歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

吉田(幸)委員[026/026] 146 - 衆 - 厚生委員会 - 2号

1999年11月09日 | 国会議事録
○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。
 本日は、私、社会保障制度、そして医療保険に関して丹羽厚生大臣にお伺いをしたいと思っております。
 最近、少子・高齢化が急速に進んでいることから、二十一世紀は人口構造が極めて大きく変化をするわけであります。同時に、社会保障に要する費用も極めて増大を続けているわけでありますが、御承知のように、近年、経済はいささか元気がございません。社会保障をめぐる改革の必要性が強くなっている中で、基本的な考えはいかがなものか。これは医療、年金、福祉、介護、すべての社会保障に共通した太い概念というか、基本的な考えをまず大臣にお伺いをしたいと思います。

○丹羽国務大臣 医療、年金、福祉、介護、こういったような我が国の社会保障制度につきまして、まず基本的には個人の自立を原則にしながら、同時に、個人だけではどうしても対応しがたい不測の事態が起こる可能性もあるわけでございますので、お互いに助け合うんだ、つまり社会的な連帯ということが必要ではないか、そういうような基本的な考え方に立ちまして、真に必要な給付サービスというものをきちんとしなければならない。それと同時に、給付と負担のバランス、あるいは、先ほども申し上げましたけれども、少子・高齢化社会を迎えて世代間の公平も配慮しなければならない。最近は若い人たちの負担が過重になっているのではないか、こういうような御指摘もあるわけでございます。
 こういう中でこういう問題を十分に考慮しながら、私どもといたしましては、基本的には自己負担、それから保険料、当然のことながらこれだけでは過重な負担になりますので、先ほどから話が出ておりますけれども、公費の負担、こういうふうな投入をすることによって、基本的な考え方に基づいて、いわゆる社会保険方式と呼んでおりますけれども、そういう中によって運営をしていくべきだ、こう考えているような次第であります。
 吉田委員、まだまだお若い年代でございます。要するに、これからどんどん少子・高齢化社会ということで、今は六人で一人を支え合っている、こういう図式でございますが、これが二〇二五年には国民四人で一人を支え合っていくんだ、こういうような世界にも例を見ない超高齢化社会というものが、今そういう高齢化の波が足音を立ててやってきておるわけでございます。そういう中において、先ほどから私お話を申し上げておりますように、国民皆保険制度、皆年金制度、そしてこれからは寝たきりのお年寄りの皆さん方を、本当に家族介護では過重な負担になってきて、いわゆる介護地獄という言葉もあるぐらいだから、みんなで支え合っていこうじゃないか、こういうことで来年の四月からスタートするわけでございますので、こういうものをきちんと私どもが国民の皆さん方に理解をいただきながら定着をさせていく。そして、私が先ほどから申し上げておりますような、真の意味で豊かさを求めて社会保障の充実を進めていくことが大変重要な課題である、このように考えているような次第であります。

○吉田(幸)委員 今の大臣の御答弁の中で、個人の自立という言葉がございました。個人の自立というのが今回初めて出るようであれば、今までは個人は自立していなかったのか。自己負担あるいは保険料、このバランスということで、個人の自立というのが私にとっては非常に気になる言葉なわけです。
 ちょうど私が生まれた三十六年、国民皆保険制度が広く普及したということで承知しておるんですが、財源ありき――今財源が非常に厳しい中で個人の自立を求めるのか、新しい世紀に向かって人間本来が個人の自立をしていかなきゃならないのか、このことで私も少し考えるところがあるわけであります。
 このことについての質問は差し控えますが、とにかく個人の自立というのは極めて私にとっては重要なことだ。若い世代ということもおっしゃっていただいたわけですから、このことについては十分理解を示しつつ、疑問を持ったまま今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
 次に……(発言する者あり)今先輩議員の方からも極めて大事なことという御意見をいただいたわけですが、さらに細かな部分に進めさせていただきます。
 疾病構造も大きく変化をしているということに注目しなければなりません。人口構造が大きく変わり、また疾病構造も大きな変化がある。そして、急性疾患よりも慢性疾患が質も量も極めて多くなっているような気がいたします。
 医療保険で現在給付されているサービスを見ると、例えば東洋医学の範囲、これらは十分な配慮がなされていない、このように考えるわけでありますが、実際、この保険適用に際してどのようなお考えで大臣は今後検討を進めていかれるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○丹羽国務大臣 まず、個人の自立の問題について私なりの考え方を申し上げさせていただきますならば、これは要するに、それぞれ国民の皆さん方がやはり自分の健康は自分で管理をする、こういうことが大事であって、そして、基本的には社会保障というのは国民生活の安定を図って安心をもたらすセーフティーネットだ、こういうような役割を果たすべきだ。
 そういう中で、厚生省としても、健康日本21というのを今度始めます。そういう中で具体的メニューを示して、とにかく国民の皆さん方が本当に元気で生き生きとした生活を送ることができるようなものを目指すことが私どもの目的である。そういう中で今申し上げたようなセーフティーネットとして社会保障というものを考えていくべきだということで申し上げたわけでございますので、十分に御理解をいただきたいと思っております。
 それから、第二点の国民のニーズの問題でございます。
 これは実際問題として、時代とともに年々多様化してまいりますし、こういう中において、私どもとしては、真に国民の皆さん方が求めるものにこたえていくべきではないか、こう考えております。
 ただ、率直に申し上げまして、例えば医療資源の場合には、先ほどからお話がございましたように、医療資源そのものに非常に限りがあるということで、国民の皆さん方に御理解をいただきながら、これからどうやって医療改革を進めて将来に向けて安心して健康な生活を送ることができるのか、あるいは病気になった方に対してきちんとした皆保険制度を堅持していくかということが大変重要なことだということを申し上げたわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういう中で限りある医療資源を重点的に、効率的に活用するということが私は一番大切なことではないか、こう考えております。

○吉田(幸)委員 健康日本21ということを大臣触れられたわけですが、私は、この健康日本21という政策は、治療よりも予防に重点を置いた政策ではないかというふうに認識をしているわけであります。すると、我が国の医療制度の考え方は、予防行為も含めて面倒を見るというようなことで、私は今の御答弁から期待を持って多くの国民の皆さんに御報告をさせていただけるわけであります。予防に関して話をいろいろ、予防というかいわゆる未病状態、病気の一歩手前のときに対処をしなければならない、こういうふうに私は医療界にいた一人として強く考えるわけであります。大臣にもそのことをお願いさせていただきたいと思います。
 またさらに質問を進めさせていただきますが、医療技術というのはいろいろな研究機関で本当に極めて急速なスピードで進められているわけであります。新しい治療法が医科においても歯科においてもこのところ発表をされているわけであります。また、それに伴って研究結果も国民が先行して知るまでになっていることは少なくありません。
 例えばかみ合わせとか、よくかむことによって全身に及ぼす影響――この間私も日本歯科医師会のテレビを見ておりましたら、北海道の平井教授がお話をされていた中で、お年寄りがしっかりとした入れ歯を入れて、かみ合わせをしっかりと維持していたのであれば例えば反射神経がよくなる、このことは交通事故に遭わなくなる可能性がある。遭わないということはやはり研究者として述べられませんでしたけれども、しっかりとかみ合わせを維持することによって意識障害というのも少なくなってくるし、運動神経も向上する、神経の伝達速度も上がるのだ、要は運動神経がアップするというような報告もあるわけであります。このようないろいろな新しい発見がある。
 特に今申し上げた二点、かみ合わせとかいい入れ歯をつくったりするというようなことは、お年寄りにとってはQOLを高める極めて有効な手段ではないかというふうに私自身は考えるわけであります。
 来年の四月に行われます今回の診療報酬の改定について、今私が申し上げたお年寄りに対しての歯科領域、歯科医療の重要性を十分考慮した歯科への配分についてのお考えを大臣に伺いたいと思います。

○丹羽国務大臣 まず御理解をいただきたいのは、私は、予防、生活改善、こういうものは大変重要なことだ、こう考えております。しかし、それと、これを医療保険の中でやるというのは別な次元の話である。先ほどから申し上げましたように、要するに医療保険なり社会保障制度というのはセーフティーネットとしてあるのだ、しかし、私どもは、これからはもっともっと予防であるとか今申し上げたような問題について日ごろから力を入れていかなければならない、こういう認識で申し上げたわけでございます。
 それから、私がちょっと不勉強で、歯のかみ合わせの問題ですか、こういう問題についてまだまだ十分に、専門的な分野でございますので、正直申し上げてよく理解していない面もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、お年寄りの皆さん方が安心して健康な状態で過ごせるような措置というものは十分に配慮しなければならないわけでございますが、先ほどから申し上げておりますような保険の中の問題ではないのだということをまず御理解いただきたい。
 それから、今お話がございましたような診療報酬の問題につきましては、現在中医協で審議が行われている問題でございまして、私から個々の問題について申し上げることは適当でないということで差し控えさせていただきます。

○丹羽国務大臣 まず御理解をいただきたいのは、私は、予防、生活改善、こういうものは大変重要なことだ、こう考えております。しかし、それと、これを医療保険の中でやるというのは別な次元の話である。先ほどから申し上げましたように、要するに医療保険なり社会保障制度というのはセーフティーネットとしてあるのだ、しかし、私どもは、これからはもっともっと予防であるとか今申し上げたような問題について日ごろから力を入れていかなければならない、こういう認識で申し上げたわけでございます。
 それから、私がちょっと不勉強で、歯のかみ合わせの問題ですか、こういう問題についてまだまだ十分に、専門的な分野でございますので、正直申し上げてよく理解していない面もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、お年寄りの皆さん方が安心して健康な状態で過ごせるような措置というものは十分に配慮しなければならないわけでございますが、先ほどから申し上げておりますような保険の中の問題ではないのだということをまず御理解いただきたい。
 それから、今お話がございましたような診療報酬の問題につきましては、現在中医協で審議が行われている問題でございまして、私から個々の問題について申し上げることは適当でないということで差し控えさせていただきます。

○吉田(幸)委員 次に、今少し触れさせていただいた義歯、入れ歯、歯科技工物の問題について触れさせていただきたいと思います。
 歯科の技工物が今海外でつくられている。中国であったりフィリピンであったり、そういうところでつくられているというような報告がございます。聞くところによると、歯科技工のシェアの五%にも達するのではないか。正確なデータがなかなかとれないのですが、そのことが今極めて問題である。これは、私自身、特に専門の分野でしたので気にかけている点でございます。
 これは、歯科技工士がそれなりの資格と技術を持って、また、材料に対してもきちっと国内で管理がなされて初めて患者さんの口腔内へ装着をして機能を果たすものである、このように私は考えるわけですが、これが海外へ流出をして、そしてそれをだれがつくっているのか不明確な状態、また材料においても国内での基準を満たしているのかどうかわからない状態でその技工物をつくるというのは極めて問題であるというふうに私自身は考えております。
 どうかこの点について厚生省の方もしっかりと注意を払って、また、それが果たして合法なのか違法なのか、このことを明確に、しかも早急に対応していただかないと、たかが銀歯じゃないかとか金歯じゃないか、このような考えは極めて間違っておりまして、その材料においては金属アレルギーを引き起こしたり、またかみ合わせが十分なされていなければ、最近若い人たちに多く見られます顎関節症というあごの病気を引き起こしたり、こういうことが多く発生するというふうに私自身は考えております。この点について御見解をお知らせいただきたいと思います。

○丹羽国務大臣 まず、義歯などの歯科補綴物につきましては、一般的には歯科医師の指示を受けて歯科技工士が製作したものが歯科治療に使用されておる、先生御専門でありますが。歯科医師が直接海外から歯科補綴物を輸入し、これを歯科治療に使用することは認められている、こういうことであります。
 歯科医師が海外から輸入した歯科補綴物につきましては、歯科医師の責任において歯科治療に使用されているものでありまして、品質並びに安全性については問題はない、こう認識しておりますけれども、今先生が御懸念のような話もございますので、その実態について十分に把握し、検討していく必要がある、こう考えております。

○吉田(幸)委員 歯科医師の裁量権というものについて、今極めて大きいというか、歯科医師がそれを行うのであれば問題はない、これは私自身も承知はしております。
 ただ、歯科医師が技工所もしくは技工士に発注をした際に、その技工所があるいは技工士が海外に出していることを歯科医師に伝えていなかった場合、これは明らかに違法であり、要は歯科医師がそのことを承知しないまま、国内でつくっているものだと思ったまま口腔内に入れるというのは、私自身は、違法であり、取り締まらなければならないというふうに考えております。
 このことについては、歯科医師会及び歯科技工士会、両団体の先生方とも私も調整をさせていただきます。大臣の方もしっかりとその点については、先ほど申し述べましたアレルギーの問題とか顎関節症の問題がございますので、早急な対応をしていただくことをお願いしたいと思います。
 そろそろ時間も迫ってきましたので、次の質問に入らせていただきます。
 先ほど大臣は消費税は主力であるというふうにお述べになったと思います、これは介護の問題に対してなんですが。もう一度、最初の問題と類似をするかもしれませんが、財源の問題についてお伺いをしたい。
 最近、高齢化社会、少子・高齢化社会という言葉は国民の間に広く伝わっていると私自身は思っております。ただ、この言葉によって、お年を召した方、お年寄りの方々は、大変な時代がやってきたんだなというふうに理解はしているとは思うのですが、若い人たち、若い世代に何となく大変さが伝わってきていないような気がいたします。いわゆる若年者高負担時代、そうならないように願うわけですけれども、この若い人たちに対して説明がまだ不十分ではないか、このように考えるわけです。この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○丹羽国務大臣 先ほどもちょっと触れましたことにつきまして、重複することをお許しいただきたいと思いますが、要するに、これから少子・高齢化社会がどんどん進んでいく、今六人で一人を支えておりますけれども、これが四人に一人になるんだ。こういう中で、現役世代の負担が大変増大するんだ、こういうことでありまして、私どもは、医療改革にしても、これからお願いを申し上げる年金改革にしても、できるだけ後代の若い人たちのことを十分に配慮しながら改革というものを進めていかなければならない、こう考えております。
 特に、これまでお年寄りというのは、どちらかというと、戦前、戦中、戦後、我が国のために大変汗を流してくださった功労者である。お年寄りは社会的弱者であり、また、ある種社会保障の面において一律的に経済的な弱者だ。こういうようなとらえ方をして、例えば医療の負担でございますが、国民年金を二万円、三万円しかもらっていらっしゃらない方も、あるいは自営業者であるとか会社の役員であるとか、七十歳を過ぎても一千万円も二千万円ももらっていらっしゃる方も、一回五百三十円で、二回目も五百三十円、三回目も五百三十円、四回目も五百三十円、五回からはただだ、こういうことでございまして、果たしてこれから少子・高齢化社会の中でこういう措置をとり続けることが適切なのかどうか、こういうこともぜひとも御議論をいただきたい、このように考えているような次第であります。
 要するに、なかなか難しい問題でございますし、この介護保険の問題でも、お年寄りの皆さん方から十分な御理解をいただけるよう我々は努力しなければならないと思いますけれども、こういった若年世代の負担の問題、あるいは高齢者の負担の問題、こういう問題を考え直す時期に来ているのではないか、こう考えているような次第であります。

○吉田(幸)委員 若年者の負担ということを今大臣おっしゃっていただいたわけであります。
 私、自由党の議員でありまして、質問に立てば当然のことながら消費税を財源にというふうに言うわけでございますが、私が思うのは、ともかく、若い世代に極めて大きな負担が今後かかってくるんですよというような説明がまだ十分ではない、このことを強く申し上げ、そのことに対する政府としてのPR活動、また私も地元において若い人たちにこのことを申し上げ、お年寄りは先ほど言われた功労者である、この方々に対しての社会保障というのは堅持していかなきゃならない、したがって、若い人たちの負担というのが高くなるんですよ、もう少しそのことに対して真剣に考えていただきたい、このように地元では、また広くいろいろな会合ではお話をさせていただいているわけであります。
 まずは若い人たちに対しての理解、また、この国の現状をとにかくしっかりと広めていただくことをお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。


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