労働行政を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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